日本の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、Old Spiceという米国の男性用デオドラント製品のCMに登場する男の人をご存知ですか。

同社が数年前に行った「The Man Your Man Could Smell Like」キャンペーンは、多くの人の記憶に残りました。その理由はいくつかありますが、なかでも重要なのは、Old Spiceのボイスが確立されていたことではないでしょうか。動画、CM、キャッチフレーズ、Facebookの投稿、ツイートなど、あらゆるもので一貫したブランドボイスを伝えたことが大きかったのだと思います。

そして、これらマーケティングコンテンツの作成を支えているのは誰だかご存知ですか。

コピーライターです。的を得た言葉で企業のストーリを伝えるのは至難の技です。しかもそれを一貫して続けるのですから相当な能力が必要だと思います。

ですから、こうしたコンテンツマーケティングに成功している企業を見ると、称賛(昇給も?)すべきなのはコピーライターだと思ってしまうのです。そこで今回は、素晴らしいコピーライターがいるであろう企業に注目したいと思います。おそらく皆さんのコンテンツ作成の参考にもなるはずです。

コピーライティングの技に優れた13の海外ブランド

1)UrbanDaddy

UrbanDaddyは米国のローカル情報検索サービスを提供する企業です。いつも思うのですが、私にメールを開封させるUrbanDaddyの技は大したものです。そして、メールを開封して後悔したことも私はありません。

下は「Fun」というタイトルで私が受信したメールの内容です。

UrbanDaddyのEメールのコピーライティングの例

このメールで特に感心した点をご紹介します。

1つ目は、長々とした前置きがなく、要点をズバッと突いていることです。輪ゴム鉄砲のようにシンプルなものを紹介するのであれば、ありきたりな文を最初にいくつも並べて無理に読ませるよりも、この方が賢明だと思います。

2つ目は、文が意図的に構成されていることです。このコピーライターは、いわゆる文法に従っていません。昔ながらの宣伝口調で、文を区切ることをしないでコピーを並べています。たとえば下をご覧ください。

(画像上部の「Lock and load with Elastic Precision...」の文。日本語訳でも強引に文をつなげています。)「カンザスシティの小さな工場、Elastic Precisionで作られる高性能銃、弾を込めれば百発百中その訳は、輪ゴムの弾を撃っているからでして、ネット販売中であります。」

本文の続きを読むと、たわいもない製品をからかうような文が話し言葉で書かれていて、それがなぜか読者を楽しい気分にさせているのがわかります。

さらに、「アナグマの撃退にも便利。だけど、アナグマを見かける人なんているの?」という締めのコピーもユーモアたっぷりです。

何より、UrbanDaddyのユニークなトーンが、同社のメール、ホームページ、さらには下のようなエディトリアルポリシーにまでも感じられることが素晴らしいと思います。

UrbanDaddyのEメールコピーライティングの一例

UrbanDaddyのジョークがこれほどまでに冴えるのは、オーディエンスを十分に理解しているからです。そして、それがUrbanDaddyのすべてのアセットに発揮されています。

2)Moosejaw

自分たちが販売している製品を奇抜なコピーでいじるような勇気のあるブランドは、そう多くありません。

アウトドアアパレルのアウトレットストアであるMoosejawは、ユーモアを程よく上手に取り入れて製品を販売しています。人々の感情に訴えることで、エンゲージメントを高め、記憶に残るコピーを作成しています。

以下の例をご覧ください。

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

この手法はCall-To-Action(CTA)でも使われています。下の例では、マウスのカーソルを写真の上に重ねると、「Look This Cool」というコピーが現れます。

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

Moosejawのブランドボイスは、製品の紹介文からも伝わってきます。そのことは下の例を見てもよくわかります。

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

このような素晴らしいコピーは、Moosejawのホームページや製品紹介にとどまらず、返品ポリシーにまでおよびます。下の返品ポリシーをご覧ください。ユーモアを取り入れつつも明確さを損なうことなく、実にわかりやすく書かれていると思います。読み手に笑いを提供しながらも、返品ポリシーとしての役目をきちんと果たしています。

