Web上でコンテンツを作成・管理する「CMS」。インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングにおいて、必要不可欠なシステムです。
数多くあるCMSのうち、代表的なものが「WordPress」(ワードプレス)です。WordPressは、カスタマイズ次第で初心者から上級者まで幅広く利用できることから、日本はもとより世界中で利用されています。
本記事では、CMSの仕組みやWordPressの特徴などについて解説します。
CMS(Content Management System)とは、Web制作で一般的に用いられるHTMLやCSSなどの専門知識を必要とせず、誰でも簡単に記事を執筆し、公開、管理ができるシステムのことです。
現場の担当者で簡単に運用できるため、企業や団体、ブランドなどあらゆる組織のWebサイトで導入されています。
最近では、無料で使えるCMSを使用し、独自にカスタマイズしたものをWebサイトと連動して使用しているケースが通例です。
一から設定するオリジナルのCMSと比較し、工数が少なくてすむ上、ノウハウが確立しています。結果、比較的安価に導入できることから、普及率が高まっていると考えられます。
CMSでもっとも有名で利用者数が多いのは、WordPressです。オープンソース(ソースコードが無償で公開されており、商用・非商用問わず自由に改良・再配布できるソフト)で、ソフトの入手や維持に費用がかかりません。同時に、プラグイン(拡張機能)が豊富なことも特徴の一つです。
その利便性の高さから、海外発のCMSではありますが、日本国内でも圧倒的シェアを誇っています。レンタルサーバーのサービスでも利用を推奨しているケースが多く、ワンクリックでインストールできるようなシステムを作っている業者もあり、個人利用から企業まで幅広いシーンで使用されています。
「W3Techs」の調査によると、WordPressを使用したWebサイトは、インターネット上のすべてのWebサイトの33%を占めているといいます。これが、CMSを使用しているサイトに限ると、実に60%に達します。
「Movable Type」(ムーバブル・タイプ)とは、日本のシックス・アパート株式会社(Six Apart, Ltd.)が開発・販売しているCMSです。サーバーに対する負荷が少なく、アクセスが集中するようなサイトでも快適に表示できる特徴があります。
その他、システム的な導入の敷居が低く既存サイトへの導入も負担が少なく、公式サポート(有料)が受けられるなど、WordPressには無いメリットもあります。同時に、会員制サイトや社内のイントラシステムなどの構築にも適しているとされています。
しかし、企業が販売しているCMSですので、商用利用には費用がかかりますし、利用者がWordPressと比較して少ないことから、情報量が少ないというデメリットもあります。
他方、セキュリティ面ではオープンソースのWordPressと比較してリスクが少ないとする考え方も可能です。公式サポートがあることから、大手企業で導入しているケースが多いようです。
「Drupal」(ドルーパル)は、Wordpressと同様にオープンソースのCMS。世界的な大企業や政府機関、大学、NGOなど、大規模なサイトを中心に利用されている傾向にあります。
特徴は、基本部分と追加拡張部分の組み合わせで構築されていることです。Webサイトに合わせて拡張モジュールを使用し、数多くある機能から必要な機能を追加することで、柔軟なサイト構築が可能となります。また、80カ国以上の言語に対応しています。
インターネット上に公開情報が少ないため、構築の難易度が高いほか、日本では技術を持った業者が少ないため、導入のハードルが比較的高いとされています。
「XOOPS」(ズープス)は、会員制のポータルシステムとして開発されたオープンソースのCMSです。現在はWebアプリケーションプラットフォームとして利用されています。
個人的なブログはもちろん、モジュールを追加して拡張・カスタマイズすることで、ニュースやフォーラム、ダウンロードページなどのコンテンツをユーザーが追加、更新、改善することができるのが特徴です。SNSのようなサイトの構築に適しています。
日本語対応版のXOOPS Cubeが公開されており、ディストリビューションも豊富で基本的な機能が最初から使える状態で公開されています。
「EC-CUBE」(イーシーキューブ)は、日本企業の株式会社ロックオンが提供している、通信販売サイトに特化したオープンソースのCMSです。
