職業人生において、複数の顔を持つことがよしとされることはほぼありません。多くの場合、「不誠実」あるいは「信用できない」と受け止められ、疑心暗鬼の環境を作り出してしまいます。

しかし、マーケティングはその限りではありません。複数の顔を持つことが推奨されるだけでなく、むしろ不可欠といっても過言ではないのです。

ここでいうマーケティングとは、SNSを活用したソーシャル メディア マーケティングのことです。ソーシャル メディア マーケティングで成功をおさめるには、多岐にわたるニーズやオーディエンスに応える必要があります。

私たちがSNSにログインするとき、そこに求めるものは一人一人異なります。それなら、マーケター側もその一つ一つのニーズを理解し、それぞれに適した形で語りかける必要があると思いませんか?

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マーケターが使い分けるべき7つの顔

皆さんは、エディ・マーフィの「ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合」という映画を覚えているでしょうか? エディ・マーフィが、科学者で紳士でとても尊敬されているクランプ教授と、やせ薬を飲んだことで生まれた別人格、細身で女たらしのバディ・ラブの両方を演じていました。

全く異なる人格を持つ2人ですが、ミス・パーディはそれぞれ別の理由で両方に魅かれていきます。

ミス・パーディがそうだったように、知的な会話を楽しみたいときもあれば、コメディクラブでお酒を飲んで羽目を外したいときもあるのが人間です。

事実、私たちの実生活においても、人との関わり方はさまざまな要素に左右されています。同僚と接するときも、オフィスにいる時と金曜の夜に飲みに行く時では違うはずです。

これこそが、ソーシャル メディア マーケティング戦略において、多様なオーディエンスのニーズに対応するさまざまな「顔」が必要となる理由です。

1)情報提供者の顔

膨大なコンテンツと情報があふれている現代において、購買者は、自分の意思決定の助けとなるリソースを求めています。

まさにGoogleが現代のイエローページたる所以です。

またTwitterのフィードがイエローページのような様相を呈していることもあります。なぜなら、SNSにおいても購買者たちは常に有用な情報を求めており、マーケターたちがそれに応えるコンテンツを大量に作成し提供しているからです。

また、SNSは検索エンジンと同等に消費者の購買行動に影響を与えているとも言われています。

重要なポイント:キーワード戦略と同等、あるいはそれ以上の時間を、ソーシャル戦略に費やしてください。

その際、有益な情報を提供することを第一に考えます。リソースを公開したらすぐにSNSで共有し、ユーザーがアクセスしやすいようにしましょう。また他社が公開した業界関連のリソースも共有してください。自社にとって有益なリソースは、多くの場合オーディエンスにとっても有益です。

フォロワーを他の場所へ誘導することについて心配する必要はありません。有益な情報を共有し続けることで、オーソリティと信頼を構築することができるからです。そして、求めるものが提供されている場所に人は必ず帰ってきます。

2)質問者の顔

成功するソーシャル戦略というのは、メガホンではなくトランシーバーのようなものだと考えてください。常に何かをプロモートして声高に自分のメッセージを伝えるばかりでは、エンゲージメント、ひいては価値が大きく低下してしまいます。

自分のことばかり話して、他人の話はロクに聞かないという人もいますが、こういう人は誰からも好かれません。

誰かが、あなたの一日について訊ねてくれて、心から関心を寄せてくれた時…あたたかい気持ちになりませんか。皆さんのフォロワーも同じです。あなたがフォロワーに関心を持っていることを示すために質問を投げかけてください。質問することで多くのフォロワーと交流し、彼らに対する理解を深めることができます。利点はそれだけではありません。フォロワーとの関係が構築できる上に、バイヤーペルソナをより細かく定義するのにも役立ちます。

重要なポイント:「オーディエンスが求めているコンテンツが分からない」「プロダクトの更新を通知することはオーディエンスの役に立つだろうか」そういった疑問があるなら、是非フォロワーに質問してください。

インスピレーションを得るのに、ターゲットオーディエンスより有益なリソースはありません。日々質問を作成することを習慣にしてください。優れたソーシャル メディア マーケターは、顧客フィードバックの重要性と、それに基づいてプロダクトやサービス、顧客体験を改善することの大切さを理解しています。

まずは、自社の主要チームメンバーの仕事を改善するのに、どのような質問が役に立つかを理解するところから始めましょう。そしてこれに基づいて質問を作成します。これを繰り返しましょう。

3)支援者の顔

2)と似ていますが、ここでは質問をするのでなく、質問に答えます。

先ほど例に出したトランシーバーのように、SNSで動的な交流を実現できている企業は数少なく、多くの企業が静的なソーシャルプレゼンスしか構築できていません。

SNSほど、オーディエンスとブランドが直接つながれる場所はありません。消費者が、ウェブサイトや広告で見つけることのできない情報を、ソーシャルで質問するというのは良くあることです。こうした質問に答えることができるブランドこそが、消費者との関係を構築し、購入につなげることができるのです。

重要なポイント:自社に関する質問やコメントが挙がっていないか、自社のソーシャルアカウントを積極的にチェックしましょう。そして毎日質問やコメントに答えるようにしてください。その際、迅速かつフレンドリーであることを心がけます。そして何より重要なのは、役に立つ回答を提供することです。消費者は、痒い所に手が届くきめの細かい対応をしてくれるブランドをひいきにしたくなるものです。

実際、筆者もよく行くピザ屋さんがあるのですが、ここはいつも帰り際にソフトドリンクのお土産をくれるのです。一度人の心を掴めば、その人は長い間顧客となってくれることを忘れないでください。

