皆さんは、ブログに投稿された記事を1つ残らず読んでいますか? ニューヨーク・タイムズ紙のクロスワードパズルや、Outside誌の最新アウトドア用品の特集など、具体的なお目当てがあってウェブサイトを訪れる方もいらっしゃるでしょう(私もその1人です)。つまり、ご自身の求めるものをはっきりと認識した上でブログやウェブサイトをクリックしているということです。その状態でブログにアクセスする訪問者にとっては、ブログカテゴリーが非常に役立ちます。
では、ブログを運営する側としては、どのようなカテゴリーを設け、どのように名前を付ければよいのでしょう? そして、カテゴリーとタグにはどんな違いがあるのでしょうか?
この記事では、公開した記事をもれなく読者に読んでもらえるようにブログカテゴリーを活用する方法についてご紹介します。
例えば、食をテーマにしたブログで、主にレシピ、調理家電のレビュー、料理写真の撮影のコツなどを紹介しているとしましょう。この主なトピック(「レシピ」「レビュー」「写真」)がブログカテゴリーです。各カテゴリー内にはいくつかのサブトピックがあります。「レシピ」ならパンやお菓子の作り方、「レビュー」なら小型の調理家電や調理器具のレビュー、「写真」なら低照度やストップモーションの解説などです。
夕食のアイデアを探してこのブログにたどり着いたなら、レシピのカテゴリーをクリックするだけで、おいしそうな料理のレシピが全て見られます。
どのようなブログを運営するにしても、作成したコンテンツは必ずいずれかのカテゴリーに分類しましょう。
何時間もかけて作成したブログ記事が、人目に触れないままアーカイブに埋もれてしまうのは避けたいものです。カテゴリーが設定されていないと、記事はあっという間に埋もれてしまい、延々とスクロールしない限り見つけてもらえません。このような事態を回避できる以外にも、カテゴリーにはさまざまなメリットがあります。
訪問者は、ブログの見栄えをとても重視します。デザインに魅力を感じなければ、訪問者の90%がウェブサイトから離れてしまう(英語)ほどです。ブログカテゴリーによってコンテンツをトピック別に分類することで、訪問者は目的地に素早く到達できるようになります。ブログのテーマによっては作成できるカテゴリーの数が限られるため、その点を考慮しながらコンテンツをグループ化しましょう。
カテゴリーに分けて階層化すると、ブログのSEO(検索エンジン最適化)対策に有効です。検索エンジンが各ページの内容を理解しやすくなり、それに応じて順位付けが行われます。
例えば、カテゴリーページを作成し、そのカテゴリーに関連する記事を次々と追加してリンクを設定していくと、そのページはますます最適化されていきます。検索エンジンはこれを認識して順位を上げるため、ウェブサイトが人目に触れやすくなります。
エディトリアルカレンダーを作るのは簡単なことではありません。しかし、ブログカテゴリーをしっかりと定めておけば、記事の内容を決める指針となります。戦略の中で各カテゴリーについて言及することで、コンテンツ全体のテーマの偏りを避けられます。その結果、特定のカテゴリーだけに無秩序に記事が増えていくのではなく、均整のとれたブログサイトが完成します。
さらなる裏付けとして、北米で大きな成功を収めているブロガーの65%が、コンテンツマーケティング戦略を導入し、文書にまとめているというデータも出ています。一方で、思わしい成果が挙がっていないブロガーのうち、39%は何も戦略を導入しておらず、14%は戦略を策定中でした。
ブログにはどれも唯一無二のものですが、他のブログから学ぶところはたくさんあります。ブログのカテゴリー分けについていくつかの実例をご紹介します。
まず、当社HubSpotブログの英語版が、どのように構成されているかを説明しましょう。メインのカテゴリーは「マーケティング」「営業」「カスタマーサービス」「ウェブサイト」です。その下にさらにサブトピックも用意されており、例えばマーケティングのカテゴリー内には、「ソーシャルメディア」「ブランディング」「SEO」「デジタルマーケティング」などがあります。
アウトドアブランドのパタゴニアは、製品ウェブサイト以外に「クリーネストライン」というブログも運営しています。「ショップ」「アクティビズム」「スポーツ」「ストーリー」にカテゴリー分けした上で、「スノー」「クライミング」「サーフィン」といったスポーツ別のサブトピックも設定されているため、興味のあるテーマに絞ってコンテンツを簡単に見つけられます。
『The New Yorker』誌では、私の好きな漫画を含め、多岐にわたるコンテンツが提供されているため、「ニュース」「書籍と文化」「小説と詩」「ユーモアと漫画」「雑誌」「クロスワード」「ビデオ」「ポッドキャスト」「アーカイブ」「街の注目情報」の10個のカテゴリーに分かれています。
料理研究家のJoy氏が運営する「Joy the Baker」には、1日中スクロールしていられるほど魅力的なコンテンツが満載です。5つのカテゴリー(「レシピ」「料理本」「The BakeHouse」「Drake On Cake」「ワークショップ」)に分かれているので、読みたい記事が簡単に見つかります。カテゴリーの名称で個性を表現しつつ、「オーブンで焼いたおいしい料理」という大切なコンセプトを明確に打ち出しています。
