セカンダリCTAについてマーケターが知っておくべきすべてのこと

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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マーケティングで選択肢を提供する方法はいくらでもありますが、今回はセカンダリCTA(Call-To-Action)の利用という一点に絞って解説したいと思います。

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この記事では、セカンダリCTAとは何かを説明し、マーケティングでセカンダリCTAを利用すべき理由についてお話しします。

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セカンダリCTAとは?

セカンダリCTAは、コンバージョンを獲得したいマーケターが次の一手として設置するCall-To-Actionです。訪問者やプロスペクト、見込み客に取ってもらいたい理想の(プライマリ)アクションとは別に、もう一つアクションを提示するために表示します。セカンダリCTAは、プライマリCTAほど目立つようには配置しませんが、プライマリCTAに興味を持たない人にさらにアピールし、惹きつけるために利用することができます。

たとえば、訪問者に教育的なeBookのダウンロードを促すために、プライマリCTAを表示したとします。そのeBookを入手するためには、フォームのすべてのフィールドに入力を行なって見込み客に転換する必要があります。また、訪問者にブログ購読を勧めるセカンダリCTAも表示し、こちらはメールアドレスを入力するだけで購読できるようにしました。

この場合、訪問者がブログの購読を申し込むのは、A)eBookのタイトルを見て興味を惹かれなかったから、あるいは、B)メールアドレスよりも多くの個人情報を登録することに躊躇したから、ではないでしょうか。いずれにしても、セカンダリCTAを表示していなかったら、この人たちは何のアクションも起こさずにウェブサイトを去っていたかもしれません。

セカンダリCTAを配置していたからこそ、見込み客には転換しなかったにしろ、ブログの購読者を獲得することに成功したのです。これにより、ブログの購読者がいずれ何か別のオファーを提供するプライマリCTAを見て興味を持ち、見込み客に転換する可能性も生まれます。

つまり、セカンダリCTAは、コンバージョン獲得に失敗したマーケターを救う素晴らしいツールです。

セカンダリCTAを利用すべき理由

セカンダリCTAの利点はコンバージョン獲得の失敗を救済することだけではありません。ここからは、セカンダリCTAを利用すべきさまざまな理由のなかで重要なものをご紹介したいと思います。

1)リコンバージョンの獲得に効果的

一般にプライマリCTAは、オーディエンスがセールスファネルのどの位置にいるかを考慮しながら選びます。たとえば、eBookのようなTOFU(Top-Of-The-Funnel)のオファーを入手し、すでに見込み客に転換している人に対しては、製品デモなどMOFU(Middle-Of-The-Funnel)に適したオファーのCTAを表示します。ですが、その人が実際にはデモを見たいと思う段階まで進んでおらず、TOFUのオファーの方を必要としているとすると、セカンダリCTAでeBookが宣伝されるのを見て興味を持ち、手に入れたいと思うかもしれません。

それはそれで良いことだと思います。リコンバージョンでは見込み客のステータスは前に進みませんが、それでも価値を得られることに変わりはありません。何より、その見込み客が現在も自社のコンテンツに興味を持ち続けているとわかります。

また、マーケティングソフトウェアの機能であるスマートフィールドやプログレッシブプロファイリングなどを使用すれば、コンバージョンを獲得するたびに、その見込み客についてより多くの情報や知識を集めることができます。そしてそれらのデータを利用することで、見込み客ナーチャリング(育成)キャンペーンをより効果的にパーソナライズし、展開することも可能になります。

2)見込み客を次の段階へと促すために効果的

一方で、たとえばコンタクトデータベースの中から最近見込み客に転換したばかりの人を抽出し、そのセグメントを対象にメールを送信するとします。まだ一度しか転換していな人たちなので、プライマリCTAで製品デモの紹介をするのは早過ぎると考え、見込み客が前回入手した初級レベルのオファーと同じテーマの、中級レベルのオファーを紹介することにします。ただし、セカンダリCTAでは製品デモのランディングページをリンク先として設定し、メールを送信したところ、そのうちの何人かは製品デモに申し込みをするという、嬉しい結果を得ることとなります。

セールスサイクルのステージに合わせてオファーを選ぶことも、もちろん大事だと思います。ですが、その人が実際いつ次の段階に進める状態になるのか、誰も知ることはできません。ですから、次の段階のための選択肢を見込み客に与えることには、双方にとって十分メリットがあると思います。