無料で使用できる上、標準機能が豊富で操作も容易なため、大企業の通販サイトだけではなく、小規模事業者の間でも多く活用されています。また、日本国内の物流業者とも連携しているのも特徴です。
数少ない国産CMSで、国内での支持も高いことが特徴です。多数のEC-CUBE利用者が登録する開発コミュニティが、前述したXOOPSにて公開されています。
「Osclass」(オーエスクラス)は、クラシファイド形式(目的や地域によって分類された募集告知や広告を一覧形式で掲載する形式)のマッチングサイト構築に特化した、オープンソースのCMSです。「売ります」「買います」などの需要と供給を個人間でマッチさせるのに適した構造となっています。
CMS自体が完全に日本語化されておらず、また、日本語での情報が少ないため、導入には一定の技術が必要です。
しかし、オリジナルでシステムを構築するより安価であるため、導入実績のある業者も数多く存在します。自社のサービスとクラシファイド形式がマッチするのであれば、非常に優れたプラットフォームとして期待できます。
CMSを導入することで、企業は品質の安定、低コスト化、運用スピード向上の3つの大きなメリットを得ることができます。
CMSの普及により、HTMLを1つ1つ記述していた時代と比べ、ミスは格段に減り、サイトの品質は向上しました。また、作業効率の向上により、人件費も削減でき、作業フローが簡素化されました。それに合わせて、運用周りの業務推進スピードもアップしました。
その結果、予算や人員をコンテンツ作成に回すことができ、より優れたコンテンツを発信することができるというサイクルが生まれやすくなりました。
CMS導入の目的として多いのが、「自社で運用できる」という点です。CMSを導入していないWebサイトでは、ページを1ページ増やすため、もしくは文字を修正するためだけに制作会社に依頼する、あるいはシステム担当者に依頼する必要がありました。その度、コストと時間がかかっていたわけです。
しかし、CMS導入により、簡単に誰でも投稿・編集が可能になるため、複数の担当者で分業することで、更新が頻繁にできるようになりました。
結果、自社の顧客や潜在顧客に対して、常に新しい情報を届けられます。また、最新の情報を発信し続けることは、信用にも繋がります。
スピーディーに運用するためには、社内での運用が不可欠です。現代社会において、CMSの導入は、企業にとって必須と言えるでしょう。
最近では、SNSを運用して集客やブランディングに繋げている企業も多くあります。そのような戦略にも、CMSによって作業の効率化が実現できます。
例えば、プラグインやテーマによっては、記事ごとにSNSのシェアボタンを自動で挿入し、SNSでの拡散を促すことができます。また、SNSでシェアされた際に表示させる画像や文言を簡単に設定できます。
標準機能である予約投稿は、多くの人々がSNSを見ている時間を狙って記事を投稿することができます。このような単純作業も手動で行うと、膨大な手間がかかってしまうので、システム化させるには最適な運用手段です。
数多くのCMSがある中で、どれを導入すべきでしょうか。CMSはそれぞれに特徴があり、中には専門分野に特化したものも多くあります。
CMSで最も普及しているWordPress。選ばれている理由は、手軽さと汎用性の高さにあります。しかし、環境や目的によっては、必ずしもWordPressを選択することが正しいとは限りません。
ここでは、どのような基準でCMSを選べばよいのか、見ていきましょう。
企業でCMSの導入を進める場合、自社の業務に適したCMSを選択する必要があります。自社のWebサイトに必要な機能は一体何なのか。これが明確になってはじめて、各CMSの特徴を見て検討に入るべきでしょう。
これまで非効率的だった業務を効率化することが、CMSの強みの一つです。そのためには、目的と課題を明確にする必要があります。まずは、自社の事業の目的や、強みや弱み、そして戦略を見直して、必要な要素を洗い出します。
もし、現在使用しているCMSの導入理由が、「無料で導入できるから」「Web制作会社に勧められたから」「他社でも利用していたから」という理由であれば、一度見直しが必要となる場合があります。
十分な成果が出ている場合でも、より効率化できるCMSが存在する可能性もありますし、このまま好調に推移していくとも限りません。一度立ち止まってチェックしてみると良いいいでしょう。
CMS見直しのポイントは、いくつかあります。日々のサイト更新に課題がないか、セキュリティ面に課題はないか、組織の体制に合っているか、サイト管理が一元化できているか。これらの点を中心に確認するとよいでしょう。
