Webサイトの運用を専門知識なしで行えるCMSは、プログラミングやWebデザインの知識がなくてもWebサイトを構築・運営できる手軽さから、多くの企業で導入されています。しかし、サイバー攻撃によるコンテンツの改ざんなど、セキュリティにかかわる問題が多く報告されている現状があります。

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情報の漏えいや改ざんといったセキュリティリスクから自社のWebサイトを守るためにも、企業はセキュリティ対策を万全にし、安全性を確保しなければなりません。

では、具体的に、どのようなセキュリティ対策が必要となるのでしょうか。本記事では、CMSの基本的なセキュリティ対策の知識から、脆弱性によって起こり得る被害事例を解説します。自社サイトを安全に運用するための参考にしてください。

CMSを活用したWEBサイト作成ガイド & CMS選定シート

CMSのセキュリティリスクとは?

CMSのセキュリティリスクとは?

CMSとは、Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)の頭文字の略称で、 Web制作を行う際に、専門的な知識がなくてもコンテンツを作成・管理・更新できるシステムのことです。

CMSは、 Webサイトを作るうえで非常に重要なツールですが、脆弱性を狙った不正アクセスが増えているのが現状です。不正アクセスが増えると情報の漏えいや改ざんなど大きな被害が出る可能性もあり、Webサイトとしての信用を失うことになりかねません。 CMSで作られたWebサイトには顧客情報など価値のある情報が載っているケースが多いため、サイバー攻撃の標的になりやすいとされています。

仮に顧客情報が漏洩すると、企業の信用も大きく低下してしまうでしょう。企業はCMSのセキュリティリスクを理解し、適切にWebサイトを運用する必要があります。
 

無料版と有料版とのセキュリティ対策の違いは?

CMSツールといえば、全体のWebサイトの約4分の1が使用しているといわれる「WordPress(ワードプレス)」を連想される方もいるのではないでしょうか。 WordPressに代表されるオープンソース型のCMSは無料なので、個人から企業まで多くのユーザーに利用されています。

無料のCMSは気軽に導入できますが、自社で安全対策をしなければならずセキュリティリスクが高い傾向にあるのが特徴です。

一方で、CMSにはクラウド型に代表される有料ツールもあります。有料のクラウド型と無料のオープンソース型のCMSを比較すると、次のような違いがあります。
 

WordPressなどオープンソース無料型

WordPressなどの無料で使えるオープンソース型CMSは、ソースコードが公開されているため脆弱性が見つかりやすく、サイバー攻撃の対象になりやすいといわれています。

実際に、WordPressでは脆弱性を狙った不正アクセスが問題視されています。特に初心者の場合は、セキュリティ対策を講じていないケースが見受けられます。そのようなWebサイトでは、簡単に情報を抜き取られたり、改ざんされたりしてしまうので注意が必要です。

WordPressにおいては、特に、本体・テーマ・プラグインなどにセキュリティリスクがあります。脆弱性はプログラムのある場所に生じるため、特にこの3つは注意しておきましょう。
 

クラウド型CMSなど有料型

クラウド型CMSは有料ではありますが、ベンダーにセキュリティ対策を一任できるのが大きなメリットです。自分でセキュリティ対策やメンテナンスなどを行う必要がなく、Webサイトのセキュリティ対策に詳しくなくてもベンダーに任せられるので、不正アクセスやウイルス感染などのリスクを未然に防げます。

クラウド型CMSは、完成されたシステムに情報をアップロードするだけで簡単にWebサイトが作れるため、安全性が高いのはもちろん導入費用を抑えられるのも魅力です。
 

CMSの導入・運用時にやっておくべきセキュリティ対策とは?

CMSの導入・運用時にやっておくべきセキュリティ対策とは?

CMSの導入にあたり、サイバー攻撃を防ぐためのセキュリティ対策が必要になります。ここでは、CMSの導入時や運用時にやっておくべき対策を見ていきましょう。
 

サイバー攻撃を回避する対応策

サイバー攻撃によって個人情報の漏えいやサイトの改ざんなどをされないためにも、次の対応策を実施しておきましょう。

  • CMSのバージョンを最新の状態に保つ
  • PHPの更新
  • セキュリティプラグインの導入
  • プラグインの定期的なメンテナンス
  • セキュリティの高いパスワード設定
  • ベーシック認証をセット
  • WAFの利用
  • 海外IP遮断

まずは、CMSを常に最新バージョンにしておくことが重要です。大体のCMSでは、脆弱性に対するアップデートを頻繁に行っています。更新通知が来たら、できるだけ早く最新バージョンに更新しましょう。同様に、PHPもこまめに更新することが大事です。

WordPressなどのオープンソース型CMSにおいては、プラグインもユーザーによって開発されるため、セキュリティが甘いものもあります。定期的に不要なものを削除するなどのメンテナンスをしましょう。セキュリティ関連のプラグインも必要に応じて使用してください。

