CMOの役割は常に変化しています。マーケティングは静的な広告から、双方向のコミュニケーションやリアルタイムデータによって動的に変化するエンジンへと変化を遂げました。 かつては看板や公園のベンチのように単純なものだったマーケティングは、今ではアトリビューションモデルや行動リターゲティング広告、継続的テスト、売上への直接的な影響といった要素で構成されています。 

Gartner for Marketing Leaders(ガートナー・フォー・マーケティング・リーダーズ)でリサーチディレクターを務めるJake Sorofman氏がHarvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)誌に寄せた記事(英語)で述べているように、今や数10億ドルの規模があるオンライン広告業界によって、新しいタイプのマーケティングリーダーが増えつつあります。企業をアナログ広告からデータベースのマルチプラットフォーム広告へとシフトさせる彼らを、Sorofman氏は「デジタルCMO」と呼んでいます。

デジタルCMOは左脳と右脳の融合とでも言うべき企業の成長エンジンです。あらゆるものが数値で表せ、実験こそが顧客と売上を伸ばす鍵を握っていると心の底から信じています。デジタルCMOはSNSやモバイルウェブ、アナリティクスといった多岐にわたるツールを使い、さらに新しい分野に挑戦することもいといません。 

Sorofman氏は、デジタルCMOの特徴を的確にとらえた「徹底した学習者」という表現を使っています。「彼らは知らないことがあれば素直に認める謙虚な心と、それまでの常識を捨てる勇気、そしてデジタル指標によって結果を導き出す自信をもっています。」

デジタルは最初の一歩です。CMOとしては、さらにその先を目指す必要があります。

Sorofman氏は、企業のCMOの役割(とペルソナ)はデジタル時代によって形作られている、という力強い議論を展開しています。危険を覚悟で言いますが、この議論はそれほど真実をとらえていないと私は考えます。

マーケティング界におけるシフトはアナログからデジタルという単純な変化以上のものです。これまで私たちが慣れ親しんでいた販売方法は死を迎えたのです。高額な料金を請求するPR代理店を雇い、広告費を増やし、インセンティブの獲得に燃えた法人営業スタッフを募集することが企業の一番の戦略だった時代は終わりました。その企業の広告が大規模であればあるほど、消費者はそれに抵抗しなければならない必要性を感じるでしょう。

Googleトレンドによると、「広告ブロック」というキーワードの検索数が過去1年間で2倍に増えています。マーケティングEメールは「迷惑メール」苦情の70%を占めています。こちらをはじめとする複数の調査で、オンラインバナー広告は消費者の目に留まることなく無視されていることが分かっています。

このようなデータを見ていると、ある疑問が湧いてきます。ブランドが買い手の気を引くために競い合う意味はあるのでしょうか?そうではなく、企業は最終手段の販売ノルマに頼らず、コネクション作りに取り組むべきなのです。

テレビCMはテレビレコーダーを使って簡単に早送りできますが、Eメールを削除したり、しつこいインタースティシャル広告の「x」マークをクリックするのはそれ以上に簡単です。

現代の企業に必要なのは、読者の関心を惹きつけ、エンゲージメントを促し、楽しんでもらう「プル(引き出す)」戦略-つまりインバウンドマーケティングなのです。

 デジタルCMOはインバウンドCMOに進化しなければなりません。

Dellの専務取締役でグローバルマーケティングを率いるRishi Dave氏は、消費者はセールススタッフに問い合わせる前にバイヤーズジャーニーの60%を完了させているということを最近指摘しています。

現代の買い物客は製品を徹底的にリサーチし、 YouTubeで消費者による製品のレビューを見て、各企業の専門分野やコア技術について勉強しています。

情報が氾濫しているオンライン世界において、CMOには消費者が求める情報知識のハブとしてブランドを位置づけるチャンスが与えられています。

ここで登場するのがインバウンドマーケティング、つまり読者に価値と教育を提供する綿密なコンテンツと情報資源です。合理的、感情的、そして経済的にも理にかなった戦略(手法と言ってもよいですが)です。

ハブスポットが最近実施した調査では、有料のテレビCMのようなアウトバウンドマーケティングと比較すると、インバウンドマーケティングのリード1人当たりのコストは平均以下になるうえ、従来型のアウトバウンド手法より54%も多いリードをマーケティングファネルの中に引き入れることができると回答するマーケターの数が2倍になっていることがわかりました。

インバウントCMOへの鍵は、マーケティングを行う場所を変えるだけでなく、マーケティングに対する考え方を変えることにあります。

インバウンドマーケティングは戦術ではなく哲学です。

ダイレクトレスポンスは即時のコンバージョンを生むための戦術です。リターゲティングは売上を伸ばすための戦術です。リード数の向上を目的としてメールリストを購入することは顧客獲得のための戦術です。

こういった戦術の問題は、一般的に見返りが少ないということです。壁にスパゲッティを投げつけて、そのうちいくらかが壁にくっついてくれるのを期待するようなものです。時には上手くいくこともありますが、そうでない場合の方が多いのです。

インバウンドマーケティングは心理学に基づいています。非常によく考えられており、その効果も実証されており、成果は数値で表せます。顧客との信頼関係を築き、ブランドを気に入ってくれた顧客は生涯を通して広告塔になってくれるという哲学を受け入れるアプローチです。これは時代に左右されないタイムレスな考え方であり、オンラインの世界を超えて、人との関係を築く私たちの本能にもつながるものがあります。

American Express(アメリカン・エキスプレス)で副社長としてデジタルマーケティング&イノベーションを担うScott Roen氏は、この考え方は「互恵行動」だと発言しています。言い換えるなら、ブランドが何かを無料で提供するとそれ以上の見返りがあるということです。無料でコンテンツを提供すれば、長期的な売上アップが期待できるのです。

すべてのアルゴリズムの背後には人の目があり、心があるのだということを忘れないようにしましょう。デジタルマーケターたちはコンバージョン率や訪問者数、クリックスルー率に夢中になっていますが、私たちが最終的に訴えかけようとしている相手は人間なのです。これがインバウンドCMOのコアミッションとビジョンです。

今後に向けて、皆さんはどのようなインバウンドマーケティング計画をお持ちでしょうか?

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元記事発行日: 2019/01/20 19:00:00, 最終更新日: 1月 21 2019