動画編集のソフトとして世界中のクリエイターから愛されている「Adobe Premiere Pro」。簡単な動画編集から、映画制作の現場まで幅広く使用されているソフトですが、機能が多く初心者にとっては難しく感じるかもしれません。
Adobe Premiere Pro 基本の使い方ガイド
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本ガイドを参考に、動画編集の基本手順と機能を学び、実際に制作してみましょう。
AdobeはPremiere Proだけでなく、さまざまなクリエイティブ制作に役立つ高品質なアプリを提供しています。料金プランや代表的なアプリの概要をまとめていますので、他のツールにも興味がある方、これから本格的にクリエイティブ制作を始めたい方はぜひ参考にしてみてください。
本記事ではAdobe Premier Proの基本的な使い方を、動画編集の手順に沿ってご紹介します。動画編集に欠かせない機能を学び、実際に簡単な動画を制作できるようになりましょう。
Premiere Proとは?メリットデメリットも解説
Premiere Proはプロの動画編集者から一般のアマチュア編集者まで、世界中で愛用されているノンリニア編集ソフトです。
プロの制作現場では、Premiere Proは「デファクトスタンダード」と呼べるほど、確固たる地位を築いています。
ハリウッド映画の制作現場でも導入されているほど、その機能性の高さには定評があります。
Adobe公式のQ&Aに加えて、ソフトの使い方を解説しているユーザーも多数いるため、疑問点があった場合もインターネット上で解決策を見つけやすいことがメリットです。
ただし、Premiere Proを初心者が完璧に使いこなすには時間と労力を要します。
また買い切りソフトではなく継続的に購入しなければならない点はデメリットと言えるでしょう。
Premiere Proの編集画面と各名称
Premiere Proではワークスペースと呼ばれる画面で作業をします。ここでは編集画面と各名称を解説します。
Premiere Proの初期設定では「学習」が表示されるので、動画編集の際は「編集」を開いてください。
編集画面には以下の4つのパネルが表示されます。
- 「ソース」パネル
- 「プログラム」パネル
- 「プロジェクト」パネル
- 「タイムライン」パネル
ソースパネル:動画や音声などの素材を確認・編集します。
プログラムパネル:編集中の動画の確認画面です。パネル下部のボタンで動画を再停止でき、テロップ入力などの編集時にもプログラムパネルを使用します。
プロジェクトパネル:編集前の動画やBGMなど、素材の保存場所となります。ここから使用する素材を選択して編集します。
タイムラインパネル:動画編集をメインで行う作業場です。ここにシーケンスという作業机のようなものを作成し、ツールパネルを使用しながらビデオや音声の編集をします。ツールパネルはタイムラインパネル左側に表示されており、使用頻度の高いツールが設置されています。
シーケンスの「V」はビデオのことで、映像、画像、テロップなどを置きます。「A」は、BGMや音声などのオーディオデータの配置場所です。VとAはレイヤー(数字)になっており、素材ごとに編集できます。
ワークスペースは自分の使いやすい順番にレイアウトが可能です。詳しくはAdobe公式ページ「ワークスペース」をご覧ください。
Premiere Proの基本的な使い方
ここからは動画制作の流れに沿って、Premiere Proの基本的な使い方を学んでいきましょう。これからご紹介する基本的な操作のみで、YouTube動画などの簡単な動画を制作できます。
実際に動画を編集しながら進めると効率よく学習できます。Premiere Proをお持ちの方はぜひ操作しながら読み進めてみてください。
1. 動画編集の準備をする
Premiere Proで動画編集をするためには、以下の事前準備が必要です。
- 新規プロジェクトの作成
- 動画素材データの読み込み
- シーケンスの作成
- シーケンスへ動画素材を配置
新規プロジェクトの作成
まずは、新規プロジェクトを作成します。プロジェクトとは動画編集を行うためのファイルです。
【新規プロジェクト作成の流れ】
- Adobe Premiere Proを立ち上げ、画面左の「新規プロジェクト」をクリック
