成長著しいテクノロジーは、丹念に検討するのが得策です。アドテクも例外ではありません。

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アドテク自体は何年も前からありましたが、最近になって、優秀なアドエージェンシーからあらためて注目を集めています。このビッグデータ時代に、クライアントへの説得力と魅力を高めるうえで、アドテク企業と関係を構築することはプラスになるとエージェンシーは認識しています。

ソーシャルメディアが全盛の現代、エージェンシー各社は、放送やデジタルメディアの広告枠に頼る従来の方法ではなく、的確なユーザーと接触する先進的な方法を探る必要に迫られています。そして、アドテクに投資しているエージェンシーは、非常に大きな成果を上げています。マーケターの74%は、アドテクの活用法をきちんと理解している広告エージェンシーで働きたいと考えています。

しかし、そこで問題となるのが、アドテクの何たるかや、アドテクを最善の形で生かす方法について、まだつかみ切れていないエージェンシーも依然として多いという点です。

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アドテクとは何か?なぜ重要か?

アドテクを活用するには、まずはアドテクの何たるかがわからなければ始まりません。アドテク(アドテクノロジ)とは、エージェンシーや広告主がデジタル広告を手がけるときのターゲティング、配信、分析に役立つソフトウェアやツールを包括的に表す言葉です。

「プログラマティック」や「オムニチャネル」という言葉に困惑した経験がある方なら、知らず知らずのうちにアドテクの情報を耳にしていた可能性があります。たとえば、プログラマティック広告で買い付けるのは、時間枠ではなくターゲットオーディエンスです。テレビでプライムタイムにスポットCM枠を買って、ターゲットに当てはまる視聴者が見てくれることを期待するのではなく、特定のデモグラフィックに必ず到達するどこかの広告スペースを買うというイメージです。

オムニチャネルマーケティングでは、モバイル、動画、パソコンなど、あらゆるチャネルを通じて、ターゲットのコンシューマーにリーチします。その際、これまでにそのブランドとどのような接触を持ったかという状況を踏まえます(初めて広告を見る人と、既にそのブランドと何度か接触したことがある人とでは、受け取るメッセージが異なります)。オムニチャネルとプログラマティック広告以外にも、アドテクの範疇に含まれるツールはありますが、この2つは特に画期的です。

こうして、アドテクを生かすことで、広告主はこれまでより有効に予算を活用できます。的確なコンテンツを的確なタイミングで的確なコンシューマーに届けられるため、無駄に終わる支出を減らせます。

アドテクを象洗いに例えると

象の耳をきれいにするよう命じられ、その際に水も節約するよう言われたとします。そのとき、象の全身を洗うという方法を取ったらどうでしょうか。確かに、耳はきれいになります。しかし、体も洗う分だけ水が余計にかかり、合理的ではありません。

そこで、全身ではなく、頭の部分のみを洗うことにしたらどうでしょう。全身を洗うよりは、使う水を減らせます。しかし、それでもまだ無駄があります。目的を達成するために必要なのは、耳だけを最小限の水で洗う方法を探り当てることです。

このたとえ話を、オンライン広告の状況になぞらえてみましょう。

旧来の方法でウェブ利用者に広告を配信するのは、いわば耳のためだけに全身を洗うような、大ざっぱな方法でした。この場合、パブリッシャーの広告掲載の基盤はアドネットワークではなくコンテンツです。コンテンツと共に表示した広告が、閲覧者に合っているかどうかは、定かではありません。この方法で成果を出すことも不可能ではありませんが、効率の悪さや煩わしさ、無駄が伴います。エージェンシーのリソースを最善の形で生かしているとは言えません。

影響力のあるデータに支えられた現在のアドテクの手法なら、エージェンシーは、最も必要とされる場所とタイミングで効果的に広告を出すことができます。無駄な努力を減らし、重要なタッチポイントでユーザーに広告を届けられることから、広告主とコンシューマーの双方にメリットがあります。

広告枠の単なる買い付けではなく、ハイレベルなデータとテクノロジを使って広告を統合できます。シームレスな統合を目指し、インパクトと付加価値が高い広告を掲載するための一歩として合理的です。エージェンシーのプランニングチームや戦略チームがメディアを見る目も、アドテクで変わりつつあります。

アドテクの魅力とメリット

アドテクには数多くの要素が関係していますので、エージェンシーが差別化を図るチャンスは無数にあります。アドテクのデータの多様性を生かして、きめ細かく的を射たターゲティングと統合が可能です。また、それぞれのアドキャンペーンを最大限に活用するためには、実績のあるアドテクソリューションやプラットフォームを頼りにすることが必要です。