3)見込み客獲得以外のビジネス目標に優先度をつけてサポートできる

CTAはランディングページに移動してコンバージョンを促すためだけのものではありません。何らかの行動を促すのがCTAです。たとえば、ソーシャルのリーチ拡大を目指す企業なら、セカンダリCTAを利用して、Twitter、Facebook、LinkedInなどのフォローをお願いすることもあるでしょう。

また、ソーシャルでのシェアの数を増やし、SEOなどにプラスの影響を与えたいと考えるなら、ブログ記事にセカンダリCTAを表示して、ソーシャルでのシェアを促すのも良いでしょう。あるいは、企業が毎年開催するカンファレンスの時期が迫っており、参加登録者の数を増やしたいなら、セカンダリCTAをそのイベントのプロモーションに利用するか、あるいは、参加登録者を増やすことが現時点でその企業の最重要目標であるなら、セカンダリではなく、プライマリのCTAを利用して、イベントをプロモーションするでしょう。

その上で、見込み客獲得もやはり重要だと考えれば、セカンダリCTAを見込み客の獲得に利用すると思います。このように、プライマリとセカンダリの両方のCTAを利用することで、目標の優先順位(見込み客獲得か、それ以外の目標か)を設定し、それに合わせてCTAを選ぶことができます。

セカンダリCTAを選ぶ際のベストプラクティス

セカンダリCTAでは、eBookのダウンロードやウェビナーの参加登録、ソーシャルメディアのフォローやシェア、イベントへの登録、ブログの購読、コンサルテーションの依頼、トライアル、クーポンなど、プライマリCTAで宣伝するようなものを何でも宣伝できます。

ただし、注意が必要なことがあります。それは、セカンダリCTAで宣伝するオファーは、全体的なバランスを重視して選ばなくてはならないことです。ここからは、セカンダリCTAのオファーについて考えるとき、あるいはセカンダリCTAのデザインや配置を決める際に考慮すべきポイントについていくつか解説します。

1)目標を決定する

先ほどお話ししたように、セカンダリCTAをどのように利用するかは、企業が何を目標とするかによって大きく違ってきます。ですから、まずその目標を決めることが重要です。また、プライマリCTAが目標とするものや、セカンダリCTAを配置する場所、あるいは、そのチャネルの目標とされるものによっても変わります。

たとえば、カンファレンスのイベントを宣伝するプライマリCTAをウェブサイトのホームページに表示し、セカンダリCTAを見込み客獲得に利用する、というのは妥当だと思いますが、これらをEメールマーケティングのメッセージに表示するとなると、Eメールの目標が見込み客の獲得であるなら、適切とは言えないかもしれません。

2)プライマリCTAと競うのではなく補完する

プライマリCTAは、その場面でオーディエンスに取ってもらいたい最高のアクションを促すように作成します。そのため、セカンダリCTAでは、プライマリCTAを補完すること、そしてプライマリCTAと競合しないことが非常に重要になります。

セカンダリCTAは、コピーやデザイン、サイズから表示場所にいたるまで、プライマリCTAよりも目立つようなことがあってはなりません。オーディエンスに何をしてもらいたいかが明確に伝わることが必要です。でなければ、目標の達成に向けてCTAを効果的に利用することが難しくなってしまいます。

3)その人のライフサイクルステージを考慮する

これについては先ほども簡単にお話ししましたが、非常に重要ですので、ここでもう一度詳しく説明したいと思います。プライマリCTAを利用して、人々をライフサイクルステージの次の段階へ促したいと考えるなら、セカンダリCTAではそれよりも一歩引いたような、すなわち、その人の現在のステージに合ったオファーを選択するのが賢明だと思います。

ウェブサイトのページは、それぞれセールスサイクルの特定のステージを想定して作られているはずです。たとえば、価格表のページは、セールスファネルの下の方にいる人を想定し、また、会社紹介のページは、セールスファネルの上の方にいる人を想定して作られます。ですから、プライマリとセカンダリのCTAもそれに従うべきです。

これは、スマートCTAを利用すれば簡単かつ効果的に行うことができます。スマートCTAでは、その人のライフサイクルステージに関する情報に基づいて、適切なCTAを自動で選択し表示することが可能です。

4)訪問者の興味の対象を考慮する

同様に、オーディエンスの興味の対象も、セカンダリCTAのオファーを選ぶうえで非常に重要になります。たとえば、ある配管工事会社が、排水管の簡単な修理方法について説明したeBookをオファーし、それをダウンロードした見込み客を対象にEメールを送信したとします。

そして、そのプライマリCTAで、相談窓口へのフリーコールをオファーに選び、見込み客をセールスサイクルの次のステージへ促そうと考えました。その一方で、セカンダリCTAでは排水管修理についてさらに詳しく説明した別のeBookをオファーに選びます。