- プロジェクトの名称、ファイルの保存場所を決め、OKをクリック
動画素材データの読み込み
次に編集の元となる動画素材を読み込みます。
動画素材データの読み込み手順は以下の通りです。
- ファイル>読み込み
- 使用したい動画データを選択し、「開く」をクリック
シーケンスの作成
続いてはシーケンスの作成です。
シーケンスとは作業をする作業机のようなもので、以下の手順で作成できます。
- Adobeツールパネルのファイル>新規>シーケンスを選択
- ARRI>1080p>29.97
- シーケンス名を設定
作成後、タイムラインパネルにシーケンスが設定されていることを確認してください。
シーケンスに動画素材を配置
次に、先ほど作成したシーケンスに動画素材を配置します。
- プロジェクトパネルに読み込んだ動画データを選択
- シーケンス(タイムラインパネル)にドラッグ&ドロップで配置
シーケンスの左側にある「選択ツール」をチェックすると、動画素材をクリックしたまま位置の調整ができます。
動画素材はシーケンスの先頭部分から表示されるように設定しておきましょう。
2. 動画をカット編集する
事前準備ができたら動画を編集します。まずはカットをご紹介します。カットとは動画の必要ない部分を切り取る作業です。
カット編集の手順
- シーケンス(タイムラインパネル)のツールバーからレーザーツールを選択
- 動画素材のカットを始めたい場所をクリック
- 動画素材のカットを終わらせたい場所をクリック
- ツールバーの選択ツールをクリックし、動画素材のカットしたい部分を選択
- Deleteキーを押し動画をカット
- シーケンス上でカットした部分が空白になっていることを確認
- 空白部分を埋めるため、カットした後ろの動画素材をクリックしながら移動させ前の動画素材とつなげる
上記の4で「右クリック>リップル削除」をすると5〜7の作業を短縮できます。
また、あらかじめ設定されているショートカットキーを使うとさらに効率よく作業が可能です。
3. 動画にテロップを入れる
カットができたら動画にテロップを入れます。テロップとは字幕のことです。ここではテキストやモーションなどを追加・編集できる「エッセンシャルグラフィックス」という機能を使ってテロップを挿入していきます。
テロップ挿入の流れ
- ツールバーの横書き文字ツール(T)を選択する
- プログラムパネルをクリックすると赤枠が表示される
- 赤枠内に文字を入力する
4. 動画にエフェクト(特殊効果)を加える
エフェクトとは元の素材に加工を加えることです。
下記の手順でエフェクトの挿入ができます。
- ワークスペース上部のエフェクトを選択
- ワークスペース右に表示されるエフェクトパネル>エッセンシャルグラフィックス>編集を選択
- プログラムに入力したテキストを選択
- エッセンシャルグラフィックスのパネルの数値を動かし、テキストのフォントなどを編集する
その他にも、動画のカラーや明るさ変更などPremiere Proにはさまざまな種類のエフェクトが用意されています。詳しくはAdobe公式ページ「Premiere Pro のエフェクトの種類」をご参照ください。
5. 動画にBGMや効果音を入れる
動画にBGMや効果音を入れることで、視聴者が飽きずに動画を見ることができます。ただしPremierer ProにはBGMの素材がないため、あらかじめ自身のPCに用意しておく必要があります。YouTubeに動画をアップロードする場合、BGMは著作権フリーのものを使用しましょう。
BGMや効果音挿入の流れを解説します。
- PCなどのファイルから使用したいBGM・効果音を選択
- プロジェクトパネルにドラッグ&ドロップで読み込み
- プロジェクトパネルからBGM・効果音を選択し、タイムラインパネルの「A(オーディオ)」部分へ読み込み
- 動画に合わせてBGM・効果音をカット、位置の調整をする
音量の調節はAdobe公式ページ「ボリュームレベルの調整」をご覧ください。
6. 動画データとして書き出す
編集した動画を完成させるには、最後に動画データとして書き出す必要があります。ここでは動画の書き出しの流れと、YouTubeへアップロードする場合の形式をご紹介します。
書き出し手順
- タイムラインパネルの再生バーを右クリック>「アウトをマーク」を選択
- 画面上部のファイル>書き出し>メディアを選択
