AIのアウトプットと、求める成果の間にあるギャップ
この2年間、私はAIについて、数多くのビジネスリーダーと対話を重ねてきました。そこで見えてきたパターンは、いつも同じです。最初は「AIに何ができるのか」への高揚感。そして次に訪れるのが、「実際の成果はどうか」という失望です。
「優れたEメールが書ける」それ自体は事実です。しかし、それが成果に直結しているわけではありません。
「見込み客の調査が数秒でできる。」それも事実です。けれど、本当に優先すべき相手を見極められているでしょうか。答えは、必ずしも肯定的ではありません。
AIが生み出す印象的なアウトプットと、私たちが本当に求めているビジネス成果。その間にあるギャップは、いまや明確になっています。HubSpotは、このギャップの理由をはっきりと捉えています。それは、現在のAIが、人間がこれまで仕事の中で当たり前に活用してきたコンテキストを欠いたまま動いているからです。
欠けている要素:コンテキスト
優秀なチームメンバーを思い浮かべてください。彼らは、どの見込み客を優先すべきかを理解しています。なぜなら、これまでに似たパターンを数多く見てきたからです。コンバージョンにつながるEメールを書けるのも、ブランドのトーンや顧客を深く理解しているからです。顧客の課題を素早く解決できるのも、過去に何が有効だったかを知っているからです。
それが、コンテキストです。適切な情報を、適切なタイミングで持ち、それをどう活かすべきかを判断できる力のことです。
コンテキストがなければ、AIは誰にでも当てはまる一般論しか提示できません。顧客のことも、自社のことも、そして自社のような企業で実際に成果を生み出している要因も理解していません。だからこそ、コンテキストを欠いたAIエージェントでは、求める成果には届かないのです。効果的な行動に結びつけるために必要な理解が、そこには欠けています。
問題:コンテキストはどこにでもあり、どこにもない
いま、このコンテキストの多くは、個々人の知識の中に蓄積され、複数のシステムに分散し、そしてチームの日々の業務の中に隠れています。
なぜ、あの案件を優先対応に切り替えたのか。なぜ、あのキャンペーンは成果につながったのか。多くのシステムは「何が起きたか」は記録します。しかし、その判断の背景にある理由、たとえば例外対応や過去の前例、現場での判断といった要素は、EメールやSlack、そして個々人の知識の中に散らばったままです。
こうした暗黙知は、時間をかけて積み重なります。そして、誰かが組織を離れた瞬間に失われます。
ほとんどのAIツールは、このコンテキストを見つけることも、活用することもできません。ブランドガイドラインをアップロードし、ワークフローを設定し、自社のビジネスの仕組みを教え込むよう求められます。そして次のツールでも、同じことを繰り返す。さらに、その次も。
これは、本来あるべき姿ではありません。
私たちが構築しているもの:「エージェンティックカスタマープラットフォーム」
HubSpotは、もっと良い方法があると確信しています。
私たちが構築しているのは、CRMとネイティブに連携した成果志向のAIエージェントです。全ての顧客データとビジネスコンテキストを1か所に集約する。それをチームとAIエージェントが同じ基盤で共有し、活用する。そのとき、マーケティング、営業、カスタマーサービスは、人とAIの協働によって大きく変わります。
過去25年間にわたり、CRMソフトウェアはマーケティング、営業、サポートチームの活動を記録してきました。ソフトウェアにはデータが格納され、人間がそこに背景情報や判断、アクションを加えてきたのです。いま、AIエージェントはより多くの業務を担うことができます。しかし、それは人間と同じコンテキストにアクセスできてこそ可能になります。
これを実現するには、3つのレイヤーを中核とする、新しい構造のプラットフォームが必要です。

1. コンテキスト:顧客理解のレイヤー
その中核にあるのが、Smart CRMです。あらゆる顧客データと事業コンテキストを統合する、単一の情報基盤です。
顧客コンテキスト:会社、コンタクト、チケットなどの構造化レコードだけでなく、Eメール、通話記録、チャット履歴などの非構造化データも含め、顧客の全体像を1か所で把握します。
