ミニアプリとは?マーケティング担当者が注目すべき理由を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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アプリが日常生活に欠かせない存在となっていく中で、マーケティング担当者は「自社もアプリが必要なのでは?」と自問自答し続けているのではないでしょうか。

ミニアプリとは?マーケティング担当者が注目すべき理由を解説

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もしあなたの会社が製品としてアプリを販売しているわけではなく、当面は自社での開発を予定していないのであれば、アプリ開発に多大な時間とコストを費やす必要はないでしょう。

1つのアプリの構想を練って開発し、リリース、プロモーションすることは、小規模な企業にとっては大仕事です。それだけの時間があるなら、ウェブサイトのモバイル最適化やモバイルEメール戦略の展開に取りかかり、認知度とROI(投資収益率)を確実に高めることをお勧めします。

しかし、もしIT系のスタートアップ企業や代理店、テクノロジー企業で勤務するマーケティング担当者で、アプリが自社のビジネスに役立つ可能性があると考えているとしたら、コストを抑えた最新の開発方法を検討してみる価値はあります。

2020年現在、既に一部のテクノロジー企業が「ミニアプリ」への投資を開始しています。この動きが広まれば、手始めにコンパクトなアプリで効果を試してみることが可能になるかもしれません。

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最初に、ミニアプリが中国大手の各種SNSで採用されるようになったのは2017年と、比較的最近のことです。同年初めにWeChatの開発元であるTencentが、「WeChatミニプログラム」のリリースを発表したのが契機となりました。

WeChatなどでの成功を受け、最近ではAppleやSnapchatといった欧米のテクノロジー企業もミニアプリに注目しています。両社とも、WeChatで提供されているものと類似のミニアプリを開発し、リリースし始めています。

では、ミニアプリは具体的にはどのようなもので、リリースした企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか? ここからは、ミニアプリのプラットフォームをいくつか取り上げ、各企業が提供するモバイル体験を具体的にご紹介していきます。

 

ミニアプリプラットフォームの例

WeChatミニプログラム

2017年のTechCrunchの記事では、ミニプログラムについてWeChat経由でアクセスできる基本的な機能のアプリだと説明されています。ちなみに、テクニカルライターの間では「ミニアプリ」という表現が主流ですが、WeChatで「ミニプログラム」と呼ばれているのは、TencentがAppleやGoogleの商標権侵害を懸念して、「アプリ」という言葉を入れるのを断念したからです。

具体的にイメージできるよう、以下にWeChatのミニプログラムにアクセスしたときのスクリーンショットを示しておきます。中国語の画面ですが、各プログラムはいずれも他の企業から提供されていることがわかります。

WeChatミニプログラム

画像出典

たとえばTeslaのミニプログラムをタップすると、WeChatのアプリ内で以下のような画面にアクセスできます。Teslaのミニプログラムでは、自動車の充電スタンドの検索や試乗の予約を行えます。

WeChatミニプログラム

画像出典

ユーザーは、Teslaなどのミニプログラムを通じてその企業の情報を入手しながら、友人と連絡を取ることも可能です。WeChatという1つのアプリを開くだけで、その両方を同時に行えます。Teslaなどの企業にとっては、WeChatユーザーである潜在的なオーディエンスや顧客にコンテンツを届けることで、認知度を向上できます。

WeChatミニプログラムを利用できるのは、現時点では本家の中国語版アプリ「微信」でのみです。このアプリを基盤として認知度向上を図りたい場合は、まずミニプログラムのアカウント開設を申請します。なお、ミニプログラムを作成する場合は開発者が必要になりますが、WalktheChatに掲載されたミニプログラムのレビューによると、この点には少々注意が必要です。

2019年に投稿されたその記事には、ミニプログラムは特定の言語(Tencentが開発したJavaScriptフレームワーク)で開発する必要があること、開発者は従来のHTMLとCSSの代わりにWXMLとWXSSを作成し、すべての開発作業にこのフレームワークを利用する必要があることが記されています。

Snap Minis

2020年に発表されたSnap Minisは、Snapchatのアプリ内で各企業が提供するミニアプリです。Snap Minisを使用するには、友人またはグループとのチャットを開きます。次にロケットのアイコンをタップすると、ミニアプリが多数表示されます。この画面で検索も可能です。ゲームやスケジュール管理、瞑想など、各企業の提供で多種多様なミニアプリが展開されています。

Snap Minis

ミニアプリをタップすると、たとえばHeadspaceというミニアプリなら瞑想のガイダンスを再生するといった機能が使用できます。しかも、再生したガイダンスの記録や、ゲームのミニアプリならプレイスコアなど、アプリ内での体験をSnapchatの連絡先に登録されている相手にシェアすることもできます。

Snap Minis

TeslaのWeChatミニプログラムは自動車ブランドの認知度を向上することや各実店舗の所在地を共有することを目指すものでしたが、Snap Minisはさらに一歩踏み込んで、オーディエンスがただ利用するだけでなく、他のユーザーにもシェアできるコンテンツを提供しています。Snapchatのユーザー層に自社ブランドのコンテンツを積極的にシェアしてもらいたいと思っているテクノロジー企業のマーケティング担当者やデジタルブランドにとって、Snap Minisは理想的な選択肢です。

Snapchatによると、Snap Minisのミニアプリをリリースするには多少の開発作業が必要とのことですが、その作業を主に担当するのがSnapchat側なのか、パートナー企業側なのかは不明です。ただし、同社のウェブサイトには、Snap MinisはHTML5コードを使用して簡単に開発できると記されています。

現在、Snap Minisの提供を希望する企業には、早期アクセスプログラムへの参加申請が必須となっています。申請にあたっては、連絡先情報を入力し、ミニアプリの構想を説明する必要があります。

