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インバウンドマーケティングは前途洋々です。説得力のあるコンテンツを(着実に)作成し、コンテンツを共有・プロモートすると、そこに見込み客がエンゲージし、コンテンツをダウンロードして、リードとなります。

これらのリードがさらに有望なリードとなりセールスチームに引き渡され、即座にアプローチされ、アプローチはたちまちセールス機会へと転じ、提案書がリクエストされます。提案書はすぐに提出され、その後成約に至ります。

上記のシナリオは多少誇張し過ぎかも知れません。しかしインバウンドマーケティングの本質的な利点が説明されていると言えるのではないでしょうか? 実際、インバウンドマーケティングの実践者たちによって共有されるデータや統計はどれも「獲得リード数の増加」「コストの削減」「ROIの向上」を謳っています。

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つまり、質問に対する答えは「YES」。インバウンドマーケティングは、予測可能、持続可能、拡大可能なセールス成長を実現するための有効な手段です。ただしこれだけでは問題のすべてを解決できるわけではありません。

リードとセールスの溝

セールスとマーケティングの間には溝があります。効果的なインバウンドマーケティングでは、より多くのリードや有望なリードを獲得ができますが、これらのリードがすぐにセールスチームに引き渡せる状態だとは限りません(参照記事はこちら:3 Mindsets to 10x Your B2B Lead Generation Results)。

マーケティングとセールズの間に潜むキャズム

加えて、インバウンドマーケティングの性質上、獲得したリードの多くは、見込みがあるとはいえ、自然と購入サイクルに進むわけではありません。Gleastner Research社によると、獲得リードの80%は自分の質問や問題を喀血してくれる有益なコンテンツを探している人たちあり、何かを購入したくてリードになった人たちではありません(参照記事はこちら:The 4 P's for Winning The B2B ZMOT(Zero Moment of Truth))。

さらにやっかいなことに、この溝は、きちんと測定して管理するための適切なツールを導入していない限り、経営陣に認識されることがほとんどありません。そのため経営陣はリードが獲得できているのに、投資に見合う成約数につながっていないと考えがちです。

CEB社のリサーチでは、セールス部門とマーケティング部門がお互いについて語る際に使用する言葉の87%がネガティブであるという結果がでています(参照記事はこちら:How the Rift Between Sales and Marketing Undermines Reps)。これは、その主な原因はこの溝が正しく認識されていないことにあると言えるでしょう。

溝により生じる2つの悪影響:

  • マーケティングが過小評価され(あるいは見落とされ)、脇に追いやられてしまい、導入事例やトレードショー、デザインやロゴなどだけに取り組まされるようになってしまいます。
  • セールスチームに過剰な負担とプレッシャーがかかります。見込み客がセールス担当者と話をする必要があった時代、オファーの違いが明確でセールスプロセスがもっとシンプルだった時代にはそれでもよかったのですが、今日のセールスプロセスは、セールスチームだけで抱えるには複雑すぎます。

解決策はセールスディベロプメント

端的に言うと「まだ購入準備ができていない」というのがインバウンドリードの実態です。ところが、最近私はインバウンドマーケティングの価値について、誰かが以下のように説明しているのを聞きました。

「こちらから出向いて行ってメッセージを伝えるのは、相手の邪魔になりますが、インバウンドマーケティングではその必要がありません。逆に取引したいと思える人々に、こちらのことを見つけてもらえるのです。何かダウンロードした人たちは、すなわち関心があるということですから、自社から購入してもらえる可能性は高いと言えます。」

この説明で正しいのは最初の一文だけです。確かにインバウンドには「相手の邪魔になる売り込みをリード獲得の主要手段として使用しなくてよい」という利点があります。しかし、インバウンドリードの大部分は購入する準備ができていないことを忘れてはいけません。そうしたリードを営業案件としてセールスチームに引き渡してしまうと悲惨な結果となってしまいます。

セールスデベロップメント

そこで重要になるのが、セールスディベロプメントです。セールスディベロプメントとは、あらゆるタイプのリードが効果的に管理されるようにすることです。それによりセールスチームは、最も価値の高い活動、すなわち新規成約の獲得・管理という業務に集中することが可能になります。

では、セールスディベロプメントとは具体的にはどういうものなのでしょう? The Bridge Group社の設立者Trish Bertuzzi氏は、「データ分析ツール、Eメールナーチャリング、電話による聞き取りを組み合わせたもので、SQL(Sales Qualified Lead:営業案件リード)を創出し、セールスチームに引き渡せる状態にすることに特化した専門業務」と定義しています。

つまりセールスディベロプメントは、マーケティングとセールスの整合を実現する「欠けたピース」です。MQL(Marketing Qualified Lead:有望見込み客)を適切に管理し、パーソナライズした対応をすることで、見込み客をファネルの次の段階へと動かし、コンバージョン機会を最大化して、溝を埋める役割を果たすのです。

専任チームの必要性

セールスディベロプメントとインバウンドマーケティングは、志を共にする盟友と言えます(むしろそうでなければなりません)。どちらも、成功のためにデータ、プロセス、明確性を重視しており、現在の顧客の意思決定プロセスに適応すべく作られたコンセプトとして互いに補強し合っています(参照記事はこちら:5 Insights to Aligning Your Sales Approach to Your Customer)。

よく、セールスチームとマーケティングチームのどちらが、セールスディベロプメントを担うべきかという質問を受けるのですが、私の答えは、そのどちらでもありません。そうではなく、「セールスディベロプメント」というチームを設け、専任のリーダーと立てるべきです。

私の経験上、インバウンドマーケティング業務とセールスディベロプメント業務はどちらも、セールス分野とマーケティング分野の中間に位置している点が課題になります。ありがちなのは、インバウンドマーケティング業務を、名前に「マーケティング」が入っているという理由でマーケティング部門に割り当て、セールスディベロプメント業務を、同じ理由でセールス部門に割り当ててしまうことです。.

しかしそうしてしまうと、作り上げるべき整合性が断ち切られてしまうだけでなく、多くの場合、主要なマーケティング/セールスの課題が優先されるため、インバウンド業務とセールスディベロプメント業務は二の次になってしまいます。

マーケティングとセールスはどちらも収益増加に責任がありますが、問題にアプローチする際のマインドセットは大きく異なっています。マーケティングは長期的なルール主導のマインドセットで物事を見る傾向がありますが、セールスは短期的で好機を逃さないという視点を持っています。これらを効果的に管理すれば、大きな機会が創出できます。

さらに、セールスディベロプメントの視点(インバウンドは、その一部だと考えます)は、また全く違うマインドセットを提供してくれます(参照記事はこちら:3 Insights Into Effectively Managing Sales Development Reps(SDRs))。セールスディベロプメントの唯一の焦点は、有望リードのフローを増加させ、これらのリードをナーチャリングして、できるだけ短期間で効果的にセールスに引き渡せるようにすることです。

この視点で見た場合、マーケティングは単にリードを獲得したら終わりではありませんし、セールスは「数字を達成する」ことに一心不乱に集中しなければなりません。

セールスディベロプメントを、マーケティングやセールスと同じレベルまで高めた企業は、そうでない企業に比べて格段に優位になることは間違いありません。より大きな牽引力を獲得し、迅速に学び、進化し、速い成長率を維持することが可能になるはずです。

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編集メモ:この記事は、 2015年4月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Doug Davidoffによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

元記事発行日: 2016年4月20日、最終更新日: 2019年10月29日

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