そもそもプロスペクトを見極めるにはどうすれば良いのでしょうか?「プロスペクトを見極める」とは、自社のサービスに興味を示しているプロスペクト(潜在見込み客)が、自社サービスをお勧めするにふさわしい要素を備えているかどうかを判断することです。

→ダウンロード: 成功する営業電話:どんな商談もうまく運ぶプロの戦術

有望なセールスリード(セールス対象となる見込み客)なら、高い投資利益率(ROI)と成約率が見込めるので、顧客化を目指して時間と労力を投じる価値があります。まずは、自社に適しているプロスペクトと適していないプロスペクトのタイプについて考えてみましょう。

電話やメールでプロスペクトに売り込みをかけたり、提案書を送ったりしても、「検討して折り返しご連絡します」の一言で終わってしまうことは珍しくありません。

たくさん売り込みをかけても成約につながるのはほんの一握り、それが代理店の宿命です。とは言え、長い間成果が出ないと、気持ちがくじけて、さじを投げたくなるかもしれません。

資金繰りに苦しみ、売上のためにとにかく案件数を増やそうと、チャンスがあればどんな相手でもかまわず売り込みをかけている代理店も少なくないでしょう。

確かに収入がなければビジネスは立ち行かなくなりますが、限りあるリソース(時間、労力、資金)を有効に活用したいなら、これはベストな方法とは言えません。

もちろん仕事を獲得することは重要です。でも、適切な顧客から適切な仕事を獲得することはもっと重要です。皆さんも今までのご経験から、よくご存じなのではないでしょうか。

初めのうちは代理店の仕事に魅力を感じて情熱を注いでいても、売上ばかりに必死になって何でも引き受けるようになってしまうと、そのうち仕事に嫌気が差してしまいます。

そこでヒントになるのが、大きな成功を収めている代理店のやり方です。こうした代理店では多くの場合、セールスプロセスを細かく規定し、それを忠実に守るようにしています。この記事は、高度なセールススキルを身に付けていない、どこから取り掛かったらよいかわからないといった皆さんにぴったりの内容です。最後まで読んで、今すぐプロスペクトの見極めを始めましょう。

無料ガイド

成功する営業電話:どんな商談もうまく運ぶプロの戦術

〜HubSpotとPandaDocのエキスパートが教える成約を引き寄せるヒントとテクニック〜

プロスペクトの見極めとは

見極めとは、自社のサービスについて問い合わせてきた相手が、時間と労力を掛けてでも顧客化したいプロスペクトかどうかを判断することです。そう、時間と労力を投じるだけの価値があるかどうかがポイントになります。時間はとても貴重でかけがえのないものです。失った時間を取り戻すことはできないため、できる限り賢く使う必要があります。

オンラインフォームに情報を入力したり、展示会のブースで名刺を交換したり、サービスについて電話で問い合わせてきたからと言って、その人が必ずリードになるとは限りません。

この時点では、単に興味を持っているということしかわからず、真のビジネスチャンスがあるかどうかを判断するには時期尚早でしょう。恋愛でたとえると、まだ交際すら始まっていない段階です。

なぜ見極めが重要なのか

容姿や話し方が良いからと言って、初対面の人との結婚を決められるでしょうか? 婚約するに知っておきたいことは山ほどあるはずです。デートは、他でもなく、結婚相手の候補を見極めるための手段なのです。

お見合い結婚が主流だったころは、親が結婚相手の適性を判断するか、紹介所を利用するのが一般的でした。現代マーケティングに置き換えれば、これは代理店紹介コンサルタントの役割です。資金豊富な企業なら、こうしたコンサルタントに依頼するでしょう。

しかしそうでない場合には、代理店側もクライアント側も、紹介に頼ったりオンラインで調査したりと自ら行動を起こすしか手はありません。

セールスチームへの問い合わせについても、体系的に評価することで時間と労力を節約できます。有望なセールスリードのROIと成約率が高いことはデータにも現れており、CEBの調査結果(英語)によると、問い合わせの電話を受けた時点でセールスプロセスの57%が完了していることがわかっています。

