セールスとマーケティングの連携を強めるためのセールスファネル共有ステップ

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Yoshiki Yuhara
Yoshiki Yuhara

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今日ではほとんどのマーケターがセールスとマーケティングの部門間の隔たりを埋めることの重要性を理解しています。部門間でしばしば問題となるお互いへの不信感やコミュニケーション不足は、企業の成長にも影響を及ぼす可能性があります。

セールスとマーケティングの連携を強めるためのセールスファネル共有ステップ

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実際、Aberdeen Group2010年の調査によると、セールスチームとマーケティングチームが協力関係にある企業は歳入に20%の上昇が見られ、一方でチーム間の関係作りができていない企業は歳入が4%減少していました。

多くの場合、2つのチームの関係が上手くいかない原因は、ファネルに対する見解の相違にあります。しかしこれを統一しチームの連携を強化しないことには、効果的なB2B戦略は叶いません。

あなたの組織では、セールスチームとマーケティングチームがファネル定義を共有できていますか?双方の合意が得られるようなファネルステージを定義するステップを紹介します。

効率的なSmarketing (Sales+Marketing)”戦略には、セールスチームとマーケティングチーム間の、「リードはいくつのステージ(コールドリード→ホットリード→顧客など)を経て顧客になるのか」のようなファネルの定義や各ステージを表す用語の統一が不可欠です。HubSpotSmarketingチームでは、次のようにファネルステージを定義しています。

マーケティングがフォーローをすべき見込み客の層

ですがこれはあくまでも一例に過ぎません。各組織に適したファネルステージを定義するためのステップを順に見ていきましょう。

マーケティングからセールス活動の管理運用を一貫化するポイント

Step 1: リードの質を定義する

Marketing Qualified Lead(絞り込まれた有望な見込み客)の定義に焦点を当てます。これはマーケティングからセールスに見込み客を引き渡す重要なポイントのため、必ずチーム間で用語を統一させておかなければなりません。

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MQLをどう定義するかは企業によっても様々ですが、そのリードが「理想の顧客像と一致し、且つセールスパーソンがフォローを開始できる状態にある」のかを示す属性/行動履歴の組み合わせが反映されたものである必要があります。以下は、リードの質を評価しセールスに引き渡してよい状態か見極める方法の一つです。

マーケティングがフォーローをすべき見込み客の層

リード評価の際の着眼点

リードが企業の理想とする顧客像に合っているか?

ビジネスのターゲットは、社員数が5,000以上の金融サービス企業でも、従業員が100人以下の小規模なサービス企業でもありえます。製造業界の特定の規模の企業に的を絞る場合もあるでしょう。それらのカテゴリからさらに、肩書きや職務、購買意思決定プロセスにおける役割(例:エンドユーザー、インフルエンサー)といった個々のリードのプロフィールを定義していきます。リードが企業の理想とする顧客像にどれほど近いのかによってセールスがフォローすべきか、フォローはいつ開始するかを決定します。

リードは企業に興味を持っているか?

リードの行動は、そのリードが購買決定段階にどの程度近づいているかを示します。例えば企業のWebサイトを一度しか訪れていないリードや、つい最近企業のTwitter をフォローし始めたリードの場合、企業の存在に気づいていても積極的に関心を抱くにはまだ至っていないかもしれません。デモのリクエストや価格情報の閲覧をしたリードは、その企業により強い関心を抱いていると言えます。

先ほどのリード評価方法モデル図の4つの象限のうちリードが何処に当てはまるかにより、マーケティングあるいはセールスチームが次にとるべきステップが決まります。例えば:

 ・オファーへの適性「高」 & 関心「強」:

右上の象限に当てはまるリードは、企業の顧客像と一致し且つオファーに強い興味を示しています。彼らはセールスチームがすぐに(通常24時間以内)フォローすべき「ホットな」リードです。

 ・オファーへの適性「高」 & 関心「弱」:

左上の象限のリードは顧客像とは一致しているものの、企業へまだそれほど強い関心を見せてはいません。おそらくEメールニュースレターの配信を申し込んでいる、または一度コンテンツダウンロードをしたことがあるという程度でしょう。マーケティングチームがこれからリードナーチャリングの対象にするセグメントです。

 ・関心「強」&オファーへの適性「低」:

右下のリードは必ずしも企業の描く理想の顧客像と一致しているわけではありませんが、企業のブランドに強い関心を持っています。過去に企業のブログやEメールニュースレターの購読、資料のダウンロードなどの行動をしているかもしれません。こうしたファンにコストを抑えたアプローチをし、これまでターゲットにしなかった層からの顧客獲得が叶いそうか様子を見る価値は十分にあります。
オファーの対象外に見えたリードが実は製品にニーズがあったと判明することは時にありうるのです。または購買契約こそ結ばずとも、製品やサービスを他の消費者に広めて間接的に企業をサポートしてくれるかもしれません。これこそがセールス/マーケティングプロセスを完全に自動化することはできない理由です。システムは見過ごしてしまうビジネスの好機に、優秀なマーケターやセールスパーソンであれば気が付く可能性があります。

 ・関心「弱」&オファーへの適性「低」:

左下は、顧客像との適合度も低ければ企業のマーケティングコンテンツに対する関心も薄いリードです。彼らをセールスチームがフォローする価値はありません。ためらわずリストから除外してしまいましょう。 

