2019年度の総務省の統計によると、日本の企業でWebサイト(ホームページ)を開設している企業は年々増えていき、2018年度は全体で91.8%、従業員数1,000人以上の大企業では97.6%、100~300人未満の中企業でも90.4%に達していることがわかりました。
おそらくあなたの会社にも、Webサイトは開設されていることでしょう。しかし、そのWebサイトは、ユーザーの求めるものに応えていますか?
2016年の通信利用動向調査では、企業がWebサイトを開設する目的の1位が「会社案内・人材募集」(89.9%)、2位が「商品や催し物の紹介・宣伝」(69.8%)となっています。
しかしスマホやPCでユーザーがネット検索をするのは、何らかの問題を解決するためです。問題を抱え、情報を求めてWebサイトを訪問するユーザーに対して、会社紹介や商品紹介は役立つ情報になっていますか?
またB2Bビジネスでは従来の飛び込み営業から商談のアポイントを取り、商談に入るというアウトバウンドの営業スタイルが大きく変わろうとしています。
2019年、アメリカの市場調査会社Forresterの調査で、顧客(購買担当者)が何を求めているかが浮き彫りになっています。
ここからわかるのは、「企業サイトが営業活動の中心へ移り変わろうとしている」ことです。企業サイトの役割は単なる会社の紹介や、提供する商品・サービスの紹介だけではありません。多様な問題を抱えるユーザーに有益な情報を提供し、そこから見込み客を獲得するインバウンドな思考をベースにしたコンテンツマーケティングが重要です。
WordPressを利用すれば、比較的簡単にコンテンツマーケティングを始めることが可能です。本稿では、Webサイトを新しく作成しようと考える方、従来のサイトの変更・改善を考える方のために、WordPressを利用した企業サイトの作り方をご紹介します。
企業サイトに求められるのは、問題解決に役立つ情報です。その情報は、量やわかりやすさと並んで鮮度が重要です。開いたページの最終更新日が3年前だとしたら、ユーザーは不安に思わないでしょうか?
Webサイトに情報を掲載するだけでなく、アップデートし続けることも必要です。記事を更新しWebサイトを常に最新状態に保つことによって、検索順位も上がります。ユーザーもあなたの会社のWebサイトを見つけやすくなり、良いサイクルが生まれていきます。そのためにも、Webサイトの定期的な更新は必須です。
WordPressを利用すれば、Webサイトの更新が誰でも簡単にできるようになります。どうしてそのようなことが可能なのか、ここではWordPressも含むCMSについて説明します。
CMSとは「Contents Management System(コンテンツ マネジメント システム)」の略で、Webサイトの制作と運営を行うためのシステムを指します。
本来、インターネット上にWebサイトを表示させるためには、文章や画像だけでなく、適切に表示させるためのHTMLやCSSというソースコードで記事を編集する必要があります。元の日本語の原稿にコード(HTMLタグやCSSなど)を埋め込み、投稿や画像が適切に配置されるように指示します。
従来はWebサイトを作成するためには、HTMLやCSSなどの知識が必要でした。しかしソースコードの知識がなくても、簡単に記事が投稿できるシステムが登場することで、Webサイトの制作は誰にでも可能になりました。それがCMSです。
CMSでは、Webサイトの雛形となるコードが事前に作成されています。権限を持った投稿者や管理者がブラウザを使ってダッシュボードにログインし、記事を作成したり、画像を挿入したりすればWebサイトが作成・カスタマイズできる仕組みになっています。ブログやSNS、WikiなどもCMSの一種です。
現在、世界には12億7千万を超えるWebサイトが存在すると言われていますが、そのうちの約半数がCMSで作成されています。そのCMSの中でも、54%という最大のシェアを占めているのがWordPressなのです。
なぜこれほどまでに大勢のユーザーがWordPressを選ぶのでしょうか。
人気の理由として挙げられるのが次の3つです。
更新のしやすさだけを考えれば、既存のブログやSNSなどのサービスを利用すれば十分です。しかし、ブログサービスやSNSは特定の企業が提供するサービスで、その企業が提供を止めてしまえばユーザーは利用することができなくなります。
一方、企業が独自ドメインを取得した上でダウンロードして利用するWordPressは、「自社のサイト」です。他社サービスを利用するブログやSNSとは異なり、サービスが途中で打ち切られる心配もありません。また必要な機能を自由に追加することもできます。問題が生じても対策方法も豊富に公開されているため、自力で問題の解決が可能です。
