HubSpotでは常に顧客体験を第一に考え、長年広告は必要ないと考えてきました。
振り返れば、デジタル広告の黎明期は酷いものでした。広告は煩わしく邪魔なものとして認識されていただけでなく、企業がターゲットオーディエンスへのリーチに利用できるツールもごく限られていました。
その結果、幅広いオーディエンスに対し、とても効果的とは言えない方法でターゲティングを行い、あっと驚くようなバナー広告を作成することで、対象とするオーディエンスの目に留まることを期待するしかなかったのです。
煩わしいスパムのような広告を使ったマーケティング戦略は時代遅れとなり、代わりに登場したのがインバウンドマーケティングです。このマーケティング手法では、ターゲットを絞り込んでアプローチし、相手にとって有益な情報を提供します。
時代は変わりました。
顧客はかつてないほど膨大な情報を手に入れることができるようになったのです。インバウンドマーケティングの原理は広く受け入れられているようです。売り手側は、ブログやEメール、ソーシャルメディアのコンテンツを作成し、プロスペクトに商品を紹介しています。広告は、情報過多な市場において必要な情報のみを届けるのに不可欠な存在となりました。
大量の情報に対応するために、広告ツールは劇的に進化しました。ターゲットを絞り込むことができ、教育的で、ユーモアがあり、役立つものになったのです。作り込まれた広告は、プッシュ型のアウトバウンドマーケティングよりも、インバウンドマーケティングに適しています。
バイヤージャーニーのあらゆる段階で関連性の高い役立つコンテンツを顧客に提供するためには、マーケティングミックスの一環として広告を活用するべきです。
インターネット広告 基礎と運用・効果測定ガイド
〜効率的なインターネット広告の運用を実現させる秘訣とは?〜
広告とインバウンドの融合
とは言え、HubSpotでも広告に対する認識がすぐに変わったわけではありません。
初めて広告を取り巻く変化に気付いたのは2015年でした。お客さまの半数以上がインバウンド戦略を強化するために広告を利用するようになっていました。しかも、広告を利用するだけでなく、それによって成功を収めていたのです! 利用目的は以下のようなものでした。
- 新規プロスペクトへのリーチ
- 既存のリードへのエンゲージ
- 現在の顧客へのクロスセル
同時に、HubSpotも広告で実験的な試みを行い、成功を収めました。これまでと何が変わったのでしょう? 背景にあったのはインターネットユーザーが利用するサイトの偏りです。
過去3年ほどで、Facebook、Google、Amazonがインターネットの世界で権勢を振るうようになりました。誰かに連絡を取るならFacebook、すぐに情報を得るならGoogle、何かを購入するならAmazonにアクセスすれば大抵のものを手に入れることができます。
ユーザーがこれらのサイトばかりを使うようになると、3社はそこに集まるユーザーの関心を利用したいと考える企業に対価を求めるようになりました。インバウンドマーケティングによってFacebookでオーディエンスを構築し、アップデートによってオーガニックにリーチできたのは過去の話です。現在、ソーシャルメディア上でのオーガニックリーチは 2%程度にまで落ち込んでいます。
検索も変化しました。
オーガニック検索と有料のリスティング広告が別々に表示されたり、オーガニック検索結果が必ず検索結果のトップに表示されたりすることはなくなりました。今では、有料の検索結果がオーガニック検索結果と同じように表示され、広告がトップに表示されないように検索を行うのはほぼ不可能です。モバイルユーザーの場合、オーガニックな結果を見るには何度かスクロールしなければなりません。
ユーザーの関心は一部のサイトに集中しています。
前述の三大企業はその関心を商品にしています。
そして、それを喜んで買う企業も少なくないのです。
2017年、Facebookは広告収益が390億ドルに達したと発表(英語)しました。Facebookなどに広告を出せばオーディエンスを獲得できるのがわかっているため、どの企業もそこに予算を割いています。3社の巨大なネットワークを利用すれば、大学生からボストン メトロポリタン エリアのビジネスマン、ニッチなEコマース商品を購入してくれそうなプロスペクトまで、あらゆるターゲットにリーチできるのです。
同僚のMeghan Keaney Anderson は次のように述べています(英語)。「プロスペクトを惹きつけるにはコンテンツの質の高さが重要であることは否定しませんが、FacebookやGoogleに対して相応の料金を支払わなければ、コンテンツが上位に表示されないという点を忘れてはいけません」
広告とインバウンドマーケティングの相性が良い理由はまさにこの点です。広告で成果を出すには、ターゲットを絞り込んだスマートで質の高いコンテンツを用意する必要があります。
Facebookの広告が不特定多数に向けて表示されるようになったり、Googleの検索結果に検索ワードと何の関連もない広告が表示されるようになったりしたらどうでしょうか。友人に連絡したいときや何か調べたいときには、別のプラットフォームや検索エンジンを使うようになるでしょう。このように、これらの企業が広告から得る収益は、快適なユーザー体験と密接に関連しています。
いずれの広告ネットワークにとっても、広告の質を維持することは重要な課題です。このため、快適なユーザー体験を損なう広告を配信する企業には追加料金を科すという形で、関連性の高い広告を作成するよう動機づけています。
そう、関連性の低いアウトバウンド手法の広告には、余計なコストがかかってしまうのです。
オーディエンスのニーズを一番に考えるインバウンド手法の広告なら、コスト効率も高まります。
たとえば、プロスペクト、リード、既存の顧客などを含むソーシャルメディアのフォロワー全体に向けて記事を投稿するのではなく、各グループ固有のニーズに合わせたメッセージやストーリーをカスタマイズして、それぞれに別の広告を作成することが考えられます。検索では、オーディエンスを指定することで、キーワードのみでターゲティングするよりもコンバージョン率が2~3倍高くなります。
さらに広告は、オーディエンスに響いたかどうか、その効果がすぐに結果として表れるので、コスト効率のよい手法です。HubSpotのパートナーにも、クライアントのペルソナを構築し、そのペルソナ向けにコンテンツ戦略を作成している例は多くあります。
Facebookで配信しているHubSpotの広告例
HubSpot Marketing Hubで広告を適切に使用
適切に使用すれば、広告はあらゆるインバウンドマーケティング戦略で欠かせない存在になることは間違いありません。お客さまのインバウンドマーケティング広告をサポートするため、HubSpotは2015年のINBOUNDで広告効果測定ツールを発表しました。インバウンドマーケティング戦略に広告を取り入れたい方は、ぜひHubSpotをご検討ください。
これから、HubSpotはまた一歩前進します。Marketing HubのProfessionalおよびEnterpriseプランでは、広告効果測定ツールを標準機能としてご利用いただけます。追加料金はかかりません。これを利用すれば、インバウンドと有料チャネル全体でキャンペーンの効果の確認を、かつてないほど簡単に行えます。
刻々と変わる状況にお客さまが対応できるような製品を開発することは、HubSpotの製品担当バイスプレジデントである私の務めです。広告効果測定ツールの導入も、昨今の状況への対応の一環です。
広告効果測定ツールは、HubSpotの主要製品であるMarketing Hubでご利用いただけます。広告効果測定ツールの詳細はこちらからご覧ください。