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2016年12月18日 // 7:45 PM

Facebookの広告データ計算ミス、その詳細とマーケティング担当者への影響は

執筆者: | @

ノートパソコンとグラフ

Facebookが指標の計算で何かを間違えていた、という話が数か月前から出ているのを、耳にした方も多いと思います。

この件では、過大算出だの過少算出だのと、数字の話がたくさん出ています。動揺している人もいますが、むしろ困惑の方が大きいかもしれません。一体何が起きて、Facebookはどう対処し、結局マーケターにはどのような影響があるのでしょうか。話が見えにくくて心配だったかもしれませんが、今回の記事で詳しく解説していきますので、どうぞご安心ください。細かい説明に入る前に、まず声を大にして言っておきたいのは、今回の件は決して絶望的な問題ではないということです。

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実のところ、ほとんどの問題は、対策や修正が既に完了しています。現時点で我々にとって最も大切なのは、何が起きているのかをきちんと整理して理解することです。

事の顛末

始まりは動画から

騒動が始まったのは2016年9月のこと。動画に関する指標の計算に問題があったとFacebookが明らかにしたのがきっかけでした。動画の平均視聴時間が、実際より大きい値として計算されていたというのです。

Facebookの発表によると、平均視聴時間は、本来は動画の総視聴時間を総視聴人数で割って求めるべき値だったのに、実際には、総視聴時間を視聴回数(3秒以上視聴された回数)で割っていたとのことです(参照記事はこちら:Facebook Video Metrics Update)。

たとえば、ある動画の総視聴時間が5時間(300分)、総視聴人数が1,000人で、このうち3秒以上見た人が700人だったとします。この場合、300÷1,000は0.3であるのに対し、300÷700は約0.43となって、後者の方が値が大きくなります。Wall Street Journal(WSJ)の記事によると、この間違いは2年近く前から続いていたとのことです(参照記事はこちら:Facebook Overestimated Key Video Metric for Two Years)。

動画測定ツールはマーケターの強い味方だとうたっているFacebookにとって、今回の計算ミスは痛恨でした(参照記事はこちら:The Value of Video for Brands)。この発表に特に不満を覚えたのは広告業界です。WSJの記事では、広告バイイングエージェンシーのPublicis Mediaが顧客に送った文書の内容が紹介されています。

それによると、Facebookから同社には、平均視聴時間を最大で80%過大に算出していたとの説明があったそうです。Facebookに対しては、サードパーティーが指標を検証する手順を導入するよう求める声も上がりました。Facebookは、間違いを修正して謝罪したうえで、こうした改善策の導入を検討する意向を示しました(参照記事はこちら:Facebook Video Metrics Update)。

しかし、指標をめぐる問題は、これで一件落着とは行かなかったのです。

新たなバグの発見

Facebookは11月16日、ページインサイトに5月からバグが潜んでいたのが見つかったと発表しました。ページの概要の中で、7日間と28日間のオーガニック ページ リーチを示している部分の計算方法に誤りがあり、対象期間の1日ごとのリーチを単純に合計していたというものです(参照記事はこちら:指標とレポートに関するアップデート)。

つまり、訪問者にダブりがあった場合に、重複して数えられていたことになります。この結果、7日間では実際より33%大きな値、28日間では55%大きな値となっていました。この誤りは有料広告には影響がないとFacebookは明言しています。

Facebookは説明文の中で、誤りがあった箇所を次のような図で示しています。赤丸の部分が、計算に重複があった値です。

Facebookのページインサイト

出典:Facebook

一方、緑色の丸は、このバグとは無関係だった部分です。Facebook自身は、「リーチデータの大半」は影響がなかったと説明しています(参照記事はこちら:An Update on Metrics and Reporting)。具体的には、次のデータにはこのバグの影響はありませんでした。

  • すべてのグラフ
  • 1日のリーチと通算リーチ
  • 投稿ごとのリーチ
  • エクスポートされたリーチデータとAPIリーチデータ
  • [リーチ]タブのすべてのデータ

問題があった指標とは

WSJの記事によると、新たにバグが見つかったのは、Facebookが測定する220以上の指標のうち4つだけでした(参照記事はこちら:Facebook Says It Found More Miscalculated Metrics)。ページインサイト以外の部分では、次のような誤りがありました。

動画の指標の誤り

「動画が100%まで再生された回数」(現在は「動画の100%再生回数」に改称)の指標値に誤りがありました。原因は、動画の音声と映像が同期しないことがあるという不具合でした。

音声が同期していない場合、映像が最後まで到達しても、音声がまだ終わっていないことがあります。しかし、Facebookの動画は約85%が音声なしで見られているため、裏で音声が続いていたとしても、ユーザーは見るのをやめてしまう可能性が大です(参照記事はこちら:85 percent of Facebook video is watched without sound)。