WordPress自体は無料であってもWebサイトを制作し実際に公開するためには、レンタルサーバーを利用する必要がありますが、月額1,000~5,000円程度で利用することができます。
WordPressを利用するメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
企業サイトにはWebサイトを訪れるユーザーをコンテンツで引きつけ、メルマガに登録してもらい、有望見込み客として育成するという役割があります。WordPressの持つ3つの特徴は、企業サイトを作成する上で大きな強みを発揮します。
それではそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
WordPressの特徴のひとつに、運営メンバーの権限をレベルに応じて設定することが可能なことが挙げられます。
WordPressの権限は、以下のようになっています。
権限 | 権限・役割の詳細 |
---|---|
管理者 | Webサイト全体を管理し、あらゆる権限を掌握する最上位の責任者 |
編集者 | コンテンツ全体の管理運営を担当 |
リンクやコメントの管理 投稿者 |
記事の作成、編集、投稿を担当 |
寄稿者 | 記事の下書き・編集を担当 |
購読者 | 購読のみ可 ※会員制サイトの場合に、会員登録を行ったユーザーを登録し、パスワードを配布する |
Webサイト運営に関わるメンバーの役職やスキルに応じて、個別に権限を設定します。そうすることで、必要な個所を間違って削除してしまったり、一部のユーザーが勝手に表示を変更してしまったり、という人為的なミスを防ぐことができます。
登録されたメンバーは、自分のPCからログインします。
ログインページから、ダッシュボードに進みます。
多くの人がそれぞれの立場でWebサイトの更新に参加することで、無理なくWebサイトのコンテンツを更新できる環境を整えることができます。
ブログやSNSは時系列に直線的な表示構造になっており、新しい投稿がページ上部から順番に表示されていきます。
会社概要など重要なページを最初に固定させることはできますが、固定できるページは限られます。あれも重要、優先的に表示させたい、と考えてしまうと、最新記事へたどり着くまでスクロールさせなければなりません。また、過去記事を探すのにもサイト内検索が必要です。
WordPressでは「固定ページ」と「投稿ページ」の両方があります。階層構造になっており、下図のようにナビゲーションを頼りに、ユーザーはサイト内を自由に回遊することができます。
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上図はWordPressで作成されたfreee株式会社のトップページの一部ですが、赤い四角で囲った部分がナビゲーションバーです。このナビゲーションによって企業サイトを訪れたユーザーは、迷うことなく目的の場所へ進むことができます。
WordPressで作成したWebサイトは製品紹介のページやイベント情報ページ、教育的なコンテンツ、企業理念など、多彩なページを作成しても、カテゴリごとに分類・整理して表示でき、ユーザーが迷子になることはありません。初めて訪問するユーザーもブログ記事を読了後、もっと詳しく知りたいと関連記事を探すユーザーもそれぞれの目的を達成することができます。
Webサイトの運営に慣れるにつれて「問い合わせフォームを設置したい」「Webデザインを変更したい」など、追加したい機能や変更したい機能などが、少しずつ明確化します。
WordPressには、Webサイト全体のデザインやコンテンツの表示構造を変更できる「テーマ」と呼ばれるデザインテンプレート、問い合わせフォームやスケジュール表などの機能を運営サイトに取り込める「プラグイン」と呼ばれる機能拡張ツールがあります。
WordPressは「テーマ」や「プラグイン」をサイト運営者が自由に組み合わせることで、少ない作業コストで効率的にWebサイトをカスタマイズすることが可能です。
このテーマやプラグインに関しては、後ほど詳しく紹介します。
WordPressにはさまざまな機能があります。WordPressは初心者でも簡単に扱えるため、WordPressの機能をほとんど知らないままでも、最小限の知識で企業サイトを運営することが可能です。しかし、せっかくカスタマイズ性の高いWordPressでWebサイトを運営しているのに「その機能を十分に使いこなさないのはもったいない」と思いませんか?
