取引のない企業の代表番号に電話をかけて担当者につないでもらい、自社の用件を説明してからアポイントを取るテレアポ。テレアポを受ける側は「何度も電話をかけてこられてしつこい」と不満を感じる一方で、テレアポする側は「リストに基づき100件の代表番号に電話し、5件のアポイントメントを取る」などのノルマが課せられ、精神的に追い込まれてしまうなど、双方にとってデメリットの大きい状態で実施されていた企業が多く存在していました。

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ニューノーマルの時代において、業務の効率化、リモート化が求められる現在、テレアポにも新しい形態が求められています。やみくもに電話をかける従来の手法から転換することが必要なのです。

本記事では、現在におけるテレアポの役割を整理し、先方の購買担当者につないでもらえるトークスクリプト(営業台本)例を紹介するとともに、自社営業担当者との協働により効果が上がる体制構築法について説明します。

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新しい時代に求められるテレアポとは?

新しい時代に求められるテレアポとは?1 テレアポとは、架電先リストに掲載された顧客や見込み客に電話をかけてアポイントを取る仕事です。しかし、従来のテレアポ手法には多数の問題点があるため、変容が求められています。
 

従来のテレアポと、新時代に必要とされるテレアポの違い

従来のテレアポは、以下のように行われるのが基本でした。

  1. 新聞・雑誌・ネット上で情報収集し、顧客のリストを作成する
  2. リストを元に架電する

この手法で起こる問題点を、テレアポ担当者、見込み客、営業担当者それぞれの立場から整理すると、次のようになります。

  • テレアポ担当者:「100件架電し、5件アポイントを取る」などのノルマ達成を求められ、見込み客のヒアリングよりも件数の達成が目的になりやすい。また、ノルマの厳しさから離職率が高い。
     
  • 見込み客である企業:電話を予期しておらず、電話してきた企業の知識もないため、購買担当者・関係者につなぐ必要を感じない。担当者に繋げられたとしても、先方の判断によりアポイントが取れない。
     
  • 営業担当者:ニーズや購買意欲のヒアリングが十分でない見込み客リストをパスされる。営業担当者が訪問しても、見込み客側が商談に入れる状態ではないことが多い。

従来のテレアポ手法では、アポイントが取れる確率がきわめて低いことが多く、仮にアポイントが取れたとしても、実際に商談に入れるとは限りません。 営業の効率を高めていくためには、現状のテレアポ手法を改善できる体制構築が必要です。
 

見込み客は、テレアポを求めていない

現状のテレアポを考える際に、顧客の購買行動の変化を考慮に入れなければなりません。今日の企業の多くは新製品・サービスの導入に関し、「社内で情報収集・検討した上で、最後の段階で営業担当者と商談を行いたい」と考えていることがわかっています。

新しい時代に求められるテレアポとは?2

Gartner: Distribution of buying groups’ time by key buying activities の統計を元に作成

上記グラフは、アメリカのガートナー社が行った「企業が購買活動に充てる時間の配分」の割合を示しています。グラフでも明らかなように、企業は購買検討に関する時間の67%を、オンラインやオフラインでの調査、社内で検討に要しており、何社かに絞り込んだ後に購入先候補の企業と商談を始めます。商談に費やす時間は、わずか17%しかありません。

企業のほとんどは、電話でアポイントを取り、営業が訪問して成約に結びつけるという従来の営業手法を望んでいないことがおわかりでしょう。企自社で調査、検討した上で、より詳しい話を聞くための商談を求めているのです。

このような企業の購買行動の変化に合わせ、テレアポ手法も変えていかねばなりません。
 

テレアポは営業職の基礎訓練の場でもある

ところで、 テレアポには新人教育という側面があります。入社後間もない新入社員が、研修としてテレアポを担当している企業も数多く存在します。自社 商品やサービスを繰り返し説明することを通して、見込み客とのコミュニケーションや商談に慣れ、営業職として独り立ちできるよう育成するために、テレアポが活用されています。

しかし、従来のテレアポに見られる「電話をかけ、トークスクリプトを読み上げ、断られる」流れの繰り返しでは、新入社員は意義を感じにくくノルマによる精神的な辛さが生じます。