- 書き出し設定>形式:h.264>YouTube1080pフルHD(4K解像度で書き出す場合はYouTube 2160p 4K Ultra HDを選択)
- 出力名の横の青文字をクリックし、ファイル名と保存先を設定>保存
- 下部の「書き出し」を選択
- エンコードが終了すると書き出しが完了する
書き出し終了後は、保存先のフォルダーから完成した動画を確認しましょう。YouTubeへのアップロード方法はGoogle公式ページの「動画のアップロード」をご確認ください。
覚えておきたいPremiere Proで効率的にカット編集する方法
Premiere Proの操作で、覚えておくと便利な編集方法を紹介します。
【リップルツール】
リップルツールは、特定のクリップのみの長さを変更できるツールです。隣接するクリップの長さには影響を与えず、クリップ間のギャップ(タイムラインの隙間)も発生させません。
1)ツールパネルから下記画像のアイコンを選択して、リップルツールに切り替えます。
2)クリップ同士の境界線(編集点)をクリックすると、画像のように「コ」の字型のマークが表示されます。
3)編集点をつかみながら左右にドラッグすると、「コ」の字が開いている方のクリップ(ピンク)の長さを変更できます。
この変更に連動して隣接するクリップ(パープル)の開始点も移動します。隣接するクリップの長さは変更されません。
【ローリングツール】
ローリングツールも、クリップの長さを変更するツールです。リップルツールと異なる点は、変更に伴って隣接するクリップの長さも変わる点です。あるクリップを短縮すると、隣接するクリップがその分自動的に長くなります。動画全体の長さを変えずに編集したい場合に活用できます。
1) 画像のアイコンを選択して、ローリングツールに切り替えます。
2) 編集点をつかんで左にドラッグすると、左のクリップ(ピンク)は短く、右のクリップ(パープル)は長くなります。
こちらも先ほどのリップルツール同様、クリップの間にギャップは発生しません。
【スリップツール】
スリップツールは、クリップの長さや位置を変えずに、クリップ中の表示させたいシーンのみを変更できます。長さを保ったまま、使うシーンだけを微妙に調整したいという場合に便利です。
下の画像のアイコンを選択し、「スリップツール」に切り替えます。
調整したい動画クリップを選択し左右にドラッグすると、動画クリップのIN点とOUT点がスライドします。右にスライドすると開始時間が早まり、左にスライドすると遅くなります。表示させたいシーンまで調整しましょう。
【応用編】複数の動画や画像を合成する方法
複数の動画や画像を合成する方法について紹介します。
ここではいわゆる「ワイプ」と呼ばれる、窓のような箇所に人の姿を重ねる工程をご説明します。
1)土台となる映像を、シーケンス内の「V1」トラックにドラッグ&ドロップで配置します。
2)その上に重ねたい映像を、シーケンス内の「V2」トラックにドラッグ&ドロップで配置します。
3)「V2」トラックに人物の映像を挿入し、画像左上の「モーション」→「スケール」にて値を小さくします。
ここでは100から30へと数値を変更しています。
4)サイズを小さくした「V2」トラックの映像を、任意の位置へ移動します。画像左上の「モーション」→「位置」の数値を変更しましょう。
ここでは右下に配置しました。
静止画素材においても同様の操作となります。
このようにトラックの上に映像や画像を重ねていくだけで、簡単に複数の素材を合成できます。
Premiere Proの操作効率を上げるショートカットキー一覧
Premiere Proでの操作効率を上げるためには、ショートカットキーの使用が効果的です。ただしMacとWindowsではキーが異なるので注意しましょう。
ここでは動画編集に覚えておきたいショートカットキーを一覧でご紹介します。
|
Mac
|
Windows
|
新規タイトル作成 |
Command+T
|
Ctrl+T
|
保存 |
Command+S
|
Ctrl+S
|
終了 |
Command+Q
|
Ctrl+Q
|
メディアを書き出し |
Command+M
|
Ctrl+M
|
編集点を追加 |
Command+K
|
Ctrl+K
|
リップル削除 |
Shift+前方削除
|
Shift+Delete
|
テキスト |
Command+T
|
Ctrl+T
|
上書き |
.
|
.