事業コンテキスト:自社のブランド、製品、戦略。「何が起きたか」だけでなく、「なぜその判断がなされたのか」まで含みます。その背景にある根拠、前例、例外対応、現場の判断までを捉えます。
組織コンテキスト:チームがどのように働き、連携し、意思決定しているか。成果を生み出すパターンを体系的に蓄積し、誰かが離れても知識が失われない状態を作ります。
業界知見:25万件以上の企業とそのユーザーから得られたインサイト。どのキャンペーン施策が成果につながるのか、どのシグナルが成約を示すのか、どのサポートアプローチが顧客満足を高めるのか。企業規模や業種に応じた実証的な知見を活用します。
HubSpotの実践知:20年以上にわたり、数百万件に及ぶキャンペーン、取引、サポート対応から培われた市場展開戦略(GTM)の専門性。今日注力すべき案件は何か。顧客が購入を検討するタイミングはいつか。複雑な問い合わせをどこにエスカレーションすべきか。より精度の高いアクションを導きます。
2. アクション:業務を実行するレイヤー
コンテキストだけでは不十分です。それを実際の業務に活かし、価値へと変えるアプリケーションが必要です。
HubSpot製品:Marketing Hub、Sales Hub、Service Hubは、コンテキストを基盤に設計されています。導入初日からより賢く機能し、認知の拡大、パイプラインの構築、顧客満足の向上を加速します。
Breeze Agents:実務を担うAIチームメイトです。アカウントのリサーチ、データの強化、問い合わせ対応、リードの評価までを実行します。定型業務を自動化することで、チームはより付加価値の高い仕事に集中できます。
Breezeアシスタント:従業員1人ひとりを支援するAIアシスタントです。役割や状況に応じたインサイトと提案を提供し、CRMへの入力や更新も支援します。
これらが他と決定的に異なるのは、完全な顧客コンテキストに基づいて動く点にあります。その結果、ビジネス成果が高まり、顧客体験も向上します。さらに、全てが単一のプラットフォーム上で統合されているため、分断されたポイント製品に起因する、過剰な重複配信や不整合な顧客接点を防ぎます。
3. コーディネーション:人とAIが協働するレイヤー
人とAIが真のパートナーとして機能するには、従来のワークフロー自動化を超えた仕組みが必要です。
エージェント運用:どの業務をAIエージェントに任せ、どの業務を人が担うのかを明確に定義できます。取引の中でエージェントを@メンションし、タスクを割り当て、権限を設定することも可能です。人間のチームメンバーのように管理できます。
外部システム接続:ビジネスは単一のシステムだけで動いているわけではありません。AIも同様です。HubSpotは、既存のテクノロジースタックと接続し、エージェントが複数のプラットフォームを横断して機能できる環境を提供します。システム同士をつなぐ中核として機能します。
AIを含む統一ガバナンス:単一のプラットフォームは、単一の権限管理、単一の監査ログ、単一のセキュリティーモデルを意味します。全てが一貫したガバナンスのもとで運用されます。
なぜこれが重要なのか
AIそのものは目的ではありません。求めているのは成果です。成果にはコンテキストが不可欠です。
AIモデルは急速に一般化しています。しかし、AIが再現できないものがあります。それは、自社の顧客データ、事業理解、そして何十万社におよぶ企業から蓄積された実証済みの知見が組み合わさった独自のコンテキストです。AIは世界について多くを知っています。しかし、必要なのは「自社の世界」を理解するプラットフォームです。
従来のCRMは、この前提で設計されていません。それらはデータを記録するためのシステムであって、コンテキストを活用するためのシステムではありません。単体のAI製品も同様です。顧客データの全体像にアクセスできません。さらに、複数のツールをつなぎ合わせれば、本来解消すべき断片化を、かえって深めてしまいます。
HubSpotでは、コンテキストが1か所に集約されます。それが、全ての業務を支えます。人とAIがチームとして協働する。マーケティング、営業、カスタマーサービスのあらゆる活動の中心に、顧客を据える。
それが私たちのビジョンです。成長企業にとって、AIを真に価値あるものにすること。
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