真の意味で、テレアポを業務理解、営業の基礎訓練の場とするためには、営業全体を見える化した上で、自分が組織全体の中で何をしているのか、どのような役割を担っているのかを理解してもらうことが重要です。

また、既存のトークスクリプトを一律に読み上げるのではなく、トークスクリプトを活かしながらコミュニケーションできるように、組織的な練習も取り入れましょう。そのためには、チーム内でロープレを取り入れることが効果的です。

ロープレについては「 効果的な営業ロープレを行うには?具体的なやり方を解説 」で説明しています。興味を持たれた方はこちらも参考にしてください。
 

インサイドセールスとしてのテレアポとは

インサイドセールスとしてのテレアポとは1

ネクストノーマルの時代において、求められるテレアポとは、自社製品やコンテンツに興味を持った見込み客に対して、電話でニーズを聞き出しながら、商談のアポイントを取るという役割です。この新しいテレアポは、インサイドセールス(内勤営業)の役割と重なっています。

一般的に、インサイドセールスはリスト作成からアポイント獲得、ヒアリングまでを行い、確度の高い見込み客をフィールドセールス(外勤営業)にパスするまでの役割を担います。(当社HubSpotもそうですが、フィールドセールス部隊を持たず、インサイドセールス のみで営業を完結させる場合もあります)

このように統一された営業戦略の下、マーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門の協力でより良い営業活動が行えます。

インサイドセールスとしてのテレアポとは2

HubSpotの「 【2021年版】法人営業とインサイドセールスに関するデータ集 」によると、国内のインサイドセールス導入率は36.4%であり、3分の2以上の企業では未導入です。

企業としてはインサイドセールスを導入していなくても、テレアポの内容をインサイドセールスに近づけることによって、大きな効果が上げられます。この章ではテレアポをインサイドセールスとして行うとはどのようなことかを説明します。
 

インサイドセールスと従来のテレアポの違い

インサイドセールスの対象は、自社に名前やメールアドレス、会社名、役職名を登録した有望見込み客であるのに対し、テレアポの対象は、何の接点もない企業の代表番号に電話する点にあります。

インサイドセールスでは、これまでコミュニケーションを重ね、購買意欲の高さを確認できている見込み客であることから、直接電話してニーズを聞き出したとしても、それほど嫌がられることはありません。

一方、テレアポの場合は、代表番号へ電話をかけているため、購買担当者に辿りつくのは難しく、仮にたどりついたとしても対話にはならないことがほとんどです。

その結果、テレアポとインサイドセールスでは、アポイントが取れる割合も、アポイントから案件化、成約に至る割合も大きく異なります。
 

インサイドセールスとしてのテレアポにおける3つの役割

インサイドセールスとしてのテレアポの役割は、主に3つあります。

  1. 有望なリストの作成
  2. 信頼関係の構築と顧客ニーズの発掘
  3. 円滑な営業活動の促進
     

1. 有望なリストの作成

架電リストを作成するためには、あらかじめWebサイトなどを通じて見込み客に価値ある情報を提供する必要があります。見込み客が活用でき自社の興味へ通じる 有益情報や、ブログ記事、独自調査や最新情報の提供、ノウハウや学習用コンテンツ、テンプレートなどをホワイトペーパーやeBookなどのダウンロードコンテンツやメルマガ登録特典として用意すると良いでしょう。

有益な独自情報を提供するのと引き換えに、見込み客には名前やメールアドレス、会社名、役職名などの個人情報を提供してもらいます。その情報を元に、Webサイト上での見込み客の動きを追跡し、購買意欲の高いと思われる相手先をピックアップし、架電リストを作成します。ここまでの作業は、主にマーケティング部署が行います。
 

2. 信頼関係の構築と顧客ニーズの発掘

従来のテレアポはアポイントを取ることがメインで、見込み客のニーズなどを深く聞き出すことはできませんでした。 インサイドセールスとしてのテレアポは、継続して話ができるような信頼関係を築きながら、ニーズの深掘りや、見込み客の抱える課題などをヒアリングします。
 

3.円滑な営業活動の促進

従来のテレアポも、インサイドセールスとしてのテレアポも、最終的な目標はアポイントを取り、営業にパスすることにあります。

従来は、アポイントの設定が目的だったのに対し、インサイドセールスでは、「アポイントを取る」というゴールに向けて、信頼関係を構築し、ヒアリングを行います。このような準備によって、効果的に営業できる環境が整います。
 

インサイドセールスとしてのテレアポで設定するべきKPIは?

