営業戦略の設計に欠かせない代表的な4つのフレームワークを解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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営業戦略は、チームや部署が目標達成に向けて適切な行動をとるために必要なものです。事業目的や市場環境、競合他社、商品価値など多様な要因をもとに設計されます。

営業戦略の設計に欠かせない代表的な4つのフレームワークを解説

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営業戦略を立てる際、思考を整理し重要なポイントを見過ごさないために用いられるのが『フレームワーク』です。フレームワークを活用することで、思考プロセスの短縮化・最適化が可能となります。

ここでは、営業戦略立案における代表的な4つのフレームワークをご紹介します。それぞれの特徴を知り、営業戦略の立案に役立ててみましょう。

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    営業戦略の立案にフレームワークを活用するメリット

    営業戦略の立案にフレームワークを活用するメリット

    営業戦略を立てる際に、フレームワークを活用するメリットとしては以下の2点が挙げられます。
     

    効率的に戦略設計できる

    フレームワークは、数学でいう「公式」のようなものです。あらかじめ決まっている式に必要な情報を当てはめ、最短で「答え」を得ることができます。

    もちろん、営業と数学は異なるものです。営業戦略には数学以上に多様な要因が関係し、それゆえに思った通りの結果にならないこともしばしばあることです。

    しかし、価格・競合・ターゲットの属性・サービスの特徴といった売上を左右する要因が多数あるからこそ、フレームワークが役に立ちます。手順や入れるべき情報が決まっているので、「戦略設計する上でどのような情報が必要なのか」を考える必要がありません。
     

    戦略が整理されるので見直しやすい

    フレームワークを利用するもう一つのメリットは、戦略が正しいかどうかが見直しやすくなる点です。例えば、「売上が増えない」という課題に対し、ボトルネックを探るとします。売り上げには、顧客数や客単価、競合の状態など無数の要素が絡んでいる中でフレームワークを活用して各要素を整理すれば、原因を特定しやすくなります。原因が特定できればとるべき営業戦略が明確になり、戦略の見直しもスムーズに進められるでしょう。
     

    営業戦略で使える代表的な4つのフレームワーク

    営業戦略で使える代表的な4つのフレームワーク

    ここからは、営業戦略の設計に活用できる代表的な4つのフレームワークをご紹介します。
     

    フレームワーク1「3C分析」

    市場環境と競合関係を分析し、営業戦略の成功要因を導き出すために用いられるのが3C分析です。ターゲットを明確にし、自社の強み・弱みを客観的に分析することで、事業の方向性や営業の方向性を決めることができます。

    3C分析の3Cとは、顧客・競合企業・自社を指します。

    • 顧客(=Customer)
    • 競合企業(=Competitor)
    • 自社(=Company)

    3C分析を用いるメリットは、事業を取り巻く外部要因と自社にある内部要因が明確になる点です。

    顧客(Customer)では、自社がおかれている市場や、ターゲットとなる顧客の特徴、顧客のニーズ、顧客の購買行動などを分析します。

    競合企業(Competitor)では、競合する他社の売上、営業利益、価格競争力、マーケティング手法、市場シェアなど、どのように市場や顧客に対応しているのかを分析します。

    自社(Company)では、自社の売上、営業利益、商品特徴、市場シェアなど、持っている強みと逆に外部要因に適さない弱みを分析します。

    顧客と競合企業という2つの外部要因、そして自社という内部要因を組み合わせることで、自社が最もシェアを取りやすい市場・顧客を明確にしたり、自社の強みに合わせた営業手法を検討したりすることが可能です。
     

    3C分析の活用方法


    3C分析が活きるのは新事業の方向性の決定や新商品のマーケティング戦略、新規店舗の出店など、戦略の大枠を決めるタイミングです。営業戦略では、新しい商品を顧客にどのように売り込むのかなど、ターゲットの確認と商品の強みの分析に役立ちます。つまり、3C分析によりビジネスのKSF(成功要因:Key Success Factor)を見つけ出すことができます。
     

    フレームワーク2「SWOT分析」

    SWOT分析とは、営業戦略で重点的に取り組むべきテーマを明確にできるフレームワークです。内部環境と外部環境のそれぞれ強みと弱みを分析することで、市場拡大や進出につながる魅力を強化し、マーケットなどの外部要因が抱える脅威に備えます。自社の強みを活かし、弱みは補強する方向性を判断できるフレームワークといえます。

    SWOT分析では自社を取り巻く環境を内部と外部にわけ、以下の4つの視点から分析をおこないます。

    • 「強み(=Strength)」
    • 「弱み(=Weakness)」
    • 「機会(=Oppotunity)」
    • 「脅威(=Threat)」

     

    強みと弱みは「内部環境」、機会と脅威は「外部環境」に分類されます。内部環境と外部環境の違いは、自社がコントロール可能なものであるかどうかです。

    SWOT分析を行う際は、市況、法律、技術革新といった外部環境の分析からはじめ、次に内部環境の分析に移ります。すべてを洗い出そうとせず、事前に仮説に基づいた項目を決めておくことが重要です。