Step2: MQLを自社にとって最適に定義する

リード評価方法のモデル図を参考に、顧客像との適合度と関心の組み合わせを基準にしつつあなたの企業に合った形で”特に有望なリード”を定義しましょう。ターゲット市場が狭いため理想の顧客像にどれほど近いかを重視するマーケターもいれば、幅広い層の顧客をターゲットにし、関心の強さを主な評価基準にするマーケターもいます。どちらを採択するかは企業のビジネスモデル次第です。 

MQLを顧客像/関心それぞれを基に定義すると次のようになります:

  1. 顧客像を重視: 日本国内で社員数が5,000人以上の金融サービス企業に勤め、過去にサイトからフォームを提出している、任意の役職の社員
  2. 関心レベルを重視: 日本国内に本社を置く企業(業界を特定せず)に勤め、過去にセールスチームに製品のデモを依頼したことのある任意の役職の社員

どちらの方法を選択するにしても、有望なリードを定義する際は勘ではなくデータを用いましょう。経験を積んだマーケターやセールスパーソンでさえ、自身の根拠のない仮説にこだわれば全く見当違いの定義をしてしまうこともあるのです。

Step3:リードスコアリングを実行する

クローズドループ分析の結果に基づくリードスコアリング/リードグレーディングプログラムはリードの様々な行動のうち、どれに重みをおくかを決定する際に役立ちます。リードスコアリングシステムは次のようなものです:

HubSpotのリードスコアリング

行動履歴を調査する

間近の顧客の行動履歴を調査し、顧客になるまでにとった行動の回数を算出しましょう(例:ページ閲覧数、レポートのダウンロードといったコンバージョンの回数など)。

パターンを特定する

リードの契約締結の有望度を表すパターンを発見しましょう。例えば、Webサイトからこれまでに10個のコンテンツをダウンロードしている、または月間サイト訪問数が15回を超えるのならば、より契約締結の見込みがあるリードということになります。複数のフリークエンシー測定基準を統合し、優良なリードを定義する際の参考にしましょう。

リードがとりうる行動の一覧を作成する

リードが顧客となる前にとる可能性のある行動をすべてリストに書き出し、その一つ一つの項目に対しクローズ率を算出しましょう。例として、あるウェビナーのクローズ率を知りたい場合は、「ウェビナーを視聴した全ての顧客の数」を「もともとウェビナーに参加を申し込んでいたリードの合計数」で割れば導き出せます。任意の行動におけるクローズ率は同様の方法を用いて得ることが可能です。

クローズ率の平均値を求める

個別の行動に対するクローズ率から、マーケティング活動全般における平均クローズ率を計算しましょう。続いてクローズ率が特に高い行動項目を特定します。平均クローズ率が1%前後であったとすると、クローズ率が3%〜5%の項目がいくつか見つかると思います。MQLの定義にそうしたクローズ率の高い行動の履歴があることを加えましょう。理想の顧客像に一致し、それらの行動のうち1つでもこれまでに行っていれば、そのリードはMQLと見なされます。リードスコアリンク/グレーディングシステムにおいて、それぞれの行動にスコアを割りふる際にはこのクローズ率を利用しましょう。 

Step4:セールスファネルのステージを最適化する

セールスファネルの各ステージが定義できたら、今度はそれを進行中のビジネスに合わせて最適化することが重要です。つまり、ファネルの各ステージで以下に挙げるような主要な測定基準を継続的に分析する必要があるということです。

  • サイト訪問者からリードへのコンバージョン率
  • リードからMQLへのコンバージョン率
  • SAL(セールスがフォローする価値があると評価されたリード)の%値
  • リードアクティブ率(スコアリング対象の行動をとっているか)
  • MQLから案件へのコンバージョン率
  • 案件から顧客へのコンバージョン率
  • リードから顧客へのコンバージョン率
  • セールスサイクルの期間
  • 1契約にかかる平均コスト

定義したファネルに問題がないことを確かめるためには、これらの測定基準の分析を欠かしてはなりません。ファネルのプロセスのどこかに不備が生じるのはやむをえないことですが、セールス/マーケティングシステムの効率性を保つには、不備の特定と修正が可能である必要があります。また、様々なタイプのリードをターゲットにしている場合はリードのセグメントごとに上記の測定基準を用いた分析を行い、ビジネスでとりわけ利益を生んでいるセグメントはどれかを確認しましょう(想定よりも有望度が高そうなセグメントが見つかる可能性もあります!)。

まとめ:部門間の連携に向けて

セールスチームとマーケティングチームに共通のファネルを定義する一連の流れはつかめましたか?共有ファネルはそれ自体が価値あるものですが、作成する過程でチーム間のコミュニケーションの機会が設けられ、協力体制がより築き易くなることも1つのメリットでしょう。

ここで示したステップに従いファネル定義を確定できたら、以下のコンテンツで定義したファネルに沿って実際にリードナーチャリングを行う際に役立つヒントを紹介しているので、こちらもぜひ一読ください (参照記事はこちら:B2Bマーケティングでリードが取引に消極的な場合の対応策)。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

マーケティングからセールス活動の管理運用を一貫化するポイント

編集メモ:この記事は、2012年10月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Pamela Vaughanによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

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