Shopify(ショッピファイ)は、世界中で170万以上のブランドが利用しているECサイト作成のプラットフォームです。Shopifyには、管理画面から設定を行うだけで始められる「Shopifyペイメント」という決済システムがあり、初期費用で始めることができます。
ShopifyでECサイトを作ったものの、「決済方法にShopifyペイメントを導入すべきか?」とお悩みではありませんか。本記事では、「Shopifyペイメントとは、どのようなシステムか?」「導入するメリットはあるか?」「手数料や入金サイクルは?」「設定方法は?」といった疑問にお答えします。
また、商品や自社のターゲット層に合う最適な決済方法を検討したい方のために、Shopifyで利用できるその他の決済サービスもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Shopify Payment(ショッピファイ ペイメント)は、2018年より日本での導入が開始された、Shopify公式のオンライン決済システムです。
Shopifyペイメントで利用できる決済方法は、クレジットカード・モバイル決済・Shop Payです。Shopifyペイメントでは、これらの支払い方法をShopifyアカウントで完結できます。
初期費用や月額料金がかからず、決済手数料のみで始められる手軽さから、Shopify利用者にとって主流の決済方法となっています。
Shopifyペイメントのシステムが導入される以前は、自社のECサイトでオンライン決済を利用するために、外部決済サービスを導入する必要がありました。それにより従来のEC決済の利用者は、次のような課題を抱えていました。
事前登録や審査には所定の日数が設けられており、利用開始まで1ヵ月以上かかることもあったそうです。また決済状況を別サービスで確認する必要があり、作業やコストの面でもEC事業者の負担となっていました。
このようなECサイト立ち上げにかかる時間や労力は、Shopifyペイメントの導入によって大きく改善されています。
ECサイトの決済方法にShopifyペイメントを導入するメリットは、次の6つです。
それぞれの詳細について、解説していきます。
一般的に、外部のオンライン決済サービスを導入するためには、初期費用と月額料金がかかります。初期費用と月額料金は見積もり形式が主で、決済手段を追加するほど高くなる傾向にあります。
Shopifyペイメントならこれらのコストが無料です。ECサイト運営のコストを抑えたい事業者にとっては、毎月の固定費がかからないことは大きなメリットです。
ShopifyのECサイトでは、クレジットカード決済の際に決済手数料と取引手数料が発生します。各プランの決済手数料と取引手数料率は、次のとおりです。
Shopifyプラン名 |
クレジットカード決済手数料率 |
取引手数料率(外部の決済サービスを利用した場合) |
取引手数料率(Shopifyペイメントを利用した場合) |
---|---|---|---|
ベーシック |
3.40~4.15% |
2% |
無料 |
スタンダード |
3.30~4.10% |
1% |
|
プレミアム |
3.25~4.05% |
0.5% |
表にあるとおり、Shopifyペイメント以外の決済方法の場合は、クレジットカードの決済手数料と取引手数料が二重に課されることになります。
これらの追加料金を考慮すると、Shopifyペイメント利用時のコストパフォーマンスの良さは明らかです。
ECサイトで外部のオンライン決済サービスを利用開始する際、一般的には審査が必要です。一方でShopifyペイメントは、管理画面で必要なストア情報を入力するだけで利用開始できるため、審査を待つことなく即時始められます。
Shopifyペイメントの詳しい設定方法については、後述の「Shopifyペイメントの設定手順」を参考にしてください。
Shopifyペイメントは、管理画面から「支払い額」「保留中の支払い額」「次の支払い日」をリアルタイムに確認できます。保留中の支払いが銀行口座に振り込まれたタイミングで、メール通知されるよう設定することも可能です。
決済状況が管理画面で常時確認できることで、決済完了後の商品発送や受付メールの送付など、すみやかな対応にもつながるでしょう。
ECサイトで商品の購入ページにアクセスしたものの、購入にはつながらなかったことを「カート離脱(カゴ落ち)」と呼びます。カート離脱が起きてしまう原因として考えられるのは、決済手続きの複雑さや決済方法の少なさなどです。
その点Shopifyペイメントは、他の決済サービスと比べて手続きの手間が少ないうえに、決済方法も充実しており、カート離脱を防ぐ効果が期待できます。
