ハイテク慎重派のお客様と推進派のエージェンシー: その溝をいかに埋めるか?

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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今、広告業界では、テクノロジーやデータに基づくソリューションで消費者のエンゲージメントを獲得し、お客様との関係づくりにつなげるという手法が大きな関心事になっています。テクノロジーの爆発的浸透を目の当たりにして、多くのエージェンシーで制作・営業チームのハイテク対応が急がれているのも当然と言えるでしょう。

デジタルマーケティングが業界の主流として認められた今、その重要性は高まる一方です。事実、『Gartner CMO Spend Survey 2015-2016(英語)』にも、「業務にデジタル・テクノロジーを全面導入しているマーケターの割合は全体の1/3に及ぶ」との現状が示されています。

しかし、見方を変えれば残り「2/3」は慎重派。デジタルワールドに入り込めていない、つま先をほんの少し浸けただけのお客様も多いのです。ハイテク推進派のエージェンシーが慎重派のお客様を尻目に高速レーンを疾走することなど許されません。

Hallway Talkを覗いてみると、エージェンシーの大半がテクノロジーファーストの考え方に傾倒していることがわかります。一方、お客様はといえば、ことテクノロジーに関してはエージェンシーに不信感を抱いているケースが多いようです。この状況も時間が経てば変わるでしょう。しかし、デジタルへの移行が完了するまでの間、エージェンシーは慎重派のお客様との「意識の乖離」に留意する必要があります。

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ハイテク慎重派のお客様とはどのような存在か?

コミュニケーションや情報収集を含め、業務全般を「伝統的」な手法に頼っている相当数のお客様は、デジタルワールドのエスタブリッシュメント階級に属するエージェンシーからすれば時代遅れの存在かもしれません。

そんな彼らのパートナーであるエージェンシーはといえば、新時代のテクノロジーとイノベーションをマーケティング業務、社内業務に果敢に取り入れています。

お客様は自分たちが時代に乗り遅れているという事実を認めようとしない、そんなお客様をエージェンシーは足手まといに感じる。これでは軋轢が生まれかねません。

では、ハイテク慎重派のお客様の特質をいくつか挙げてみましょう。

1)人と人、心と心の触れ合いを大切にする

エージェンシーとの間で連絡窓口を決め、問い合わせであれ依頼であれ、信頼関係の下で話を進めることを好みます。このようなお客様にとって、プロジェクトマネージメントをテクノロジーベースに移行するのは一大事。よく聞かれるのが次のような声です。

  • 「エージェンシーのスタッフは皆さん優秀だが、話が通じる人がいない。複数の関係者が参加する電話会議では、先方のチーム内で事前のすり合わせができていないのではと不安に駆られることもある」
  • 「多くの案件が同時進行している現状では、エージェンシーの新しいやり方に合わせるのは大変だ。たとえ簡単なことであってもそれを変えるのは簡単ではない」
  • 「我が社とのプロジェクトに関して、エージェンシー側の責任の所在を知りたい」

2)リスクを伴う行動を避けたがる

ハイテク慎重派のお客様はリスクを極度に恐れ、何かにつけて「今までのやり方が一番」と結論付ける、そんな企業文化にどっぷり浸かっています。といっても、新しいテクノロジーやアプローチの導入を頭ごなしに否定しているわけではありません。失敗を恐れ、一歩を踏み出すことができずにいるだけなのです。そして、驚くべきことに、お客様は自身のそのような傾向に気付いています。

これを裏付けるお客様の声です。

  • 「新しいトレンドを焦って追う必要はない。誰かに試してもらってその有効性が証明されてから合流すればいい」
  • 「エージェンシーには斬新なアイデアを出してほしいと伝えてはある。しかし、実際に上がってきたアイデアはといえば、ボツにせざるを得ないものも多い。とても上手くいくとは思えないからね」
  • 「ウチは経営幹部が保守的だから、何か新しいことをしたからといってそれが直ちに評価されるわけではない」

3)業界特有の基本スキルと知識に重きを置く

ハイテク慎重派のお客様は、販売戦略上の統率力と創造性を評価する傾向にあります。当然、新しいトレンド(新しいプロジェクトマネージメント方法)に関する知識より、従来から必要とされてきたスキル、業界とセールスチャネルに関する知識の方がはるかに高く評価されます。それは、次のような声からも明らかです。

  • 「エージェンシーに望むのは、まず、我が社のセールスチャネル、主要な販売代理店を理解してもらうこと。そのうえで、現状打破につながる方策を提案してもらいたい」
  • 「エージェンシーの言う『新しい』は、我が社にとっては『複雑すぎて手に負えない』と同義だ。どうか元のやり方に戻してもらいたい」
  • 「ひょっとしたらエージェンシーは、我が社の業務内容を理解すること、限られた予算の中から最大限の効果を上げることをないがしろにしているのではないか、そう感じることが多々ある」

ハイテク慎重派のお客様に対するアプローチ

1) 話し合いの機会を設ける

お客様と胸襟を開き、建設的な意見を交わすことのできる人物が必要です。その役割をエージェンシーの経営幹部自らが担うもよし、第三者に委託するもよし。大切なのは一刻も早く実行に移すことです。お客様もとことん話し合いができるこのような関係を望んでいます。エージェンシーとして何が正しかったか、何が間違っていたのかをお客様に尋ね、目標を共有したうえで行動プランを作成しましょう。

2) エージェンシーとお客様、双方が歩み寄る

デジタルネイティブ世代の若手スタッフにとっては、慎重派のお客様の仕事のやり方は古臭くて「体質的になじまないもの」かもしれません。お客様はお客様で、最新のデジタルテクノロジーに疎いということを認めようとしません。だからこそ、真の関係づくりに向けて双方が歩み寄る必要があります。

その第一歩としてお勧めするのが、相互理解を目的としたセミナーの開催です。これは、エージェンシーがお客様に最新のデジタル事情、トレンドを説明し、お客様はエージェンシーに業界または社内の事情を説明するというものです。エージェンシー側で心がけたいのは、お客様と直接・間接(電話)を問わず接触する機会を定期的に持つこと、そして、お客様の人となりを知り、より親密な関係を築くことです。お客様に対する提案をメールで済ませるような「手抜き」は厳に慎みましょう。時間をかけて詳しく説明することが大切です。

3) ゴールまでのプランを共に決定する

喫緊の課題についての話し合いが終わったら、ゴールまでのスケジュールをお客様の了解のもと決定します。お客様がデジタルテクノロジーを不自由なく使いこなせるようになるまで導くことができればゴールといっていいでしょう。途中、リスクの懸念に対するケアも必要です。

目標とその評価指標をまとめたレポートを作成、提供し、プランが予定どおり進んでいることをお客様に確認してもらいましょう。プロセスはお客様のニーズに合わせて変更してかまいません。

テクノロジーによって仕事のやり方が変わってもその本質は変わりません。人による人のためのサービス、それがエージェンシーの仕事です。お客様の企業文化、来歴、自社との過去の関わり合いを把握し、それがお客様の考え方にどのような影響を及ぼしているかを理解したうえで行動しましょう。お客様と「手を携え」、「共に成長する」ことが大切です。短期のニーズを満たす、これを積み重ねることがお客様の長期の繁栄と存続につながります。

ウェブ制作会社とマーケティング代理店の組織作りガイド
編集メモ:この記事は、2016年7月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Penny Jo Welschによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

トピック: 代理店ビジネス

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