腕組みをする、大きなため息をつく、ぶっきらぼうに返事をする。これらは、顧客が機嫌を損ねてきたサインです。あなたの話に興味がなくなってきたことの表れであり、どうにか興味を持たせようとしても、あっという間に悪い方向に向かうこともあります。

顧客が不機嫌になったり怒りを見せたりする原因は、必ずしもあなたにあるわけではありません。周囲の状況や、心理的な刺激が原因である場合も十分考えられます。これに対処するには、自身のコミュニケーション能力と状況を読む力を発揮させる必要があります。

ここでは、不機嫌な顧客にうまく対応し、冷静さを取り戻してもらうための7つの心理テクニックをご紹介します。

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不機嫌な顧客にうまく対応するための7つの心理テクニック

1. リフレクティブリスニングを行う

怒っているときに「そのようですね」と言われて、怒りが収まる人はまずいないでしょう。また、当たり障りのない返答をしたところで、何の解決にもつながりません。次のやり取りを見てください。

顧客:「いらいらしているのは、予算が限られているのにそちらが値引きに応じてくれないからだよ。」

営業担当者:「そのようですね。ですが...」

この商談が破談になるのは、目に見えています。

このような返答はやめ、リフレクティブリスニングを心がけましょう。リフレクティブリスニングとは、相手の言葉やジェスチャーからその人が何を伝えようとしているのかを理解し、その人の考えや感情を反映させた言葉を使って返答することです。  

顧客:「いらいらしているのは、予算が限られているのにそちらが値引きに応じてくれないからだよ。」

営業担当者:「つまり、弊社がご提示した価格が障害となっているわけですね。ご予算に見合ったお値引をご提案できていないのですよね?」

認識が一致している場合は、そのまま交渉を続けます。認識が異なる場合は、「きちんと理解したいので、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?」と伝えます。このとき、決して問題を解決すると約束しないでください。解決できるとは限らないからです。ここでの目標は、こちらが顧客の意見を重視していることを感じ取ってもらうことです。

2. 感情ヒューリスティックの影響を考慮する

感情ヒューリスティックとは、心のショートカット機能のようなものです。この機能が働いている状況では、人はその人物、場所、状況に対してもともと持っている感情をベースに瞬時に判断を下そうとします。つまり、自分の価値観や経験という先入観から、物事を判断しようとするのです。

感情ヒューリスティックが働いている状況では、客観的事実などほとんど意味をなしません。心の「ソフトウェア」で物事を判断し、もともと持っている知識だけで意見を組み立てようとします。

たとえば、顧客が「何か裏があるんじゃないか?」と疑いながら、購入したソフトウェアの適性評価の日程を変更したり、しつこく繰り返したりし、導入を遅らせているとします。その状況のまま、「年間サブスクリプションの契約はもう済んでいますので、そろそろ次の段階に進みませんか?」と言っても、効果は見込めないでしょう。        

この顧客は、過去に苦い経験をした可能性があります。例えば、知らず知らずのうちに年間契約が結ばれていて、しかもベンダーからは約束のサービスを受けられなかったことがあったのでしょう。そのため、また騙されるのではないかと恐れているのかもしれません。

このように顧客が懸念を抱く原因を突き止めるためには、質問をすることです。顧客に警戒心を緩めてもらい、先へ進めるのを拒む本当の理由を話してもらうには、下記の質問が効果的です。

  • 「お客様のお力になりたいので、どのようなご心配があるかお聞かせいただくことはできますか?」
  • 「ご心配事がなくなるよう何かお役に立てることはありませんか?」
  • 「安心して手続きを進めていただくために、私に何かできることはありますか?」

これらの質問には、顧客の意識を変化させる効果もあります。疑うのではなく、先に進めるために自分ができることは何か前向きに検討してもらえる可能性があります。

3. 初心に返る

初心は、禅の心とも言われ、どのような状況にも初めて遭遇したような気持ちで取り組むことを意味します。こうした姿勢で臨めば、どの商談にも「まっさらな気持ち」で向き合い、顧客や状況を先入観で判断してしまうのを防ぐことができます。

また、次のような「~なはず」という厄介な固定観念を捨てることもできます。

  • このお客様は、次の四半期まで予算が付かないことを知っているはず
  • このお客様は、私が送った値引きの期限に関するメールをもう読んでいるはず
  • このお客様は、私が毎週コンサルティングに伺えると思っていなかったはず

「~なはず」という気持ちは自己弁護的な心理につながり、会話を始める前から商談が成功する可能性を下げてしまっています。

初心に返ることは、エキスパートの肩書きを捨てることも意味します。自分が特定の商品やサービス、カスタマーサービスのエキスパートであっても、今目の前にいる顧客やそのときの状況、そのときの会話のエキスパートではないのです。

