ランディングページの目的はただ一つ、ウェブサイトの訪問者を購買プロセスの次の段階へとコンバートさせることです。いたってシンプルに聞こえますが、実際に効果的なランディングページを作成するとなると、綿密な計画を立て、作成したクリエイティブをテストしてみる必要があります。
まずは素晴らしいランディングページとはどのようなものか、実例を見てみましょう。業種やコンバージョンアクションが同じでなくてもかまいません。ランディングページに、「唯一の正解」はありませんから、さまざまな業界のさまざまな購買プロセスにおけるアイディアを見ることが、効果的なランディングページの作成に必ず役立ちます。
今回の記事では、皆さんのインスピレーションの素となるような、優れたランディングページをご紹介していきます。
ご注意:今回ご紹介するランディングページに関しては分析データを入手できないため、訪問者、連絡先情報、リード、顧客のコンバージョンが実際どのくらい発生しているのかは分かりません。ただ、どの例も、ベストプラクティスを実践しつつ、斬新な試みも取り入れた素晴らしいページなので、是非参考にしてください。
(他にもランディングページ関連のアイデアをご覧になりたい方は、お手本にしたいランディングページ15の実例も合わせてどうぞ。)
Lyftは米国で急速に普及しているライドシェアサービスです。このランディングページには「Lyftで手軽にお金を稼ぎたい」と考えるドライバーたちがアクセスします。そこにしっかりと焦点を合わせているところが、このページの素晴らしいところです。
ページには「Apply Now(今すぐ登録)」と書かれた登録フォームのほかに、都市名と1週間に運転可能な時間を入力するフィールドが用意されています。訪問者がこの2つのフィールドを入力し、「Calculate(計算する)」をクリックすると、どうなるでしょう。ページの移動はありません。
入力フィールドが表示されていた場所に、1週間あたりに稼げる金額が表示され、さっきまで「Calculate(計算する)」が表示されていた場所には、新しい「Apply Now(今すぐ登録)」のボタンが現れます。そしてこのボタンをクリックすると、登録フォームにカーソルが移動する仕組みです。
このように、すぐに登録できる方法と、Lyftで得られる金額を見てから登録する方法の2通りを用意することによって、ドライバーとして登録する決意が固まっている人と登録するかどうかまだ迷っている人の両方にうまく対応しています。
恋愛に奥手な人は、経験豊富な友人にアドバイスを求めたり、橋渡し役になってもらった経験があるのではないでしょうか。これをプロフェッショナルなサービスとして提供しているのが、The Professional Wingman(ザ・プロフェッショナル・ウィングマン)です。(「ウィングマン」は、もともと空軍用語で、編隊の先頭機の斜め後方を飛ぶ機体のことを指す言葉ですが、それが転じて「意中の人の気を惹くのを手伝ってくれる人」という意味があります。)ただ、プロに助けてもらえるのは心強いとはいえ、一体どのようなシステムなのか、値段はいくらなのか、本当に役に立つのか気になりますよね。
Thmas Edwards氏(彼自身が同社最初のプロフェッショナル・ウィングマンです)のランディングページは、こういった訪問者の不安をうまく解消しています。ランディングページでは、お試しセッションで達成できることが箇条書きで簡潔に説明されており、「Get My Complimentary Coaching Experience(無料のお試しコーチングセッションに申し込む)」というCTAボタンにより、無料であることもはっきりと分かります。CTAボタンがファーストビュー(スクロールしなくても表示される領域)に、目立つ色で表示されている点も参考にしたいテクニックです。
また、CTAボタンをクリックしても新しいページには移動しません。同じページ上にフォームが現れます。このフォームには記入事項が多く、プライベートな質問も含まれていますが、それによって同社が一人一人のことを真剣に考えていること、また顧客側も真剣に取り組む必要があることが伝わってきます。
このランディングページは完璧です。人目を惹く画像とインタラクティブなデザイン、さらに説明的でありつつ流し読みも可能なヘッダーにより、ジャーナリストを検索できるというMuck Rackのサービス内容がすぐに理解できるようになっています。業界の専門家のメッセージをソーシャルプルーフとして利用している点や、直感的に操作しやすいページの構成も見逃せません。
さらに、このランディングページの素晴らしいところは、Muck Rackの顧客層であるPR/マーケターとジャーナリストの両方にうまくアピールしている点です。ページ上部に左右1つずつ画像を配置し、それぞれ「FIND JOURNALISTS(ジャーナリストを検索)」と「BUILD FREE PORTFOLIO(ポートフォリオを無料で作成)」のCTAを配置しています。いずれかのCTAをクリックするとシンプルなフォームが表示されます。他には何も表示されておらず、オーディエンスが気を散らすことなくフォームを記入できるようにしています。