運用担当の人員や技術レベルに合っていなければ、少ない人数や初心者でもカバーできるCMSに変更すべきです。逆に、余裕があるのであれば、より多機能なCMSを導入したり、顧客行動の分析までできるCMSを導入するのも手段の一つです。
また、Webサイトの訪問者数やページ数が多いのであれば、貧弱なシステムだと運用に支障を来す場合があります。すでに運用に問題が生じているのであれば、すぐにでも見直すべきでしょう。
とはいえ、CMSの変更にはコストがかかります。場合によってはコンテンツの引っ越しも含め、多大なコストがかかるケースもあり得ます。長期的な投資と見てCMSを切り替えるのか、現状のまま維持していくのか。慎重に判断する必要があります。
専任の担当者を雇用していない限り、企業がCMSを導入する場合、Web制作会社に依頼する必要が生じます。
簡単なカスタマイズならまだしも、ユーザービリティーを意識した快適なサイトを構築するためには、専門家の技術と経験が不可欠です。そのため、どのCMSを選択するにしても、業者選びが重要となります。
例えば、WordPressを扱える業者が多いとはいえ、どのようなカスタマイズが可能なのか、データ移行や保守をスムーズに行えるのか、業者によって対応可能範囲や対応可能プログラムが大きく異なります。
価格の低さだけで選ぶと、立派なトップページのデザインは提供してくれたものの、運用・運営しにくい構造になっている、ということも起こり得ます。
導入や利用にコストのかかる商用CMSの場合も、ベンダーによってサポート内容が大きく違います。しっかり自社で運用・運営できるよう、困ったときにすぐ相談できる業者をしっかり選びましょう。
このように多様な種類のCMSが開発されている中で、Wordpressは特にブログ作成・運用に適しています。個人ブログだけではなく、企業のブログやオウンドメディアなどのメディアサイトまで、対応可能です。
WordPressの管理画面は、一般的なブログサービスに慣れ親しんだ人からすれば、使いやすいでしょう。初心者でも比較的すぐに慣れて活用できるのが特徴です。
CMSは、Content Management Systemの略ですが、ここで言う「Content」の種類は、主にテキストコンテンツを指します。
単に情報を公開してそのままの状態を維持している1ページもののWebサイトよりも、頻繁に新しいコンテンツを出しているような、サイトやオウンドメディアに最適です。
CMSの中でも、WordPressは記事型のテキストコンテンツを発信するブログタイプのWebサイトに向いています。投稿画面でテキストを入力し、パネルを利用して装飾。公開ボタンをクリックすることで、コーディング無しでコンテンツを発信することができるのです。
それの手軽さから、多くの企業サイトや商品サイトなど、さまざまなサイトで活用が広まっているのです。
WordPressでは、主要な用途である「コンテンツ管理」が簡単にできることが大きな強みです。特に詳しく勉強せずとも、簡単な操作で記事の投稿や編集が可能となります。
投稿画面はブログそのもので、ある程度コンピューターの操作に慣れた人間であれば、直感的に操作できるでしょう。このように簡単な操作が可能であるため、担当者の教育にかかるコストや時間が少ないことも魅力の一つです。
WordPressでは、利用するユーザーごとにアカウントを作成することができます。それぞれのアカウントに「管理者」「編集者」「投稿者」「寄稿者」などの権限を付与し、操作できる機能を制限することができます。
「管理者」であればサイトの設定自体を操作可能になります。「編集者」は全てのコンテンツを編集可能、「投稿者」は自身のコンテンツのみ編集可能など役割ごとに権限を変更できるのです。
そのため、複数人で管理する際にも、誤操作を防ぐことができ、セキュリティ面でも安全性が増します。
これがもし単一アカウントしか使用できなかったとしたら、全ての関係者にログイン情報を伝えるか、担当者がすべての作業を担う必要が出てきます。前者はセキュリティ上難しいですし、後者では作業効率が悪すぎるため、非常に便利な機能と言えるでしょう。
WordPressを含むCMSは、本来手動で記述しなければならないHTMLなどのコードを自動で生成してくれるため、非常に手軽にコンテンツを作成できることが強みの一つです。
一見するとシンプルな構造ですが、その裏側ではコアシステムであるWordPressの「本体」、外観を決める「テーマ」、記事などのデータを管理している「MySQL」(データベース)、拡張機能である「プラグイン」の4つで構成されています。
基本的にWebサイトは、HTMLやCSSなどによって記述されたコードをブラウザが読み込み、コードの記述通りに視覚化されます。