MoosejawのEメールコピーライティングの一例

3)First Round Capital

読み手がくすっと笑うようなら、それは質の高いコピーライティングである証拠ですが、もう一つ、わかりやすいと感じるかどうかでも、質を判断できると思います。First Round Capitalのコピーライターたちは、カスタマーに提供するサービスの価値を利用して自社を売り込むことに、驚くほど長けています。

たとえば、First Round Capitalは毎年80以上のイベントを開催し、コミュニティをつなげていますが、単にイベントを開催していることをウェブサイトで説明し、イベントの一覧を表示するのではなく、ウェブサイトのイベントページの冒頭を、多くの起業家にとって身につまされるような一言、下の例では「Starting a company is lonely」(起業家は孤独です)で飾っています。

First Round CapitalのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

「imperfect」、「safety net」、「vulnerable」などの語を使用することで警戒心を緩め、ブランドとそのコミュニティを理解したような気持ちに、読者をさせています。

余談ですが、ネームタグのステッカーについて書かれた最後の文は傑作だと思います。髪の毛に貼りついたりするので、私もステッカーは苦手です。

4)Trello

Trelloをご存知ですか。ご存知でない方は、下にご紹介するウェブサイトのコピーライティングにご注目ください。Trelloの製品紹介は(製品紹介に限りませんが)非常にわかりやすく書かれています。

trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

製品の使い方を説明する下の画面をご覧ください。

trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

製品自体がスマートに作られているとは言え、コピーライターが説明する内容の明確さは、称賛に価すると思います。短くまとまっており、これ以上ないほど容易に理解することができます。

そして、Trelloのコピーライターの才能についてお話しするなら、このログインページのマイクロコピー(ユーザーに何かを説明するための短いテキスト)は、必ずお見せしなくてはならないでしょう。

trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例  trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

このログインページに表示されるメールアドレスの例は、ページを更新するたびに変わりますが、いずれもセンスが良く、「エンダーのゲーム」(Ender's Game)のEnderや、「The X-Files」(X-ファイル)のDana Scullyなどを想定したアドレスを表示しているため、見る人を懐古的な気分にさせます。

些細なことかもしれませんが、実際にウェブサイトや製品を作っている人がそこにいることを、私たちに思い出させてくれますし、そのようなコピーを見ると、私はその企業の誰かと個人的にジョークを交わしているような気持ちになります。

5)Velocity Partners

秀逸なコピーライティングについて記事を書くなら、Velocity Partnersのコピーを取り上げずに終わることはできません。Velocity Partnersはイギリス発のB2Bマーケティングエージェンシーです。共同創設者であるDoug Kesslerはワードエコノミーの達人で、私たちは彼のSlideShareをこれまで何度となくHubSpotブログで紹介してきました。

「ワードエコノミー」とは、使用するすべての語が適切であるよう注意して書くことを言います。要点を簡潔に示し、必要でないことをくどくどと細かく説明しないよう注意します。読者の関心や集中量が長く続かないことを考えると、メッセージを伝える側にとって、これは最も重要な課題と言えます。

ワードエコノミーについて説明したところで、皆さんにDoug KesslerのSlideShareを(私は何も口出しせず)ご覧いただきたいと思います。

通常、SlideShareのコンテンツは大部分がビジュアル要素で構成されますが、Kesslerはテキストを中心に作成します。スライドのデザインは一貫して同じで、テキストだけを変えます。それでも読者が集中力を保ち、関心を持って読み続けられるのは、Kesslerが簡単な語だけを使用しているからです。

これには、メッセージを何の苦も無く理解してもらいたいという意図があります。彼はまるで話すように書きます。私たちはそれを物語のように読み、楽しみながらスライドを見ることができるのです。