Cigitalのランディングページにも優れた点がいくつかあります。まず使用されている画像はシンプルながら内容との関連性が高く、ページの見出しも単刀直入です。さらにeBookの説明文も、フォームを記入してそれをダウンロードすることで得られる価値を明確に説明しています。ページにあるCTAボタンは、「READ THE EBOOK(eBookを読む)」の1つのみ。鮮やかなオレンジ色が目に留まります。
このランディングページで、1つだけ変更するとしたら、上部のナビゲーションバーを取り除くとさらに良いでしょう。ナビゲーションバーは訪問者の気を逸らし、コンバージョンアクションから離脱するきっかけになりがちです。ナビゲーションバーを表示しないことは、理論的にベストプラクティスであるというだけでなく、弊社でA/Bテストを行った際にも、ナビゲーションバーのないランディングページのほうがコンバージョン率が高いという結果になりました。
ホームページをランディングページとして使用するのは簡単ではありません。サイトの入り口であるホームページにはさまざまなタイプのオーディエンスが訪れるからです。しかし、無料の学習プラットフォーム「Khan Academy」ではそれをうまくやってのけています。
このページは、以下の3種類の訪問者を想定してデザインされています。何かを学びたい人、教えたい人、そして子供のためにKahn Academyを利用することを考えている保護者です。さらに、ページ上部には「You can learn anything(何だって学ぶことができる)」というフレーズが表示されており、オーディエンスの意欲を高めています。
ページの残り部分は、Khan Academyに馴染みのない訪問者のためにデザインされています。この学習プラットフォームを利用するメリットが、カラフルかつ大きく、一目で分かりやすいように説明されています。さらに「Start learning now(今すぐ学習を開始する)」というCTAボタンが繰り返し表示されるため、閲覧者は「納得できる情報を得た」と感じた時点ですぐに、スクロールすることなくフォームに戻ることが可能です。
ちょっと気の利いた言葉を添えることで、ランディングページの好感度が大幅にアップする場合もあります。例えば、ワインのキュレーションと販売を行っているClub Wの、コーポレートギフトのランディングページがその好例です。「This year, give a gift everyone will love.(今年はみんなが喜ぶ贈り物を)」というコピーの下に、「Hint: It's Wine(ヒント: ワイン)」のテキスト。このようなちょっとした遊び心で、ブランドに人間味が加わり、それによって好感度が増せば、コンバージョン率にも良い影響がありそうです。
ヘッダーの下のスペースを上手く活用して配置された画像もやはり素晴らしく、同社のギフトサービスを利用すると得られるものが一目で分かります。さらに「Email us(メールで問い合わせる)」というCTAボタンは、しっかりと目立つ色で作られています。
このページで1つだけ変えるとしたら、CTAボタンを押した際のフローです。現状ではCTAボタンを押すとユーザーのメールソフトが開くようになっていますが、これではサイトとブラウザから完全にユーザーを離脱させてしまうことになります。ブラウザ上で記入できるフォームのほうが効果的でしょう。フォームなら記入してもらいたい情報を指定できますし、ユーザーをサイト上から離脱させずにすみます。
続いて、デザインもコピーもシンプルなCodecademyのランディングページをご紹介します。ファーストビュー(スクロールなしで表示される領域)の右側にはサインアップフォームが表示されています。そして左側にはコンピュータディスプレイの画像が表示され、HTMLコードのブラケットに挟まれたカーソルが点滅しています。プログラミング゙学習サービスを提供するサイトにぴったりの洒落たアイデアです。
フォームはメールアドレス、ユーザー名、パスワードだけを入力する簡単なもので、CAPTCHA認証を済ませたらアカウントを作成できます。FacebookやGoogle Plusのアカウントでもログインでき、登録の手間がさらに省けるようになっています。
アカウントを作成する前にCodecademyについてより詳しく知りたい場合は、スクロールすると表示される領域に動画のスタートボタンが用意されており、サービスの概要と利点が利用者のサクセスストーリーを通して説明されます。これも初めての人には近寄りがたい「コーディング」の印象を和らげるのに一役買っています。
さらにもう少し背中を押して欲しい人のためには、画面をスクロールすると、利用者の声をはじめとしたソーシャルプルーフが表示されます。