元来、このコードは1つのページごとに記述されていたのですが、CMSを利用することにより、必要なデータを自動的に用意し、ユーザーがページにアクセスした際に自動生成される仕組みになっています。
例えば、デザイン面であればURLごとにアーカイブページ(記事)なのか、フロントページなのか、それとも固定ページなのかを判断。事前に準備されたテーマからテンプレートを読みます。そこに、個々のページに必要なコンテンツをデータベースから呼び出して表示させています。
WordPressで作成されたコンテンツや保存された画像などのデータは、全てデータベース上で管理されています。これらのデザインとデータを管理し、必要に応じて呼び出し、自動的に組み合わせて表示させているのが、WordPressのシステムなのです。
WordPressでは、デザイン、システム、コンテンツ、拡張機能を個別に管理することによって、柔軟な運用を可能としています。
例えば、CMSを導入していないWebサイトでは、デザインを変更する場合、HTMLやCSSファイル、さらにはそれぞれのコンテンツのページのコードを1つ1つ手動で書き換えていかなければなりません。
しかし、WordPressでは、レイアウトやデザインとコンテンツを個別に管理しているため、デザインを簡単に切り替えることができるのです。
WordPressが一般的なブログサービスと異なる点は、簡単に言うとカスタマイズしやすく、多様な使い方ができることです。これから、5つのおすすめポイントを紹介していきます。
WordPressでは、デザインを自由に触ることができるため、些細なデザインの変更から大規模な改修まですべて自由に調整することができます。
一般的なブログサービスではテンプレートこそ豊富にそろえてあったとしても、ちょっとした配置や余白の変更ができないケースも多々あります。多少の知識は必要になりますが、WordPressはまさに「かゆいところに手が届く」システムなのです。
WordPressは、初心者から上級者まで幅広い用途に対応しています。WordPressは日本国内でのCMSシェアがトップであるため、関連書籍やインターネット上の情報も豊富です。
基本的な機能とテンプレートを使用したデザインだと、少し情報収集をすれば、簡単に操作できます。そのため、初心者でも習得スピードが早く、実際にウェブデザインやSEOスキルを学びながら上達できるというメリットがあります。
WordPressはとてもシンプルな構造なため、簡単にコンテンツの作成・投稿ができます。ブログサービスを利用したことがある人なら、使い勝手が似ているため、特に何かを新しく学ぶ必要が無いほどです。
導入の際にもレンタルサーバーによってはワンクリックでインストールできるため、シンプルなデザインのものであれば簡単に使い始められます。
多くのWeb制作会社が、カスタマイズの対応を受けてくれるので、企業のWordPress導入や運用のハードルを下げています。
WordPressでは、基本システムにプラグイン(拡張機能)を追加することで、さまざまな機能を追加することができます。プラグインとは、WordPressを利用する技術者たちが独自に開発した機能です。
例えば、標準搭載されていないサイトマップの構築や、お問い合わせフォームの設置、SEO対策機能など、自ら実装しようとすると大変な手間がかかるものを簡単に導入することができます。一部、有料のものもありますが、基本的には無料で使用できることが多いのが特徴です。
マーケティング担当者なら知っておくべきWordPressのプラグインをご紹介しますので、ぜひ活用してみてください。
WordPressは世界的に使用されているソフトですが、日本語でのチュートリアルも充実しています。「Wiki形式」でまとめられた日本語のチュートリアルも存在しますし、日本語の解説サイト、関連書籍が数多く存在しているため、初心者でも簡単に学ぶことができます。
プラグインに特化した書籍やWebサイトも存在しており、比較・検討しながら新しい機能を実装することができます。
サイト全体の閲覧者数に「検索流入」は大きく影響します。どんなに優れたWebサイトを構築しても、閲覧者がいなければ意味がありません。そのため、検索結果上位に表示されることは非常に重要です。
WordPressは、Google検索との相性も良いとされています。日本国内での検索流入はGoogleとYahooが大部分を占めますが、現在YahooもGoogleの検索アルゴリズムを使用しているため、いかにGoogle検索に気に入られるかが、検索流入の肝となります。
そのためにはもちろん、積極的なSEO対策が必要となりますが、WordPressにはいくつかの理由で優位性があると考えられています。
