ホームページを作成するためには、サーバーを用意する必要があります。
サーバーとは、ホームページを表示するのに必要なデータを保存しておく「保管庫」のようなもので、サーバー上にホームページを構築することでユーザーが閲覧できるようになります。
とはいえ、「ITやインターネットに詳しくなく、サーバーのスペックや種類の違いがよくわからない」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。サーバーには無料のものと有料のものがあり、ビジネスの規模や、専門知識を持つ管理担当者が社内にいるかどうかなどの条件によって、選び方が大きく異なります。
この記事では、ホームページ作成を検討している方、サーバーの選び方がわからずお困りの方に向けて、サーバーの種類や選び方について詳しく解説します。
サーバーとは、ホームページに必要なテキストや画像データなどの情報を保存しておくスペースのことです。また、ホームページ以外にも、用途に応じて次のようにさまざまな種類のサーバーが存在します。
ここでは、ホームページに必要なWebサーバーの役割と、ホームページが表示されるまでの流れを解説します。
サーバーの役割は、「家」を例にするとわかりやすいでしょう。
ホームページが家の建物だとすると、サーバーは「土地」になります。家を建てるには、土地が必要です。インターネット上でも同様で、ホームページ(家)を開設するためにはサーバー(土地)を用意し、その上にホームページ(家)を作ります。
家と土地の関係と同様、サーバーがなければホームページは開設できません。そのため、これからホームページ運用を検討しているのであれば、サーバーの用意は必須です。
また、ホームページのURL(ホームページアドレス)は、この例の場合「住所」にあたります。URLにアクセスすることで、見たいホームページが表示されます。
ホームページを閲覧する際の、サーバーの仕組みを詳しく見ていきましょう。
ChromeやSafariなどのWebブラウザ上で、リンクをクリックしてからホームページが表示されるまでの流れは次の通りです。
この動作は、ほんの数秒のうちに行われるため、ユーザーがこうした仕組みを意識することはほとんどありません。しかし、サーバーの性能によっては動作速度が遅くなることもあるため、しっかり検討して選ぶ必要があります。
サーバーには、大きく分けて次の3種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のサービスに適切なサーバーを選びましょう。
サーバーの種類別に、おすすめの企業規模・サイトの用途を一覧にまとめました。
サーバーの種類 |
おすすめの企業規模・サイト |
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自社サーバー |
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レンタルサーバー |
共有サーバー |
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専用サーバー |
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VPS |
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クラウドサーバー |
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自社サーバーとは、自社内に配置して使用する自社専用サーバーのことをいいます。サーバー本体の購入、運用まで全て自社で行う必要があります。
自社サーバーのメリットは、カスタマイズの自由度が高いことです。自社のサービスや規模に合わせて、自由にアプリケーションやツールなどを導入できます。
しかし、サーバー本体の購入には莫大な費用がかかり、日々のメンテナンスも全て自社で行う必要があるため、大きなコストがかかります。夜間にサーバーのトラブルが発生した場合も自社で対応しなければなりません。
セキュリティ対策やサーバー運用の専門知識を持つ社員が必要になるため、情報システム部門などがある大企業やIT企業でなければ、自社サーバーの導入は難しいでしょう。
レンタルサーバーとは、サーバー会社からレンタルして利用するサーバーで、次の4種類に分けられます。
レンタルサーバーは、1つの物理サーバーを複数のユーザーで共有して利用するサービスです。自社サーバーよりも導入コストが低く、初期設定やメンテナンスはサーバー会社に任せられるため、専門知識がなくても手軽に始められるのがメリットです。
一方で、設定の自由度は低く、セキュリティソフトなどはサーバー会社指定のものを使わなければならないなどの制約があります。
また、複数のユーザーでサーバーを共有しているため、他のユーザーにアクセスが集中すると、自社のホームページも重くなるなど、互いに影響を受けやすく、与えやすい点もデメリットです。
専用サーバーとは、1つのレンタルサーバーを独占して利用するサービスのことをいいます。
共有サーバーとは異なり、サーバーを自社で独占できるため、他のユーザーの影響を受けない点がメリットです。アクセスが集中しやすく、負荷が大きいホームページで使われるケースが多いです。
一方で、共有サーバーよりもコストが高く、サーバー会社によっては設定などを自社で行う必要があるため、専門知識が必要な点がデメリットといえます。
VPS(Virtual Private Server)は、共有サーバーと専用サーバーの良い部分を合わせたようなサービスです。1台のサーバーの中に仮想的に複数のサーバーを構築しているため、実質的には共有サーバーでありながら、専用サーバーのように利用できます。
メリットは、専用サーバーに比べてコストが安いことと、設定の自由度が高いことです。デメリットとしては、設定や運用は自社で行う必要があり、物理サーバー自体に障害が発生した場合は、そのサーバーを利用する全てのユーザーが影響を受けることなどがあげられます。
クラウドサーバーとは、VPSと同様に、1つのサーバーを仮想化して分割したもので、容量やメモリなどのリソースをより細かく設定できるサービスです。容量やメモリを使用した分だけ支払う従量課金制で、契約後も使用状況に合わせてプランを変更できます。