現代ほど、人々が食べ物にこだわっている時代はないでしょう。Poachedはそこに目を付け、B2Bのビジネスモデルを構築しました。飲食店のオーナーと、料理人やスタッフをつなげるサービスです。
ホームページを訪れると、内容はいたって簡明直截です。「Post a job(求人を出す)」と「Choose a city(都市を選ぶ)」というCTAボタンを見ても、サイトの目的は一目瞭然です。これらのボタンをクリックすると、それぞれ登録またはログインするための簡単なフォームか、選んだ都市の求人情報の一覧が表示されます。ページは非常にカラフルで、まさに食欲ならぬ成功意欲が刺激されます。
次に紹介するBreatherのランディングページは、洗練された気持ちの良いページです。Breather.comを開くとすぐに、オフィススペースを見つけるためのCTAボタンが表示されます。さらに現在地情報サービスを使用して、ユーザーの近くのオプションがすぐに提供されるようにもなっています。
単刀直入なコピーで、同社のサービス内容がすぐに分かるのも素晴らしいですし、都市を選択するCTAボタンで即座に検索が開始できるのもユーザーにとって利便性の高いデザインです。より詳しい情報が知りたい場合は、スクロールすると人間味に溢れたマイクロコピーが用意されていて、このように洗練されたデザインの舞台裏に生身の人間がいることを思い出させてくれます。
こうしたちょっとした心遣いがブランドと利用者の距離を縮めます。さまざまなオフィススペースを閲覧できるページもやわらかく心地良い配色で、「風通し(Breathe)のよいオフィススペースを提供する」という同社のサービス内容にマッチしています。
登録したら何が起こるのかも分からないまま個人情報を提供する人はいません。Startup Instituteのランディングページはフォームのすぐ隣にQ&Aを表示し、訪問者の疑問にはっきりと答えています。かゆいところに手が届くとはこのことです。
登録後の流れが分からないと、訪問者はフォームへの入力をためらいます。ですから、ランディングページでは登録すると何が得られるのかをはっきりと示しましょう。そうすることで訪問者の不安を解消できますし、企業側も自社のコンテンツや製品、サービスに強い関心を持つ人の情報だけを集めることができます。
Edupathは大学進学のためのサポートを提供しています。そのため、サイトコンテンツの大半は学生をターゲットとしていますが、保護者をターゲットととしているセクションもあります。下のランディングページもその一つで、大学への願書の作成やSAT(大学進学適性試験)の準備をサポートするサービスを、10代の子供を持つ保護者に向けて宣伝しています。
保護者が子供の名前、メールアドレス、携帯電話番号をフォームに入力すると、Edupathのアプリをダウンロードするリンクが子供の方に送られます。Edupathはおそらく「子供は親に言われたことはやる場合が多い。言うことを聞かなければせっかく買ってもらったスマホを取り上げられてしまうかも知れなければなおさらだろう」と考えたのでしょう。
また、ダウンロードプロセス自体もワンクリックで非常に簡単です。親を経由して学生のスマートフォンにアプリを送るという、このコンバージョンパス全体が非常に賢い戦略だと言えます。
私たちマーケターにとって、極上のウイスキーに勝る楽しみと言えば、極上のランディングページに出会うことです。Taster's Clubのランディングページがその良い例でしょう。ランディングページを開くとすぐに、「Join now(今すぐ会員登録)」と「Learn more(詳しく知る)」のCTAボタンが表示されます。しかもこのランディングページはホームページでもあるのです。
詳しい情報を知りたい人が、「Learn more(詳しく知る)」のCTAボタンをクリックすると、ページがスクロールダウンし、カラフルな画像を効果的に使用した説明文が表示され、メンバーシップの詳細が分かるようになっています。そのままスクロールし続けると、利用者の声が表示されます。
一方の「Join now(今すぐ会員登録)」をクリックした場合も楽しい作りになっています。最初にウィスキー、バーボン、スコッチから好きなタイプを選びます。すると、そのタイプのメンバーシップオプションとギフトオプションが表示されます。そこから好きなオプションを選択すると、操作しやすい清算ページへと移動し、支払情報を入力できるようになっています。極上のウイスキーのようにスムーズで優れたデザインです。
他にもランディングページのインスピレーションを得たい方は、ハブスポットのランディングページ事例をご覧ください。
編集メモ:この記事は、2016年11月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Lindsay Kolowichによる元の記事はこちらからご覧いただけます。