エージェンシーとそのクライアントにとって、アドテクの大きな効果の1つが、プロスペクト(潜在見込み客)とのインタラクションが劇的に向上することです。アドテクによって、すべての広告チャネルを結び付けることができます。以前の広告はスムーズさに欠け、ユーザーには苛立ちを、エージェンシーとクライアントにはフラストレーションをもたらす厄介者でしたが、その時代とはおさらばです。クロスプラットフォームの統一性を生かして、理路整然とした形で着実にユーザーと接触できます

アドテクは、リターゲティングにも対応することで、人気を高めてきました。実際、オンライン広告の支出の約90%はターゲティング広告です。したがって、消え去る気配はありません。

ターゲティング広告の問題は、押し付けがましくなりすぎると、効果が下がる場合があることです。アドテクのデータを基にして、RTB(リアルタイム入札)の選択肢を活用すれば、コンバージョンの可能性が高そうなオーディエンスだけに的を絞ってターゲットにできます。その方法なら、可能性が低い人をしつこく追い回さずに済みます。

アドテク企業とエージェンシーの関係構築

エージェンシーとアドテク企業は、互いの成功にとって欠かせない相棒どうしです。長期的な関係を構築する方法を、力を合わせて探り出していく必要があります。ポイントは、定期的なコミュニケーション、現実的な期待、入念なカスタマイズです。この3つがあれば、互いの関係は自然と強固になっていくはずです。

コミュニケーション

定期的に連絡を取り、互いがオープンに協力し合うことは極めて重要です。ネット広告業界では、仕事を相手に丸投げするような態度はもはや通用しません。

データ、テクノロジ、コンテンツが新たな形で統合している現在では、当事者が最初から最後まで一貫して関与することが必要です。そこで、メディアパブリッシャーがコンテンツやその他のクリエイティブの取り組みについてパートナーと話し合う機会がこれまでにないほど増えています。したがって、アドテク企業やエージェンシーは、「門戸開放」の姿勢を取ることが必須です。

期待

エージェンシーとアドテク企業との関係では、作業を終えるまでに必要な時間も、注視すべき重要な要素の1つです。早く仕上がることは誰もが望むところですが、多くのことが一斉に進みすぎると、手落ちが発生したり、品質に影響が出たりすることもあります。

凡庸な出来のものが明日仕上がって来るのと、素晴らしいものが週末に仕上がって来るのとでは、後者がよいはずです。アドテク企業とエージェンシーの間のフローをスムーズにして、キャンペーンの成功度を高めるには、プロジェクトマネジメントが効果を発揮します。

カスタマイズ

コンシューマーの立場で、あるモバイル広告を見て、興味をかき立てられたとします。次に、パソコンでウェブを見ていたら、同じ広告が出てきました。その後、YouTubeでも、Huluでも、まったく同じ広告が表示されたらどうでしょう。同じコンテンツを目にするのはうっとうしいものです。興味は当然薄れてきます。

同じコンテンツと戦略をすべてのチャネルに流用するのは無理です。そのような恐竜時代の手法は絶対に裏目に出ます。エージェンシーや広告主は、それぞれのチャネルと統合に合わせてクリエイティブをカスタマイズする必要があることを認識しつつあります。メディアに関しては、すべてをお揃いにするという考え方はもはや通用しません。エージェンシーは、パートナーであるアドテク企業と密接に連携することにより、データの解釈を通じて、優れた成果を手にできます。

アドテクでさらなる高みへ

アドテクは大きく発展しています。沈静化の兆しはまったくありません。

アドテクが拡大を続ける中で、エージェンシーは、アドテクのチャンスを生かして、統合を構築したり、データ共有を増やしたり、すべてのチャネルにわたってリーチを拡大したり、コンテンツに対する統合を整理したりできます。

ある調査によると、エージェンシーの39%は、クライアントに対するセールストークの中で、アドテク企業とのパートナーシップを既にアピールしているそうです。

アドテク企業とエージェンシーがパートナーになることで、ユーザーエクスペリエンスに次第に磨きがかかり、プラスの効果が生まれます。アドテク企業との長期にわたる関係を生かすことに打ち込んだエージェンシーは、その恩恵を手にすることができます。

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インターネット広告 基礎と運用・効果測定ガイド

編集メモ:この記事は、2017年3月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Tom Alexanderによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

 インターネット広告 基礎と運用・効果測定ガイド

元記事発行日: 2017年7月06日、最終更新日: 2023年1月18日

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