アクセス状況に応じてサーバーのスペックをカスタマイズできるので、セール時期などのアクセスが集中する期間だけ拡張したり、閑散期は必要最低限のスペックで運用したりといった柔軟な運用が可能です。
一方で、設定や運用の手間がかかり専門知識も必要なため、運用コストが大きい点がデメリットです。
無料ホームページ作成ツールとは、サーバーの準備とホームページの作成をまとめて行える無料サービスです。
メリットは無料で始められること、ツール内でホームページ作成とサーバー利用が同時にできるため、サーバーを別途契約する必要がないことです。
ただし、無料ホームページは、サービス提供企業のドメイン(ホームページアドレス)を間借りしている状態なので、自社の独自ドメインが取得できません。また、サービス自体が終了してしまう可能性もあります。
さらに、ホームページ内にはユーザーの興味関心に合わせた広告が表示されるため、競合サイトの広告が表示されるとユーザーの離脱につながる可能性もあります。
サーバーを選ぶ際に重要なポイントは次の3つです。
どれも安定的にホームページを運営するために必要不可欠な要素です。それぞれ詳しく解説します。
まずは、サーバーのスペックを十分に確認することが重要です。特に、次の3点については自社ホームページの内容に合わせて適切なスペックを選択しましょう。
ディスク容量
サイトのデータを格納できる容量のことです。画像やPDFファイル、動画などデータサイズの大きいファイルを大量に使う場合は、ある程度の容量を確保する必要があります。
ディスク容量が足りなくなれば、不要なデータを削除する手間が生じます。余裕を持って容量を確保しましょう。
表示速度
表示速度とは、ユーザーがホームページにアクセスしてから表示されるまでの時間のことです。この速度が遅いと離脱につながるため、事前に確認しておく必要があります。
表示速度はCPUのコア数やメモリの大きさによって異なり、数値が大きいほど速度は速くなります。
また、ファイルの圧縮方法(Content-Encoding圧縮)やキャッシュ機能など、速度に関する機能の有無もサーバーによって異なります。それぞれサーバーの料金一覧表に機能があるかどうかが記載されていますので、確認しましょう。
転送量
アクセスがあった際に送られるデータ量の上限のことです。アクセスの集中や大容量ファイルの転送時には転送量は大きくなります。転送量が上限に近づくとサーバーに大きな負荷がかかり、ホームページにアクセスするまでの時間がかかったり、アクセスできなくなってしまったりといった問題が起こります。
こうした事態を避けるためには、転送量に余裕のあるサーバーを選ぶことが重要です。
サーバーの転送量は「1ページあたりのデータサイズ × アクセス数」で算出します。テキスト中心のサイトの場合、1ページのサイズは1?3MBのため、1日のアクセス数を仮に10,000とすると、次のように必要な転送量が算出できます。
3MB × 10,000アクセス = 30,000MB(30GB)
ホームページを作成する前はどのくらいのデータサイズ・アクセス数になるのかを予測するのは難しいかもしれませんが、まずは転送量30GB/日以上のサーバーを選んでおけば良いでしょう。
安全なホームページ運営のためには、セキュリティ対策が欠かせません。次のように高度なセキュリティ対策が行われているサーバーを選びましょう。
常時SSL化
SSLとは、インターネット上でやりとりするデータを暗号化する仕組みのことです。SSL対応をしていないと、通信中にデータを盗み見られる危険性があります。
特に、ECサイトなど会員登録が必要な場合は、ユーザーの個人情報が盗まれれば企業の信頼性は失われてしまいます。ユーザーも、SSL対応をしているサイトであれば安心して利用できるでしょう。常時SSL化が可能かどうかは確認しておきましょう。
WAF
WAF(Web Application Firewall)は、ホームページを不正な攻撃から守るための仕組みです。ホームページへのアクセスを解析し、攻撃だと判断した場合は通信を遮断します。WAF対応のサーバーであれば良いですが、導入されていない場合は別途用意する必要があります。自社に専門知識のある管理者がいない場合は、WAFが導入されているサーバーを選んだ方が安心です。
バックアップ機能
データの破損やマルウェアによるデータの改ざんなどが起こった場合に備えて、バックアップをとっておくことも大切です。サーバーを選ぶ際は、自動バックアップ機能が装備されているものを選ぶのがおすすめです。
また、大規模災害などでサーバーが破損した場合に、遠隔地でのバックアップができるかどうかも重要なポイントです。
例えば、過去数日分のデータを、別地域のデータセンターのサーバーに自動でバックアップするサービスを提供しているレンタルサーバーもあります。企業システムがダウンすると、その後の復旧に時間がかかり、事業の継続が難しくなる場合もあります。災害の多い日本では、こうした遠隔地のバックアップができるかどうかもサーバー選びの重要な観点です。
メールのスパム・ウイルスチェック
メールの送受信をする際のスパム・ウイルスチェックは、標準装備されている場合と追加で設定が必要な場合があります。ホームページで問い合わせを受け付けたり、メールを送信したりする場合は、この機能に対応しているサーバーを選択すると良いでしょう。
サーバーは24時間365日の稼働を想定して契約します。そのため、トラブルが起きた際にすぐに問い合わせできる体制が整っていると安心です。
具体的には、次のようなサポートが用意されているサーバー管理会社が多いです。
サポートが手厚ければ手厚いほど良いのは間違いありませんが、そこまでのサポートが必要ない場合もあるでしょう。サポート体制が手厚ければその分利用料金に反映されます。自社のホームページに必要なサポートを検討し、適切なサーバーを選びましょう。
自社ホームページに適切なサーバーを選ぶためには、サーバーの仕組みや種類、機能について基本的な知識を身につけておくことが大切です。専門用語も多いので難しそうに感じるかもしれませんが、自社のホームページの規模や運営体制を把握し、適切な方法を採用すれば、安定的なホームページ運営ができるでしょう。
本記事でご紹介した内容を踏まえてサーバーを選び、早速ホームページを開設しましょう。