WordPressでの多言語化設定方法と注意点を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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国内Webサイトの多言語対応の必要性が高まっています。日本のインバウンド需要が増え、日本の商品やサービスに関心のある外国人が、日本のWebサイトにアクセスする機会が増えています。

WordPressでの多言語化設定方法と注意点を解説

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せっかく自社サイトを訪れていただいたのに、言語の問題で離脱されてしまうのはお互い機会損失です。できる限り早急に多言語対応しておくべきでしょう。

今回は、多くの企業が利用されているWordPressの多言語対応の方法や注意点を説明します。

WordPressを使ったウェブサイトの作成方法

企業サイトにおける多言語化の重要性

訪日外国人動向2020 - 観光統計 - JTB総合研究所

JTB総合研究所のWebサイトで、1964年以降の訪日外国人数の明らかな増加傾向が確認できます。

外国人から見た日本のICT・文化

また、平成28年度 情報通信白書「第1部第4節 外国人から見た日本のICT・文化」によると、訪日経験者の割合が高い国ほど、日本のコンテンツについて関心があることがグラフで示されています。

近年、訪日外国人が増加していますので、海外からの国内Webサイトのアクセスが増える可能性は高いと言えます。

Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを利用して、貴社の企業サイトがどこの国や都市からアクセスされているか確認してみましょう。もし海外からのアクセスが一定数あれば、多言語化することでより見てもらえる環境を整備した方が良さそうです。
 

WordPressで多言語対応する方法

Webサイトを多言語化する方法は、大きくは次の4つに分けられます。

  • 言語別にサーバーを分ける
  • マルチサイトで言語・地域を分ける
  • 多言語に対応したWordPressテーマを選ぶ
  • 多言語プラグインを使う

それぞれの詳細を確認してみましょう。
 

言語別にサーバーを分ける(ccTLD)

国別のホスティングサーバにWordPressをインストールしてWebサイトを構築します。例えば、イギリスからはイギリス内のサーバーにアクセスしてもらうことにより、アクセス速度の遅延を小さくできます。ただし運営コストは大きくなります。
 

マルチサイトで言語・地域を分ける

同一サーバー内で、複数のWebサイトを構築して多言語に対応します。サブドメインを設定する場合と、サブディレクトリを設定する場合の2つの方法があります。言語ごとにWebサイトのカスタマイズができますが、サイト管理の負荷は多言語した分だけ増加します。

方法 ドメイン名の例
サブドメイン ja.sample.com
en.sample.com
サブディレクトリ https://sample.com/ja/
https://sample.com/en/

 

多言語に対応したWordPressテーマを選ぶ

WordPressテーマの中には、多言語化を前提に作られたテーマがあります。1つのサーバーで、マルチサイトを作成することなく多言語対応できます。
 

多言語プラグインを使う

多言語機能は、プラグインでも追加できます。多言語プラグインは次の3つに分類されます。

方法 プラグインの例
マルチサイト用プラグイン
(1言語1サイト方式)
Multisite Language Switcher、Multilingual Pressなど
1言語1記事方式プラグイン WPML、Polylang、Bogoなど
1記事複数言語型プラグイン
(1記事の管理画面で複数言語を管理)
qTranslate Xなど

本記事では、比較的手軽に導入できるWordPressテーマとプラグインに絞ります。次の見出しで、おすすめできるテーマ、プラグインをご紹介します。
 

多言語化対応のWordPressテーマ

WordPress テーマ | WordPress.org 日本語

まずは多言語対応のテーマから。もしデザインやレイアウトが理想通りのものが見つかれば、一度導入してみても良いでしょう。
 

CORPORATE

コーポレートサイト多言語対応WordPressテーマ | LIQUID PRESS

《特徴》
マルチサイト型で多言語化を実現する方式なので、サブディレクトリ、サブドメインなどの事前準備が必要となります。また、Google推奨の言語アノテーション(hreflang)に自動対応しています。

《価格》

  • 9,900円(税別)  ※商用利用可、著作権表示削除可、設置数等制限なし
     

Real Estate Agency WordPress Theme

Real Estate Agency Responsive WordPress Theme #57617

《特徴》
広い背景表示やスライダー機能を備えた、不動産販売向けのテーマです。シンプルな構造のため、不動産販売以外でも使えそうです。なお、Retinaディスプレイ(高画素密度のディスプレイ)に対応しており、iPhoneなどでサイトの見栄えを向上できます。本テーマは多言語プラグイン「WPML」を正式サポートしています。

《価格》

  • One Time Usage License  75ドル
     

Financial Vision WordPress Theme

Financial Consultant WordPress Theme

《特徴》
金融関連企業の利用を想定して開発されたテーマです。シンプルでわかりやすいUI設計のため、イメージが合えばどの業種でも活用できそうです。なお、Retinaディスプレイ(高画素密度のディスプレイ)に対応しており、iPhoneなどでサイトのサイトの見栄えを向上できます。本テーマは多言語プラグイン「WPML」を正式サポートしています。

《価格》

  • One Time Usage License  75ドル
     

企業サイト多言語化に役立つWordPressプラグイン

WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語

既に企業サイトを運用しており、テーマの変更が難しい場合は、プラグインの導入がおすすめです。多言語プラグインには以下の3つのタイプがあります。

  • マルチサイト用プラグイン

    1言語毎に1サイト(サブドメイン、サブディレクトリ)を割り当てる方式に対応したプラグインです。言語が増えればその分サイトが増えるため、開発負荷や管理負荷が大きくなりますが、サイト別(言語別)のカスタマイズはしやすくなります。