4)啓発者の顔

あるいは、「ソートリーダー」の顔とも言えるでしょう。

なぜこれが大切なのでしょうか? 第一に、フォロワーや業界のインフルエンサーたちの尊敬を勝ち取ることは、非常に価値があります。しかしさらに重要なのは、こうした尊敬が新規顧客につながるということです。

私たちは誰しも、事情をよく分かっている人、自分の仕事に精通している人と取引したいと考えます。そういう人や企業を、人々はどうやって見つけているのでしょう。

答えはもうお分かりですね。

重要なポイント:すべてのソートリーダーに共有する点があります。彼らの才覚は他の人やリソースに頼ったものではなく、経験から自然と身に付いたものだということです。
皆さんの会社にも、プロダクトデザインの責任者から、経営陣レベルにいたるまで、さまざまなリーダーがいるはずです。その方たちの専門知識や洞察を投稿に活用しましょう。特定の業界やトピックに誰よりも詳しい人が必ず社内にいるはずです。その人の知識を社内だけで埋もれさせずに、SNSで発信しましょう。

自社のSNSを更新する際に、こうした方たちを是非引用してください。インタビューを実施して投稿するのも良いでしょう。ただしその際に、あくまで自社をソートリーダーとして位置づけることが大切です。個人の知識に便乗していると思われないようにしてください。

5)お調子者の顔

オンライン投稿の法則として「面白いものほどバイラルになる」というものがあります。

今日、私たちは、「人間的なマーケティングの進化」のまっただ中にあり、消費者はブランドのパーソナリティに価値を見出しているだけでなく、パーソナリティを表現しているブランドをそうでないブランドよりも好む傾向にあります。

一方で、SNSにおいては、ちょっとした面白いコンテンツを見たり共有したりすることを、多くの消費者が求めています。

重要なポイント:消費者はユーモアを好みます。しゃべるチワワのCMを見たことが、タコスの購入につながったりします。米国スーパーボウルの翌日最も話題に上がるのは、最高のメッセージを伝えたコマーシャルではなく、笑わせてくれたコマーシャルだったりします。このことを忘れないでください。面白い画像を投稿したり、自分が笑えた動画や記事を投稿したりしてみましょう。

日々、ちょっとしたユーモアを共有することほど、ブランドに人間味を持たせられる方法はありません。またマスメディアに見られるように、笑いほど消費者の記憶に残るものはありません。常に生真面目なブランドでいる必要はありません。消費者が求めているのは、お堅さだけではないのですから。

6)エンターテイナーの顔

笑いを求めることと共通していますが、フォロワーには「楽しませてほしい」という気持ちがあります。

ブログの記事を公開するたびに、そのタイトルとリンクをSNSに投稿するだけでは、効果は望めないでしょう。

SNSにはありとあらゆる情報があふれ、飽和状態です。その中でフォロワーを楽しませたり、役に立ったりできなければ、一歩抜きんでることはできません。

重要なポイント:コンテンツを共有すること自体がつまらないものだというわけではありません。いえ、むしろつまらなくしない方法はたくさんあります。

ただ共有するのではなく、プレゼンしてください。例えば1分ほどの簡単な関連動画を作成してSNSで公開してはどうでしょう? あるいはeBookの情報をインフォグラフィックにまとめるだけでフォロワーの目を引くことができるかもしれません。

SNSの画面をスクロールしているユーザーの立場になって考えてみてください。情報提供するだけでなく、ユーザーの役に立つことを考えることが大切です。また分かりやすく簡潔に伝えることも心がけてください。ユーザーが探しているものはただ一つ、クリックするに値する何かです。

あまり考えすぎずに、ユーザーからクリックしてもらうことに集中しましょう。それができれば、中身はついてきます。また視覚的に考えることを忘れないでください。ビジュアル要素はエンターテインメントにおいて最も効果的な要素です。

7)開拓者の顔

SNSを見込み客開拓のツールとして活用していますか?
優れたソーシャル メディア マーケターなら、「SNSには、自分を必要としているのに、まだ出会えていないオーディエンスが大勢いる」と考えるはずです。

とりわけTwitterでは、こうした見込み客を見つけるのは非常に簡単です。関連するハッシュタグをモニタリングすれば良いのです。

重要なポイント:Twitterのハッシュタグをモニタリングし、さまざまなユーザーグループ(つまりマーケットのセグメント)を特定しましょう。類似した質問をしているユーザーをみつけて、質問に答えたり、交流したりしてみてください。またsearch.twitter.comでトレンドを把握するのもお忘れなく。

SNSでは多くの人が助けを求めて質問をしています。そうした質問に答えることで、自社ブランドを「リソース」として確立するだけでなく、購入の有力候補として位置づけることができます。

さまざまな顔を持つこと

SNSで成功する秘訣は、オーディエンスがSNSを利用する理由が多岐にわたっていることを理解し、それに合わせてさまざまな声で語りかけることです。

1つの声では十分ではありません。ソーシャル メディア マーケターは、今やどのビジネスにとっても欠かせないポジションになりつつあります。これは、ソーシャル メディア マーケティングがリアルタイムのPRとして機能するだけでなく、オンラインで自社を見つけてもらうために不可欠の手段となりつつあるためです。

この記事で伝えたいポイントは、さまざまな顔を持つために、7人のマーケターを雇用する必要はないということです。必要なのは、状況に適応し複数の顔を使い分け、強力なプレゼンスを維持できる有能な1人のマーケターです。

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この記事は、2013年8月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。なお、IMPACT Branding & DesignのマーケティングディレクターJohn Bonini氏(@Bonini84)によるゲスト投稿であり、同氏や同社の他の記事はIMPACT Blogでお読みいただけます。

元記事発行日: 2017年4月23日、最終更新日: 2018年10月23日