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Shopifyの導入事例18選|国内・海外の事例を製品・サービス別に紹介

作成者: 水落 絵理香(みずおち えりか)|Feb 22, 2022 7:20:33 AM

Shopify(ショッピファイ)は、月間アクティブユーザー数10億人を超える(2019年3月時点)、世界最大のECサイト構築サービスです。必要な機能はアプリをインストールすることで実装でき、誰でも柔軟にオリジナルECサイトを作れます。しかし、Shopify特有のメリットを生かしきれているECサイトは多くありません。

既存のプラットフォームからShopifyに乗り換え、ECサイトのリニューアルをはかりたいときは、まず他社の事例に目を向けてみましょう。理想のECサイトのイメージが湧きやすくなるはずです。

本記事では、国内・海外の18種類の事例を詳しくご紹介します。

Shopify(ショッピファイ)が注目されている理由

もともとはカナダで生まれ、2018年に日本へ上陸したShopify。2020年には新規出店数が前年比2.3倍に拡大し、数多くのEC事業者がShopifyを使ってオリジナルECサイトを開設しています。

ECサイト構築サービスが増えるなかShopifyが注目を集めている理由の一つが、カスタマイズの柔軟性です。

Shopifyには、ショッピングカートなどECサイトに必要な基本的な機能のみが標準搭載されており、ほかに必要な機能があればアプリをインストールして導入するという仕組みを採用しています。サブスクリプション制度を付け加えたり、SNSや顧客管理システムと連携したりと、自分だけのECサイトを自在に構築できるのが特徴です。

従来のECサイト構築サービスの多くは、機能の追加ができません。これでは消費者の価値観や行動様式が変化した際の対応が困難になります。

その点、Shopifyであれば、CRM(顧客関係管理)システムと連動し、ユーザーのニーズを正確にECサイトへ反映させることができます。ほかにも、ECサイトの離脱率が高ければ、アプリを導入してレコメンド機能を実装させ、課題に対応することも可能です。

このように、時代の変化に合わせて柔軟に対応できる独自のシステムがShopifyの大きな強みです。公式サイトの事例ページでも、多くの企業が「Shopify導入の決め手」に「柔軟性」という理由を挙げています。
 

国内での導入状況

Shopifyの日本法人「Shopify Japan」は、2021年2月26日に国内サービスにおける成長率を発表しました。

2020年の流通総額は前年比323%増と、4倍強の成長を遂げています。また、同年にパートナー育成プログラム「ブートキャンプ」を実施したこともあり、2020年9月末時点のアクティブパートナー数は前年比173%増となりました。

2020年には、「オリオンビール」や「タイガー魔法瓶」、「タンスのゲン本店」などが、Shopifyを利用してECサイトのオープンおよびリニューアルを実施しました。
 

日本でShopifyを導入したECサイト事例14選

Shopifyで成功したデザインや構造を把握することは、ユーザーにとって親しみやすく利便性の高いショップを作る近道です。ここでは14社の導入事例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
 

飲食関連の事例①リニューアル後にベストセラー商品が誕生

沖縄に本拠を置く大手ビールメーカーの「オリオンビール」は、公式通販サイトのリニューアルにあたりShopifyを導入しました。導入した理由は、システム面における拡張性の高さです。

実際にロジスティクス部門と密に連携ができるよう配送アプリを導入した結果、受注から出荷までのプロセスがスムーズになりました。また、ユーザーに対しては、ギフト商品を購入する際に決済に関する注意事項を記載することで、サイト全体の利便性を向上させています。

Shopifyを導入してリニューアルを行った後、「75BEER」というベストセラー商品も誕生しています。

参考:Shopify 導入事例(オリオンビール)
 

飲食関連の事例②リニューアル1か月で売上3倍に

全国にカレーショップをチェーン展開する「ゴーゴーカレー」は、Shopifyを導入して旧サイトを刷新しました。できるだけサイトの開設を急ぐため、最初は必要最低限の機能のみを実装。その後、決済機能の充実やコンテンツの追加を行い、現在の姿となりました。

ゴーゴーカレーの特徴は、レトルトカレーの大量注文に対応している点です。たとえば、50食以上の大量注文は、Amazonや楽天市場といったオンラインモールでは対応しづらく、ECサイトでのみ受け付けることで差異化をはかっています。

参考:COMMERCE MEDIA 導入事例(ゴーゴーカレー)
 

飲食製品の事例③創業300年の歴史を感じさせるデザイン

元禄15年創業、東京奥多摩の地酒として親しまれてきた酒店「澤乃井」では、公式通販サイトのリニューアルにShopifyを活用しました。

サイトデザインは洗練された高級感があり、300年以上の歴史を誇る澤乃井のイメージを崩さないような工夫が施されています。また商品を検索するときは、製法や味、季節といった条件から好みに応じて目的のお酒を探せます。

参考:COMMERCE MEDIA 導入事例(澤乃井)
 