ですから、「インバウンドのリードジェネレーションを月末までに20%増やしたいとおっしゃっていたじゃないですか。これほど遅れいてはそれは無理です」などと決して言ってはいけません。どんな状況でも、初心を忘れずに対応することが重要です。顧客が何に不満を感じているのか、「~なはず」と憶測で判断するのではなく、パズルを完成させていくような気持ちで話を進めましょう。

4. 恐れを捨てる

「悪い結果になるのでは」という恐れは、私たちの行動にさまざまな影響を及ぼします。恐れを感じると、人は自分の行動を制限するようになります。顧客が難しい顔をすると、関係悪化を恐れて挑戦を避けたくなります。提案したスケジュールや価格に満足してもらえなかったとき、関係を修復できなかったらどうしようと怖くなるのです。

まず、「修復しなければならない」と考えることをやめましょう。不機嫌な顧客と向き合うときは、顧客の話に耳を傾け、理解し、次に何をすべきか考えることです。すぐに解決しようと、先を急がないでください。

謝ったり、その場しのぎの解決策を口にしたり、相手の顔色をうかがったりするのではなく、次のように伝えましょう。「このような状況になり、とても残念です。御社にどれだけ影響があることか私も理解しています。恐れ入りますが、解決までもうしばらくお時間をいただけないでしょうか。」

5. 問題を切り分ける

大きな問題がある場合は、小さく切り分けて考えるようにしましょう。小さく切り分けると問題を扱いやすくなり、問題に取り組む意欲も湧いてきます。切り分けるというやり方は、多くの人が日常業務で行っています。それと同じように、難しい問題も細かく切り分けることでコントロールしやすくなります。

顧客がすぐにソフトウェアを使い始めようとしないのには、必ずしも明確な理由があるわけではないようです。次の打ち合わせの際に、「問題を細かく切り分けて考えたいので、協力していただけませんか?」と頼んでみましょう。問題が切り分けられていると、どんな問題が残っているのか顧客が把握しやすくなります。

6. 怒りは自然な感情だと肝に命じる

価格や期間を提示した際に、顧客が「高すぎる」、「時間がかかりすぎる」などと不満を漏らし、怒りを露わにしたことはありませんか? 逆のパターンも然りで、たとえば新製品へのアップグレードに対し、顧客に「これしか払えない」と低すぎる価格を提示されたら、頭にきてしまいますよね。

「怒りの再校正」理論では、怒りは人間にもともと備わる性質だとされています。簡単に言うと、怒りは駆け引きの手段として進化した感情で、額にしわを寄せ、口を固く結び、鼻息を荒くさせることで、自分が提供するものを相手に高く評価させようとするものです。

怒っている顧客に対応する際、自分の正当性を主張することは、やってしまいがちですが、避けてください。顧客は、自分が過小評価されていると感じて、主導権を握ろうとしているだけなのだと理解しましょう。

顧客の不満は真摯に受け止めるべきですが、あなた個人への不満だと考えないでください。冷静かつ積極的に話を聞き、顧客の不満を突き止めることができたら、話してくれたことに感謝を伝え、後日解決策を提案すると伝えましょう。

顧客の怒りを鎮める方法は、必ずしもすぐに見つかるわけではありません。そのようなときは、冷静になってもらうために時間を置き、その間に今後の方針について上司と話し合いましょう。

7. 冷静に、粘り強く対応する

交渉相手との対立は、ビジネスの場では避けられません。向けられた怒りにどう対処するかで、顧客との関係は大きく変わってきます。

「お客様は神様です」という言葉は、ときに真実にも受け取れます。顧客の怒りをやりすごし、屈辱に耐えれば、その場の敗北よりもはるかに価値あるものを手に入れられることがあるからです。

相手を侮蔑したり礼儀を欠いたりすると、自分自身や自社に不利益となって跳ね返ってきます。評判に関わる問題であることを常に心に留めておいてください。

人は、相手が見せた感情のサインを鏡のように映し取ってしまうものです。自分が敵意を見せているのに、相手が好意的な態度を取ってくれるわけがありません。

相手の怒りを鎮めるには、心の知能を働かせることが有効です。以下は、次に対立が起きたときのために心がけておくべきヒントです。

  • 冷静に、プロらしい口調で、積極的に話す
  • 相手の名前を口にしたり、指で差すことを避ける
  • 後で不利になるような発言をしたり文章を残したりしないように注意する
  • 問題は、口頭または電話で解決する(メールは細かい議論をするのには向いていないため)

ハブスポットのセールスディレクターであり、30年以上営業の経験を持つDan Tyreは次のように言います。「普通の営業担当者なら、相手の怒りに圧倒されてしまいます。有能な営業担当者なら、相手の怒りをチャンスと捉え、さらに高い成果を達成しようとします。相手の気持ちに寄り添い、怒りがどこから来たのか理解に努め、共感を示すようにしましょう。」

難しい顧客とのコミュニケーションにこそ、以上のヒントを活かし、実りの多い1日を過ごしてください。

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元記事発行日: 2018/09/25 21:00:00, 最終更新日: