ある日のことです。熱心なブロガーが記事を作成しました。ひたすら調査を行い、多額の費用も惜しまず、4時間半かけて作成したその記事は、とても良くできていました。
執筆後に記事の校正と編集を行い、画像を追加して投稿しました。すがすがしい気分で「投稿」ボタンをクリックし、満足感に浸ります。
そして、自信たっぷりに反響を待ちます。ビューやシェアの数が一気に増え、エンゲージメントが高まり、多くの人から称賛を受けるのが楽しみでなりません。
これが幻想であることを信じたくない方には申し訳ないのですが、はっきり言ってしまいましょう。ブログ記事を、最後まで通して読む人はほとんどいません。時間と手間をかけて素晴らしいコンテンツを書いたとしても、タイトルしか読まない人さえいます。がんばってフォールドの下あたりまで読む人も多少はいますが、最後まで読むという貴重な読者はごくわずかです。
これって、どう思います?
多くの人が記事を読むのを途中でやめるという事実を証明する統計データは、インターネットで簡単に見つけることができます。
たとえば、Farhad ManjooによるSlateの記事をご覧ください。13,000人くらいの人がシェアしているようですが、皆さん最後まで読まないそうです。
あるいは、The Vergeによるこの可笑しなタイトルにご注目ください。
サブタイトルに「But you'll probably share it anyway」と書かれているとおり、この記事は12,000以上のシェアを獲得していますが、その中の何人が実際に記事を読んだのかを考えると、まあ決して多くはないと思います。
これらの記事で紹介している統計データを見ても、特に驚くようなことはありません。下はそのデータです。グラフを一見しただけで、記事を最後まで読む人は非常に少ないことがわかります。おそらく投稿者の親友か、親戚の人くらいであれば、記事を最後までスクロールするかもしれません。
では、ツイートの数はどうでしょうか。これも望みは薄いようです。Chartbeatの調査によれば、Twitterのアクティビティと記事が読まれる分量とのあいだには、ほとんど何の関係もないそうです。
Upworthyによる、シェアと記事が読まれる分量に関する科学的分析を見ても、解決の糸口すら見えてきません。
インターネット調査の第一人者である尊敬すべきJakob Nielsenは、2008年に、ほとんどのユーザーがページ上のコンテンツのおよそ20%しか読んでいないという調査結果を報告しました。今日では、1日に1,500以上の(この記事のような)ブログ記事が投稿されています。この現状でも同じように20%という結果が出たら、驚いてしまうに違いありません。
がっかりさせてしまったでしょうか。これらのデータを見ていると、時間とお金をかけてブログを作成するのが、まったくの無駄のように思えてくるかもしれません。
なぜ多くの人がコンテンツを最後まで読まないのか、説明しようとした賢い人たちがいます。Slateが推測した次の3つの理由をご覧ください。
おそらく、これらはどれも間違っていないと思います。私自身も集中力がありませんし、物事を表面だけ見ていますし、日々忙しく暮らしているからです。しかし、興味を惹かれる良い記事であれば、私は最後まで読みます。という、前向きな言葉がようやく出てきたところで、次のセクションに進みたいと思います。
実は、画面上のこの特別なポイントまで隠しておいた、重要な情報があります。
統計上、画面のこの辺りは、エンゲージメントの低いすべての読者が記事を去る「ゴールデンスポット」であることがわかっています。つまり、私は今エンゲージメントの高い読者だけに対して説明をしていることになります(ここを読んでくださっている方、ありがとうございます)。
多くの記事が、偽善者や怠け者やずる賢い人たちによって読み飛ばされていますが、中には最後まで通して読む、エンゲージメントの高い人たちもいます。その人たちのことを中心に考えて、記事を書けば良いのです。
Slateによるデータをもう1つご紹介します。
これは、Slateの記事を読むオーディエンスのエンゲージメントの高さを色で示した、非常に有益な図です。真ん中あたりの赤いエリアにいるのが、本当に興味を持って記事を読んでくれている人たちです。この人たちに対して語りかけるべきです。
記事に興味を持った人には、最後まで読んでもらえることがわかりました。では、どうすれば興味を持ってもらえるでしょうか。
次ではその方法について説明しますので、読み飛ばさないようお願いします。
まず、すべての人が記事を最後まで読んでくれるわけではありませんが、それでかまいません。エンゲージメントの高いユーザーに読んでもらえれば良いのです。そのことに集中してください。ここでは、オーディエンスに最後まで興味を持って記事を読んでもらうために、お勧めしたいことを5つご紹介します。