CMSを運用する際は、セキュリティの高いパスワードを設定することで、不正アクセスがされにくくなります。Webページにアクセスする際に制限をかけるベーシック認証や、WAFと呼ばれるセキュリティツールの利用、海外IPの遮断もセキュリティ対策として有効です。
 

CMSの脆弱性を狙った手口と危険性

CMSの脆弱性を狙ったサイバー攻撃には、さまざまな種類があります。ここでは、それぞれの手口と危険性を見ていきましょう。
 

ウイルス感染

ウイルス感染は、ウイルスが埋め込まれた Webサイトの閲覧や、電子メールに添付された、ウイルス感染ファイルの実行が代表的な手口です。ウイルスに感染すると、Webサイト内の情報を抜き取られてしまいます。知らない間に感染してしまうケースも多いため、注意が必要です。
 

DDoS攻撃

DDoS攻撃は、従来から存在するサイバー攻撃の1つで、サーバーに対して大量のアクセスをすることで大きな負荷をかけるのが特徴です。負荷のかかったサーバーはダウンしてしまい、その際の混乱に乗じて情報の抜き取りが行われます。
 

ランサムウェア

ランサムウェアは、ウイルス感染したパソコンのシステムを制御して乗っ取ったり、情報を抜き取ったりする手口です。乗っ取られたパソコンの情報と引き換えに金銭を要求してくることがあります。
 

ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃は、システムに脆弱性が見つかった際、修正プログラムが提供される前に攻撃してくるサイバー攻撃です。脆弱性が見つかってからすぐに攻撃を開始するため、ゼロデイ攻撃と呼ばれており、非常に対策がしづらいサイバー攻撃とされています。
 

フィッシング

フィッシングは、ユーザーを特定のWebサイトに誘導させて情報を漏えいさせる手口です。よくあるのが大手通販サイトの偽サイトを用意し、クレジットカードなどの情報を入力させる方法です。一目見ただけでは偽物と分からず、騙されて被害に遭う方も多くなっています。
 

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、サイバー攻撃の代表的な手口の1つです。問い合わせフォームなどからSQL文を織り交ぜたメッセージを送り、情報の漏えいやサイトの改ざんなどを狙うやり方です。
 

CMSの脆弱性への攻撃による被害例

CMSの脆弱性を攻撃された例は数多くあります。ここでは、実際の事例を参考に、CMSの脆弱性に対する攻撃による被害例を3つご紹介します。
 

事例1:不正アクセス

1つ目の事例は、企業のオウンドメディアへの不正アクセスです。プラグインの脆弱性を突かれてしまったことが大きな原因とされており、最新版へのアップデートを怠っていたために不正アクセスが行われました。その結果、顧客に対する大量のスパムメールが送信される被害が出ています。
 

事例2:情報の改ざん

2つ目は、Webサイトの情報が改ざんされた事例です。サイト内のコンテンツが改ざんされて偽の情報が掲載された結果、サイトを訪れたユーザーは悪意のあるサイトへ誘導されてしまいました。こちらもプラグインの脆弱性を突かれたのが原因とされています。
 

事例3:情報の漏えい

3つ目は、企業のWebサイトがプログラムの脆弱性を突かれて改ざんされた事例です。該当のWebサイトへアクセスすると、悪意ある外部サイトへと誘導される状態になっていました。この事例では、WordPressのセキュリティ更新を怠り長期にわたって脆弱性を放置していたことが原因とされています。
 

サイバー攻撃を未然に防ぐセキュリティ対策が必要

サイバー攻撃を未然に防ぐセキュリティ対策が必要

CMSツールは Webサイトを作る際には非常に便利ですが、サイバー攻撃を受けやすいのも事実です。そのため、セキュリティ状態を最新に保っておく、高機能なセキュリティプラグインを入れるなどのセキュリティ対策が必要になります。

脆弱性に対してきちんと対応しなければ、サイバー攻撃の標的となってしまうので注意が必要です。特に、企業にとって顧客情報は大切な資産です。不正アクセスが行われた結果、顧客情報の漏えいが生じれば、信頼低下を招きかねません。サイバー攻撃を未然に防ぐためのセキュリティ対策を講じていれば、安心、信頼できる企業として顧客からの評価にもつながります。

ウイルスや不正アクセスの検知機能を導入し、定期的なバックアップや安全性の高いパスワードの設定を行うなど、セキュリティ対策を万全にしましょう。

CMSの導入、運用時には、ぜひ本記事を参考にセキュリティ対策を行ってください。

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CMSを活用したWEBサイト作成ガイド & CMS選定シート

 CMSを活用したWEBサイト作成ガイド & CMS選定シート

元記事発行日: Apr 15, 2020 3:32:00 AM、最終更新日: 2023年8月22日

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