Facebook広告に10万ドルの予算を投じて学んだ教訓

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Jonathan Taylor
Jonathan Taylor

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わずか3名という小さなデジタルマーケティング部門にとって、多額の広告費を予算に計上することは叶わぬ夢のようなものです。そのため、Facebook広告費として突然10万ドルが確保されたときは、すっかり舞い上がってしまいました。そして同時に、驚くほどの緊張も感じました。

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Klipfolioは創業間もないSaaS企業なので、マーケティングの予算を効率的に使うことが必要です。製品の単価も低くく(スタータープランで月額24ドル)、コスト効率を維持しながら広告費を捻出することが非常に重要です。

2016年5月、弊社は光栄にもFacebookのカナダ支社のサポートを受けるチャンスに恵まれました。広告の運用を始めるための少額の補助金を受け取り、同社の広告担当者から2日間にわたって説明を受けました。

広告の運用にあたっては、Facebookの担当者への問い合わせ以外、すべての作業を社内で完結させています。これにはプログラムの変更まで何日も待つ必要がなく、すぐに実行に移せるというメリットがある一方、広告クリエイティブやランディングページの作成、効果の分析を自分たちで行わなければならないというデメリットもありました。

最初の段階で実験的に運用したキャンペーンでは、ある程度の成功を収めることができました。その成果は他のウェブ広告と同様の水準に達し、順調な滑り出しと呼べるものでした。

しかし、これはほんの始まりに過ぎません。ある程度の成果を出したとはいえ、本当の勝負はこれからだという点にも気付いていました。そこで、Facebook広告が現実的な成長の手段となりうることを証明するべく、経営陣へのプレゼンを行い、デジタルマーケティング予算の増額を要請しました。その際、1件あたり50ドルのコスト効率でトライアルの申し込みを獲得することを会社にコミットしました。

そしてプレゼンの結果、多額の予算を手にすることができ、Facebookでの総合的な広告戦略の実践がいよいよ始まりました。

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正直に言えば、当時の私たちはかなり不安でした。会社からの信頼に応えなくてはいけないプレッシャーもありました。

この記事では、そんな私たちがFacebookでの広告掲載から学んだ教訓を、途中の紆余曲折も含めてご紹介します。ご参考となれば幸いです。

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教訓1:リソースの投入が不十分だとCPA(コンバージョン単価)が急上昇する

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着手して間もない頃、最初の教訓を得ることになりました。2016年5月の広告クリエイティブで成果が出たことに満足した私たちは、それを再現しようとAdWords(現在のGoogle 広告)から同じ広告クリエイティブを流用して、Facebookでの広告掲載を開始しました。開始直後は順調で、トライアルの申し込み率も悪くない数字でした。

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しかし、こうして初期の段階で一定の成果を得たことで、いったん広告を設定した後は何もしなくてよいと思い込んでしまいました。オーガニックコンテンツの作成など、他のデジタルマーケティング戦略に取り組んでいた間に、CPAが次第に上昇していたのです。

Facebook広告のCPAには、ある日突然上昇するような厄介な性質があります。ある朝、マーケティングダッシュボードにログインすると、トライアル1件あたりのCPAが目標の50ドルの2倍に達しているという異常事態が生じており、早急な対応を迫られることになりました。

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事態の収拾には多くの時間とリソースを要したほか、Facebook広告の専任担当者に電話で数回ほど問い合わせることになりましたが、その結果、問題の原因が広告のフリークエンシーにあることがわかりました。

つまり、Facebook広告のフリークエンシーが非常に大きくなり、同じオーディエンスに対して1日に3~5回も広告が表示されていたことで、CPAも当然上昇し、ユーザーのストレスを際限なく煽ってしまっていたのです。

そこで私たちは2つの対策をとることにしました。1つは広告クリエイティブの変更です。新しい広告を5つ作成して広告に適用するとすぐに効果がありました。この経験を通じで、同じ広告クリエイティブを使い続け、ユーザーをうんざりさせることの危険性を実感しました。

そして、さらに重要だったのは、広告クリエイティブの作成や分析のための新しいプロセスを導入することです。このプロセスは社内で「ベルトコンベアー方式」と呼ばれており、次のような仕組みになっています。

