ランディングページ(LP)の成果(コンバージョン)を評価するには、まず業界平均のコンバージョン率(CVR)を把握する必要があります。業界全体の水準を把握したうえで自社のLPの現状を理解し、売上計画などに応じて適切な改善目標や施策を設定することが重要です。
本記事では、LPのコンバージョン率の一般的な目安や業界別の平均値、CVR向上のための具体的な施策、事例などを詳しく解説します。
ランディングページ(LP)の平均的なコンバージョン率(CVR)は約2~3%程度とされています。この数値を基準とすると、現在運用中のLPで3%以上のCVRが出ていれば、ある程度良好な成果が出ている状態であると判断可能です。
ただし、コンバージョン率は業界や商材によって大きく異なります。さらに、検索広告(リスティング広告)やディスプレイ広告など流入経路によっても変動するため、自社業界の平均値とチャネル別の傾向を把握しておくことが重要です。
一般的な業界別・チャネル別の平均CVRは次の表の通りです。
参照元:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
表からは、検索連動型の広告(リスティング広告)のほうがディスプレイ広告よりも高いCVRを示す傾向があることがわかります。これは、検索ユーザーの方が課題解決に向けて主体的に行動しており、購入意欲が高いためです。
コンバージョン率は、次の計算式で求められます。
例えば、LPへの訪問数が10,000回で、そのうち商品購入(コンバージョン)が200件発生した場合のコンバージョン率は次のように算出できます。
このように、シンプルな計算式でLPのコンバージョン率は算出できます。
LPのCVRが停滞している背景には、さまざまな要因が絡んでいます。ここでは、CVRの低下につながる8つの原因を解説します。
広告のターゲティングが商材の特性に合っていないと、コンバージョン率は低下します。例えば、高級ブランド品の広告を10代後半~20代前半のユーザーに配信しても、購買力が商材に見合っていないため、コンバージョンしづらくなります。
このようなケースでは、広告の配信設定を見直し、ペルソナに合った層にターゲティングを行うことが重要です。
検索広告で集客を行っている場合は、キーワード選定にも工夫が必要です。情報収集段階ではなく比較・検討段階のキーワードに重点を置くことで、より購入意欲の高いユーザーを集客できます。
キーワードや広告文とLPの訴求内容にズレがあると、ユーザーは「自分が求めている情報と違う」と感じて離脱してしまいます。例えば、「ニキビ 薬」で検索したユーザーはニキビそのものを治す薬を探している状態です。そのため、クリック先が「ニキビを隠すファンデーション」のLPに遷移しても、すぐに離脱する可能性が高まります。
検索広告では、キーワードのマッチタイプを「インテント マッチ(部分一致)」に設定すると、関連したクエリで幅広く表示できる一方で、関連性の低いクエリまで拾ってしまいます。定期的に実際の検索クエリを確認し、不要なキーワードを除外設定することで、無駄な広告配信を抑えられ、コンバージョン率アップに寄与します。
また、AIで広告文を自動生成している場合も、LPの内容との一貫性を必ず確認しましょう。
LPは広告の受け皿となるケースが多いため、LPのメインメッセージやクリエイティブの方向性を広告に合わせることが大切です。
内容やデザインが広告と大きく異なるLPに遷移してしまうと、ユーザーは「間違ったページに遷移してしまったのでは?」と不安を抱き、すぐに離脱する可能性があるでしょう。例えば、40代女性向け化粧品の広告であるにもかかわらず、LPのファーストビューに20代女性の写真が使われていると違和感を与えてしまいます。
広告のクリエイティブとLPのメッセージ・デザイン・トーンを統一し、ユーザーの期待に沿う一貫したページ体験の提供が重要です。ユーザー視点に立ったうえで、広告からLPに遷移した際に違和感がないかを確認しましょう。
LPのコンテンツがユーザー視点に立った訴求になっていなければ、自社の商品・サービスの魅力を十分に伝えられず、購買意欲を促進できません。商材の機能や特徴をただ羅列するだけではなく、ユーザーが抱える悩みを理解し、その解決策として商材を提示する構成に整えることが重要です。
なお、ペルソナ分析が不十分な場合も、表現やコンテンツがユーザー心理に響かず、興味を持ってもらえずに離脱される可能性が高まります。ペルソナが本当に求めている情報やメリットは何かを常に考え、コンテンツに反映させましょう。
LPで設定しているコンバージョン(ゴール)のハードルがユーザーにとって高すぎると、CVRは低くなります。「今すぐ購入」「契約はこちら」など、最終的な購入や契約に近くなるほど、ユーザーの心理的負担は増大し、行動に至りにくくなるためです。
コンバージョン率が低い場合は、資料請求やお問い合わせ、無料トライアルなど、行動を起こしやすいコンバージョンに変更する方法がおすすめです。また、ユーザーがアクションを起こす際に感じる疑問や不安を解消できるコンテンツをLPに追加するのも良いでしょう。