例えばShopifyペイメントの「Shop Pay」で購入した場合、初回のクレジットカード情報などを記録し、次回の入力を省略できます。また、「スピード決済」や「スライド式カート」など、カート離脱を防ぐための機能が多く用意されているのも利点の一つです。
Shopifyペイメントでは、日本円以外の通貨決済も可能です。例えばストアの所在地が日本で、顧客の大多数が米国にいる場合、ストア通貨を米ドルに設定することで他通貨決済ができます。
米ドルで支払われた料金を、Shopifyペイメントを通して日本円で入金の受け取りができるため、海外の消費者をターゲットとしているECサイトの運用にも最適です。
ECサイト運用に多くのメリットをもたらしてくれるShopifyペイメントですが、決済方法や手数料も明確に設定されています。本章では具体的な決済方法と手数料について解説します。
Shopifyペイメントで利用できる決済方法は、以下のとおりです。
各種クレジットカードの他、モバイル決済(モバイルウォレット)とShop Payが利用可能です。「Shop Pay」はShopify独自の決済サービスです。ユーザーが初回購入した際のクレジットカード情報などを保存し、次回購入時の入力の手間を省ける仕組みになっています。
Shopifyペイメントのクレジットカード決済手数料は、以下のとおりです。
ベーシック 29USD/月額 |
スタンダード 79USD/月額 |
プレミアム 299USD/月額 |
|
---|---|---|---|
VISA・Master Cardの決済手数料 |
3.4% |
3.3% |
3.25% |
American Expressの決済手数料 |
3.9% |
3.85% |
3.8% |
JCBの決済手数料 |
4.15% |
4.1% |
4.05% |
Shopifyペイメントを利用しない場合の追加取引手数料 |
+2.0% |
+1.0% |
+0.5% |
※2021年12月時点の情報です。
Shopifyの利用プランが上位プランになるほど、決済手数料は安くなります。
さらに、Shopifyペイメントを利用しない場合は、0.5~2.0%の追加取引手数料が発生します。例えばベーシックプランで、外部決済サービスのAmazon Payを利用する場合、4%(Amazon Payの決済手数料)+2%(追加取引手数料)=6%の手数料がかかります。
なお、Shopifyの利用プランについては以下の記事でも詳しく解説しています。ご興味がある方はぜひご覧ください。
Shopifyペイメントでは、自分で入金サイクルを決められます。毎週または毎月の、月曜日から金曜日を入金日として設定可能です。
入金日は、注文確定から5日間経過したあとの最初の指定曜日です。例えばストアの支払い日が金曜の場合は次のとおりです。
JCBを使用した場合は、注文確定から30日間経過したあとの最初の指定曜日となります。
Shopifyペイメントの設定(有効化)手順を解説します。
Shopifyペイメントでは円やドルなど、ECサイト内で使用する通貨を設定する必要があります。これをShopifyのストア通貨といいます。ストア通貨は最初の販売を行なったあとは原則変更できないため、最初に確認しておきましょう。
管理画面の「設定」から確認できます。
Shopifyペイメントを有効化します。管理画面の「設定」→「決済」→「アカウントの設定を完了する」をクリックして設定を開始します。
設定画面で、以下のストア情報と銀行情報を入力しましょう。
利用規約を確認し、「アカウントの設定を完了する」をクリックして完了です。Shopifyペイメントを有効化すると、自動的に他のクレジットカード決済サービスの利用が停止します。
「編集」からShopifyペイメントの詳細設定を行います。設定できる項目は以下のとおりです。
設定が完了したら、決済のテストを行いましょう。編集画面上部の「テストモード」にチェックを入れます。
決済テストに利用するカード情報には、Shopifyが提供しているテストカードを利用します。テストカードについては、Shopify公式ヘルプページを参考にしてください。
決済テストが完了したら、忘れずにテストモードを無効化してください。
以上で、Shopifyペイメントの設定(有効化)は完了です。設定が終われば、すぐに販売が開始できます。
ECサイトでは、希望する決済方法がないと離脱につながりやすいため、商品やターゲット層に合わせた決済方法を用意する必要があります。
Shopifyペイメントで対応できない決済方法に関しては、次のような決済サービスを併せて導入すると良いでしょう。