  • 1週目:新しい広告クリエイティブを作成し、1〜3個の広告セットに設定する。テストを実施して、その結果を分析する。
  • 2週目:すべての広告セットにすべてのバリエーションを設定し、古い広告を無効にして、最初の結果を分析する。
  • 3週目:広告セットの中から効果の大きいパターンを選び出し、結果を詳しく分析する。
  • 4週目:1~3週目で気付いた点を振り返り、新しい広告クリエイティブに適用する。

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なお、このプロセスには、広告のパターンをいくつもテストすることで、効果の大きいパターンを常に複数キープしておき、CPAが上昇したら即座に入れ替えられるという副次的なメリットがあります。

教訓2:広告セットのCPAを効果的に調整できるようにオーディエンスをセグメント化する

最初のころは、必要な広告セットの数をかなり控えめに見積もっていたように思います。新規顧客の獲得を目的とした当時のキャンペーンでは、米国、カナダ、ヨーロッパを想定した3つの広告セットしか運用しておらず、軽率でした(現在は広告の効果に応じて50~70個の広告セットを運用しています)。

それどころか、設定していたターゲットオーディエンスもごく基本的なものに過ぎませんでした。

年齢層の指定も、地域やデバイスに基づくターゲティングもなく、広告キャンペーンを大雑把に運用しているだけでした。

広告クリエイティブとランディングページのコンバージョン率には自信があったものの、オーディエンスのプロフィールを分析することの重要性を忘れていたのです。

当然ながら、これでは広告の成果を分析することも簡単ではありません。私は何も考えずに、デジタルマーケティングの同僚に「今日はヨーロッパが順調だけど、どうしてだろうね」と話していたことを今でも覚えています。

当時の私たちには、男性より女性の方がコンバージョン率が高かったのか、あるいは効果的に訴求できていた特定の年齢層があったのか、特に考えていませんでした。

しかも、CPAはこの時点でも目標より25%ほど高い状態にあり、最適化の作業が急務であることは誰の目にも明らかでした。

そこで、さまざまなユーザー属性を基に、リードジェネレーション(リードの獲得)の結果の分析を始めました。Facebook広告、Google アナリティクス、Mixpanel、Salesforceのデータを組み合わせて分析したところ、24~45歳の年齢層できわめて高い結果が出ていることがわかり、大いに納得がいきました。

45歳以上の年齢層は管理職に就いている場合が多く、弊社の製品を実際に使用したりトライアルを利用したりする人はほとんどいません。むしろ、トライアルを利用するよう部下に指示する立場にいるのが一般的です。

この結果を受け、45歳以上の年齢層を除外し、効果の高い年齢層に焦点を当てることにしたところ、CPAの高いオーディエンスを除外することができ、全体的なCPAの引き下げに成功しました。

それ以来、45歳以上のオーディエンスに表示するメッセージでは、「あなたの部署」や「データの透明性」といった言葉を多く含めるようにしています。また、無料トライアルの広告よりも、動画に予算を多く配分することにしました。

なお、私たちがオーディエンスのセグメント化を行っていなかった背景も説明させてください。当初は、大量の広告セットを管理する余裕もなかったうえ、ターゲットオーディエンスの範囲をなるべく広く維持し、そこから得たヒントを踏まえてターゲットを絞り込もうと考えていたからです。

教訓3:国や地域別のLTV(顧客生涯価値)を把握すれば、各地域の入札単価の設定が合理的になる

ユーザー属性の中で私たちがもうひとつ注目したのは、ユーザーの所在地でした。当時、ヨーロッパ全体を1つの広告配信地域と見なすことのメリットがなくなっていました(なお、弊社では全世界を対象にした広告配信のテストも実施しました。詳しくは下記の教訓8をご覧ください)。

ヨーロッパの広告キャンペーンは十分な成果を達成していた一方、チャンスを逃しているのも明らかでした。たとえば、特定の国や地域はリードが顧客化する比率が突出して高く、LTVも平均と比べて非常に高い数値に達していました。

また、リーチの範囲を広く設定したキャンペーンでは、ギリシャやハンガリーからトライアル1件あたり15ドルのCPAで多くのリードを惹きつけていました。ただ、これらのリードのコンバージョン率は非常に低いということが何度も社内で指摘されていました。

これらの国からのリードはたとえCPAが低くてもコンバージョンの達成にまで至らず、最終的な広告費がかさむ原因となっていたのです。このような結果を示す社内のレポート(と営業チームからの苦情)を受け、データを精査することになりました。

