コンテンツマーケティングというと、消費者を直接ターゲットにしたB2Cの事例が取り上げられることが多いものです。たとえば、エンタメ性が高い動画で口コミを促したり、複数のチャネルから消費者に接触することで購入の確率を高めたりといった話です。しかし、同じ手法がB2Bのマーケティングにもそのまま当てはまるとは限りません。

B2Bで企業の購買担当者へのリーチを図るためには、B2Cとは別の考え方や戦略が必要です。 ジャン・クロード・ヴァンダムが見事な開脚を披露したVolvoのトラックのCMを見て、購買担当者が感銘を受けたとしても、価格や保証など、他の要素を勘案しないことには、事業用のトラックとしてVolvoを選ぶ決断には至りません。購買担当者のスマートフォンやパソコン、テレビ、業界誌に向けてVolvoの広告を同時展開できたとしても、やはり十分ではありません。

B2Bで購買決定に至る道筋はB2Cより複雑で、ここで挙げた戦術やその他もろもろを、いくつも組み合わせなければいけないことがよくあります。 

B2BおよびB2Cで、SNS別最も効果の高かったコンテンツとは?

 

B2BとB2Cのそれぞれのターゲットオーディエンスに合わせて、コンテンツマーケティングにも大きな違いが出るのは当然です。その違いをキャンペーンにきちんと反映できれば、見込み顧客に効果的にリーチできる可能性はぐんと高まります。この記事では、B2BとB2Cのコンテンツマーケティングの違いを、いくつかのポイントに分けて見ていきましょう。

コンテンツの狙い

B2BとB2Cのコンテンツマーケティングの違いとしてまず挙げられるのは、コンテンツで打ち出すメッセージの全体的な狙いです。

B2Bでは、コンテンツ制作の狙いとしてブランドの構築とオピニオンリーダー的な立場の確立を目指しているマーケターが85%にのぼるといわれています(参照記事はこちら:How B2B Content Markters Are Missing the Mark)。

業界の第一人者として自社の社名を見込み顧客に認知してもらえたら、消費者の購買プロセスでいう「初期調査」の段階を飛ばして、「ニーズの認識」から「代替案の評価」へと直接進むことができ、自社をその候補の筆頭に置くことができます(参照記事はこちら:The 5 stages of Consumer Buying Decision Process)。

一方B2Cでは、業界のオピニオンリーダー的立場というのは、さほど重要ではありません。消費者がペプシコーラではなくコカコーラを選ぶときに、コーラ業界に精通していそうだからという理由で選ぶでしょうか。朝食のシリアルを選ぶときに、発売元が業界で影響力を持っているかどうかなんて考えるでしょうか。

B2Cで消費者が購入を決めるときには、B2Bとは違い、安心感や信頼感などのイメージが決め手になるのが普通です。このように、B2BとB2Cでは、コンテンツマーケティングの狙いもメッセージも変わってきます(参照記事はこちら:B2B VS. B2C ECOMMERCE: WHAT ARE THE KEY DIFFERENCES?)。

ポイント:B2Bの場合は、オピニオンリーダーとしての立場を確立する必要性を常に念頭に置きましょう。一方、B2Cの場合は、独自性やコストパフォーマンスなど、別の狙いを定めましょう。

マーケティングメッセージ

B2BであれB2Cであれ、コンテンツマーケティングで打ち出すメッセージは、ターゲットオーディエンスによって大きく変わります。

反応やエンゲージメントを引き出すうえで、どのような種類のメッセージやベネフィットが効果的かは、B2BとB2Cとで異なるという調査結果もあり、興味深いところです。Chronのスモールビジネスのサイトsmallbusiness.chron.comで、Katie Rosehill氏は次のように書いています。

広告、プロモーション、宣伝の手段が同じでも、B2BとB2Cでは、マーケティング戦術が異なります。B2Bのマーケティングであれば、メッセージの基盤となるのは、価値、サービス、信頼です。B2Cのマーケティングであれば、価格と、製品を手に入れることの満足感が焦点となります。”

もちろん、こうしたベネフィットは、B2BとB2Cのどちらか一方にのみ当てはまるわけではありません。たとえば自動車修理店であれば、たとえ一般消費者向けでも、価値や信頼をアピールするはずです。クラウドストレージ事業者であれば、激しい競争の中で差別化を図るために、たとえ企業向けでも、低料金をアピールするかもしれません。

しかし、キャンペーン戦略やコンテンツの構想を練るうえでは、先ほどの引用にあった基本方針の違いを頭に入れておくことがやはり重要です。ここで挙げたベネフィットを土台にして、ターゲットオーディエンスを最も惹きつけそうな要素に狙いを定め、メッセージに磨きをかけていきましょう。

ポイント:B2B向けのコンテンツの場合は、価値、サービス、信頼についてのメッセージを基盤として、ターゲットの市場に合わせて適宜調整を加えましょう。B2C向けのコンテンツの場合は、価格の妥当性や全体的な満足感を伝えることをまず考えましょう。

マーケティングチャネル

チャネルについても、B2BとB2Cで違いがあります。

B2Cであれば、見込み顧客にリーチする方法はいくらでもあります。SNSや大手ウェブサイトなど、一般的なコンテンツマーケティングキャンペーンの中心的な媒体に加えて、従来型の媒体で打つ広告もありますし、お店の近くに来た人にコンテンツやプロモーションを配信できるジオターゲティングのアプリを使う手もあります。

