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株式会社one visa(以下one visa)は、外国籍人材を採用したい企業がオンライン上でビザの取得とその後の管理を行えるクラウドサービス「one visa」を提供しています。外国籍人材を採用する際の複雑なビザ申請書類の作成や「半日潰す覚悟で」向かうという入国管理局での書類提出など、従来企業が苦しんでいた業務を劇的に楽にしたサービスの革新性に加え、2019年4月の改正入管法施行で2018年12月の入管法改正で在留資格の幅が広がったことを背景に、社会課題の解決に取り組む企業としても注目を集めています。

今回は同社取締役COOの野田勝さん(トップ写真左)と、同社に新卒で入社しオウンドメディア「one visa journal」の編集長を務める町田太朗さん(同写真右)にお話を伺いました。

見込み客が検索を行う瞬間にタッチポイントを設けたかった。
長期施策となる前提で始めたオウンドメディア

―― one visaのお客様は感度が高いIT系のお客様など比較的アーリーアダプターの方が多いということですが、それに対してone visa社内ではどのような体制で業務を行っているのでしょうか?

野田さん:現在当社には、メイン事業であるビザ申請・管理を行うことができるサービス「one visa」と、カンボジアで立ち上げたone visa Education Center(日本での就労希望者向けの無料の人材教育施設)の2つの事業があり、これら2つを日本とカンボジアの計14名の社員で進めています。

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エンジニア5名、デザイナー1名、経営陣が2名、バックオフィス全般およびオウンドメディア編集長を新卒の町田が担当し、その他マーケティングの専任や人事、カスタマーサクセス、広報等のメンバーがいます。

HubSpotでリードづくりの部分がうまくいっており、今このリードをクロージングする営業担当を募集しているところです。現在はその部分をカスタマーサクセスのメンバーがオンボーディングと合わせて担当しています。

私自身はカンボジアに駐在しており、COOとして事業戦略を立てたり、レポートライン上にある採用、広報などの全体を見つつ、教育事業の立ち上げも行っています。

ーー事業のどんなタイミングに、どのような目的でHubSpotの導入を決定されたのでしょうか?

野田さん:one visaは前身のResidenceという会社から始まり2018年の1月から株式会社one visaとして事業を開始しました。それ以前は代表の岡村1名と外部パートナーという状況で、岡村の知人にサービスを導入していただいたり、メディアに出た際に問い合わせをいただいて一社一社話をしに行ったりという、いわゆる検証段階のスタートアップみたいな感じで徐々にお客様が増えていきました。私自身がone visaに入社したのは2018年の4月です。

私が入社した後、ユーザーを増やそうと考えてリード獲得の施策を考えた際、「外国籍従業員を雇用している企業の人事」というニッチな層をターゲットとするにあたって、検索エンジンで検索が行われた段階でタッチポイントを確保することが必須だと考えました。そのためオウンドメディアの立ち上げを決め、2018年5月にはone visa journalを開設しました。

オウンドメディアの開設にあたってHubSpotを導入しようと思ったのは、将来的には絶対にインサイドセールスを導入したいと考えていたからです。当社の商材特性上、大口顧客から数百万の受注をする、というのが難しいと考えていたので、オンラインで営業コストを抑えて商談を行わないとLTV(顧客生涯価値)と見合わないと考えていました。

そうなったときに、オンラインで獲得してきたリードに対して商談を行う一連の流れを1つのプロダクトの中で管理するのが理想だったんですよ。そのようなツールにアンテナを張っていたとき、知人をきっかけにHubSpotを知り、導入に至りました。

 

ーーニッチな見込み客層との早期タッチポイント確保のためにオウンドメディアを立ち上げられたということでしたが、オウンドメディア以外の施策は案として検討されなかったのでしょうか?

野田さん:PRで集客したり、GoogleやFacebookなどのオンライン広告を少額で回してみたり、あとは企業の人事とのタッチポイントを作るという観点から人材紹介会社との代理店契約なども検討しました。しかしオンライン広告は創業したての当社にとってはCPA(リード獲得単価)が高すぎたり、代理店施策は同業他社にヒアリングしても事業への影響が大きくないことが分かったりと、結局オウンドメディア以外の施策は残りませんでした。

オウンドメディアはやらないと結果が見えない施策であり、同時に今列挙した各施策の中でも一番長期間運用しないと結果が出ないものだということも分かっていました。PVがある程度出るまでに1年以上かかることもざらなので、すぐ結果が出るものではないからこそやりたいと思ったときに始めようということで、立ち上げに踏み切りました。公開から約1年半で月間PV成長率は平均40%、当初の約154倍と順調に伸びてきています。

 

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オウンドメディア立ち上げ期を支えた、経営と現場それぞれの意識

ーー オウンドメディアを地道に育てていく仕事は、多くのマーケティング担当者にとってやりがいがあると同時に、すぐに結果が出るような簡単なものではないのも事実です。ここまで順調に成長してきている要因として、何が考えられますか?