Derek Halpernは、ブログ記事の冒頭に画像を入れると、より多くの人が記事を読み、そして読み始めたら最後まで読んでくれるという調査結果を公開しました。
その説明を一部抜粋します。
「文章を読むかどうかを咄嗟に判断する際、人は1行に含まれる文字数が少ない方を好みます。記事の冒頭に(幅が画面の半分のサイズの)画像を入れると、その部分の1行の文字数が半分になるため、読みたいという気持ちを強くさせることができます。」
この方法で、より多くの人が記事を読むようになります。また、Halpernは次のようにも述べています。
「最初の3文か4文まで読んでもらえれば、その人が記事を最後まで読む可能性は高くなります(原文どおり)」
下の図は、Halpernが説明に使用した、記事冒頭の適切なレイアウトです(参照記事はこちら:HOW TO WRITE THE PERFECT BLOG POST)。
Alex Turnbullによると、記事の冒頭に物語を入れて読者に話しかけると、最後まで読んでくれる人が300%近く増え、読者がそのページにとどまる時間が520%も長くなるそうです。
物語を利用して、多くの人に記事を読んでもらいましょう。この古代の手法は、現在のマーケティングでも大いに取り入れられています。
人は年齢や経歴、知性、飲み物の好き嫌いに関係なく、物語が大好きです。物語は私たちの神経を特殊な方法で活性化させます。物語を聞いたり読んだりすると、その物語を現実の世界で体験しているのと同じ感覚になります。私たちは物語が好きなのです(参照記事はこちら:The Science of Storytelling : Why Telling a Story is the Most Powerful Way to Activate Our Brains)。
私はQuicksproutで記事を作成する際に物語を多用します。私が経験した実話を読者に物語として伝えることで、その記事を問題の解決や、課題の克服や、より大きな成功のために役立てていただければと考えています。私が物語を伝えている記事をいくつかご覧ください。
記事を見た瞬間、テキストが何の区切りもなくただ並んでいると、その画面からすぐに逃げ出したくなるものです。記事に最後まで目を通してもらうために、視覚的階層の原則に従ってレイアウトを作成する必要があります。
「視覚的階層」と聞くと複雑そうに思えるかもしれませんが、実際にはそうでもありません。大まかには、コンテンツを順序立てて配置することを言います。下の画像をご覧ください。
階層があるかどうかは、訪問者が記事を読むかどうかに大きく影響します。次の2つでは、どちらを読もうと思いますか。
もちろん、2つ目ですよね。
記事に視覚的階層を作るために、次の要素を使用することができます。
人の目が視覚的階層に頼る必要があるように、人の脳は話の流れを頼りにする必要があります。視覚的階層ほど明確ではありませんが、概念的階層の原則もやはり重要です。
訪問者に記事を最後まで通して読んでもらいたいのなら、書かれている内容を理解してもらうために、コンテンツの流れを論理的に組み立てることが必要です。
次の4つのシンプルな手順に従うことで、記事に概念的階層を作成することができます。
次は最後の1つです。
記事の長さは重要ではありません。ブログ記事は短くするべきだと言う人もいれば、長ければ長いほど良いと言う人もいます。
どちらが正しいということはありません。必要な長さだけ作成すれば良いと思います。
長文のコンテンツは、統計的にシェアや被リンクの数が増える傾向にあります。ですが、文字数を重視するよりも、要点を上手く伝えるのに十分な長さの記事を書くようにしましょう。
このセクションで最初に「すべての人が記事を最後まで読んでくれるわけではないが、それでかまわない。エンゲージメントの高いユーザーに読んでもらうことに集中するべきです」とお伝えしたのを思い出してください。
コンテンツの長さを考える上でも同じです。エンゲージメントの高い読者は、長くても短くても記事を読んでくれるはずです。
この記事を、全体を通して読みましたか、読み飛ばしてきましたか、それとも、最後のまとめの部分だけ読もうとしていますか。
いずれにしても、この記事のまとめを読んでくださる皆さんのために、もう一度要点をお伝えしましょう。記事を最後まで読んでもらうには、次の5つの点に注意する必要があります。
ほとんどの人が記事を最後まで読まないことを覚えておいてください。気にする必要はありません。全体を通して読んでくれる人もいます。その人たちをオーディエンスだと思って記事を書きましょう。
記事の全体を読んでもらうために使えるテクニックをご存知でしたらお知らせください。
編集メモ:この記事は、2014年8月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Neil Patelによる元の記事はこちらからご覧いただけます。
画像クレジット: Slate, Buffer, Webdesign.tutsplus.com