魅力的な企業サイトを開設するために、まずは最低限押さえておくべき機能を見ていきましょう。
WordPressの大きな特徴として、「固定ページ」と「投稿ページ」の2種類があることが挙げられます。
2種類のページは、それぞれ以下のような特徴があります。
固定ページ | 投稿ページ | |
---|---|---|
コンテンツ | ・トップページ ・ランディングページ(LP) ・会社概要 ・事業紹介 ・アクセス ・問い合わせフォーム |
・ニュース ・ブログ ・事例紹介 ・お知らせ ・イベント情報 |
特徴 | 普遍性の高い情報を配置するのに適したストック型のページ | 時事性の高い情報を流すのに適したフロー型のページ |
準備段階での留意点 | 不足している情報はないか、準備段階でしっかり確認する | どれだけ更新できるか、運用体制を構築する |
2種類のページの特徴を組み合わせることで、さまざまなユーザーのニーズに応えるWebサイトの制作が可能になります。
さらに、Webサイトの構成上の特徴として、投稿ページは「ニュース」「ブログ」などのようにカテゴリー分けをすることができるのに対し、固定ページは階層構造を取ることができます。
たとえば固定ページとして「会社概要」のページと「事業セグメント」のページを作成したとします。そこから各ページの下層ページを作成することができます。
「会社概要」ページの下層ページとして「役員一覧」や「組織図」などのページを作成し、親子関係にあるページとして設定することによって、検索エンジンもページの関係性が正しく理解できます。そのため検索によって来訪したユーザーが、下層ページにいきなり飛ばされることもなく、正しい階層関係で閲覧できるようになっています。
Webサイトのデザインとレイアウトを決めるのが「テーマ」です。
WordPressではWebサイトのデザインやレイアウトを決めるテンプレートのパッケージを「テーマ」と呼びます。テーマの中には、トップページのテンプレートやブログページのテンプレートなど、Webサイトの各ページに利用できるすべてのテンプレートが格納されています。
WordPressには初期状態でもいくつかのテーマがインストールされていますが、Webサイトのデザインやレイアウトは企業イメージを決定づける重要なものです。自社のイメージや目的に合ったテーマは、WordPressのダッシュボードから検索してお好みのテーマをインストールできます。
WordPressはプラグインによって、さまざまな機能を追加することができます。Webサイトによって必要とする機能はそれぞれ異なるため、必要な機能だけを運営者が選んでインストールできるプラグインは、企業サイトを運営する上でありがたいものです。
必要に応じてプラグインをインストールし、例えば問い合わせフォームを設置したり、Googleマップを設置したりすることができます。
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、直訳すれば「検索エンジン最適化」ということになります。検索エンジンに「良質で有益なサイト」だと認識してもらい、高い検索順位で表示してもらうために行うのがSEO対策です。
WordPressは一般に「SEOに強い」と言われます。その主な理由は、Googleが公開する「検索エンジン最適化スターターガイド」の多くをWordPressが満たしているからです。
WordPressで作成するWebサイトが林立する中で、差別化を行うためにWebサイト制作者ができることは以下の5点です。
SEO対策の本質は、ユーザーにとって有益で良質なコンテンツを数多く用意することです。一般に検索上位に表示されるためには100ページ以上が必要と言われていますが、コンテンツの量とアクセス数の間には、確実な相関関係があります。
さらに関連キーワードツールなどを用いて、検索されやすいキーワードを含めたタイトルのつけ方を工夫します。また、中見出しや小見出しなど「見出し」でもキーワードを取り込むことによって、検索エンジンは「重要なことが書いてある」と判断します。ぜひタイトルや見出しはSEOを意識して設定してください。
SEO対策に役立つプラグインも数多くあります。なかでも「Google XML Sitemap」と「All in One SEO Pack」 はSEO対策のおすすめプラグインです。
「Google XML Sitemap」は検索エンジンにWebサイトの情報を正しく伝えるプラグインです。また「All in One SEO Pack」 はSEOに関する基本的な拡張機能が数多く含まれています。
WordPressを用いて多くの企業が自社サイトを作成しています。WordPress社も「The Best WordPress Sites in the World」として、参考になるWebサイトを紹介しています。その中からいくつかを取り上げ、紹介します。
業務用・家庭用の洗剤・消毒薬を製造・販売するクロロックス社の消費者向けWebサイトです。上部のナビゲーションバーで商品や会社情報、クーポンなどユーザーの求める情報へ誘導しています。