その分析の結果、今回の教訓を得ることになりました。LTVやコンバージョン率の高いオランダなどの国や地域では、リードジェネレーションにかかる費用が高めでも問題ないことに気付きました。

国や地域別のターゲットを設定することにより、適切なLTVに応じて目標とするCPAを調整できるようになりました。

教訓4:広告クリエイティブとランディングページの内容を一致させる

これはデジタルマーケティングでは当たり前のことですが、私たちのように経験・リソースが不足しているチームにとって、10万ドルの予算を管理し、スタートアップ企業の成長に必要な日々のキャンペーンをすべて運用しながら、運用することは困難でした。

しかも、ランディングページはパフォーマンスがそれなりに良かったこともあり、現状のまま放置してしまっていました。

しかし、10万ドルもの費用を投入してもCPAがいまだに安定しない状況では、1つひとつのコンバージョンの単価は何倍にもなります。

専任のデザイナーも1人しかいない小規模なチームだったため、何か強力なツールが必要でした。そこで、ランディングページ作成ツールのUnbounceを導入したところ、ランディングページのコンバージョン率に大きな効果があり、Facebook広告のリードのコンバージョン率を18%に向上できました。 

現在では、広告クリエイティブと一緒にリンク先のランディングページも作成しており、ランディングページを作成したら、コンバージョン率の改善につながる微調整を行います。フォームの位置、顧客の声、ボタンの色など、ちょっとした修正が大きな改善につながります。

教訓5:動画広告のリマーケティングを行う

弊社では、製品の紹介や認知度アップのために、動画を積極的に活用しています。弊社独自のセールスポイントや製品の概要を解説するために作成した動画では、視聴回数を増やし、観た人の注目を集め、コンバージョンを促進するうえで大きな効果を上げています。

Facebook広告の利用を始めるにあたり、ある1つの動画に予算を集中的に投入したところ、また大きな成果を得ることができました。しかし、改善の余地があるのではないかとも感じました。 

その根拠となったのは、動画には大きな役割があるという直感です(直感は十分当たるものです)。試しに今Facebookにログインして、フィードを眺めてみてください。こうした直感に納得していただけるでしょう。

私たちにとっての課題は、10万ドルの費用全体で、トライアル1件あたりのCPAを目標以下の数値にすることでした。ただ、トライアルの申し込みを促す動画には、新規顧客の獲得を目的としたキャンペーン動画ほどの直接的な効果を期待しにくいものです。

そこで、私たちは賭けに出ました。オタワの動画制作会社Dan Rascalの協力により、私たちはFacebookとInstagramで効果がありそうな35秒の楽しい解説動画を作り、投稿しました。すると、再生回数は瞬く間に10万回に達しました。

その理由は、この動画を友人や家族と実際に共有してくれたユーザーが、コメント欄で他のユーザーをタグ付けしていたことにありました。投稿そのものの中で会話が活発に行われており、まるでこの動画が広告ではないかのように扱われていたのです。その動画を以下に掲載します。

 

Facebookでは、動画に反応を示したユーザーをリスト化することで、リマーケティングキャンペーンを簡単に作成することができます。そこで、この動画を10秒以上再生したユーザーのリストを作成したところ、目標のCPAの範囲内でのリード獲得が可能な、コスト効率の高い手法を新しく確立することができました。動画によるリマーケティングは、動画の初期費用を含めても、トライアル1件あたりのCPAが30ドル程度に収まることがほとんどです。

さらに重要な点として、FacebookとInstagramでのリーチが飛躍的に拡がりました。また、広告の直接的な効果として、サイトへのトラフィックが増加しました。

教訓6:Facebook広告専用の動画を作成する

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動画広告を利用し始めた時点では、視聴回数やエンゲージメント、動画のシェアの回数など、何に関して効果が期待できるのかを正しく理解していませんでした。

数字を重視する企業として、KPI(重要業績評価指標)の設定の必要性は認識していました。そこで、情報収集を実施すると共に、社内のメンバーやFacebookの担当者と協議した結果、10秒間の再生1回あたりの単価をKPIとして設定することにしました。

このKPIを選んだのは、動画のエンゲージメントとブランドの認知度の向上がねらいでした。弊社のB2B企業向けソフトウェアに興味を持ち、猫の動画や赤ちゃんの写真ではなく弊社の動画を10秒間再生してくれるユーザーがいれば、弊社の動画広告は成果を上げていることになります。