理由として考えられるのが、プロスペクトの情報収集力が昔に比べて格段に向上したことです。この購買行動の変化には、メリットとデメリットがあります。

メリットは、プロスペクトが自ら情報を集めるようになった現状をマーケティング戦略に利用して、プロスペクトを教育することができる点です。プロスペクトを(ある程度)見極めていくプロセスの中で、プロスペクトも企業のことを深く知り、気に入り、信頼するようになります。

反対にもしその企業が自分にふさわしくないと感じれば、プロスペクトの方から離れていきます。一方、デメリットとなるのは、企業側が昔のようにセールスプロセスをコントロールすることができないという点です。

適したプロスペクト VS 適さないプロスペクト

自社のサービスを利用することで大きな成果を収められ、満足してくれそうなのは、どういったクライアントでしょうか? 理想のクライアント像がはっきりと描けていれば、セールスチームへの問い合わせの中から適切なプロスペクトを見極めるのがぐっと簡単になります。

そのために、まずはさまざまな項目について細く設定します。たとえば、企業の規模、製品やサービス、所属する業界や市場、文化や理念、所有リソース、競合状況、使命や価値観、担当者のワークスタイルや性格などです。

そして、自社のサポートによって解消したい課題や、自社が得意とする課題についても考えます。その他にもさらに重要な項目があれば、忘れずに検討しましょう。

同様に、自社に適合しないクライアント像を把握することも重要です。そのタイプに当てはまる企業と出会ったときには、他の代理店に委ねた方がお互いのためになります。

HubSpot CRMでは嬉しいことに、数千万社に及ぶ企業の情報が登録されたデータベースにアクセスできます。所在地、売上高、企業規模など、さまざまな条件を指定して絞り込むことも可能です。HubSpot CRMはこちらから無料でお試しいただけます。

最初の目標:有望でないプロスペクトから早い段階で離れる

セールスチームに多数の問い合わせが寄せられたら、それぞれの見極めを行います。ここでの目標は、ビジネスチャンスにつながらないプロスペクトをできるだけ速やかに切ることです。この作業を早い段階で行うと、顧客化できる可能性が高いプロスペクトをすばやく見つけられるようになります。

決してやってはいけないのは、顧客化できる見込みがないリードにアプローチし続けることです。実際に成功を収めている事業開発部のエグゼクティブたちは、有望でないプロスペクトをあっさりと見切っています。

プロスペクトの考えがいつの日か変わるかもしれないと期待して待ち続けても、利益にはつながりません。見込みがないときには、その事実をきちんと受け止め、諦めて次に進みましょう。

見極めのための質問

プロスペクトを見極める方法には、さまざまな方法があります。最も有名なのは、IBMが考案したBANT(英語)でしょう。

これは、Budget(予算)、Authority(決済権)、Need(必要性)、Timing(時期)の4つの条件に注目する手法です。かつてセールス担当者がプロスペクトに伝える情報をコントロールできた時代には画期的なフレームワークとして多用されていましたが、現在では十分な効果が見込めません。

購入者側の力が強くなった現状を踏まえ、新しいフレームワークが次々に登場しています。その1つがGPCTBA/C&Iフレームワークです。

ハブスポットのセールス担当バイスプレジデントであるPeter Caputaのチームが考案したもので、Goals(目標)、Plans(計画)、Challenges(課題)、Timeline(期限)、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Negative Consequences(否定的結果)、Positive Implications(肯定的結果)の頭文字を取っています。

ハブスポットのセールスチームは、意思決定プロセスにいるプロスペクトに価値を与えられるよう、このフレームワークを採用しています。

セールスには質問が不可欠です。そして、プロスペクトを見極めるための質問は、次のステップにつながる内容でなくてはなりません。適切に質問すれば、プロスペクトに自身の課題をじっくり考えるきっかけを与えられると共に、さまざまな情報を引き出せます。

それを基に、プロスペクトの有望度を評価したり、問題や課題を診断したり、お互いにとってメリットのある関係が築けるかどうかを判断したりすることができます。

質問を選ぶ

プロスペクトとの関係構築がどこまで進展しているかに応じて質問を選びます。取り調べを受けているような印象を与えたり、十分に打ち解けていないうちに警戒心を抱かせてしまったりするのは得策ではありません。

ここで目指しているのは、有望でないプロスペクトをできるだけ速やかに切ることです。それを忘れてはなりません。質問を通じて、プロスペクト側にもサービスとの適合性を評価してもらいましょう。