この問題が修正された結果、「動画の100%再生回数」の値は約35%大きくなる可能性があります(参照記事はこちら:An Update on Metrics and Reporting)。

インスタント記事

こちらは指標値が過大算出されていた事例です。インスタント記事というのは、Facebookのアプリ内にニュース記事を表示する機能で、通常のモバイル用ウェブブラウザより10倍速いとのことです(参照情報はこちら:Instant Articles)。

このインスタント記事に関して、記事ごとの平均滞在時間の指標値が、実際より7~8%大きくなっていました。

参照

アプリ用Facebook Analyticsのダッシュボードにある「参照」という指標は、投稿のクリックのうち、アプリやウェブサイトに移動するクリックを測定するための指標です。しかし実際の計算では、写真や動画などのメディアを見るためのクリックも誤って加味していました。この結果、指標値が実際より約6%大きくなっていました。

Facebook側の対応

Facebookの立場に立って言うと、ここまでに挙げた問題をすべて解決するために、Facebookはかなりの策を講じました。

広告に関係する誤りは、とりわけ急を要すると感じる人もいます。それもあってか、Facebookは、広告レポートの機能向上だけを説明するページを公開しています(参照記事はこちら:Facebook広告レポートの機能向上)。

改善点の多くは、具体的に何をどのように測定しているかを明確にすることを狙いとしています。WSJの記事によると、Facebookで広告事業担当のバイスプレジデントを務めるMark Rabkin氏は、「公平性と透明性」を確保するという点を挙げています(参照記事はこちら:Facebook Says It Found More Miscalculated Metrics)。

またFacebookは、サードパーティーによる検証手段を導入せよとの声を真摯に受け止めることを表明し、広告の視聴率の計算方法や、そのデータの出どころに関して、透明性を高めることを目指しています。

具体策の1つが、広告やコンテンツのエンゲージメントを測定するためのプラットフォームであるMoatやIntegral Ad Scienceを使って、ディスプレイ広告キャンペーンを測定できるようにすることです(これまで、これらのプラットフォームは、動画キャンペーンの測定に限られていました)。

さらにFacebookは、視聴率測定の草分けであるNielsenからも力を借りることを表明しています(参照記事はこちら:An Update on Metrics and Reporting)。

Nielsenには、Digital Content Ratingsという独自の指標があり、Facebookはこれを、オンデマンドとライブの両方で動画の視聴率測定に取り入れます。また、NielsenのTotal Audience Measurementを使って、デジタルとテレビの指標を比較できるようにします。

さらにFacebookは、「Metrics FYI」という新たなブログページを立ち上げました。指標に関して今後加える変更の情報が随時投稿されていく予定です。

こうした一連の取り組みを統合するように設置されるのが、「広告効果測定会議」というもので、これはいわば、Facebookにとって、同輩からなる陪審です。この会議は、「企業や測定会社の幹部など」で構成されるとのことで、Facebookがこれまで設けていた「クライアント会議」の延長線上にあります。クライアント会議は、企業のROI測定を支えるツールの開発で力になりました。

マーケターにとっての意味

結局のところ、一連の問題と動きについて、マーケターはどの程度深刻に受け止めるべきなのでしょうか。端的に言えば、Facebookが加えつつある改善はマーケターにとって当然うれしいことながら、指標の計算ミスについては、慌てふためいてはいけない、というのが答えです。

なぜでしょうか。HubSpotのソーシャル プロダクト マネージャー、Daria Marmerは次のように話しています。「今回問題となった指標は、ある意味で空虚な指標がほとんどです。ビューやインプレッションは重要ですが、結局のところ、ビジネスを根底から揺るがすものではありません」

Marmerは、問題解決のためにFacebookが進めている対策がプラスになることをあらためて指摘しつつも、次のように言います。「マーケターの皆さんには、ソーシャルの活動をもっと明確な指標と結び付けることを強くお勧めします。たとえば、ウェブサイトの訪問回数、ダウンロード数、見込み客の新規獲得数などです」

さらに、「HubSpotユーザーのポータルにあるFacebookのソーシャルデータは、今回の改正を受けて変わることはありません」と話しています。

今後も、新しい情報や動きが出てきたら、随時ご紹介していきます。

Facebookの発表に対する感想や、皆さんが取り組んでいる対策がありましたら、コメントをお待ちしております。

顧客を増やすためのFacebook活用方法
編集メモ:この記事は、2016年11月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Amanda Zantal-Wienerによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

トピック: ソーシャルメディア

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