また、制作においてもこのKPIを踏まえたプロセスを採用しています。Facebookの動画は既定でミュートの状態で再生されるので、これに対応できるよう、Dan Rascalと制作する動画には必ずテキストを表示しています。さらに、Facebookでは85%もの動画が音声なしで再生されているという実情を考慮し、動画にはキャプションも追加しています。動画のストーリーを音声だけで伝えようとしていたら、悲惨な結果になっていたことでしょう。

以上の取り組みにより、10秒間の再生1回あたりの単価は50%減少しました。これは、同じ費用でリーチの範囲が2倍になったという大きな成果を表しています。その後、このKPIを社内のソーシャル メディア ダッシュボードの真ん中に表示することになったのは言うまでもありません。

教訓7:ヒントを探し、アイデアを共有する

Facebookでの広告掲載を通じて得た知識は、何日かけても語り尽くせないほどです。Facebookのサポートのおかげで、確かな成果を手に入れることができました。とはいえ、何か特殊な方法や裏技を使ったわけではなく、Googleで「Facebook広告 ヒント」と検索するだけで、必要な情報はすべて見つかります。

難しいのは、見つけたヒントやベストプラクティスを1つのキャンペーンとして実践に移す段階なのです。

Facebookでの広告掲載の過程で、何年も前に他の広告主からヒントを得ていたという企業にアドバイスを求めました。実際に運用してみると、Facebookに広告を出稿している他社の動向に注目したくなっても不思議ではないはずです。特にShopifyは動画の活用で非常に大きな成果を上げています。

さらに、PageCloudのチームとも交流を深め、さまざまなアイデアを活発に共有しています。議論の中から、新しい広告キャンペーンやテストのアイデアが生まれ、次に述べる取り組みにもつながりました。

教訓8:思い切ってテストを実施する

私たちは予算の一部をテストに割り当てていました。Facebookで広告のターゲット地域を全世界に設定できる機能がリリースされると耳にしたとき、私たちは多少驚きながら、教訓3の地域別の入札単価設定から学んだことを思い出していました。

しかし、Facebookの担当者から試してみるよう強く勧められ、実際にテストで利用してみたところ、驚くべき結果が出ました。

なんとテストは大成功を収め、1日の予算と比べてもごくわずかな費用で、リード数をほぼ2倍に伸ばすことができました。そのときの勢いは、1日あたりのトライアルの申し込み件数が3日連続で過去最多を記録するほどでした。

その後、状況が落ち着いたところでリードの質の分析と広告文やランディングページの調整を行い、全世界を対象としたキャンペーンを広告のリストに加えました。

教訓9:広告がTop of the Funnel(ファネルの最上層)に位置しているのは変わらない

自社のソフトウェアのトライアルを人に勧めることは、友人に電話して、1時間後にカフェで近況を話し合おうと誘うことによく似ています。相手にとっては急な話であり、そのための時間も確保しなければならないので、関心の度合いによらず、すぐに都合がつかなくても無理はありません。

私たちはトライアルのCPAの数値目標を重視するあまり、自分たちが本当に成すべきこと、つまり「認知度のアップ」と「オーディエンスに与える第一印象の改善」を見失いかけていました。

目標の達成を追求する中で、ちょっとした判断を重ねた末に大きな間違いを犯すことになりました。ランディングページからコンテンツをそぎ落としすぎたせいで、申し込みフォームと1枚の画像しかないページになってしまったのです。

そのランディングページはコンバージョン率は高かったものの、閲覧者に不満を抱かせていました。あまりにも情報が足りない、と怒りのコメントを残す人もいるほどでした。

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この時点でCPAは目標を下回り、約10ドルまで下がっていました。私たちはハイタッチのしすぎで手が痛くなるほど喜んでいましたが、実際にはその過程において重大なミスがあったのです。

つまり、数字ばかりに気を取られて、リードが人間であるという大切なことが頭から抜け落ちていたのです。

そこで私たちは、当然の対策を取りました。Vidyardの動画コンテンツをすべてのランディングページに挿入するなど、必要なコンテンツを元に戻し、戻したコンテンツを最適化して顧客がなるべく多くの情報を得られるようにしました。

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その結果、CPAは上がってしまいましたが、広告の関連度スコアも同時に上昇しました。

顧客のことを第一に考えれば、このバランスの取れた結果に何の異存もありませんでした。

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