また、Velocity Partnersのホームページのコピーも秀逸です。下の例をご覧ください。ケーススタディを紹介する文ですが、その謙虚な姿勢に驚かされます。

VelocityPartnersのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

続いて、Eメールの購読を促すCall-To-Action(CTA)のコピーですが、こちらもカジュアルかつ率直に書かれていて良いと思います。タイトルは特に目を惹きますが、先ほどご紹介したSlideShareと同じアイデアで書かれています。

trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

Velocity PartnersのHarendra Kapurは、B2Bのコピーライティングに関するブログ記事「B2B writing: It ain’t just writing」を書きました。その冒頭の断り書きも非常にユニークです。

trelloのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

6)Intrepid Travel

Intrepid Travelはメルボルンの旅行会社です(あるいは、アドベンチャー会社と言った方がよいかもしれません)。Intrepid Travelのコピーライターは、読み手を楽しませながら、貴重な情報を豊富に提供している点が素晴らしいので、ご紹介したいと思います。

これほど実用的なコンテンツがあるでしょうか。旅行者に役立つ情報を取り揃え、読むのをやめられなくなるほど楽しませてくれるのです。最近のインターネットの功績は、実に素晴らしいと思います。

次をご覧ください。Intrepid Travelについて書かれたコピーと、その下のブログ記事のタイトルなどを見れば、彼らのコピーライティングがどれ程実用的かがわかると思います。

intrepid-travel-homepage-copywriting.png

intrepid travelのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

言うまでもなく、Intrepid Travelのコピーライティングの効果は絶大です。ただただ脱帽の一言に尽きます。

7)Cultivated Wit

Cultivated Witは「コメディ会社」ですが、同社のコピーライターたちは「コメディを扱う企業」という個性をサイト全体で実に上手く表現しています。以前にもHubSpotブログで「会社概要」ページが素晴らしい企業として紹介していますが、それ以外にもサイトのあちらこちらで(ときにはまったく予期しないような場所でも)秀逸なコピーを披露しています。

たとえば、ホームページの画面下にあるコンタクト情報について書かれたコピーをご覧ください。

cultivated witのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

多くの企業がこの部分を補足情報くらいにしか考えていませんが、Cultivated Witは冗談を飛ばせる絶妙な場所であることを見逃さなかったようです。

その他に、Eメール購読用の2つのCTAも上手くできています。これらはウェブサイトの別々のページに置かれたCTAですが、どちらも面白くて楽しいのでお気に入りです。これはホームページに表示されたCTAです。

cultivated witのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

もう1つは、会社概要ページに表示されたCTAです。

cultivated witのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

8)Cards Against Humanity

日本でCards Against Humanityをご存知の方は少ないと思いますが、これはカードゲームです。同社のホームページでは「party game for horrible people.(最悪な人たちのためのパーティゲーム)」と紹介されています。カードには可笑しくてたまらないコピーが書かれており、みんなで楽しく、そして不謹慎に遊ぶことができます。

Cards Against Humanityのブランドボイスは独特です。ときには不快に思えたり、あるいはけんか腰だったりもしますが、それが彼らの得意技です。すべての人にアピールしたいとは思っていませんが、それでまったく問題ありません。この方法でターゲットオーディエンスにアピールすることに見事に成功しているからです。

ウェブサイトの(ふてぶてしい?)FAQページをご覧ください。

cards againstのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

下はFAQへの質問に対する回答の一部です。作成者も読者も一緒に楽しもうという雰囲気が伝わってきます。それこそが、Cards Against Humanityの狙いです。

cards againstのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

cards againstのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

cards againstのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

9)R/GA

UrbanDaddyではEメールのコピーを例示しましたが、それ以外ではウェブサイトのコピーを中心にご覧いただきました。そこで、ここではソーシャルメディアのコピーライティングについて、素晴らしい例をいくつかご紹介します。

B2Bの例が少ないように思いますので、B2B企業のTwitterコピーから最高に秀逸な例を選んでお見せしたいと思います。R/GAのTwitterアカウントに最近投稿されたツイートをご覧ください。