野田さん:やってよかったなと思うのは、最初から「この辺りの検索キーワードを狙っていこう」というような検索のディレクトリマップを意識した体制作りをしたことです。過去の経験から、フロー型のニュース系記事は一時的に話題になったとしても検索結果上位には残りづらく、毎日相当数の記事を公開しないとPVの積み上げが難しいことが分かっていました。一方、見込み客の「悩み解決」といった検索意図に応えるコンテンツは見込み客の役に立つので、最終的にSEO観点でも効果が出ます。

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そのため同様の特性を持つメディアを参考にしつつ、「うちのユーザーだったらこのあたりのキーワードで検索してくるだろう」という仮説を元にサイトの構成やタグ付け、大見出しはこれで小見出しはこれという決め事を初期の段階から持つようにしました。その結果、SEOが軌道に乗り始めてからも軸をブラさずにコンテンツ作成に集中できたのではないかと思います。

時系列の目標設定という点では大きく3段階を経てきたように思います。まず、立ち上げ後の3ヶ月はいかに良いライターさんと繋がって定期的に記事を書いてもらえるかという体制構築に時間と頭を使っていました。記事の品質はリスク面も含めてビジネスに直結しますので、ライターとなる行政書士の方には匿名ではなく実名で記事を書いていただき、長期的なコンテンツ作成パートナーとなっていただけるよう関係性を構築していくことが重要でした。

次の1年弱はPVとセッション数の最大化に注力し、SEOをベースとしてオウンドメディアを大きくする活動を行いました。そして2019年の6月からはMQL(Marketing Qualified Lead、マーケティングチームが営業に引き渡して良いと判断したリード)の数が全社目標に入り、「営業に繋げるリードを何件作る」ということも意識するようになりました。

 

ーー新卒としてone visaに入社し、実際に現場でオウンドメディアの運用を行って来られた町田さんの視点ではいかがでしょうか?

町田さん:コツコツ進めた分だけPVが伸びるという事実がHubSpotで可視化されたことで自分自身のモチベーションが上がり、毎週更新を続けることができたという思いはあります。

また外国籍人材を雇いたいと考えている人事担当者の方や行政書士の方から「one visa journal見ているよ」という声を聞くことができたのもモチベーションになりました。HubSpotのカスタマーサクセス担当者が毎回壁打ちに付き合ってくれたり、上司である野田が常にオウンドメディアの目的に立ち返らせてくれたりしたのも大きいと思います。

 

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野田さん:経営目線ですと、やはり結果を急がないということは絶対に意識した方が良いと思っています。「これ、いつ売上になるの?」って言いたくなると思うんですけど、徹底して言わない。あとは経営陣の理解を得ることも大切ですね。

当社ではマーケティングは僕の管轄ですが、例えば社長がちょっとオウンドメディアのことが気になってコメントをしてきたときに、「今はこういうフェーズなので数字は一旦無視してください」とか「そこは認識しているんですが、優先度を落としているんです」などをきちんと担当の役員なり部長なりが伝えて、現場の担当者を守ることも大事です。

上からいきなり担当者に無茶な感じで要望が降りてきてしまうと、せっかくコツコツと伸びてきたものが頓挫してしまうこともあります。

 

限られた社内リソースで、読み手にとって質の高いコンテンツを公開する3つのポイント

ーー オウンドメディアの記事作成を外部のライターさんに依頼しているとのことですが、その際に気をつけていることを教えて下さい。

町田さん:当社では、入管業務の経験がありライティング業務を受けていらっしゃる行政書士の先生と繋がり、ライティングのお仕事を依頼しています。ポイントは3つあると思っていて、まず1つ目はライターさんの見極めです。ライターさんがビザ申請に必要な専門知識や業務経験を持っているかに重点を置いて判断し、実際に1本納品していただいてどのくらいの質の記事が上がってくるのかを見ています。

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2点目は依頼時に文量や章立て、内容などをかなりこちらから指定するようにしています。基本的にはライターさんにある程度裁量権を持って書いていただいているのですが、ユーザーが記事を読んだときに、欲しい情報が網羅されているように、ある程度構成を指示することは大切だと思っています。依頼のテンプレートは作っていますが、個々のコンテンツに応じて柔軟に変えています。

3点目は1人1人のライターさんと長く付き合っていくということです。やり取りを重ねていくうちに、こちらにフィットする記事を書いていただけるようになってくると感じています。

ーー 町田さんはオウンドメディア運営の他にお一人でバックオフィス業務(労務、法務、総務、経理)も担当されています。「扱っているコンテンツがクライアントにとって緊急性が高いため、正確な内容を丁寧に出すようにしている」とのことですが、時間の使い方や編集方針などで工夫されていることはありますか?