従来のテレアポで成果を測定するためのKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)は、架電数とアポイント件数でした。

インサイドセールスとしてのテレアポは、、マーケティングやフィールドセールスと合わせたトータルな営業戦略の中に位置づけられます。そこでKPIとなるのは、以下の指標です。

  • 架電数
  • 見込み客につながった件数
  • 継続してコミュニケーションを取っている見込み客の人数
  • フィールドセールスにつなげた見込み客数
  • 最終的な受注数
  • 受注金額

これらの数字を意識して、自社独自のテレアポにおけるKPIを設定しましょう。
 

顧客に興味を持たせテレアポ効果が現れるトークスクリプト作成例

顧客に興味を持たせテレアポ効果が現れるトークスクリプト作成例

ここではインサイドセールスとしてテレアポを行う際の、実際の質問の仕方を紹介します。
 

フレームワーク『GPCT+BA』の活用

営業における ヒアリングでは、一般的に「BANT」というフレームワークが有名です。

BANTとは、以下の4つの項目の頭文字を取ったものです。

  • Budget(予算):どれくらいの予算を想定しているか
  • Authority(権限):誰が決定権を持っているのか
  • Needs(ニーズ):資料請求やWebサイトを訪問した理由
  • Time Frame(導入時期):社内で稟議を上げる時期

通常はこれらの内容を営業が商談の場で確認し、回答が具体的であればあるほど導入に前向きであると考えられます。

一方、HubSpotでは、インサイドセールスの段階で「GPCT」というフレームワークをヒアリングに活用しています。

GPCTとは、以下の4つの項目の頭文字を取ったものです。

  1. Goals(目標)
  2. Plans(計画)
  3. Challenges(解決すべき課題)
  4. Timeline(タイムライン)

GPCTに加えて、B(予算)とA(権限)についても合わせて聞くと、より有効なヒアリングが行えます。

以下に例を挙げ、トークスプリプにも活用できる具体的な質問法を紹介します。
 

1. Goals(目標)

見込み客である企業が、何を目標としているのかを聞きます。

【例】

  • 今期中の目標としておられることをお伺いできますか?
  • 御社は〇〇の面で目覚ましい活躍を遂げていらっしゃいますが、今後どのような展開をお考えでしょうか? 具体的な目標がございましたら、お聞かせいただけませんか?
     

2. Plans(計画)

見込み客がその目標を達成するために、どのような計画を立てているかを聞きます。

【例】

  • 御社がその目標を達成するための計画をお聞かせください。
  • 御社が目標を達成するために弊社の〇〇がお手伝いできるのではないかと思っております。よろしければ、どのように計画を進めていこうと考えておられるのか、お伺いできますか?
     

3. Challenges(解決すべき課題)

見込み客のニーズとも重なる重要な質問です。課題は不明瞭なことも多いので、ヒアリングを通じて明確化を意識します。

【例】

  • この計画を実行される上で、何かお困りごとはございませんか?
  • 弊社がこれまでお取引いただいた企業さまでは~のようなことがありました。御社の場合は、そのような問題はまったくございませんか?
  • 〇〇では業界全体が非常に厳しい状況に置かれていますよね。計画を実行するためにはAやBなどさまざまな問題があると思うのですが、御社では、そのようなことはございませんか?何か課題がございましたら、お聞かせいただけませんか?
     

4. Timeline(タイムライン)

見込み客はいつ目標を達成しようとしているのか、どのくらいのタイムスパンで計画を考えているのかを把握するための質問です。

【例】

  • 先ほど伺った計画は、いつから実施されるご予定ですか?
  • いつまでに達成しなければならない、そのためにはいつまでに何かしておかなければならない、といった時間的な目安はございますか?
     

Budget(予算)

見込み客が目標を達成するのに、どのくらいの費用を出しても良いと考えているのかを聞き出します。

【例】

  • 〇〇であれば、どの程度までの予算を考えておられますか?
     

Authority(権限)

先方が権限を持っている人でないと商談を前進させることはむずかしいので、相手が責任のある人かどうかを確かめます。

【例】

  • ~に関心をお持ちということは、A様はマーケティング部署を統括しておられるのですね?
     

