HubSpot Marketing Blog

2017年10月04日

顧客に愛されるコンテンツとコードを書く

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create-content-code皆さんご存知のとおり、インバウンドマーケティングの要は、優れたコンテンツを創り出すことであり、HubSpot(ハブスポット)の本領もそこにあります。

しかし、いくら良質のコンテンツを書いても、その企業が優れたコード(=製品)を持っていなければ、砂上の楼閣になりかねません。私自身、長年コードを書いてきた「ギーク」でもあるので、トップレベルの企業になるには、優れた製品と優れたプロモーションの両方が重要であると実感しています。

単に「許容される」というだけでなく、プロスペクト(潜在見込み客)、リード、そして顧客に「愛される」製品とプロモーションが必要なのです。

幸運なことに、私は過去5年にわたり、ここ米国ボストンで「Business of Software」カンファレンスに出席し、愛されるコードとコンテンツを書く方法について学んでくることができました(もちろん今年も出席する予定です)。そこで今回の記事では、これまでのカンファレンスでパネリストたちが教えてくれた素晴らしいアドバイスを紹介したいと思います。

「すごいと思われることを目指すのではなく、ユーザーをすごい人にしてあげること」 -- Kathy Sierra氏、Serious Pony

最初に紹介するのは、私が深く尊敬している女性で、ハブスポット社内にもファンの多い、Kathy Sierra氏が去年の講演で教えてくれたアドバイスです。Sierra氏は、近年のトレンドとして、消費者の広告に対する信頼度が下降していること、一方で友人や同僚からのおすすめに対する信頼度が上昇していることについて話してくれました(このことからもインバウンドマーケティングの重要性が分かります)。

そして、このトレンドを受け、多くの企業やブランドは良い評判を獲得するために、「すごいと思われること」に力を注いでいます。これは一見優れたビジネス戦略のように思えますが、「すごいと思われること」を目指した戦いは熾烈であり、勝てる企業はごくわずかだと、Sierra氏は言います。

Sierra氏が提唱しているのは、まったく別のアプローチです。それは、「ユーザーが最初の30分で価値を見出すことができるような、本質的に価値のあるシンプルなアプリケーションやエクスペリエンスを創り出すこと」です。

私は最近、IT企業の一大拠点となっている西海岸に出張したのですが、その際にこの金言にあらためて納得させられました。DropboxやNew Relicのような企業が成功している理由のひとつは、ユーザーエクスペリエンスが直感的で理解しやすく、初めて製品を使った瞬間から、その価値を実感するまでの時間が非常に短いことです。

Sierra氏は、ユーザーに価値を分かってもらえるまでの時間を短くすることこそ、私たちが製品開発の際に目指すべき目標だと語っています。

「誰かに見られていると思ったら、人はより熱心になる」 -- Joel Spolsky氏、Stack Exchange

次は、Stack Exchangeの経営者、Spolsky氏のアドバイスです。Stack Exchangeは、インターネット上でも非常に人気の高いコミュニティで、そのユーザー数は220万人に上ります。これは素晴らしい偉業ですが、Stack Exchangeプラットフォームの成功の理由を尋ねられた時、Spolsky氏はこう答えました。「大切なのはコードだけではない。質の高い議論を行えるコミュニティの文化が、熱心なユーザーを引き寄せているのだ」と。

昨年のSpolsky氏の講演で、特に私の心に残ったインサイトがあります。それは、「あるサイトが自分にとって重要で関連性があるかどうかを、ユーザーは最初にそのサイトから受ける印象で判断している」というものです。例えば、高度な物理に関する答えを求めて質疑応答サイトを訪問したのに、最初に目に入ったのがアパートを探す方法だったとしたら、そのユーザーはおそらくそのサイトから離脱してしまうでしょう。

Stack Exchangeのようなビジネスモデルでは、どうすれば訪問者やプロスペクトユーザーに「正しい場所に来た」「必要な答えがすぐに見つかる」「積極的に参加できるコミュニティを見つけた」と思ってもらえるのかを知ることが欠かせません。そこで、同社は評価システムやルール作りに力を入れ、分野ごとに質疑応答形式で良質な議論が展開できるようにしました。

そうすることで、サイトが与える印象を高めたのです。その結果、ユーザーにとって有益なサイトが出来上がりました。プロダクトマネージャーやマーケターの方は是非、この例を参考に自社のウェブサイトについてふり返ってみてください。ターゲットオーディエンスやコミュニティの心を捉えるような印象を与えられていますか?