以下が、5種類の決済手数料と振込手数料の一覧です。
決済手数料 |
振込手数料 |
|
---|---|---|
PayPal |
3.6%+40円 |
無料(出金額5万円未満は1件あたり250円) |
Amazon Pay |
4% |
無料 |
コンビニ決済・銀行振込 (KOMOJU) |
コンビニ決済:2.75% 銀行振込:5% |
無料 |
後払い・代引き決済
(GMO) |
後払い:4.0%+150円(※)/回 代引き決済:360円~/回 |
月額費用:1,000円 |
携帯キャリア決済
(SBペイメント) |
6.0%~ |
月額料金:1,000円 利用料:0.2% トランザクション費(※):10円 |
本章では、これらの決済方法の手数料・特徴・おすすめポイントなどをご紹介します。
決済手数料 |
振込手数料 |
|
---|---|---|
PayPal |
3.6%+40円 |
無料(出金額5万円未満は1件あたり250円) |
サービスの特徴:PayPal(ペイパル)は、国内外で使えるオンライン決済サービスです。PayPalアカウントに登録した支払い方法で決済できます。
おすすめポイント:世界200以上の国と地域で利用でき、100通貨以上に対応しています。商品購入画面でクレジットカード情報を入力する必要がないため、セキュリティ面でも安心です。
考慮すべき点:出金額5万円未満の場合は振込手数料がかかる
決済手数料 |
振込手数料 |
|
---|---|---|
Amazon Pay |
4% |
無料 |
サービスの特徴:Amazon Payは、Amazonアカウントでログイン・決済ができる決済サービスです。
おすすめポイント:Amazon会員の人が決済しやすくなります。初期費用や月額料金がかからない点もおすすめです。
考慮すべき点:Amazonの法人アカウントを取得する必要がある。
決済手数料 |
振込手数料 |
|
---|---|---|
コンビニ決済・銀行振込 (KOMOJU) |
コンビニ決済:2.75% 銀行振込:5% |
無料 |
サービスの特徴:KOMOJUは、株式会社DEGICAが運営するオンライン決済代行サービスです。日本全国のコンビニや銀行で利用できます。
おすすめポイント:クレジットカード番号などの決済情報を送信する必要がないため、購入手続きを簡略化できます。オンライン決済よりも現金決済のニーズが高いターゲット層向けです。
考慮すべき点:支払いサイクルが月末締めの翌月末払いなので入金までに最長約60日かかる
決済手数料 |
振込手数料 |
その他の手数料 |
|
---|---|---|---|
携帯キャリア決済
(SBペイメント) |
6.0%~12% |
要問い合わせ |
月額料金:1,000円 決済システム利用料率:0.2% トランザクション費(※):10円 |
※決済処理にかかる手数料
サービスの特徴:ストアのサーバー上に決済サービスを置くAPI型決済により、ソフトバンク・ドコモ・auのキャリア決済を導入できます。
おすすめポイント:月々の携帯料金と合わせて支払いでき、クレジットカードを持っていないユーザーでも利用しやすいため、若年層をターゲットにしているストアにおすすめです。
考慮すべき点:決済手数料の他に月額料金・決済システム利用料・トランザクション費が発生する
最後に、Shopifyペイメントを利用する際の注意点を2つご紹介します。
Shopifyペイメントの設定を行うと、先に利用していた外部の決済サービスのクレジットカード決済の利用が停止されます。他のクレジットカード決済サービスとの併用はできないため注意しましょう。
販売開始後、「一定の売上」に達するとShopifyから写真付きのID(運転免許証やパスポート)のアップロードを求められる場合があります。
「一定の売上」については明確な基準は公開されておらず、個別でサポートへ連絡して対応してもらうことになります。この確認が完了しない場合は売上の支払いが保留されるため、すみやかに対応するようにしましょう。
ここまで、Shopifyペイメントの導入メリット・決済方法・設定手順などについて解説してきました。Shopifyペイメントは、EC事業者にとって費用や管理面のメリットがあるだけでなく、決済方法が豊富で決済手順もシンプルといった、ユーザーに対するメリットもあります。
ただし、Shopifyペイメントだけでは対応できない決済方法もあるため、外部決済サービスと併用するなど、販売する商品やターゲット層に合わせて導入を検討するようにしましょう。本記事が、Shopifyペイメント導入を迷っている方の参考になれば幸いです。