10)innocent

イギリスの清涼飲料水メーカー、innocentのページをご覧ください。文のトーンやスタイルが同社の思想、製品、そしてブランディングやデザインにぴったり一致しています。すべてがクリーンで、真っすぐで、そしてシンプルです。意外に思われるかもしれませんが、シンプルというのは、特にコピーライティングにおいては、思うよりずっと難しいものです。

同社の「Things We Make」ページを見れば、それが納得いただけると思います(この名前からして、素晴らしくシンプルだと思いませんか?)。

innocent-smoothieのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

innocent-smoothieのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

真っすぐだけれどもチャーミングなコピーライティングの思想は、サイトナビゲーションにも表われています。

innocent-smoothieのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

メタディスクリプションも素晴らしいですね。

innocent-smoothieのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

個人的には、私はこれが大好きです。

innocent-smoothieのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

11)GymIt

GymItのコピーからは、まったく目が離せません。実際、私はGymItのサイトやソーシャルプロファイルをチェックして、何か新しく変わっていないか常に注意しています。彼らは次々と面白いアイデアを披露し、魅力的なコピー満載のサイトで私を楽しませてくれます。

下は私のお気に入りのコピーです。スポーツクラブに通う人たちが不満あるいは疑問に思いそうなポイントを突いており、そしてそれらを顧客を重視したポリシーで解決しています。

gymitのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

このコピーのように、引っ越ししたと嘘をつかなくてもスポーツクラブを退会できれば、つまり、ふらっと立ち寄って「退会します」と言えばそれで済むなら、本当に楽だと思いませんか。

このような、同社の「スポーツクラブはただ体を動かすための場所であるべきだ」という思想は、下の「About」ページでも雄弁に語られています。

gymitのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

自分たちのコアなオーディエンスを深く理解していなければ、こうは書けないと思います。バリュープロポジションに、そしてマーケティングマテリアル全体を通して、GymItの顧客重視の姿勢が表現されています。

この「About」ページを見ていない人にも、GymItという新しいスポーツクラブチェーンの思想について知ってもらうために、コピーライターが考えた方法は何でしょうか。下のキャッチフレーズをご覧ください。

gymitのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

これ以上わかりやすくはならないと思います。

12)ModCloth

ModClothは自社のバイヤーペルソナを知り尽くしたブランドで、それが楽しさいっぱいのコピーライティングによく表れています。たとえば、新製品を紹介する下のページをご覧ください。どの製品にも言葉遊びが巧みに使われています。

modclothのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

製品を説明するコピーを読んでも、楽しく、刺激的に、そして(顧客と同様)クレバーに書かれていて素晴らしいと思います。これらの製品を着た自分を想像させるようなストーリーが盛り込まれたコピーも多く見られます。

modclothのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

ModClothのコピーを読むと、この製品を手に入れたら、どのような毎日が待っているだろうと想像して楽しくなります。それこそがコピーライティングの基本です。しかし、それをModClothほど上手にやり遂げているブランドはほとんどありません。

13)Ann Handley

個人的にブランドを立ち上げた人が、自分のことを幾分過剰に宣伝してしまうのはよくあることですが、それがサイトのコピーの質を大きく左右することに注意しなくてはなりません。

Ann Handleyの個人のウェブサイトで、彼女は下の例のようなマイクロコピーを表示しています。多くを成し遂げた人であるにもかかわらず(ベストセラー作家であり、受賞歴のあるスピーカーでもあるなど)、非常に気さくな書き方で好感が持てます。

その、Eメール購読のCTAをご覧ください。

ann-handleyのEメールマーケティングのコピーライティングの一例

素晴らしいコピーライターを有するブランドを他にご存知でしたら、下のコメント欄でお知らせください。

編集メモ:この記事は、2016年5月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Lindsay Kolowichによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

  無料ガイド: 優れたコピーライターになる方法

元記事発行日: 2016年10月19日、最終更新日: 2019年10月29日

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