デザインに関する作業の中でも特に厄介なのは、使いたい写真に不要な背景が写っているときです。背景自体を消し去るか、透明として処理されるように加工してから使わなくてはなりません。
たとえば、上の画像で、左側の写真を見てください。これは、HubSpotが提供しているホリデー向けの無料写真素材の1枚ですが、背景に色が付いています。これを消し去って、右側の画像のように加工できれば、Call-To-Action(CTA)、SlideShareのプレゼン資料、ブログ記事、eBookなど、使い道が大きく広がりそうです。
HubSpotの無料写真素材からダウンロードした中には、背景を透明にして使いたいと思う写真がほかにもあるかもしれません(参照記事はこちら:ダウンロードしてすぐに使える315のロイヤリティフリー写真素材集)。
でも実は、画像の背景は、PhotoshopやPowerPointを使って簡単に消すことができます。この記事ではその手順をご説明します。まずは、練習用の画像を用意してください。
背景を消したい画像を用意できたら、さっそく作業に入っていきましょう。
ここでご紹介するのは、Office 2010以降のPowerPointで使える方法です。PowerPointはPhotoshopほど高機能ではないため、複雑な画像ではうまくいかないこともあるかもしれませんが、PowerPointで十分に用が足りる場合もありますので、Photoshopをお持ちでない方はぜひお試しください。手順は次のとおりです。
PowerPointで処理しやすいのは、背景が白や固定色の画像、あるいは前景と背景のコントラストが大きい画像です。
たとえば上の例では、男の子のお腹のあたりが背景とみなされています。四角い選択領域をドラッグし、残したい部分全体が含まれるように囲んでください。
最終的に背景として削除されるのは紫色の部分です。追加で削除したい部分がある場合は、ツールバーの「削除する領域としてマーク」をクリックし、該当部分を選択してください。逆に、残したい部分が紫色になっている場合は、「保持する領域としてマーク」をクリックし、該当部分を選択してください。削除する部分にはマイナス記号、残す部分にはプラス記号が表示されます。
領域を細かく指定したい場合は、画像を拡大してください。
たとえば、手の部分を拡大するとこうなります。
領域を誤って選択した場合は、プラス記号かマイナス記号をクリックすれば解除できます。
Photoshopの写真加工はPowerPointより高機能ですから、背景を消すときにも、画像の性質に応じていくつかの方法が使えます。ここでは、次の3つの方法をご紹介します。(リンクでそれぞれのセクションに移動できます)。
たとえば、下のような「スパム禁止」の標識の画像から、青色の背景とポールを消したいとします。
この場合、残す部分の境界はすべて直線ですから、「多角形選択ツール」を使って背景を消す方法が最適です。手順は次のとおりです。
画像をドラッグ&ドロップしてPhotoshopに取り込んだら、「スマートオブジェクト」に変換したうえでラスタライズしましょう。方法は次のとおりです。
Photoshopのメニューの「レイヤー」をクリックして、「スマートオブジェクト」を選択し、「スマートオブジェクトに変換」をクリック。次に、再度「レイヤー」メニューをクリックして、今度は「ラスタライズ」を選択し、「スマートオブジェクト」をクリック。
これで背景を消す準備が整いました。
画像のズームインとズームアウトは、「表示」メニューの「ズームイン」「ズームアウト」か、該当するショートカットキーで操作できます。
多角形選択ツールはこのようなアイコンです:
このツールを選択したら、スタート地点をクリックし、点と点を結ぶ形で、残したい部分を線で囲んでいきます。私は、標識の境界にある黒線も消したかったので、白い外枠の一番外側をなぞるように選択していきました。
画像の対象部分をぐるりと囲んだら、開始位置で線をつなぎます。次のように、カーソルに小さな丸が表示されたら、線がつながった印です。
こうして線がつながると、次のように、点滅する点線で対象部分が囲まれます。
メニューの「選択範囲」から、「選択範囲の反転」をクリックしてください。消去したい背景全体が選択状態になります。