先ほど、適したクライアント像と適さないクライアント像を知ることが大切とお伝えしましたが、「最も適していない」プロスペクトを特定し、早々に見切りをつけることが肝心です。

プロスペクトを見極めるための25の質問

見極めのさまざまな段階で実際に活用されている質問をいくつかご紹介します。これをベースに独自の質問リストを作成することで、見込みのないプロスペクトを早期に切り、見込みの高いプロスペクトとの関係を深められるようになります。

  1. 新しい代理店を探している理由やきっかけは何ですか? なぜ新しい代理店を見つけることが急務または重要な課題なのでしょうか?
  2. 良い面も悪い面も含め、これまでの代理店にはどのような特徴がありましたか? 新しい代理店にはどのような違いを求めますか?
  3. 弊社との関係を通じてどのような成果を出したいとお考えですか?
  4. 貴社の目標は何ですか?
  5. 最も重要な課題は何ですか? 最も緊急の課題は何ですか?(2つの質問の答えが同じでない場合)最も重要な課題を解決するには何が必要ですか? どうすれば緊急の課題の優先順位を下げられますか? マーケティングにおける最大の課題は何ですか?
  6. 課題の克服や解決を阻害している要因は何ですか?
  7. その課題に対してどのような社内リソースが必要ですか?
  8. 競合他社はどのくらい成果を上げていますか?
  9. 競合他社が既に実施していることで、貴社でも実践しておけばよかったと思うことはありますか?
  10. 最も得意としたい分野は何ですか? どのような分野で貴社全体または部門を有名にしたいですか?
  11. ご自身の名声を賭けて達成したいことは何ですか?
  12. 顧客生涯価値は平均でどのくらいですか?
  13. 顧客獲得費用はどのくらいですか?
  14. 現在のマーケティングROIはどのくらいですか?
  15. 社内で連携するのが最も難しい部門はどこですか?
  16. あなたの部門とセールスチームはどのような関係を築いていますか?
  17. (質問15の部門との)関係はどうすれば改善できますか?
  18. どのようなプロセスで代理店を選定していますか? 以前に同じプロセスを使用したことはありますか? そのプロセスで上手く行った点と上手く行かなかった点は何ですか? どうすれば異なる結果を得ることができますか?
  19. 意思決定にかかわっているのはどなたですか? どなたが契約書に署名をしますか?
  20. 代理店を利用しないとしたら、どのようにこの課題に対処しますか? そのためには何をする必要がありますか?
  21. どのような方法で成果を判断する予定ですか?
  22. マーケティング成果の向上が見られない場合、どのような損失がありますか?
  23. 事前に取り決めた目標を達成できた場合、どのような価値がもたらされますか?
  24. 今後、貴社と弊社とのパートナーシップを妨げかねない問題としてはどのようなことが考えられますか?
  25. 眠れないほど心配なことはありますか? どうすればぐっすり眠れるようになるでしょうか?

「貴社のサービスに興味がある」と問い合わせがあったとしても、そのプロスペクトに対して提案、売り込み、見積もり、ソリューション検討の打ち合わせまで、すべてを行う必要があるとは限りません。

まずは独自のセールスプロセスを確立することが肝心です。こちらのブログ記事(英語)を参考にして、理想的なクライアント像を描きましょう。代理店側が自社にとってプラスになる要素、マイナスになる要素を把握しておけば、プロスペクトと今後実りある関係を築けるかどうかを予測しやすくなります。

こうした要素をすばやく評価して、基準に満たないプロスペクトを諦めることで、貴重な時間と労力を無駄にせず、有望なプロスペクトだけに集中することができます。

この作業はとても難しく、最初から思いどおりに行くとは限りません。しかし、最適なプロセスや質問が見つかるまで細かく調整しながら粘り強く続ければ、いつか必ず成果が出ます。

始めるのが早ければ早いほど、理想的なクライアントに出会える可能性が高まります。その結果、仕事にやりがいが感じられるようになり、より大きなビジネス成長につながるでしょう。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

成功する営業電話:どんな商談もうまく運ぶプロの戦術

 成功する営業電話:どんな商談もうまく運ぶプロの戦術

元記事発行日: 2018/07/02 21:45:00、最終更新日: 2023年8月22日

トピック::

営業ノウハウ・手法