Apple App Clips

今のところ、App Clipsを提供できるのはApp Storeアプリを構築できている企業に限られています。とはいえ、ミニアプリの例としては興味深く、既にアプリを提供している企業は特にチェックしておくべきでしょう。

2020年のiPhone iOS 14アップデートでリリースされたApp Clipsは、App Storeで公開されているフルアプリ(通常の完全なアプリ)の一部機能を提供するものです。ユーザーがApp Clipsを使用するには、QRコードをスキャンする、提供企業が設置するNFCタグの付近に行く、企業のウェブサイトを訪問する、専用リンクをタップするなどの方法があります。またAppleのiMessageやマップなどのアプリでもApp Clipを使用できます。

Apple App Clips

画像出典

たとえばユーザーが、App Clipsの提供企業に関連する事柄を話題にしたり検索したりすると、App Clipsを開くように促すCTA(Call-To-Action)が表示され、フルアプリをダウンロードしなくても、そこからアプリの基本機能の一部を利用できます。

たとえば、アプリを提供しているレストランチェーンについて友人とテキストメッセージで会話していると、そのレストランのApp Clipsを開いてメニューを見るように勧めるCTAが表示されます。App Clipsを開くとメニューのスキャンや予約などの簡単なタスクを実行できます。App ClipsのCTAをタップして、App Storeからフルアプリをダウンロードすることも可能です。

アプリ開発に懸念がある企業にとっては、App Clipsのメリットは感じられないかもしれませんが、IT系のスタートアップ企業やテクノロジー企業にとっては今後も目が離せません。フルアプリをダウンロードしていない人たちに機能を試してもらえることに加え、App ClipsのCTAオプションを使用すれば、店舗の近くを通ったり、友人へのメッセージで製品のことを話題に出したり、マップで地元の企業を検索したりしたユーザーに対して、自社アプリの存在を知らせることもできます。文字どおりオーディエンスのいる場所で、アプリのプロモーションを行えるようになるのです。

マーケティング担当者が押さえておくべきミニアプリの重要ポイント

AppleやSnapchatなどのミニアプリプログラムに参加できる企業は現時点では限られており、中小企業にとっては参入しにくい状態ですが、ミニアプリは将来的に多くの企業にとって便利なマーケティングツールになるでしょう。今後ミニアプリが進化して広まっていく中で、マーケティング担当者は以下の点に注意する必要があります。

1. デジタルトランスフォーメーションを推進している企業ほど、ミニアプリをビジネスチャンスとして活かせる

最初に、デジタルツールやオンライン店舗を導入して、自社が提供しているエクスペリエンス全体を向上させる必要が出てくることが考えられます。たとえば、Teslaは元々ウェブサイトで自動車の充電スタンド検索や試乗予約の機能を提供していたので、開発者はそれを応用して簡単にミニアプリを構築できたはずです。

また、WeChatで一定数のオーディエンスがテクノロジーや自動車、そしてTesla自体に興味を持っていたという事実が、ミニアプリを構築する決め手になりました。ミニアプリがあれば、オーディエンスはWeChatアプリにとどまったまま、Teslaの製品やサービスをじっくりチェックすることができます。

ミニアプリを提供するには、強力なデジタルプレゼンスと、オンラインでビジネスを運営する機能が必要になるため、多くの小規模企業ではまだ実現が難しいかもしれません。ミニアプリが登場して間もない地域ではなおさらです。しかし、世界中でアプリ活用がさらに進んでいくにつれ、ゆくゆくはこの戦略を採用しやすい土壌が整う可能性が高いでしょう。

2. プラットフォーム側にメリットのないミニアプリは採用されない

ミニアプリの目指すところは、ウェブサイトの連携や共同ブランディングのプロジェクトと似ています。大手企業が競合他社のツールと連携したり、ターゲットオーディエンスが重ならない企業と提携したりすることは滅多にありません。ミニアプリの場合も、考え方は同様です。

結局のところ、大手のアプリ企業にミニアプリをホスティングしてもらうためには、認知度向上をねらっているオーディエンスが類似していて、プラットフォームアプリの利用時間を伸ばせるような機能を提供できなければなりません。だからこそ、SnapchatやWeChatなどの企業は、各社がミニアプリを提供することを無条件に許可するのではなく、プログラムへの参加申請を必須としているのだと考えられます。

3. ミニアプリの作成には準備が必要

場合によっては、社内に開発者を抱えていなくてもミニアプリを開発できる可能性があります。WeChatでは、申請して料金を支払えば、同社がミニプログラムの構築とリリースを代行してくれます。

ミニアプリを簡単に展開できるプラットフォームもありますが、たとえばAppleでは、既にアプリの開発が完了していることが条件になります。なお、Snap Minisについては、ミニアプリ開発の要件が(この記事の公開時点では)明らかにされていません。

4. ミニアプリパートナーになれない場合もある

ミニアプリの活用はたしかにチャンスを呼び込むかもしれませんが、会社の状況や戦略によっては最適な選択肢とは言えない可能性もあります。小規模な企業のマーケティング担当者ならこの点については特に注意が必要です。

前述のように、ミニアプリをホスティングする大手プラットフォームが求めているのは、プラットフォームアプリそのものの利用時間を伸ばすようなツールや体験を提供できるパートナーです。また、小規模ブランドのミニアプリ構築を支援しているケースもありますが、ブランド側でも相応の時間とコストを費やして、提供するミニアプリの性能に問題がないことを確認する必要があります。

「ハードルが高すぎる」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。ミニアプリをリリースできる企業は限られていますが、現時点ではミニアプリを必ずしも活用する必要はありません。今回ご紹介した方法が自社の戦略に適さないとしても、アプリを使わずにモバイルやオンラインで認知度を高める方法はたくさんあるのです。

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