ネイティブ広告とは?消費行動モデルに基づいて活用方法を徹底解説

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向井 拓真(Takuma Mukai)
向井 拓真(Takuma Mukai)

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ネイティブ広告とは、メディア上の記事やニュースなどのコンテンツの中に表示される広告のことです。

ネイティブ広告とは?消費行動モデルに基づいて活用方法を徹底解説

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ユーザーは興味や関心を持ってメディアのコンテンツを読んでいるので、広告の表示や内容はユーザーの興味や関心を阻害しないように工夫されています。そのため、ユーザーに対して強い訴求力が期待できます。

SmartNewsやグノシーなどのニュースアプリで、ニュース一覧の中に広告が表示されているのをご存知でしょうか。また、Google検索を行った際に、検索結果(オーガニック検索)画面に表示される広告をご存知でしょうか。どちらも本来のコンテンツと同じ形式で表示され、コンテンツと関連した広告内容となっています。

ところで、口コミやつぶやきなど中立的な立場を装って商品等の宣伝やイメージアップを行うことを、ステルスマーケティング呼びます。ステルスマーケティングであることが判明した際にはユーザーに対して不信感を抱かせることになり、広告活動としては逆効果となります。

対して、ネイティブ広告は「広告」「PR」など、広告であることを明示します。広告でありながらユーザーにとって有用で正確な情報を伝えるため、ステルスマーケティングとは明らかに違います。

本稿では、ネイティブ広告の種類やメリット、活用方法、注意点、ステルスマーケティングとの違いを分かりやすく説明します。

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    ネイティブ広告とは?

    ネイティブ広告には実は明確な定義はありません。現状は、明らかに広告と分かる表現ではなく、メディアの通常コンテンツに自然に溶け込む広告全般をネイティブ広告と呼んでいます。

    例として、上図のSmartNewsアプリ画面をご覧ください。「Sponsored by」と表示されて、他の記事と同じ形式で広告が表示されています。

    ネイティブ広告の目的は、ユーザーの興味関心を踏まえた上で、他コンテンツと同じ様に広告を消費してもらう点にあります。上図のSmartNewsの例では、「スポーツに興味のある人は健康に気を遣っている人が多い」という仮定に基づき、サプリの広告を出稿していると考えられます。

    ネイティブ広告は通常のコンテンツと同じ枠に表示され、同じユーザー体験を提供しなければいけません。同広告をクリックして飛んだ先の内容がメディア上のニュースや記事と関連していない場合、ユーザーに不快感を持たれてしまう可能性があります。

    ネイティブ広告枠のリンク先のコンテンツは、掲載メディアの通常コンテンツと同様の体験を提供する必要があります。

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    ステルスマーケティングとの違い

    ステルスマーケティング(以下ステマ)とは、依頼主から金銭を受けとりながら、口コミやつぶやきなど中立的な立場を装って、商品等の宣伝やイメージアップを行うことです。ステマは明らかな不正行為です。

    ネイティブ広告は「自然に溶け込む広告」ですが「Sponsored by」「PR」「プロモーション」「広告」「AD」など記載して、広告であることを明確に表示します。これらの表示があれば不正行為にはなりません。

    もちろん、広告表記をわざと見えづらくするなど読者を騙す様な行為は論外です。消費者にとって有用でかつ正確な情報を伝え、「騙された」と思われないコンテンツの作成が大切です。
     

    ネイティブ広告の仕組み

    インターネットアーキテクチャ委員会(IAB:Internet Architecture Board)は、インターネット標準化処理の方針の設定など、インターネットの進化を支える委員会です。IABによってネイティブ広告は以下の6種類に分類されています。それぞれの特徴を説明します。
     

    インフィード型

    インフィード型には主に3つの型があります。
     

    1. BuzzFeed、Gawker、Forbes BrandVoice、Mashableなどで採用されている型

    【特徴】

    • メディアの通常コンテンツの中に出稿
    • 本来の記事と同様にサイト内のページにリンク
    • インタラクションやブランドリフトなどのブランディング指標で計測される
       