    SWOT分析では、強みや弱みの各項目のみに注目しないよう気を付けましょう。「強みと機会を活かすにはどうしたらいいか?」「弱みを補強するために強みをどうアピールするのか?」といったクロス分析が有効です。

    そして分析した結果に優先順位をつけ、強みを活かす方向に目を向けましょう。
     

    SWOT分析の活用方法


    SWOT分析は、自社の市場機会や事業課題を発見できるフレームワークです。3C分析で業界と自社の分析を行ったあと、さらにブレイクダウンした戦略目標を考える際にSWOT分析が有効です。3C分析で整理した事実情報をもとに、SWOT分析のフレームワークに当てはめながら状況を解釈しましょう。
     

    フレームワーク3「4P分析」

    事業の方向性や営業戦略で重視する強みを3C分析やSWOT分析で明らかにしたあとは、商品やサービスの具体的な販売方法を検討する4P分析を活用します。

    「何を」「いくらで」「どこで」「どのようにして」売るのかを分析・検討するためのフレームワークです。

    • 「どのような商品・サービスを(=Product)」
    • 「いくらで(=Price)」
    • 「どのような経路で(=Place)」
    • 「どのように売るか(=Promotion)

    Productの商品・サービスの部分では、「自社が売り込みたい商品像」だけではなく、「顧客に必要とされる商品・サービスとは何か」の観点からも検討します。営業戦略を具体的に立てる過程では、顧客のニーズを満たす商品・サービスを開発し続ける視点が重要です。

    Priceは市場で販売する価格を検討します。価格設定は営業戦略においても重要な要素です。設定する価格は、ターゲット層に見合っていなければいけません。商品の魅力と価格の適正値が、ターゲットに対してバランスよく映るのかを分析します。

    どのような経路で・どこで売るかのPlaceは、商品の流通戦略の基礎となります。ターゲット層の特性に合わせて、適切な流通戦略を立てなければいけません。ブランドイメージとターゲットの行動経路が噛み合うよう、販売チャンネルの分析をおこないます。

    最後は、販促の方法を分析するPromotionです。大勢のターゲットに向けて発信する際は新聞や広告のようなマスメディアが、ターゲットを絞って販促を行う際はダイレクトメールやリスティング広告のような販促手法がとられます。
     

    4P分析の活用方法


    4P分析は、具体的に商品・サービスの営業戦略を固め、実行プロセスにつなげるために利用されるフレームワークです。「何を」「いくらで」「どこで」「どのようにして」を単体で検討するのではなく、それぞれの整合性が重要になります。

    商品の強みをどう価格設定に反映するのか、ターゲットと商品に適した販売チャンネルはどこかなど、4P分析を活用し営業戦略をブレイクダウンしましょう。
     

    フレームワーク4「ランチェスター戦略」

    ランチェスター戦略は、「規模が大きいほうが圧倒的に優位(規模の経済)」という市場法則のもと、弱者が強者に勝つための戦略を考える際に利用されます。

    20世紀初頭において軍事的な分析に活用された数理モデルが基礎となったフレームワークです。

    「弱者の戦略」「強者の戦略」と呼ばれ、ランチェスター戦略はそれぞれのとるべき戦略を示します。ビジネスの場における弱者と強者は、以下のように定義されます。

    • 弱者=市場のシェア2位以下の企業
    • 強者=市場のシェア1位の企業

    市場におけるシェア1位というのは、圧倒的な存在です。ここでいう「市場」とはマーケット全体ではなく、自社の商品・サービスの販売先となる特定の市場のことを指します。ランチェスター戦略では、自社の目指すマーケットで1位になるために、競合他社と比べて自社が優れている点に経営資源を集中投下します。
     

    ランチェスター戦略の活用方法


    ランチェスター戦略は、市場における弱者と強者の立場からどのように営業戦略を立てていくかを分析するフレームワークです。

    市場シェアが2位以下であれば、シェア1位と同じ営業戦略を立ててもターゲット顧客を取り込むことは難しくなります。そうではなく強者の手が届きにくい地域に「局地戦」を展開したり、商品の強みを強調したりする「一点集中主義」の商品戦略を展開します。地域限定で展開する飲食店などは、このランチェスター戦略を活用しているといえるでしょう。

    ニッチ戦略とも呼ばれ、営業戦略のターゲットとなる顧客、販路、地域等を細かく分けて特定フィールドに集中することで、シェアを確立できるというのがランチェスター戦略です。
     

    フレームワークを活用し、成功する営業戦略を立てる

    フレームワークを活用し、成功する営業戦略を立てる

    より成功率が高くかつ現実的な営業戦略を立案するには、フレームワークを効果的に活用することが大切です。さらに、事前に「ペルソナ」および「ペルソナに基づいたカスタマージャーニー」を明確にしておくと、フレームワークを使った分析がより深くおこなえるでしょう。

    HubSpotの『営業計画の無料テンプレート』には、ターゲットや市場分析に必要な項目が盛り込まれています。テンプレートに沿って情報を整理することで、自社サービスや製品の強みを明確にし、とるべき戦略が明確になるでしょう。

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