LP内のエントリーフォーム(入力フォーム)でユーザーが離脱してしまうケースも少なくありません。CVRが低い一方で、ページ滞在時間やCTAクリック率に大きな問題が見られない場合は、フォームへの入力の段階で離脱が発生している可能性があります。
フォームの使い勝手が悪ければ、ユーザーは途中で入力を諦めてしまいます。特に、スマホで多数の項目を入力をしなければならない場合、大きなストレスを感じるでしょう。
フォームの使いづらさにはさまざまな要因が考えられますが、特に次のポイントを確認してみてください。
エントリーフォームの見え方や使い勝手は、パソコンだけでなくスマホからも必ず確認しましょう。
サイトのUIが閲覧しづらかったり操作しにくかったりすると、CVRは下がります。例えば、「ページ表示が遅い」「ポップアップ表示が多すぎてコンテンツを読みにくい」「どこをクリックすれば良いか分からない」といったケースです。
ユーザーがコンテンツに興味を持ったとしても、CTAボタンの配置や導線が悪いと、「申し込み方法が分からない」という状態になり離脱につながるでしょう。スクロール中に誤ってボタンを押してしまうようなUIもユーザー体験を損ねてしまうため、CVRの低下を引き起こす一因です。
UIの確認時は、スマホでのレスポンシブ対応が不十分で「文字が小さすぎる」「ボタンが押しにくい」などの問題がないかも確認しましょう。
商材によっては、時期的な需要変動がCVRに影響することがあります。年間を通じてCVRに波がある場合は、商材の需要がオフシーズンに入っているかを確認しましょう。
例えば、脱毛サロンや痩身エステは夏前に需要が高まりCVRが上がる一方で、冬場は契約につながりにくくCVRが下がる傾向があります。
時期的要因でCVRが低迷している場合、いくらLPを改善しても大幅なCVR向上は期待しづらくなります。長期的にCVRの推移を分析し、季節要因が潜んでいないか確認してみましょう。
LPのCVRを改善するには、原因に応じた適切な施策を講じることが大切です。ここでは、CVR向上のために有効な、9つの改善方法をご紹介します。
CVR向上には、その前提として、ターゲット(ペルソナ)を明確に設定することが不可欠です。性別・年齢・地域などの基本属性はもちろん、趣味嗜好やライフスタイル、抱える課題、よく利用するメディアや検索のタイミングまで、具体的に設定しましょう。
ターゲットを具体化するとニーズが明確になり、LPで強調すべきポイントやデザインが具体的に把握しやすくなるほか、広告の配信先や訴求内容を最適化できます。ユーザー視点に立ったうえでLP施策の全体を設計すれば、CVRを改善できる可能性が高まります。
ユーザーはページ表示後数秒で「このLPを見る価値があるか」を判断します。そのため、第一印象を決めるファーストビュー(FV)に伝えるべき情報が過不足なく揃っているか確認しましょう。
具体的には、コピーや見出しで商品概要や強みを端的に伝え、魅力的なメインビジュアルで関心を引きましょう。ユーザーが求めるキーワードやニーズに対応したメッセージもFV内に含めれば、「自分に関係ある内容だ」と感じてもらいやすくなります。
さらに、広告文とFVの内容を一致させることも重要です。広告で期待した情報がFVに示されていれば安心感につながり、CVR向上にも寄与します。
LPのコンテンツは常にユーザー視点で組み立てることが大切です。ペルソナになりきって「どのような情報があれば安心して次のアクションに進めるか」「不安を感じる理由は何か」を考えながら、適切にコンテンツを配置しましょう。
ポイントは、自社が伝えたいことを並べるのではなく、ユーザーの疑問や要望に応える情報を適切な順番で配置することです。「〇〇に悩むあなたに、この商材はこのように役立ちます」など、ユーザーの課題に寄り添いメリットを伝えたり、第三者の評価や実績データを示して説得力を高めるのも有効です。
「自分がユーザーだったら読みやすいか、納得できるか」という視点でコンテンツを改善しましょう。
LPで設定したコンバージョンアクションがターゲットユーザーのモチベーションに合っているか確認しましょう。
例えば、認知度が低い新商品のLPで、「今すぐ購入」をゴールにすると、多くのユーザーは「商品の内容がわからない」「信用できるか不安」などと感じるでしょう。そのため、コンバージョンポイントは、ターゲットに応じて設定することが重要です。すぐに商材の購入を促さずに、「無料サンプル請求」や「お試しセットを特別価格で提供」など、ハードルの低いコンバージョンポイントに置き換えましょう。
アクションのハードルを低く設定するとユーザーは行動を起こしやすくなり、結果として将来的な購入にもつながります。
CTAのデザインや配置が不適切な状態では、興味を持ったユーザーさえも取り逃がす可能性があります。CTAボタンのデザインが地味で目立たない、ページ下部に小さく配置されていて気付かれない、などのケースです。
CVRを向上させるには、CTAボタンは注目を集めやすいデザインにし、ユーザーが押しやすい形状にしましょう。背景に対して強いコントラストのボタン色にする、周囲に十分な余白を取る、スマホでもタップしやすいサイズにすることで、視認性が高まり押しやすくなります。
例えば、次の画像では、青と白を基調としたページに対してフォームの提出ボタンはコントラストの強いくすんだピンクを使用しています。
