「SNS」と聞いて人が持つ感情は実にさまざまです。

「好き」、「嫌い」、「仕事で使っている」、「ブランド構築に必要」、「もうやめた」、「また使い始めた」

これほどさまざまな意見が持たれるSNSを、マーケティング担当はうまく使いこなすことができるのでしょうか? また、ユーザーはSNSに何を期待しているのでしょうか?

フォロワーは今何を求めているのか? その答えを導き出すために、SNSのエキスパートが、米国で行われる大規模イベントSXSWでパネルディスカッションを行いました。パネリストはTeen Vogue誌のRajni Lucienne Jacques氏、FacebookのTutti Taygerly氏、InstagramのJoshua Dickens氏、そして司会はWork&CoのGene Liebel氏です。

B2BおよびB2Cで、SNS別最も効果の高かったコンテンツとは?

フォロワーは何を求めている?

1. コミュニティー

思い返してみると、以前はブランドのFacebookページの管理者のことを「コミュニティーマネージャー」と呼んでいました。なぜなら、ブランドにとって当時のFacebookページの目的は、コミュニティーを構築することだったからです。これはそれほど昔の話ではありません。

Facebookには今もグループ機能がありますが、存在感は薄まり、少人数でのコミュニケーション用に設定され非公開で利用されることが多くなっています。そのため、オーディエンスのエンゲージメントを獲得したいブランドにとっては魅力が下がり、最初の選択肢に上がらなくなってきています。

しかしパネリストたちは、最近のグローバルな流れとして、ユーザーが再びコミュニティー構築のためにSNSを使い始めていると言います。自分の意見を主張する場として、同じことに興味を持つ仲間どうしがつながり、活動する場として再び注目されています。

事実、Jacques氏は次のように言います。「SNSは、活動を促す場の1つとなっています。人が集まりやすく、効率的だからです」

中小のB2B組織にとっては、SNSで人々の活動を促すことを戦略目標としてはいないと思いますが、SNS上でブランドの存在感を出すために、コミュニティーを利用することはできます。

たとえば、WP EngineのCEOのHeather Brunner氏は、SXSWの別のパネルディスカッション(英語)で次のように言っていました。「企業は、『従業員が何を求めているのか』、『顧客が何を求めているのか』を自ら考えるべきです」

その答えをヒントに、マーケティング担当はブランドがどんなコミュニティーを構築すべきかを考えることができます。

少なくとも、ブランドはつながりの場を提供することができます。SNSのユーザーは今もそれを望んでいるだろうとTaygerly氏は言います。

「企業側としても、提供したコンテンツをただ消費してもらいたいわけではありません。つながりができるように十分考えています」

つながりを重視するようになったのは、今年初めにFacebookがアルゴリズムを変更し、それがランキングの一部に影響するようになったことがきっかけです。この変更によってユーザーのニュースフィードにブランドのコンテンツが表示される回数が減り、コメント欄に本物のエンゲージメントが多く含まれる投稿が優先的に表示されるようになりました。

本物のエンゲージメントとは、「友達をタグ付けする」などのシェア目的ではないエンゲージメントのことです。

そう考えると、Facebookがネットワーク上のコンテンツをただ消費するユーザーよりも、コミュニティーの構築に積極的なユーザーを重視するようになったのは理解できる、とTaygerly氏は言います。

そうすると、マーケティング担当が成功するためにすべきことは、まずオーディエンス、つまり、人々が抱える問題を解決することだと、パネリストは口を揃えます。

人々が抱える問題に目を向けること。そのうえで、かかわれることやできることがあるかを考えるべきだとTaygerly氏はアドバイスします。

Dickens氏もまた、これからのマーケティング担当の成功指標は、人々の問題を解決することだろうと言います。これを既に採り入れているのが、Instagramです。

「私たちはネットワーク上での滞在時間だけを成功指標にしたことはありません。特定のユーザーの問題解決にどれだけ貢献できたかを見ています」

2. プライバシー

ディスカッションの中で、Liebel氏が次のように尋ねました。「プライベートなものはまだ存在するのですか?」

反応はさまざまでしたが、ユーザーはプライバシーを気にしていると思うという点では全員一致しました。SNS上で積極的にブランドを構築したり、ストーリーをシェアしているユーザーでもそうだろうと。

Jacques氏の答えは、「YESともNOとも言える」でした。

「何を見せたいかによりますね。Instagramユーザーの中には、Finsta(Fake Instagramの略。フェイクアカウントのこと)を持つ人がいます」。Jacques氏は、一部のユーザーは複数のアカウントを作成して、別の人格や別の感性で自分の異なる面を見せている実態があることに触れました。

「そう考えると、SNSがプライベートかどうかは使い方次第ですね」とJacques氏は言います。

Taygerly氏から質問が上がりました。「SNSは、ユーザーにどんなときにポジティブな影響を与えられ、どんなときに負担になると思いますか?」

例として、Snapchatでユーザーのコンテンツの質や公開レベルが問題になっていることを挙げました。

「友達や家族だけに限定した方がよいもの、全体にシェアしても問題ないものは何でしょう?」

そして、こう続けます。「その2つの境界線は?」

これに関してマーケティング担当ができることは、オーディエンスが求めるプライバシーを尊重し、さらに、彼らに対してブランドや他のオーディエンスと無理なくかかわれる方法を提供することです。