メインビジュアルは頻繁に更新され、インフルエンザが流行しやすい時期には最も目立つ場所に「インフルエンザのシーズン、私たちはあなたを守っています」というコピーで自社の役割を打ち出しています。
Adobeは企業サイトとブログを分けています。ここで紹介したブログサイトは、WordPressで作成されています。
Adobe Blogsは非常にシンプルな作りですが、注目すべきは多言語への対応と記事数の多さです。このサイトには英語、日本語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語など多言語に対応した1,200以上の記事が収められています。上部のグローバルナビゲーションは企業サイトにリンクされており、下部のサブナビゲーションでそれぞれの国のブログに遷移することができます。
Webサイトは「The Best WordPress Sites in the World」でも紹介されている、イギリスのバーンズリー病院のWebサイトです。
Barnsley Hospital NHS Foundation Trust
このWebサイトを模式図で表すと、以下のようになります。
このように「自社サイトに使えそうなレイアウトだ」と思ったら、模式図を使って自社の情報をどこに何を当てはめるか、考えてみてください。3カラムにするか、2カラムにするか、サイドナビゲーションバーはどこに設置するか、など、検討すべきことはたくさんあります。
良質なサイトをお手本に、ユーザーエクスペリエンス(UX)の高いWebサイトを作成してください。
ここからはいよいよ実際にWebサイト作成に入っていきます。企業サイトを作成するための土台作りから、実際にレンタルサーバーと契約し、WordPressをインストールするところまでの手順を紹介します。
企業サイトの場合は、企画の段階でどのようなサイトにするか、しっかりと煮詰めておく必要があります。
企業サイトは階層構造を持ち、導線と各カテゴリーの関係をしっかりと設計しておかなければならないからです。企画段階で、Webサイトを設置する目的や役割、コンテンツの特徴がしっかりできているかどうかが企業サイトの成否を決めますので、この段階は絶対にスキップしないでくださいね。
事業全体の目的ではなく、Webサイトを通じて何が獲得したいのかを考え、Webサイトの最終的な目的を定めます。
例えば以下のような目的が考えられます。
このWebサイトが訴求する対象は、どのような人でしょうか。できるだけ具体的に練りこんでいきます。年齢、性別、企業における役職などを話し合って明確にし、Web制作に関わるチーム全体で共通認識を持ちます。理想的な顧客像を1人の具体的な人間に落とし込んだペルソナを作成することによって、Webサイトの性格もはっきりしてきます。
ペルソナを作成するためには、HubSpotが提供している「バイヤーペルソナの作り方と無料テンプレート」を活用する方法もあります。
最終的な目的を達成するためのルートを考えます。そのルートを、Webサイトを訪れたユーザーは進んでくれているかどうかを判断するための指標を設定します。
たとえばWebサイトには「有望見込み客を獲得する」という目的があるとします。しかし、その目的だけでは実際にどんな施策を取るのか、うまく行っているかどうか、途中でどうやって判断すればよいのかがわかりません。
そこで目的に到達するまでの各ステップで目標を設定します。
そこからそれぞれの目標を到達してもらうために、何をしなければならないかを明確化します。
たとえばある企業は、Webサイトの目的を「商談を行うための有望見込み客を獲得する」に設定したとします。さらに、目的を達成するために、次のような各ステップの目標と、目標を達成するためのアクションを考えたとします。
各ステップの目標 | 目標を達成してもらうためのアクション |
---|---|
ブログ記事を読んでもらう | ・教育的なコンテンツを多数用意する |
メルマガに登録してもらう | ・メルマガの登録フォームを用意する ・配信体制を整える |
ホワイトペーパーをダウンロードしてもらう | ・ダウンロードのための登録フォームを用意する ・ホワイトペーパーを作成する ・ダウンロードできる組みを用意する |
こうすれば各ステップごとに結果が測定でき、その数値を見ながら改善点を見つけることができます。
その目標を、今度はWebサイトに落とし込んでいきます。すべきことを「固定ページ」「投稿ページ」に振り分け、フォーム作成やダウンロードなど必要な機能を満たすプラグインを挙げていきます。こうした目標をいくつも設定し、Webサイトの設計図をよりしっかりしたものに作っていきます。
自社サイトを設置するレンタルサーバーを選んで、契約します。参考に企業向けレンタルサーバーとして代表的なものと各サービスの標準的なプラン費用を目安として紹介します。
レンタルサーバー | 月額(税込) | 初期費用(税込) | ドメイン |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 1,100円~ | 3,300円~ | 〇 |