一方、B2Bでは、リーチの機会が限られていることがあります。たとえば、BuzzFeedのネイティブ広告では、消費者の目を引くことはできるかもしれませんが、企業の購買担当者の一団を動かすことはできそうにありません。 

だからといって、B2Bの広告機会が完全に乏しいわけではありません。実際、B2Bの広告に的を絞った素晴らしいチャネルはたくさんあります。たとえば、LinkedInの「スポンサードアップデート」では、B2Bのコンテンツマーケティングのメッセージを、ターゲットとなる購買担当者にピンポイントで届けることができます。 

HubSpotもその効果を実感したことがあります。LinkedInのスポンサードアップデートを利用して、ターゲットオーディエンスに対するリードジェネレーションを行ったところ、他のプラットフォームの場合に比べて400%多くのリードを獲得できました。実に目覚ましい成果です(参照資料はこちら:HubSpot drives high-quality leads with Sponsored Updates in the LinkedIn feed)。

コンテンツマーケティングというと、B2Cが話題になることが多いのですが、B2Bであっても適切なプロモーション戦略の下で同じような成果を上げられることは明らかです()。

ポイント:B2Bは、プロモーションのチャネルがB2Cより限られているとしても、ターゲットを的確に絞った効果的なチャネルを見つけ、コンテンツを伝える必要があります。 

形式

どのような形式のコンテンツが適しているかという点も、B2BとB2Cのマーケティングキャンペーンの違いとして興味深い部分です。

  • Eccolo MediaのTechnology Content Surveyによると、B2Bの購買担当者がセールス前の段階で読みたいと考えているのは、ブログやホワイトペーパーです。また、テクノロジーの購買担当者で、ベンダーのコンテンツを継続的に受け取りたいと考えている人が希望するのは、ホワイトペーパー(98%)、ケーススタディ(66%)、技術ガイド(37%)です。

  • Content Marketing Instituteの調査レポート「B2C Content Marketing 2015」の北米版によると、B2BよりもB2Cの方が、ユーザー生成コンテンツやリアルタイムコンテンツを使ってマーケティングを行う度合いが高かったとのことです。 

これらの話はあくまで基本線ですから、B2Bのマーケティングキャンペーンではユーザー生成コンテンツは使わない方がよいとか、B2Cではホワイトペーパーやケーススタディは不要ということではありません。しかし一方で、この基本線は、キャンペーンで使うコンテンツの形式を判断するうえで間違いなくベースになります。

あとは、ターゲットオーディエンスの固有の関心やニーズに合わせて、適宜調整を加えればよいでしょう。

ポイント:B2Bのコンテンツマーケティングでは、コンテンツの形式として、ブログ、ホワイトペーパー、ケーススタディ、製品ガイドを軸にするとよいでしょう。B2Cでは、ユーザー生成コンテンツやリアルタイムマーケティングがターゲットオーディエンスの注目を集めます(特にソーシャルメディア)。

BBとBCの境界があいまいに

最後に、コンテンツマーケティングのキャンペーンの現状について、重要な点を指摘しておきたいと思います。それは、B2BとB2Cを隔てる境界があいまいになりつつあるということです。

Content Marketing Instituteのブログ記事B2C vs. B2B Content Marketing: 3 Experts in The Big Debate[Video]のコメント欄で、Doug Kessler氏は次のように指摘しています。

”B2B対B2Cというこの構図は、袋小路ではないかと思うことがあります。セグメンテーションを専門とする我々マーケターが、B2BとB2Cの区別にいまだに苦労しているのは、滑稽なことです。B2B企業かB2C企業かという区別は、そこまで意味があることではないのかもしれません。

「セールスサイクルが長い」「セールスサイクルが短い」という分け方のほうが、意味があるかもしれません。B2Bといっても、Webページからその場で購入できる製品(たとえばウイルス対策ソフト)を扱っている企業もありますし、B2Cといっても、セールスサイクルが数カ月単位の商品(たとえば車や住宅ローン)を扱っている企業もあります。

B2BとB2Cの違いをズバリと表すのが難しいのは、重なる部分がかなりあるからとも考えられます。”

たとえば、医療機器の販売会社が、病院やクリニックなどの医療法人向け事業と、一般消費者向け事業の両方を展開しているとします。上で述べた違いをふまえると、この会社は、B2BとB2Cの両方の顧客にアピールするための戦略をどのように構築したらよいでしょうか。

結局のところ、ターゲットオーディエンスを本質的に理解することが何より肝心です。そのプロセスでは、バイヤーペルソナを作成すると役に立ちます(参照記事はこちら:The Science of Building Buyer Peronas)。どのようなアプローチで顧客のことを把握するにせよ、顧客の関心、不安、活動、嗜好を理解したうえで、その理解に沿う形で、コンテンツマーケティングキャンペーンの狙い、メッセージ、チャネル、形式を決めるのだということを、常に意識しておきましょう。

B2BとB2Cの両方のマーケティングを手がけたことがある方は、ぜひコメントをお寄せください。それぞれ、何が似ていて、何が違ったでしょうか。

B2BとB2Cのコンテンツマーケティング調査レポート

 

編集メモ:この記事は、 2015年9月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Eric Siuによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

元記事発行日: 2016年1月05日、最終更新日: 2018年10月17日