CTAボタンには、「今すぐ〇〇する」「無料で試す」など、動詞とメリットを組み合わせた文言を記載すると効果的です。
エントリーフォームはコンバージョン前の最後のステップです。ただし、入力する項目が多かったり入力しにくかったりすると、ユーザーはフォーム入力を面倒だと感じて離脱してしまいます。
そのため、入力項目は必要最低限に絞ることが重要です。メルマガ登録ではメールアドレス、問い合わせフォームでは必要がない限り住所や電話番号を省くなど、無駄を省くようにしましょう。
また、ユーザーが入力しやすいように、必須項目は明示して、入力例(プレースホルダー)を表示するなどユーザーが迷わない工夫を施すことも大切です。郵便番号入力による住所の自動補完、電話番号欄での数字キーボードの展開などの入力補助機能も活用すると良いでしょう。エラー発生時は具体的なメッセージを目立つ形で表示し、ユーザーがすぐ修正できるようにするのも有効です。
LPの内容が良くても、快適に閲覧できなければユーザーは離脱してしまいます。特に、ページの表示速度は重要で、読み込みに3秒以上かかると直帰率が大幅に上昇するといわれています。
Googleが提供する「PageSpeed Insights」などでページの表示速度を計測し、遅い場合は画像圧縮やコードの最適化などで改善しましょう。
また、ナビゲーションのしやすさも重要です。LPは縦長の構成となるため、ページ内に目次(グローバルメニュー)を設置したり、画面下部に「トップへ戻る」ボタンを配置したりするとユーザー体験を向上できます。
自社のリソースだけでCVRを改善するのが難しい部分は、ツールで補完するのも効果的です。
例えば、ヒートマップやセッションリプレイ(ユーザーの操作動画記録)を使えば、ユーザーがLP内のどこで離脱しているかを可視化でき、改善に役立てられます。ページ離脱直前にクーポンを表示したり、チャットボットで呼びかけるなどの離脱防止策も効果があります。
HubSpotのコンテンツマネジメントツール「Content Hub」は、直感的なLP作成機能やA/Bテスト機能はもちろん、最新のAI技術「Breeze」を活用したコンテンツ自動最適化が可能です。しかも、ランディングページ作成機能は無料で利用できるため、コストをかけずに高度なLP改善を始められます。
LPのCVRの改善は一度施策を打って終わりではなく、継続的にPDCAサイクルを回すことが重要です。アクセス解析やヒートマップでデータを収集し、仮説を立ててLPに改善、効果を測定する、一連のLPO(ランディングページ最適化)のプロセスを繰り返しましょう。
A/Bテストも積極的に行い、コピーの文言やCTAボタンの色、形状などの検証を重ねることで、コンバージョン率をさらに高められます。複数の広告を出稿している場合は、流入元に応じてLPを出し分けてテストするのも効果的です。
最後に、LPの改善施策によってコンバージョン率が向上した2つの事例をご紹介します。
エンジニア採用代行サービスのLP改善事例です。従来のLPはCVRに課題があったため、訴求メッセージからデザインの再検討を含め、全面的にリニューアルしました。
具体的には、デザインのトーンを他の資料や公式サイトと統一しました。また、コンバージョンポイントを「お問い合わせ」から「資料ダウンロード」に変更してユーザーの心理的ハードルを下げ、CTAボタンの文言やフォーム設計も最適化しました。
その結果、CVRが大幅に改善し、さらに、洗練されたデザインによってユーザーに与える印象が向上したことでブランディングの観点でもプラスの効果が得られています。
参考:https://www.ravigote.co.jp/services/voice/xcuu/
ECサイトのLP改善事例です。顧客インサイトを分析したところ、従来LPで強調していたポイント(価格の安さや味の良さ)が、顧客が魅力に感じているポイント(徹底された品質管理による安全性)とズレていることが判明しました。
そこで、「安全性」「専門性」など、顧客から高く評価されている訴求ポイントをLPに追加し、ユーザーの購買意欲を醸成するLPを新たに制作しました。その結果、CVRが1.3倍に向上し、CPAも27%削減されました。
参考:https://service.aainc.co.jp/product/letro/article/case-introduction-mitsuboshifarm-lp
一般的なLPのCVRは2~3%程度といわれています。ただし、業界やターゲットによって目安は異なるため、本記事でご紹介した平均値を参考にして改善目標を設定すると良いでしょう。
CVRが低くても、原因を分析してユーザー視点に立った施策を講じれば改善は可能です。さらに、継続的な検証と改善を繰り返し、CVRを高めていきましょう。
なお、LPの改善を効率的に進めるには、ツールの活用も有効です。適切なツールを導入すれば、高度な専門知識がなくても効果的なLPの改善が実現できます。HubSpotのContent Hubでは、高度なLP作成・分析機能に加え、最新AIエージェント「Breeze」によるコンテンツ自動生成やパーソナライズも可能です。LP作成は無料から始められるので、ぜひ試してみてください。