|
プロジェクトを開く |
Command+O
|
Ctrl+O
|
プロジェクトを閉じる |
Shift+Command+W
|
Ctrl+Shift+W
|
取り消し |
Command+Z
|
Ctrl+Z
|
やり直し |
Shift+Command+Z
|
Ctrl+Shift+Z
|
Adobe公式ページには「Premiere Pro のキーボードショートカット」が記載されています。ショートカットキーを少しずつ覚えていき、操作効率を上げましょう。
Premiere Proの使い方が学べる動画
Premiere Proは、動画で学習するとより理解が深まります。ここからはPremiere Proの使い方が学べる動画をいくつかご紹介します。動画編集が未経験の方は初級編から始め、基本を理解してから応用を学んでみてください。
レベルに合わせて使い方を学べる動画
自分のレベルに合わせて使い方を学べる動画をご紹介します。動画は初級・中級・上級・専門とレベル別にまとめました。幅広い動画の中から自分のレベルに合わせた内容を選び、学習にご活用ください。
Adobe公式チュートリアル
Adobe公式ページの「Premiere Proチュートリアル」では、初級と中級以上に分けて動画を紹介しています。パートナーYouTuberによるレトロ風動画や結婚式用動画などの解説も視聴できます。
初心者向け動画の中から、おすすめのものを2つご紹介します。
1:Premiere Proの5つの基本編集操作 Adobe公式の「Premiere Proの5つの基本編集操作」では、Premiere Proの基本的な使い方を学習できます。動画内では基本的な5つの操作が解説されています。動画はそれぞれ約2分から4分と短く、短時間で基礎を学習できるので、Premiere Pro初心者の方はぜひご覧ください。
2:【超初心者向け】Premiere ProでYouTube動画の編集公開【元動画も無料配布】 現役YouTuberである「かふたろう」さんの動画「【超初心者向け】Premiere ProでYouTube動画の編集公開【元動画も無料配布】」です。 1時間10分ほどの動画で、YouTube動画の制作方法の流れを学べます。動画素材が無料配布されているので、実際に練習しながら視聴してみてください。
中級以上のカテゴリーには、より高度なテクニックの解説動画があります。 「字幕とキャプションを追加して編集する」動画では、練習用のサンプルファイルを使用し、字幕やキャプションのつけ方を学習できます。
Udemy
「Udemy」には、Premiere Proを学べる有料動画講座が数多くあります。ここではレベル別に厳選した動画をご紹介します。
【初級編】
「【1日完結】Premiere Proの使い方~動画クリエイターコース~」は、現役の映像クリエイターによる動画講座です。3時間のオンデマンドビデオで、Premiere Proの基本的な使い方を学習できます。実践を通して動画制作のコツがつかめる内容です。
【中級編】
「【目指せYouTuber】Adobe Premiere Pro CCでYouTube用動画を編集をしよう!!」は、YouTubeの動画編集に特化しています。3時間のオンデマンドビデオで、Premiere Proの基本的な使い方をはじめ、エフェクトやモーション機能を使用し動画のクオリティを上げる方法などが学べます。
【上級編】
「【PremierePro対応】ゼロから学ぶ映像制作:企画~絵コンテ~撮影~編集まで」は、4時間のオンデマンドビデオで映像制作が学習できる動画講座です。映像制作の企画や撮影などが内容に含まれているため、仕事で動画制作をする方に向いています。
【専門編】
「カメラを使って動画撮影 & Premiere Proで動画編集」では、カメラで撮影した動画をPremiere Proで編集する方法が学べます。専門用語の解説もあるため、動画撮影と編集の知識が身につく内容です。
Premiere Proの使い方を覚えるには練習が大切です。Adobeソフトには7日間無料体験版があるので、まずはダウンロードして実際にPremiere Proを操作してみましょう。
Adobe Premier Proの使い方は実際に編集しながら学ぼう
Adobe Premiere Proの使い方は、実際に編集しながら学んでいくと理解が深まります。まずはPremiere Proの基本的な使い方を覚え、使用する機能を少しずつ増やしていくことで、動画のクオリティも上がっていきます。
動画制作においてはインプットだけでなくアウトプットも重要です。本記事や動画講座を参考に、まずは動画を1本制作してみましょう。Adobe Premiere Proならではの、さまざまな機能をぜひ試してみてください。
使用動画素材: こちら