現在、Googleが検索順位を判断する上で最も重視しているのが、「優良なコンテンツ」であることです。検索した人が求める適切な情報に辿り着くために、常に正確で分かりやすいコンテンツが検索上位に表示されるよう、アルゴリズムが組まれています。
新しい情報ほど重要視され、アクティブなWebサイトは、ドメインごと評価が上がる傾向にあるようです。
WordPressでは、誰でも簡単に見出しを付けながら、ディスクリプションやデザインを変更し、画像も交えながら、分かりやすいコンテンツを作ることができます。
工数もかからないため、必然的に更新頻度も増加します。これはGoogleから高評価を得るための、十分な環境と言えるでしょう。
WordPressでは、SEO対策に必要な設定はプラグインをインストールすることで、簡単にSEO対策をすることが可能です。もともと、SEOに強い構造をしているのですが、それをさらに強化することが可能となるのです。
詳細は後述しますが、Googleに自動でサイトマップを送信し、新規コンテンツをすぐさま登録することが可能となったり、ソースコードに必要なメタタグ(表面上は表示されない検索エンジン向けの記述)を自動で追記したりできるなど、幅広いプラグインが存在しています。
Webサイトは、パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなどさまざまな端末で閲覧されます。
かつては、Webサイトはパソコンから見られる場合がほとんどでしたが、近年では特にスマートフォンからの流入が増加。Googleの評価でも重視されています。
2018年3月、Googleはモバイルファーストインデックスを実装しました。これまでパソコンでの表示を基準にしていた検索順位に、モバイル端末での表示も重視する項目として加わったのです。これからは「スマホ最適化」も重視すべきです。
WordPressで配布・販売されているテーマには、パソコン、モバイル端末の双方で最適な表示がなされる、「レスポンシブデザイン」が豊富にあります。Web制作業者もこのような制作に慣れてきていますので、一昔前では高額な見積もりが出されていたレスポンシブデザインも、今ではかなり金額が低くなってきています。
ここでは、WordPressを運用していく上でおすすめのプラグインをいくつか紹介します。WordPressは標準機能のみでも十分に高機能ですが、プラグインを導入することで、より目的達成を後押ししてくれます。
プラグインは、数多く存在するので、実際に運用していくとなると、使い勝手に差があります。また、プラグイン同士の干渉や、本体ソフトのバージョンアップ時に互換性がなくなり、不具合を起こすケースもあります。
そこで、一般的に不具合が起こりにくいとされ、利用者の多い便利なプラグインを厳選しました。
SEO(検索エンジン最適化)対策に必要な項目を一括で設定できるプラグイン「All In One SEO Pack」。おすすめのプラグインを調べると、必ずと言っていいほど名前があがる、人気のプラグインです。
サイト上のSEOに関する設定、Googleに情報を送信する設定など、SEOに関するものだけでなく、SNS投稿時の設定などもこのプラグイン上で容易に完了できるのが特徴です。
SEOの専門知識が無くても、設定項目を埋めていくだけで、最低限の内部SEO対策が出来てしまいます。
検索エンジンが読み込むメタ情報の自動作成や、WordPress本体ではできない一般設定の変更、そしてSNSでの拡散に必要な情報を細かく設定できます。
しかし、注意点もいくつかあります。
まず、設定項目が多いため、導入時に手間がかかることや、WordPressで生成されるサイトの各所に動作するため、ページの読み込みが遅くなるケースがある点などです。
また、場合によっては他のプラグインやテーマに搭載されている機能と干渉する恐れがあります。
よくあるケースが、「All In One SEO Packを導入したがディスクリプションの設定にしか使用していない」「設定を途中までしかしていない」といったケースです。
この場合は、他のプラグインで代用したほうが、読み込みが速くなるケースも多いため、積極的なSEO対策を考えている方に向いているプラグインと言えるでしょう。
「Google XML Sitemaps」はGoogleに登録するサイトマップを自動的に作成し、サイトのコンテンツが増えた際は、自動で更新してくれるプラグインです。
サイトマップとは、Webサイト上にあるページや更新日時などの情報を一元的にまとめた地図のようなものです。Googleが検索結果に表示するページを探す際の手助けになります。