アパレル製品の事例①男性と女性で異なるトップページを表示

ビンテージミリタリー、アウトドアウェアを取り扱うアパレルブランド「Nigel Cabourn」は、日本公式サイトを構築するためにShopifyを導入しました。

サイトデザインはイギリス本国のサイトに合わせ、統一感を意識しています。男性向けと女性向けでトップページを分けるという細かな工夫が特徴的で、ユーザーはわざわざ「メンズ」や「レディース」というジャンルを選択せずに済みます。

参考:COMMERCE MEDIA 導入事例(Nigel Cabourn)
 

アパレル製品の事例②カスタムオーダー機能を実装

サーフウェアを取り扱うアパレルブランド「The Endless Summer(TES)」は、日本公式サイトを立ち上げるためにShopifyを導入しました。

サイトのカラーは白を基調としており、サーフブランドらしく爽やかな印象を受けます。ブランドの世界観が壊れないよう、できるだけシンプルにデザインしていることがうかがえます。

システム面については、素材の色とキャラクターの柄を選べるカスタムオーダー機能を実装しました。商品とキャラクターのアイコンを選択し、「名入れ」という項目に好きな名前を入力するだけでオーダーが完了します。誰でも簡単にカスタムオーダーを行えるのが特徴です。

参考:COMMERCE MEDIA 導入事例(The Endless Summer)
 

アパレル製品の事例③運営コストの削減とリソース効率の向上に成功

地球環境に優しいダイヤモンドジュエリーを販売する「PRMAL(プライマル)」は創業当時、オープンソースの Spreeというツールを使ってECサイトを立ち上げました。以前のサイトでは社内エンジニアが直接システム開発を行っていましたが、サイトリニューアルに伴いShopifyを導入することを決意しました。

自社開発ではシステムを柔軟に変更できる一方で、システム負荷対策やバックアップなど、莫大な運営コストが必要です。また、決済手段を一つ追加するだけでも数週間の工数が発生するため、社内のリソース効率が低下するという問題を抱えていました。

Shopifyの導入後は、運営にかかるコストとマンパワーを大幅に削減でき、ブランドの世界観構築など、本当に必要な業務にリソースを集中できるようになりました。

参考:Shopify 導入事例(PRMAL)
 

家電製品の事例①構築初月に数百万円の売上を達成

低温調理器を販売する「BONIQ(ボニーク)」は、ECサイトをリニューアルする際にShopifyを導入しました。

Shopifyを導入する前のECサイトでは、月にわずか1~2個しか商品が売れないような状態でした。しかしShopifyを導入後は、サイト構築初月から数百万円の売上を達成するほどに成長しています。

導入後に取り組んだのは、主にカゴ落ち対策です。サイト訪問者の50%以上のユーザーがカゴ落ち、すなわちカートに商品を入れた状態でサイトを離脱していたため、そのユーザーに対して10~20%オフのクーポンを配布しました。その結果、今では1年に数千万円を売り上げるECサイトに発展しています。

参考:Shopify 導入事例(BONIQ)
 

家電製品の事例②ブラックフライデーで大成功

犬用カメラを販売する「Tomofun」は、Shopifyを使って「Funbo」というECサイトを立ち上げました。そして2017年に初めてブラックフライデーに参加。通常期と比べブラックフライデーのセール期には、売上が数十倍に増加するほど驚異的な実績を記録しています。

また、愛犬家に人気のある犬アカウント「ワンスタグラマー」をうまく活用し、商品の認知を拡大させました。

参考:Shopify 導入事例(Tomofun)
 

スポーツ用品の事例①費用の安さをうまく利用して改善を継続

アメリカ発のホームフィットネス器具「BODYBOSS」は、日本への上陸に伴い、Shopifyを使って国内用ECサイトを構築しました。もともとは無料のECサイト構築サービスやカートシステムを使っていましたが、柔軟なカスタマイズ性やデータ分析の優位性からShopifyの活用を決めました。

Shopifyなら専用のアプリを実装すれば低コストでインフルエンサーマーケティングを実施できます。それまでのECサイトでは10万円以上かかっていた初期費用が、Shopifyのアプリの場合は数千円程度に抑えられます。少ない予算でうまくインフルエンサーを活用することで、現在も購入者数が増え続けています。

参考:Shopify 導入事例(BODYBOSS)
 

スポーツ用品の事例②トップページから商品の仕様を一目で確認できる

サイクリング用品を販売する「GoGoCYCLING」は、Shopifyを活用して新規ECサイトを構築しました。

GoGoCYCLINGのサイトは特に検索機能が優れており、ブランドや車種、タイヤサイズなど10種類の条件を設定して好みの商品を探せます。また商品一覧にサイズや重量、変速数などが表記されており、目的の商品を探しやすいのも特徴です。
 

スポーツ用品の事例③商品の細かい仕様が分かりやすい

トレーニングウェアやシューズを販売する「Runtrip Store」も、Shopifyを使ってECサイトを構築した事例の一つです。

商品ページには、多いもので一つの商品につき20種類近くの画像が用意されています。実際に現物を確認できないECサイトですが、Runtrip Storeであれば購入前に細かい商品の仕様をチェックできます。
 