また、遠回りに見えるかもしれませんが、フォロワーのためにコミュニティーを構築するという最初のアイデアに戻ることになります。これは業界にかかわらずです。ただ、これには文化的要素が関係してくるほか、個々のオーディエンスが1つひとつの状況に対して求めてくるプライバシーをどのような方法で提供できるかという点も考えければなりません。

Taygerly氏は次のように説明します。「世界中を調査をしてわかったことがあります。ここでは控えめに言いますが、北米以外のさまざまな地域では、文化的に、女性が顔を表示していると厄介なことが起きるようです。

なので、InstagramやSnapchatで提供されているフィルター機能のようにマスクを付けたり、顔の公開範囲をコントロールできる機能が提供されると、メッセージを発信しやすくなるはずです」

Jacques氏はまた、ユーザーがSNSを離れる(SNS断ちする)必要が出てくる場合があることも考えるべきだと言います。

「SNSはときどき負担になることがあります。SNSが気になりすぎてしまい、そのせいで自分が嫌になることもあるでしょう。そのようなとき、ユーザーはSNS断ちし、自分の生活に戻るようになります」

しかしJacques氏は、長い目で見ると結果的にそれがエンゲージメントの向上につながると言います。「SNSを再開するということは、それに意義を見出したということですから。SNSに夢中だった人が一旦離れ、自分らしさに気づけるというのは素晴らしい経験になります」

3. 自分のストーリーをシェアする場所

マーケティング担当は、「ユーザーはそもそもなぜSNSを使うのか?」という核心を知る必要があります。その核心とは、人とつながるためです。その手段が、何かをシェアすることなのです。

「人は自分が生み出すものをオーディエンスにシェアして広めようとします」とDickens氏は言います。それならマーケティング担当の仕事は、それができる場がSNSだとオーディエンスに気付かせ、背中を押すことです。

写真をシェアしてコメント欄に友達をタグ付けするような、クリックを誘うだけの使い方は推奨しませんが、マーケティング担当は、ユーザーどうしの会話のきっかけを作ったり、自分のストーリーを気持ちよく語れる場を提供することはできます。

手始めに、ブランド側がストーリーをシェアし、「皆さんも自分のストーリーをシェアしませんか?」と問いかければ、オーディエンスは自分の話を聞いてもらえると感じて語り始めるかもしれません。

「SNSは、自分が意見を持っていると気づいてなかった人に声を上げてもらうことができる場所です」とJacques氏は言います。

「そんな使い方を後押ししてはどうでしょうか?

『友達に話したストーリーを私たちにも聞かせてください』と伝えるのです」

4. 小さなネットワーク

そうは言っても、だれもが見られるFacebookページのような公の場で、自分の話を仰々しくするのは気が進まないというユーザーもいるでしょう。そこで求められるのが、Taygerly氏の言う「小さな内輪のネットワーク」です。

Facebookのニュースフィードが刷新されたことでページ管理者が困っているのは、より重要視されるようになった「本物のエンゲージメント」を生むコンテンツを、どのように作成するかという点です。そこには、「会話のきっかけになってほしいという期待」が込められているとTaygerly氏は言います。

しかし彼女は、「グループ内でひっそりとシェアする方が気楽な場合もある」とも指摘します。「その場合は、もっと小さな内輪のソーシャルネットワークが向いているでしょう」

具体的な例として、彼女はHQ Triviaを取り上げました。これは、雑学クイズ番組をライブ配信するアプリで、勝者には賞金が贈られます。癖になるアプリで、「1つのグループで何かがリアルタイムで起きているのを共有している」と言えるものです。

では、そのような体験をマーケティング担当はどうすれば作り出せるのでしょうか? その答えは、Facebookが1月にアルゴリズムの変更を発表したときに使用した統計データの中にあります。ライブ動画は、ライブではない動画に比べて6倍のエンゲージメントが得られるそうです。

「ライブ」を別の言葉に言い換えてみてください。そう、「リアルタイム」です。

もうおわかりですね!

コミュニティー内でライブイベントをリアルタイムで体験したりコメントしたりできるようにすると、

エンゲージメント率が上がると考えられます。

しかしそれは、ただライブ動画を配信するよりもずっと難しいことです。なので、マーケティング担当はこの統計を参考にリアルタイムコンテンツの作成に挑戦しながらも、フォロワーが自分の興味を持っていることや情熱を注いでいることをシェアできる小さな内輪のコミュニティーを作る方法や、体験をその場で語り合える方法も同時に検討していくべきです。

このことは、この記事で最初に触れた点につながります。オーディエンスが抱える問題に目を向けること。そのうえで、かかわれることやつながりを持てる方法を検討することです。

Jacques氏は次のように言います。「世界で何が起きているか見渡してみてください。最後にたどり着くのは、コミュニティー意識の構築です。皆で力を合わせて何かをしたい、世界を変えたいと考えているのです」

パネリストの皆さんは、今後の展望は明るいと考えているのでしょうか?

「もちろんです。良い方向に進むと思っていますよ」とTaygerly氏は答えます。「より良い世界を思い描くのが、私たちデザイナーの仕事です」

B2BとB2Cのコンテンツマーケティング調査レポート

元記事発行日: 2018年9月18日、最終更新日: 2019年10月29日

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