まだ立ち上げて間もない新規サイトやページ数の多い大規模なサイトでは、しっかりとサイトマップを作り、Googleに登録することで、検索結果に上がりやすくなるのです。
ページが増えるたびに手動で更新していたら、膨大な手間がかかります。しかし、このプラグインを導入することで、自動で更新してくれるのです。
実は、同様の機能が先述のAll In One SEO Packにも含まれます。したがって、重複して導入する必要はありません。個別に必要な機能を入れたいと考えている方におすすめのプラグインと言えるでしょう。
「Contact Form 7」は「お問い合わせフォーム」を設置するためのプラグインです。サイト上に設置したお問い合わせフォームに入力すると、指定したメールアドレスにその内容が送られる仕組みです。
チェックボックスやラジオボタン、プルダウンリストなど、さまざまな項目を自由に設定できます。必要な機能を網羅しており、シンプルなデザインのため、個人サイトから企業サイトまで幅広い利用が見られます。
「Akismet」は、スパム投稿を排除するためのプラグインです。コメント欄を実装したWebサイトには、必要不可欠と言えます。機械的に投稿されるスパムコメントを自動的に専用のフォルダに振り分けてくれます。
また、上記のContact Form 7とも連動しており、合わせて使用することでスパムメール対策にも繋がります。
「EWWW Image Optimizer」は、アップロードされた画像サイズを自動で調整するプラグインです。サイズの大きな画像を投稿してしまうと、ページの読み込みが遅くなったり、通信量が増えたりします。また、積み重なるとサーバーの容量を圧迫する要因にもなり得ます。
直接WordPressの管理画面に触れる担当者が少数で、しっかりとしたリテラシーを持っている場合は必要ないでしょう。しかし、多数の人が触れる可能性がある場合、容量の問題は起こり得るもので、トラブルを防ぐためにも導入しておいて損はないプラグインです。
WordPressには実に40,296ものプラグインが存在します。ここで紹介したプラグイン以外にもおすすめのプラグインがありますので、是非参考にしてください。
万能に見えるWordPressですが、当然ながらデメリットや問題点も存在します。これらを、しっかり理解しておくことで対策可能なものも多くあります。もし、運用を検討されているのであれば、デメリットや問題点をしっかりと事前に把握しておきましょう。
WordPressで作ったサイトは「動的サイト」と呼ばれます。これはページを読み込むたびに、さまざまなファイルから必要なコードやデータを呼び出し、ひとつのページを生成していることに由来します。
一方、あらかじめ決まったコード、決まった画像のみを表示させるサイトを「静的サイト」と呼びます。
「動的サイト」は、全てのページを一括で設定でき、CMS上で入力したデータを読み込むだけで、自動的にページを生成できます。
したがって、運用効率は高いのですが、ページを表示する際、毎回データベースに情報を取得しにいくため、「静的ページ」と比較して表示速度が若干遅くなるケースがあります。
平常時であれば体感するほどの差ではありませんが、テーマやサーバーの負荷状況によってはかなりの差が出てしまいます。これが常態化すると、ユーザーなどからの評価が下がる可能性があるため、スピードチェックをしながら対策を取っていく必要があります。
前述したように、WordPressはオープンソースのソフトウェアですので、無料で使用できます。無料や安価なテーマも豊富ですし、プラグインを導入することで機能の拡張も容易です。
しかし、細やかな設定や独自のデザインを導入したいと考える場合は、業者への制作依頼が必須となります。
既存のテンプレートの使用に抵抗がある場合は、一からデザインを起こし、コーディングしていく必要があり、その分コストがかさみます。さらに、専用のシステムを開発して導入する場合は、サイト規模によってはさらに一桁増えることも起こり得ます。
しかし、よほどこだわりが無い限りは、オリジナルデザインを使用する必要はないと言えるでしょう。
WordPressには優れたテーマが数多く存在しており、配色や配置の設定の変更や、オリジナルの画像を用意すると、一見して市販のテーマを使用したと分からないほどデザイン性を高めることができます。
サイトオープンまでの期間も、オリジナルデザインに比べてはるかに短いですし、メンテナンスがしやすいのも特徴です。人気のテーマであれば、カスタム方法もインターネット上で数多く公開されています。
オープンソースの強みを生かすには、既存のものをカスタマイズしていく運用が、最も効率的と言えるでしょう。