キーボードのDelキーを押すと、下のように、背景に格子模様が表示されます。背景が透明になったという印です。
こうすれば、背景を透明色のままにできます。
今度は、下の画像のように、前景と背景の境界が直線的でない場合の例です。この場合は、クイック選択ツールを使うと便利です。
多角形選択ツールの場合と同じように、まずはPhotoshopに画像をドラッグ&ドロップし、「スマートオブジェクト」に変換したうえでラスタライズしましょう。方法は次のとおりです。
クイック選択ツールは、多角形選択ツールのすぐ下にあります。次のようなアイコンです:
このツールは、多少の慣れが必要なものの、要領さえつかめれば、他の方法よりも速く簡単に背景を削除できます。
まずは、背景のあちこちでクリックやドラッグを行い、削除したい部分を選択してみてください。
その際、選択ツールのサイズを適切に調整すると効率的です。最初は、大きめのサイズで始めることをお勧めします。広範囲の背景を一度に選択できて、作業がスピーディになります。
この手順を繰り返して、次の例のように、削除したい背景全体を選択してください。
実際には、上の例のようにうまく選択できるとは限りません。たとえば、次の例のように、本当は残したい部分が背景の一部とみなされてしまうことがあります。
でも心配はいりません。誤って選択された部分を解除する方法もあります。
具体的には、上部のツールバーで「現在の選択範囲から一部削除」ボタンをクリックしてから、該当部分をクリックしてください。あるいは、Altキー(Windows)かOptionキー(Mac)を押しながら該当範囲をクリックしても同じ意味になります。
この操作も多少の慣れが必要かもしれません。残したい部分の境界の内側に沿ってマウスを動かすのがコツです。もしかすると、細かい部分を修正するときには、クイック選択ツールのサイズを調整するとよいかもしれません。この作業を繰り返し、誤った選択部分がなくなるまで修正していきましょう。
最後に、キーボードのDelキーを押すと、背景が透明になります。
背景が透明のままで画像を保存できます。
参考:クイック選択ツールを使った場合に、境界がギザギザになることがあります。特に、解像度が低い画像でありがちで、境界がまっすぐの部分で目立ちます。その場合は、まずクイック選択ツールで背景を削除したうえで、多角形選択ツールでギザギザを調整するとよいでしょう。
3つ目は、多角形選択ツールやクイック選択ツールで背景をうまく切り出せなかった場合に頼りになる方法です。境界が細かく入り組んだ画像で効果があります。しかし、私の経験上は、多角形選択ツールかクイック選択ツールでうまくいく場合がほとんどです。
私の場合、唯一この方法が重宝するのは、多角形選択ツールやクイック選択ツールで背景を消した後で境界を修正するときです。たとえば、最初のPowerPointの例で紹介した男の子の画像の場合、Photoshopで作業するとしたら、多角形選択ツールで背景を消しますが、多少細かな調整が求められる指の間の空間については、ブラシツールで修正します。
ここまでの2つの例と同じように、まずはPhotoshopに画像をドラッグ&ドロップし、「スマートオブジェクト」に変換したうえでラスタライズしましょう。方法は次のとおりです。
ブラシツールは、赤目修正ツールのすぐ下にあります。次のようなアイコンです:
まず、最上部のメニューのすぐ下で、「モード」を「消去」に設定。次に、ブラシのサイズの横にあるドロップダウンの逆三角をクリックして、「硬さ」を「100%」に変更してください。こうすると、ブラシツールは消しゴムの役割を果たすことになります。
マウスのクリックとドラッグで、不要な背景を消去しましょう。細かい部分を処理するときは、ブラシツールのサイズを調整したり、画像をズームインすると効率的です。
目的どおりの画像が完成したら、PNG形式で保存すれば、背景が透明なままにできます。
いかがでしたか。今回ご紹介した方法を使えば、写真の背景消去はかなり簡単になるはずです。ほかにもご存知の方法やコツがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。