さくらインターネット | 524円~ | 1,048円~ | 〇 |
ロリポップ | 550円~ | 1,500円~ | 〇 |
お名前.com | 990円~ | 無料 | 〇 |
※2020年6月現在の税込み価格
レンタルサーバーを決めたら申込を行い、合わせてドメイン名も決定します。契約者情報に記入し、支払い方法を選択、支払い情報を入力すれば、申し込み完了です。
WordPressをインストールする一般的な手順を説明します。インストールは以下の流れで進んでいきます。
それぞれの手順の詳細を説明します。
レンタルサーバーとの契約が完了したら、レンタルサーバー上にWordPressのデータベースを作成します。レンタルサーバー上にはWordPressの簡単インストール機能が用意されていますので、指示に従います。
データベースが作成されたら、次はWordPressのクイックインストールです。契約時に作成した独自ドメインを入力し、インストール先を決定します。
設置先のURLをクリックし、初期設定プロセスに入ります。Webサイトの名前、ユーザー名、パスワード、管理に使用するメールアドレスを入力します。
初期設定画面にある「WodPressをインストール」のボタンを押せば、インストールは完了します。インストール完了時に出る「成功しました」という画面のログインボタンを押せば、ログインページに移動します。
ログイン画面では、インストール時に設定したユーザー名とパスワードを入力すれば、WordPressにログインできます。ログインするとダッシュボード(管理画面)に移動します。では、ここから運営サイトの各種設定について説明します。
WordPressをインストールしたら、最初にすることはテーマのインストールです。初期状態でもいくつかシンプルなデザインのテーマがインストールされていますが、自社のイメージに合ったテーマを新規でインストールした方が良いでしょう。
ダッシュボードから「外観」をクリックして、新規追加を選びます。すると、新しいテーマが多数表示されます。
WordPressには非常にたくさんのテーマがあるため、WordPressに慣れるまでは日本製のテーマを使ってみてください。ここでは無料テーマのLightningを例に挙げて紹介します。
Lightning × ExUnit 日本語デモ | Just another サイト 株式会社サンプル site
Lightningには無料版と有料版があり、無料版でも商用利用可なものがあります。初心者でも設定がしやすい多機能のテーマです。
「外観」から「Lightning」を選んでインストールします。
「有効化」ボタンをクリックすると、運営サイトがLightningのデザインに設定されます。
詳細は「【WordPress】企業サイトにおすすめのテーマ4選&選ぶコツ」を参照してください。
プラグインとは、WordPressに機能を追加するソフトウェアのことです。WordPressは、本来、最小限の機能しか備わっておらず、ユーザーが用途に応じてさまざまな機能を追加することによって、カスタマイズできるような仕組みになっています。
プラグインが必要な理由は、Webサイトの目的によってそれぞれに異なるからです。
WordPressでは基本設計をできるだけシンプルにすることによって、動作を軽くし、不具合が起こることを防止しています。そのため必要な機能はプラグインを導入して機能を拡張することが、前提になっているのです。
プラグインをうまく活用すれば、複雑なプログラムを書かなければ使えないような機能を、簡単にWebページに追加できます。
プラグインのインストールも、ダッシュボードから行います。
ダッシュボードから「プラグイン」をクリック、公開されているさまざまな機能のプラグインから自社に取り入れたいものを選びましょう。
「今すぐインストール」ボタンを押すと自動でダウンロード&インストールされますので、あとはプラグインを「有効化」すればそれで運営サイトにプラグインが提供する機能が利用できるようになります。
プラグインを導入することによって、大きく分けて次の4つのメリットを得ることができます。
反面、便利だからといってプラグインをインストールしすぎると、サーバーの動作が重くなってしまったり、プラグイン同士がバッティングしてしまって、不具合が発生することもあります。
目的に合わせ、最小限のプラグインをインストールすることをお勧めします。
現在、WordPress公式のものだけで、56,000種類以上のプラグインが存在します。その中からSEO対策として押さえておきたいプラグインを紹介します。
WordPressのプラグインの中では最も人気のあるプラグインのひとつです。SEOに関連した多くの機能が利用できるだけでなく、アクセス解析ツールなどを導入した際にAll in One SEO Packと連動させることで、より細かな設定ができるようになります。また、SNSとの連携にも役立ちます。最初にインストールしたいプラグインです。
多言語化を助けるプラグインやフォーム作成プラグインなどは、次の章で紹介します。