トークスクリプトを作成しよう

以上のカギとなる質問を元に、自社に合ったトークスクリプトを作成します。トークスクリプトを意識しすぎると尋問のようなかたい質問となるため、骨組みを残して臨機応変に切り替えます。ロープレを繰り返し、慣れていくことで切り替えがうまくできるようになるでしょう。

電話営業がつらい」は解消できる。案件を創出するトークスクリプト&話し方のコツとは? 」では、実際のスクリプト例を紹介しているので、参考にしてください。
 

見込み客のニーズを知り、アプローチの最適なタイミングを知るのがテレアポの役目

インサイドセールスとしてのテレアポは、従来のようにトークスクリプトを読み上げることよりも、積極的に耳を傾けるアクティブリスニングのスキルが重要になります。

ヒアリングの目標は、相手からニーズやタイムライン、電話をかけている相手が責任ある立場かどうかを聞き出すことにありますが、問いかけるタイミングが重要です。たとえ有用なトークスプリプトが準備されていたとしても、ある程度の信頼関係が構築されていない段階では、表面的な質問になってしまいます。営業メールやWebサイトの閲覧履歴など、他のツールや情報と組み合わせて相手の反応を確かめながら慎重に行いましょう。
 

結果の見える化で営業やマーケティングと共有する営業システムの構築を

HubSpotが行った「 日本の営業に関する意識・実態調査 」によると、営業担当者は働く時間の25.5%がムダであると感じていることがわかりました。生産性を高めることの重要性が強く言われるなか、テレアポ業務も効率性を考える必要があります。
 

「アポイント成立」で終わりではない! 部門間共通の目標を設定する重要性

従来のテレアポでは、「とにかく電話をかけること」「アポイントを取りつけること」が目標でした。しかし、テレアポの役割をインサイドセールスに近づけるためには、部門間共通の目標を設定し、その中からテレアポの目標も割り出していく必要があります。

例えば、新規開拓で年間〇円の売上を上げるというKGI(Key Goal Indicator:最重要目標達成指標)を設定したとします。

⇒KGIを達成するための受注数をKPIに

⇒受注数を達成するための商談数を営業部のKPIに

⇒商談数を達成するための架電数をテレアポのKPIに

⇒架電数を達成するためのリード数をマーケティング部のKPIに

各部門でのKPIを協働で設定することによって、全体の営業戦略が、各部門の日々の具体的な行動にまで落とし込めます。
 

成約しなかったのはなぜ?データを残すためのCRM

KPIを取ることによって、仮にうまくいかなかったとしても、どのプロセスで達成できなかったかを見える化できます。

そのために、データは全体で共有することが大切です。テレアポによる接触回数やヒアリングの内容、案件化までの架電回数、また営業担当者の商談のリードタイムや見積書の提出回数などをCRM(顧客関係管理システム)に記録することで、統計的な視点から分析できます。

CRMは見込み客~顧客との長期的な関係を構築することを目的としたシステムです。ツールを利用し、見込み客とコンタクトごとに情報を記録することで、適切なコミュニケーションが可能になります。

HubSpotでは無料CRMを提供していますので、興味がある方は「 多様な業務に効果を発揮する無料のCRM 」をご参照ください。
 

顧客からの信頼を集め、他部署と協働できる新時代のテレアポを実践しよう

近年、仕事現場では「労働生産性」が求められています。生産性を高めるためには、ムダを減らしながら、同時に成果を高める工夫が必要です。

日本の営業に関する意識・実態調査 」でも明らかになったように、現場の営業担当者は働く時間ムダを強く感じています。毎日電話をかけ続け、やっと1件アポイントが取れるか取れないかというテレアポ手法は根本的に改革せねばなりません。

マーケティング部署や営業担当者と情報を共有できる協働体制を構築すれば、将来的にインサイドセールスを導入する場合でもスムーズに移行できます。

本記事で紹介した、自社や自社製品に興味や関心を持つ見込み客へのテレアポとヒアリングという新しいテレアポ手法を通じて、信頼関係を構築できるテレアポを開始してください。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

新しい営業の形! インサイドセールス活用法ガイドBOOK

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元記事発行日: 2019年8月30日、最終更新日: 2022年6月30日

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