簡単に機能を増やせるプラグイン。確かに便利ではあるのですが、WordPress本体のバージョンアップにより、互換性がなくなるケースが多々あります。その状態で放置すると、セキュリティ面の脆弱性が増したり、機能が停止してしまったりすることがあります。
流通するプラグインは、それぞれ別の開発者によって作られた機能です。相互に干渉し、予期せぬ挙動が起こってしまう、サイトの動作が遅くなってしまうことがあります。
プラグインはあくまで「装飾品」だと思うとイメージしやすいかもしれません。眼鏡やコートを身につければ、それぞれの機能を得ることができますが、身につければ身につけるほど、体は重くなってしまいます。またコンタクトレンズと眼鏡を同時に装着すると、余計に見えなくなってしまいます。
そのようなことが往々にして起こりうるのが、プラグインなのです。したがって、必要最低限のプラグインを慎重に選択する必要があります。
利用者が多いシステムは、サイバー攻撃の対象として狙われやすい傾向にあります。それは、WordPressも同様で、悪意ある攻撃を受ける可能性が生じます。
しかし、それは決してWordPressのセキュリティが脆弱というわけではなく、狙われやすいというだけですので、しっかり対策を取ることで被害を防ぐことができます。
例えば常に最新版にバージョンアップしたり、管理画面へのアクセスを制限し、社外からアクセスできないようにしたり、パスワードを複雑にし、定期的に変更するなどの手段があります。
これは他のCMSでも同様ですが、シェアが大きい分、狙われやすいという事実をしっかり認識し、日頃からしっかりと対策を講じておきましょう。
WordPressは、その利便性からユーザーが増えるとともに、制作業者サイドでもWordPressの導入を前提とした制作が増えています。
これはWordPressのカスタマイズのしやすさ故に、独自でCMSを開発する場合と比較して技術力、工数、コストともに低い水準で製作できることが大きな要因です。
利用する業者が増え、インターネット上にも膨大なノウハウが蓄積されているため、エンジニアの成長が速いことも影響しています。
また、ユーザーの要望に対して答えやすいシステムであるとも言えます。企業のホームページをはじめとするWebサイトは、作るだけでは意味はなく、その後の運用が重要です。自ら情報発信していけるWebサイトが求められる中、企業や団体の担当者自らコンテンツを作成し、発信していく必要があるのです。
そんな中、誰でも簡単にコンテンツが作成・発信できるCMS。とりわけ使いやすさに定評のあるWordPressは、専門知識のない現場担当者にWebサイトを運用させたいという企業ニーズにマッチしているのです。
HubSpotはインバウンドマーケティングを実践するために必要なウェブサイト、ブログ、Eメール、SEO、フォーム、CTAなどの機能を統合したコンテンツ最適化システム(COS)を提供しています。
様々なプラグインを組み合わせなくても、テンプレートを使った製品情報紹介するウェブサイトの構築やリード獲得のためのブログ運営、フォーム作成とWEBサイトへの配置、見込み顧客のナーチャリングのためのメール配信などが可能です。
また、レスポンシブデザインで作成されるためさまざまなデバイスに合わせてレイアウトが最適化されるほか、SSLが組み込まれているためセキュリティ体制も万全です。
WordPressやWordPressのプラグイン、その他のツールを組み合わせて、インバウンドマーケティングプラットフォームを再現することも可能ですが、様々な機能を統合したHubSpotのコンテンツ最適化システム(COS)を活用することでより効果的なマーケティングが実現できます。
現在、更新頻度の高いWebサイトには、ほぼ全てCMSが導入されていると言っても過言ではありません。企業にとっては、品質向上やコスト削減、運用効率の向上にもつながります。本来の目的が売上向上やブランディングであっても、さまざまな効果が得られるのです。
「HTMLを使わずにWebサイトを更新できる便利なツール」という認識だけでは、もはや説明できない領域に達しています。つまり、WordPressをはじめとするCMSは、マーケティングに不可欠なツールとなっているのです。
CMSで最もシェアの大きいWordPressは、導入ハードルの低さや利用者の多さから、初めてのCMS導入に向いていると言えます。
すべてのケースに自社が最も適しているとは言い切れませんが、そもそも「何を基準に判断していいのか分からない」「さまざまな部署から担当者をつけたい」というのであれば、第一に選択肢に入るCMSだと言えるでしょう。