なぜなら、その会社はメールを送信した相手について、配管の修理を必要としているが、相談窓口に電話をするほどではないかもしれないと考えたからです。あるいは、台所の排水の詰まりなら自分で修理できる、と自信たっぷりな見込み客の姿が頭に浮かんだのかもしれません。

スマートCTAを利用すれば、訪問者の履歴や、過去に何をダウンロードしたか、といった情報に基づいて、ターゲットをセグメント化し、それぞれに合ったCTAを表示することも可能です。

5)やり過ぎは禁物

この記事の冒頭で、人は何かを選択することが大好きだと言いました。ですが、選択肢を与えることと、選択肢を与え過ぎて混乱させてしまうことでは、話がまったく違います。ある程度までは自分で好きなようにやりたいと思っても、何をすればよいかわからないのでは困ってしまうでしょう。

ウェブサイトのページに数え切れないほどCTAを表示するのは最悪です。それを見た人は、「自分は何をしているのだろう」、あるいは「いったい何をしろと言うのだろう」と思うでしょう。

ですから、通常はプライマリCTAを1つと、セカンダリCTAを1つだけ表示し、場合によってウェブページやEメールに、ソーシャルのシェアやフォローのためのボタンを表示するのが良いと思います。プライマリとセカンダリのCTAを表示しているのであれば、それ以上は欲張らないようにしましょう。

6)ランディングページにはセカンダリCTAを表示しない

ソーシャルのシェアボタンは別として、ランディングページにだけは絶対にセカンダリCTAを表示しないでください。ランディングページに移動した人は、その時点ですでに何らかのCTAをクリックし、ランディングページのオファーを入手したいという意思を示しているわけですから、何か別のことに興味を逸らしてしまうようなことは絶対に避けるべきです。

ランディングページにセカンダリCTAを表示しても、コンバージョンプロセスの邪魔になるだけですから、ランディングページにはプライマリCTA、つまりフォームの送信を促すCTAだけを表示するようにしましょう。

セカンダリCTAの実例

それでは、この記事のまとめとして、セカンダリCTAの実際の例をいくつかご紹介しましょう。以下は、HubSpotが自身のマーケティングで使用しているCTAの例です。

Eメール

HubSpotが見込み客のセグメントに送ったメールをご覧ください。

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このメールのCTAは以下のとおりです。

  1. プライマリCTA: このメールを送信した主な目的、すなわち受信者にHubSpotの「16 Companies in 'Boring' Industries Creating Remarkable Content」というeBookをダウンロードしてもらうよう促しています。
  2. セカンダリCTA: このEメールの「P.S.」以降の部分がセカンダリCTAです。インバウンドマーケティングを評価するサービスを宣伝していますが、これは見込み客をファネルの次のステージに促すことを目的としたアグレッシブなオファーです。したがって、受信者はプライマリCTAのオファーでリコンバージョンするか、あるいは、セールスサイクルの次のステージに進むかを自ら選択できます。
  3. ソーシャル共有ボタン: これも厳密にはセカンダリCTAと見なされますが、そして、一般にはセカンダリCTAは1つが望ましいとされていますが、このようなちょっとしたボタンであれば、プライマリやセカンダリのCTAと競合することはないので、特に問題ないと思います。

ブログ記事

続いて、HubSpotブログの記事に表示された、プライマリとセカンダリのCTAをご覧ください。

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  1. プライマリCTA: HubSpotブログで獲得するトラフィックの大半は、新規の訪問者です。そのため、ブログの運営やコンテンツ作成について書かれたこの記事のプライマリCTAでは、ブログのエディトリアルカレンダー作成用のテンプレートという、TOFUを対象とした非常に教育的なオファーを宣伝しています。
  2. セカンダリCTA: ブログのリーチ拡大は、HubSpotの目標の1つですので、このセカンダリCTAではブログの購読を促しています。

上記のプライマリとセカンダリのCTAは、このブログ記事のものと非常によく似ています。皆さんが見込み客としてHubSpotのデータベースに登録されていれば、スマートCTAが自動的に選んだ、MOFU向けのオファーを宣伝するプライマリCTAが表示されているかもしれません。

マーケティングでは、あらゆるものを対象にテストが行われます。それぞれのチャネルで最も効果的なセカンダリCTAを選ぶには、テストを行うのが一番です。良い反応が得られそうな候補がいくつか用意できたら、さっそくテストを始めましょう!

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

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編集メモ:この記事は、2013年4月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Pamela Vaughanによる元の記事はこちらからご覧いただけます。
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