Spolsky氏による2つ目のアドバイスは、どうすれば人をその気にさせられるかについてです。同氏の話は次のようなものでした。――あまり意味のなさそうなインターネット上の褒章もらうために自分の行動を変えるかと聞かれたら、多くの人は「そんなことするわけない」と答えます。しかし文化人類学的にも、人間心理学的にも、人は誰かに見られていることが分かると行動を変える傾向があります。オンラインであれオフラインであれ、若者であれお年寄りであれ、開発者であれ医者であれ、この傾向は共通しています。

確かに自分の行動、服装、仕事、貢献、知性などを誰かが見てくれていると、人はそれに対してより一層誇りを感じるようになります。Stack Exchangeで回答している人たちも、他の人に「親切」あるいは「知的」だと評価されたい気持ちが少なからずあるでしょう。こうした他者からの評価に比べたら、褒章、ソーシャルプルーフ、褒美などが人に与えるインセンティブはそれほど強くありません。

Stack Exchnageはこの点をうまく突き、単に質問に回答するだけでなく、「インターネットの利益となる、永続的で有益な所産」を創り出すというビジョンを掲げることで、ユーザーたちにインセンティブを与えているのです。人をその気にさせるには大切なミッションを与えることが重要です。そうすれば関心のあるユーザーが自然と貢献し、コラボレーションし、明確に定義されたカルチャーの規範を維持してくれるはずです。

「創造性が高価だと思うなら、論理を試してみるといい」 -- Rory Sutherland氏、Ogilvy Group

私はデータに裏付けられた論理的な意思決定を支持しています。しかし同時に、「多くの企業で『合理性』が危険なほどのさばっているが、実は世界トップレベルの企業の多くは卓越した人間のインサイトから生まれている」という、Sutherland氏の洞察にも深く納得しています。Sutherland氏が2011年のカンファレンスで行った講演では、今あるものより「機能が優れた」製品を作るだけでは十分でないということを教わりました。機能面で少し改良しただけの製品というのは、おおむね大失敗するのだそうです。

どのような製品であれ、似たような製品は何千と存在します。しかし、マーケットにおける製品の評価は人の経験則に左右されます。そういう意味で、起業家、ディベロッパー、マーケターたちは、バリュープロポジションには根本的に人間的な側面があるということを忘れてはならないでしょう。少し機能が優れている、異なる、高価、という客観的事実だけでは十分ではないのです。そうした違いを、関連するリスク、利点、価値とからめて、顧客の心に響くように人間的な意味づけして伝えることが重要なのです。

合理性が危険になりうることは、私たち皆が知っています。データを盾にして何かを主張するのはとても簡単ですし、時には顧客が何を望んでいるかすらもデータだけで判断してしまうこともあります。そうしていると、自社の製品が既存顧客のニーズを満たしていない場合も、すぐには表面化しないので気づくことができません。

何か月あるい何年後かに他の製品に乗り換えられて初めて分かるのです。私たちのようにSaaSを提供している場合は、長期にわたって顧客との関係を維持することで、最初に顧客獲得にかかった費用を回収していくので、長期的な顧客関係を維持できるかどうかは社の命運を左右します。

逆に、状況が悪化していたり、顧客に不満があるときには、大きな目標を掲げたり、創造性の限界を押し広げたり、デザインを見直したりといった「創造性」だけでは十分ではありません。世界のトップ企業は、創造性と合理性をバランスよく組み合わせて、実社会で人間が抱えている問題を解決し、意味のある新しい方法で人々の暮らしを良くしています。そして顧客のニーズに応えるために常に進化しているのです。

「理想のユーザーのためではなく、生身のユーザーのために製品を設計しなさい」 -- Don Norman氏、Nielsen Norman Group

このNorman氏の教えがどれほど重要か、私の個人的な経験をお話しましょう。皆さんご存知の通り、ハブスポットではインバウンドマーケティングソフトウェアを販売しています。これは、プロスペクト、リード、顧客を引きつけ、エンゲージできるように、ブログ、SEO、SNS、アナリティクス、メール機能を統合したソフトウェアです。もちろん私たち自身も、ブログ、SNS、メールなどのマーケティングを通じてオーディエンスとエンゲージする際には、自社のソフトウェアを使っています。

これ自体は非常に素晴らしいことなのですが、ともすると自社製品を使っている他のユーザーも、自分たちと同じだと錯覚してしまう危険があります。つまりお客さまのことを、自分と同じようにインバウンドマーケティングの価値を理解し、実感している人たちだと考えてしまうのです。

しかし、実際には、私たちの製品を使ってくださっているビジネスオーナーやマーケターの方々は千差万別です。お客さまの時間、エネルギー、労力、予算、そして利用用途に合わせて、製品を設計、提供していかなければなりません。

これには、素晴らしい機能を追加することだけでなく、直感的でなかったり、価値のなくなった機能を削除することも含まれます。シンプルであることは非常に重要です。そして、空想上の顧客像ではなく、実際のお客さまの立場に立って考えることです。Norman氏のアドバイスの通り、理想のユーザー像に基づいて開発した製品は、誰からも愛されません。現実の人間のために開発しましょう。そうすればきっと成果が得られるはずです。

今年のBusiness of Softwareカンファレンスにおける、Sierra氏の講演テーマは「未完の仕事」です。この記事を締めくくるのにふさわしいテーマだと思いませんか。卓越したプロダクトデザイン、秀逸なマーケティング、優れたユーザーエクスペリエンスは、常に高みを目指す絶え間ない向上心から生まれます。スタートアップやソフトウェアの世界では、一発屋では成功は望めません。ユーザーの暮らしを、より快適に、シンプルに改善していく、継続的なイノベーションが求められるのです。

編集メモ:この記事は、2013年10月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Dharmesh Shahによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

トピック: Webデザイン

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