  • 1言語1記事方式プラグイン

    1言語毎に1記事を割り当てる方式に対応したプラグインです。例えば、3言語対応の場合は3つの記事を作成する必要がありますが、言語毎に写真や表現を変更するなどの対応がしやすくなります。

  • 1記事複数言語型プラグイン

    1つの記事に複数の言語を記載する方式です。1つの管理画面内で複数の言語を編集できるメリットがありますが、コンテンツが増えると重くなる傾向があります。また独自タグを利用するため、他プラグインと干渉するリスクがあります。

本記事では、サイトの開発・管理負荷と言語毎のカスタマイズ性のバランスがとれた「1言語1記事方式プラグイン」にフォーカスし、その中からおすすめのプラグインを紹介します。
 

WPML(onTheGo Systems社) 

WPML - WordPress用多言語プラグイン

WPMLは導入実績が多く、定番と呼べる有料プラグインです。WordPress APIを使うほぼすべてのテーマ・プラグインと互換性があるため、高い汎用性があります。有料プラグインのため、セキュリティ対策、SEO対策、サポート面で安心感があります。

《料金》

  多言語ブログ
WordPressブログ対応
Multilingual CMS
WordPress完全対応
多言語エージェンシー
多数のウェブサイト対応
最初の1年 29ドル 79ドル 159ドル
年間更新 21ドル 59ドル 119ドル

 

Polylang

Polylang – WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語

WordPress言語パックの利用により対応言語の多い無料プラグインです。日本語で記事などのコンテンツ、タグ、カテゴリーを作成しておき、多言語化したコンテンツ、タグ、カテゴリーを関連付けるイメージです。なお、「Lingotek Translationプラグイン」をインストールすると、自動翻訳機能を追加できます。
 

Bogo

Bogo – WordPress プラグイン | WordPress.org 日本語

問い合わせフォーム「Contact Form7」を開発したTakayuki Miyoshi氏による無料プラグインです。少し専門的になりますが、Bogoの特徴は「データベースに独自のテーブルを追加しない」ことです。この特徴により、プラグインの競合や動作不具合の発生リスクを小さくしています。

またデフォルト設定ではクッキーを利用しないなど、プライバシーに配慮されたプラグインです。
 

企業サイト多言語化の注意点

テーマやプラグインを利用すれば簡単に多言語対応できる環境は整いますが、それだけで完了するわけではありません。海外の方にもしっかり見ていただけるWebサイトになるよう、以下の2点に注意しましょう。
 

単純な翻訳ではなく、質の高いコンテンツ作りを前提に

多言語化は単なる翻訳作業ではありません。作業の過程で自動翻訳ツールを利用することもありますが、最終的には人(できればその言語を母国語にする人)によるチェックが重要です。

正確だから良いというもではなく、サイトのユーザーがアクションを起こす際に違和感のない表記を選択することが大切です。「違和感がないか」と言う微妙なニュアンスは、やはり母国語として利用している方にしかわからない場合がほとんどです。
 

各国の文化を理解し、誤解を招きそうな表現は控える

日本では良しとされている表現でも、他国ではNGな場合があるので注意しましょう。テキストだけでなく、画像や写真の選択にも注意が必要です。親指と人差し指で輪を作るOKサインの場合、日本では全く問題ありませんが、多くの国ではネガティブイメージがあるため避けるべきです。
 

同じ言語でもどの国、地域で使われているかによって大きく違うことを理解する

また、同じ言語でもどこの地域で使われているかで大きく変わってきます。英語の場合「アメリカ英語」「イギリス英語」「オーストラリア英語」があります。中国語にも「北京語」「広東語」があります。多言語化を行う際は、、ターゲットユーザーの国や地域まで想定しておきましょう。
 

どの言語でも、コンテンツの質を意識しよう

多言語化するにあたり、開発コストや管理負荷が大きい順番に記載すると以下のようになります。

  1. 言語別にサーバーを分ける (ccTLD)
  2. マルチサイトで言語・地域を分ける
  3. 多言語に対応したWordPressテーマを選ぶ
  4. 多言語プラグインを使う

複数のサーバーやマルチサイトを準備した場合、各サイトのカスタマイズの自由度が大きくなるメリットがありますが、その分開発コストや管理負荷が大きくなります。もし自社のWebサイトがWordPressを利用している、利用する予定であるなら、多言語に対応したテーマやプラグインを利用することにより、比較的簡単に多言語化を実現できます。

多言語化の方法を決めた後は、海外ユーザーに違和感なく見てもらえるようなコンテンツを作成しましょう。国ごとの習慣、マナーに注意を払って、テキストや画像を準備する必要があります。できれば翻訳する言語を母国語にする人に自然な文章になっているか確認してもらいましょう。もし、不快感を与えてしまう表現があればその時点で離脱されてしまうかもしれません。

多言語化はWeb開発の側面とコンテンツ作成の両方に注力する必要があり、とりあえず意味だけが伝わるよう翻訳すれば良い、というのは間違いです。良質なコンテンツは、他社と差別化できるポイントとなります。どのような言語でも相手にとって有益な情報を届けることを意識しましょう。

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