町田さん:まだ小さい会社なのでバックオフィスの業務がそこまで重くないのですが、やはり事務作業に忙殺されてしまうところもあるので、1週間の中で「今日はマーケの仕事をしよう」というふうに決めてやっていますね。マーケティングには自分の時間の25~30%くらいを使っていると思います。

 

ーー 現在HubSpot Marketing Hubを利用していただいていますが、オウンドメディアの管理以外で使っていらっしゃる機能はありますか?

町田さん:私が主に使っているのはフォームやCTA作成の機能です。レポートで言うとウェブサイトアナリティクス(ウェブサイトやブログのPVやそこから獲得したリード数を一覧・グラフ化できる機能)を見ています。CRM系の機能だと、ライフサイクルステージごとにリストを作成しています。現在MQLについてはいくつかコンバージョンポイントを設定しており、それぞれのコンバージョンを達成したコンタクトを個別のリストに追加しています。サブスクライバーとリードに対してもリストを作っています。

 

野田さん:あるライフサイクルステージに属する見込み客への具体的なアクションとして、サブスクライバーに対しては週1でEメールを配信しています。開封率は43%と高いです

 

日本で働きたいと考える方へ教育から来日後の生活までをサポートするワンストップサービスを目指して

ーー 日本の労働人口減少を背景にone visaも世間から注目を集めていますが、社会に対して責任を果たしていこうという共通意識がおふたりからも、会社のコンテンツからも感じられます。そのような企業文化は事業にどう影響しているのでしょうか?

野田さん:当社のメンバーは全員、社長の岡村アルベルトの思いに共感して集まった人間です。世の中をこう変えたい、世の中はこうあるべきだという考え方に全員が共感して使命感を持って働いています

一方で、まずは身近な従業員やパートナーさん、顧客に幸せを届けられないと、結果として自分たちの目指す世界観からはズレてしまう。そこで会社として設定しているバリューの中には「不幸を生まない」と一文を盛り込んでいます。

 

町田さん:バリューの中には「目的を語れ」というものもあります。オウンドメディアの運用という点で目的を考えてみると、「オンライン経由でのユーザー獲得の最大化」。オウンドメディアの存在の目的としては「ユーザーの悩みを解決すること」と切り分けて考えることができています

 

野田さん:そのようなマインドセットが事業に関連してくる例で言いますと、例えば当社がカンボジアでの人材教育事業でパートナーシップを結んでいる関西大学さんからは、「(大学と民間が提携するのが珍しい中で)one visaとパートナーシップを結ぼうと決めたのは、one visaがクリーンなビジネスをしているからだ」と明確に言われています。「特に法改正があって新しい事業者が大勢参入してくるとなったタイミングにone visaがトップランナーとして走ってくれた方が多分世の中よくなると思うので、共感しているんですよ」と。自分たちの事業の内容と社会の大きな波の関連は日々ひしひしと感じています。

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ーーone visaの今後について教えて下さい。

野田さん:one visaは、単純にビザ取得を簡単にオンラインでできるよというプロダクトに留まるのではなく、one visaでビザをとった方たちの来日後の生活を楽にするというサービスを考えています。具体的には、ビザを取得するときに集める書類を元に、外国籍の人たちの与信を担保し、クレジットカードや銀行口座を早く簡単に作れるようなサービスを準備しています。このようなエコシステムの実現を目指してすでにパートナー企業とも提携を結んでいます。

私がカンボジアで行っている人材教育の事業に関して言うと、先進国の人であれば大学を出ていれば簡単にビザがおりますし、働く場所の選択に金銭的な制約はありません。しかしカンボジアから日本に来て働こうと思うと、多額の借金をしないと技能実習を受けられず、お金が工面できなくて諦めてしまうという現状もあります。そのため、日本で働きたいと考える人達に無料で教育を提供しているんです。このように、「日本で働きたい」と思ったタイミングから渡航、その後の生活までをトータルでサポートできるプラットフォームを目指しているところです。

近日中にプロダクトのアップデート版も公開する予定なので、それに合わせて先にお話した営業担当者を採用し、HubSpotを使ってシームレスなコミュニケーションを行っていきたいと考えています。

 

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元記事発行日: 2019年10月01日、最終更新日: 2019年11月06日

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