皆さんの中にも、全ての記事を1つのカテゴリーにまとめた上で、いくつものタグを使い分けて、ブログをなんとか構造化しようとしている方もいらっしゃるかもしれません。カテゴリーとタグは混同しがちな要素です。この機会に両者の違いを理解し、適宜使い分けができるようにしておきましょう。
どちらもウェブサイトの整理に活用できますが、カテゴリーは、読者を目的の記事へと誘導するための大まかなテーマです。通常はナビゲーションバーやサイドバーに表示されます。カテゴリーの数は少ない方が望ましいでしょう。そうすれば、同分野の他ブログに差を付けることができるため、テーマを絞ったブログを運営している場合は、特に重要になります。
適切なカテゴリー数に厳密なルールはありませんが、テーマを絞ったブログでは3~5個、大規模なウェブサイトでは5~10個程度が一般的です。ニューヨーク・タイムズは19個のカテゴリーを設けていますが、ほとんどの企業にとってこれは多過ぎます。数が多いほど、整理された状態を保つのが難しくなります。
一方、タグは各記事の内容を示す要素です。1~3つの単語を使って、記事を特定のグループに分類します。通常、タグ一覧はウェブサイト上に表示されませんが、検索エンジンが記事を認識しやすくなります。
例えば、本記事は「マーケティング」のカテゴリーに属していますが、「ブログ」というタグが付けられているため、記事の一番下にあるトピック欄から、同じくブログに関する他の記事に簡単に移動できます。このブログタグが付いていることで、ブログカテゴリーの命名に関する情報を探している訪問者が、該当する本記事にたどり着きやすくなります。
タグの選び方は簡単です。まず記事に使用する予定のキーワードを考えましょう。HubSpotのようにピラー/クラスターモデルを採用している場合は、記事が属するピラーやクラスターの名前をタグに付けるのもお勧めです。
あるいは、検索で入力される可能性のある既存の単語の中から、記事に関連するものを選ぶ方法もあります。重複を避けるために、カテゴリーと同じ名前のタグは付けないようにしましょう。1件の記事に付けるタグの数は10個未満に抑えます。また、ブログやブランドの戦略上必要でない限り、造語は使わないでください。
それでは、カテゴリーとタグについての理解が深まったところで、戦略の要であるカテゴリー名の決め方についてご説明します。
カテゴリー名を決定する際には、1つの大きな要素を起点にします。それは分析データです。意外かもしれませんが、一風変わったユニークなブログであっても、効果のあるカテゴリー構成を作るにはデータが必要です。
閲覧数、コメント、「いいね!」、シェアを最も多く獲得しているのはどのような記事でしょうか。自分のブログの人気のポイントが分かれば、注力すべき部分が見えてきます。また、思ったほど読者の反応が得られていないトピックも調べられます。それがこれまで優先的に取り組んできたテーマである場合は特に要チェックです。
トピックの数を減らすことを検討しましょう。絶対ではありませんが、3~5個のカテゴリーであれば、幅広い内容を取り扱える上、管理に大きな負担がかかることもありません。個人ブログでは5~8個、ニュースサイトでは8~10個設定しているケースも見受けられます。ブログの内容や戦略、作業に当てられる時間を考慮しながら、最適なカテゴリー数を検討してください。ブログカテゴリーは、記事作成を楽にするためのものでもあり、複雑にするためのものではありません。
あっという間に名前を決められる場合もあるでしょう。料理ブログなら、「レシピ」カテゴリーが定番中の定番です。しかしこの機会に、自社ブランドについて考え、何を発信したいのかを見直してみましょう。
例えば、フードブログ「Kitchn」(英語)には、「レシピ」「ホリデー」「献立」「学ぶ」「ショップ」「人」というカテゴリーがあります。このブログは主に、よく料理をする人、休日に食事を振る舞う人、計画的に食事の準備を行う人、上質な調理器具をそろえたい人、有名シェフからヒントを得たい人などを対象としています。読者を知り、読者が求めるものを提供しましょう。ただし、名前に凝り過ぎて、何のコンテンツか分からなくならないようにご注意ください。
スタイルと構成に一貫性を持たせましょう。前述したように、デザインがいまひとつだと読者は去ってしまいます。カテゴリーに一貫性がないと、ブログの全体的な外観や操作性にも影響するため、できるだけ共通点を持たせることが重要です。例えば、名詞、動詞、形容詞の使い方、漢字かなの表記などに配慮してください。全てのカテゴリーが完全に同じスタイルである必要はありませんが、あるカテゴリー名が質問文なのに、別のカテゴリー名を名詞1語にするようなことはやめましょう。
これまで数年にわたって運営してきたブログでは、そろそろ思い切った整理が必要な時期かもしれません。ブログカテゴリーは、コンテンツの仕分けに最適です。読者が最も楽しめるカテゴリーは何かを考え、投稿数が少ないカテゴリーは削除することをお勧めします。カテゴリーを減らすのはそう簡単ではありませんが、ブログ内を見て回りやすくし、カテゴリーに基づいて効果的なコンテンツ戦略を立てるという点を考えても、その手間をかけるだけの価値は十分にあります。