文具用品の事例①姉妹店と連携して平均値を超えるCVRを実現

東京・台東区三筋にある文具店「カキモリ」は、ECサイトを大幅に刷新するためにShopifyを導入しました。デザインの自由度が高く、システムの拡張性に優れているというShopifyの特徴が決め手となりました。

ECサイトのラインナップには、ペンやインク、ノートなど5つのカテゴリーを用意しています。特に看板商品である「オーダーノート」の売れ行きが好調。ECサイトにより、実店舗の前でオーダーノートの完成を待つ人の行列を解消した結果、UXが格段に向上しました。

また、姉妹店でオーダーインクを制作した顧客は、カキモリのECサイトを通じてリピート購入ができます。姉妹店を含めた店舗全体の利便性が高まり、通常よりも高いコンバージョン率を実現しました。

参考:Shopify 導入事例(カキモリ)
 

文具用品の事例②海外ユーザーが安心して注文できる仕組みを搭載

京都の老舗はんこスタンプ店「田丸印房」は、国内ユーザーだけではなく海外ユーザーのニーズにも対応できるよう、Shopifyを使ってECサイトをリニューアルしました。

多言語かつマルチ通貨に対応し、海外発送が可能なShopifyは、越境ECを目的とする事業者に最適なサービスです。特に発送に関するページでは、梱包方法について写真を交えて丁寧に説明しているため、海外ユーザーも安心して利用できます。
 

ゲーム関連商品の事例①アクセスの多いスマホユーザーへの最適化

女性向けゲームグッズの公式通販サイト「GCRESTORE」は、新しくECサイトをオープンするためにShopifyを導入しました。

ECサイトのメインユーザーはスマートフォン利用者だったこともあり、ピクセル単位で画面サイズを調整。スマートフォンの機種ごとに最適化された画面表示を可能にしました。

参考:COMMERCE MEDIA 導入事例(GCRESTORE
 

海外のShopifyストアの事例4選

次にShopifyの海外企業の導入事例をご紹介します。越境ECのために海外向けのECサイトを構築したい場合には、以下でお伝えする事例のデザインやシステムなどを参考にしてください。
 

海外の事例①商品体験にこだわった詳細ページ

2014年にニューヨークで設立されたプレミアムオーディオブランド「Master & Dynamic」。当ブランドのECサイトにはShopifyが導入されています。

商品ページのファーストビューは、洗練された高級感のある見た目が特徴的です。シンプルな画像と簡潔な説明文のみを掲載し、ブランドのイメージを演出しています。「カートに追加」のボタンは画面をスクロールして初めて現れるため、ユーザーはしっかりと商品の内容に納得したうえで購入を決断できます。

参考:Shopify ブログ
 

海外の事例②アーティストの魅力を徹底的にアピール

Fred Jourdain(英語)」は、Shopifyで構築したECサイトにて個性的なアート作品を販売しています。サイトトップページのバナーは最新の作品がローテーションされ、いつ見ても新鮮な感覚を味わえます。

Fred Jourdainの特徴は、読み物コンテンツの量が多いことです。インタビューやアートブック、出版物などアーティストを紹介する情報が所狭しと並んでいます。コンテンツを見ているうちに、いつの間にかアーティストのファンになる人も多いでしょう。その見せ方は、物販系ECサイトの商品ページを作成するときに参考になります。

参考:Shopify ブログ
 

海外の事例③国内サイトとは異なるコンセプトを発信

アウトドア用品を販売する「Snow Peak(英語)」は、海外版ECサイト(snowpeak.com)の構築にShopifyを活用しました。

数多くの商品が並び、どことなく親近感が生まれる日本版ECサイトに比べ、トップページで紹介されている商品点数が少なく、シンプルなデザインが特徴的な海外版は洗練された印象を受けます。国内企業が越境ECを行う際は、必ずしもサイトデザインを統一する必要はなく、Snow Peakのように地域の特性や文化に合わせて見た目を変えるのも方法の一つです。
 

海外の事例④商品画像を増やしてユーザーの悩みを解消

レトロゲーム機を販売する「Retro Asia(英語)」は、越境ECでファミコンやセガサターンなど日本の中古ハードを展開しています。その海外版ECサイトの構築に活用したのがShopifyです。

実際に稼働するかどうかという点が気になるレトロゲーム機だけあり、商品ページには数多くの画像が掲載されています。またInstagramやTwitterとコンテンツを連動し、まるで博物館のようにゲーム機が紹介されているのも特徴です。
 

事例を参考に、ユーザーに求められるECサイトを構築しよう

ここまでお伝えしたような複数の事例を参考にすることで、実際にShopifyを導入してECサイトを構築する際のヒントを得られます。良質なECサイトを構築できれば、ユーザーにとっては使いやすく、企業にとっては売上が向上するというWin-Winの関係が築けるでしょう。

今回は18種類の導入事例をご紹介しましたが、気になるECサイトがあれば実際に訪れてみてください。「詳細ページでどのように商品の魅力を訴求しているか」「カートやフォームシステムの使いやすさはどうか」といった細かい部分を確認して初めて、そのサイトが人気を集めている理由が分かるでしょう。

今回お伝えしたShopifyの事例を基に、ユーザーに求められるECサイトを構築しましょう。