詳細は「【WordPress】企業サイトにおすすめの公式プラグイン15選」を参照してください。
海外向けの商品や滞日・在日外国人向けのサービスなど、企業によっては外国人向けのWebサイトが必要な場合も少なくありません。ここでは自社サイトを英語化、またターゲットとする国に合わせて、多言語化する方法について簡単に見ていきます。
WordPressを利用して多言語化設定を行うには、大きく分けて2種類の方法があります。
多言語対応のテーマを選んだ場合は、1つのサーバーで複数のサイトを作成することなく多言語に対応することができます。
有料テーマのLIQUID PRESSは、言語別のデザインとコンテンツを作成できます。
コンテンツは言語別に作成する必要がありますが、自動言語切り替えリンクがついています。たとえば東アジア全域で展開したいときに、日本語のほかに英語、韓国語、簡体字の記事を作成しておけば、その国に合わせて表示を変えることが可能です。
すでに日本で運営している企業サイトを多言語対応型にしたい場合は、プラグインの活用がお勧めです。
WPMLは複数言語に対応した有料のプラグインです。
日本語で作成されたサイトもWPMLを導入することで、コンテンツが外国語に翻訳されます。40か国語以上に対応でき、多くの実績があります。
詳細は「WordPressでの多言語化設定方法と注意点を解説」を参照してください。
企業にとってWebサイトは顧客接点であり、企業とユーザーの対話の場でもあります。
ユーザーの反応を直接知り、ユーザーの声を聞く場としてWebサイトを活用することができます。WordPressは対話を通じて集客につなげていくプラグインも数多くあります。
企業とユーザーのコミュニケーションが加速するようなプラグインを、機能別に紹介します。
ユーザーがあらかじめ設定された特定の行動を取ったことをきっかけに、画面にウィンドウが表示されるのがポップアップです。
一般的には次のような行動をトリガーとして設定します。
WordPressでポップアップを表示するには?設定方法&おすすめのプラグインを紹介
HubSpotのWebページでも上図のポップアップを表示しています。否応なく目に飛び込んでくるため、イベントの告知や資料請求の案内などに効果を発揮します。
反面、Webページの閲覧を続けるためにはユーザー自身がポップアップを閉じなくてはならないために、ユーザーに嫌がられないような配慮が必要です。
WordPressではプラグインをインストールすることで、ポップアップ機能を導入できます。その代表的なものが、Popup Makerです。
Popup Makerではポップアップを表示するきっかけや、ポップアップを用意するページなど、表示するポップアップ画面についてのさまざまな設定が行えます。
詳細は「WordPressでポップアップを表示するには?設定方法&おすすめのプラグインを紹介」を参照してください。
お問い合わせや登録フォームなど、企業サイトにはなくてはならないのがフォームです。WordPressにはデフォルトのフォームがないため、プラグインを導入するのが便利です。
Contact Form 7をインストールすると、デフォルトでシンプルなフォームが設定されています。このフォームをもとに「テキスト」や「メールアドレス」「電話番号」など、さまざまな設問を追加・編集することができます。
詳細は「【WordPress】無料で簡単にお問い合わせフォームを設置できるプラグイン6選&失敗しないコツも解説」を参照してください。
Webサイト上でリアルタイムでユーザーの質問に答えることができるのがチャットボットです。
サイトを訪問するとチャットボットが表示され、15秒後にチャットボックスが大きく表示されるパターンのものや、右隅に表示され質問に答えるパターンのものなど、ユーザーへのサポートとして活用されているのがチャットボットです。
チャットで自動対応するプログラムのため、24時間365日対応することが可能です。そのためユーザーの離脱を防止でき、コンバージョン率の向上につながります。
WordPressでもこのチャットボットをインストールできるプラグインがあります。
IBM Watsonが提供する機械学習型チャットボットです。ライトプランでは無料で利用可能です。Chatbot with IBM Watsonは問い合わせの意図を理解し、スムーズな対応ができるチャットボットです。ライトプランは月に1万メッセージまで対応できるので、手始めに導入するには手ごろなチャットボットと言えるでしょう。
詳細は「WordPressでチャットボットを導入する際の注意点とは?おすすめツールもご紹介」を参照してください。
コンテンツの更新・管理がしやすく、自由にカスタマイズできるWordPressは、企業サイトに適したCMSと言えます。
企業のカラーを反映したデザインの構築や、顧客や見込み客に対して有益な情報の発信、チャット機能などを使った顧客とのコミュニケーションなど、企業サイトに必要な機能が一通り揃っています。
企業サイトを、ただ自社情報を記載しておくだけの場にするのはもったいないでしょう。顧客との良い繋がりを持つための手段として活用してみましょう。