    2. BuzzFeed、Facebook、Twitter、Yahoo!、Sharethrough、LinkedInなどで採用されている型

    【特徴】

    • メディアの通常コンテンツの中に出稿・サイト外のランディングページにリンク
    • CTR(クリック率)やコンバージョンによって広告出稿の効果が計測される
       

    3. Facebook、Twitter、YouTube、Instagram、Sharethroughなどで採用されている型

    【特徴】

    • 宣伝メディアの通常のコンテンツの中に広告を出稿
    • 消費者が別のページに遷移することなく再生、閲覧、視聴が可能
    • ブランドリフト(広告を見たグループと見ていないグループの割合を比較し、見たグループの認知や購買意欲の向上を示す指標)などのブランディング指標で計測される

    3つの型に共通する「宣伝メディアの通常のコンテンツの中に広告を出稿」する特徴を活かして、ユーザーの興味や関心を保ったまま広告を見てもらえるため、購買意欲を高めたり、問い合わせにつながりやすいと言えます。

    また、インフィード型の広告はFacebookやTwitterなどのSNSでも利用されています。タイムラインに表示される投稿の中に広告が表示されます。上図はTwitterのタイムラインに表示された広告の例です。
     

    検索連動型

    Google検索やYahoo!検索などで、オーガニック検索と並んで表示される検索連動型広告も、ネイティブ広告の一種に分類されます。

    ただし、「検索結果として表示される広告が、オーガニック検索で表示されるコンテンツと同じ体験をユーザーに提供している」という条件を満たす必要があります。

    上図はGoogle検索で「hubspot」を入力した例です。最初の2件には「広告」と表示されており、ペイドサーチ型の広告です。3件目以降はオーガニック検索のよる検索結果です。
     

    レコメンドウィジェット型

    記事の終わりに「おすすめ」として紹介される広告です。ユーザーが閲覧した記事を元に関心や興味を持ってくれそうな広告をアルゴリズムが選別し、表示します。

    ページ下部に表示されることが多く、記事を最後まで読んだ方にのみリーチします。つまり、他のネイティブ広告枠と比較するとリーチ数は低くなる傾向にあります。ただし、興味関心のマッチ度は高くなるため、高いコンバージョン率を期待できます。

    上図は毎日新聞(電子版)の例です。おすすめ記事の中に「PR」と表示されている記事が、レコメンドウィジェット型の広告です。
     

    プロモートリスティング型

    プロモートリスティング型とは、ECサイトなどで商品を検索した際、上位に表示される広告です。例として、Amazonなら商品名などを入力して検索した際に、検索結果の上位に上図のように表示される広告です。ぐるなびや食べログなど、様々な情報サイトやECサイトで同様の広告があります。

    消費者は購入の目的を持ってキーワードを入力しているので、プロモートリスティング型広告の内容はその目的に合ったコンテンツである必要があります。上図はAmazonで「パソコン」と入力した例です。

    サイト上で提供される商品やサービスと同じ形式で表示されるため、広告でありながらユーザーにストレスなく見てもらえます。

    なお、AmazonなどのECサイトにランディングページリンクを配置する場合、リンク先のコンテンツもECサイトからの遷移の際に違和感を持たれないように作成する必要があります。これらの工夫により、購入などの広告の目的に直接移行してもらえることが期待できます。
     

    ネイティブ要素を持つインアド型

    ニュースなどの記事と一緒に表示される広告のことをネイティブ要素を持つインアド型と呼びます。広告の表示形式はバナー型ですが、ニュースなどの記事と関連性のあるコンテンツにより、通常のバナー広告より高い効果を期待できます。

    広告の表示形式がバナー型なので「固定の広告枠」となります。そのため、どのページに表示されたのかなど表示実績が把握できるメリットがあります。

    逆に、ユーザーに広告と認識されることにより、クリックされにくくなる可能性があります。そのためコンテンツに利用する画像や文字に工夫が必要です。

    上図は、東洋経済ONLINEの事例です。AIに関する記事の右側にAIによるサポートチャットボットのバナー型広告が表示されています。広告の内容が記事に関連しているネイティブ要素を持つインアド型広告と言えます。
     

    カスタム型

    IABによるネイティブ広告の分類では、インフィード型、ペイドサーチ型、レコメンドウィジェット型、プロモートリスティング型、ネイティブ要素を持つインドア型に該当しないネイティブ広告をカスタム型として分類しています。

    例えばLINEスタンプによる自社ブランドの認知、Spotifyのデジタルオーディオ広告による商品の認知が該当します。また、広告を出稿するメディア自体の記事と同じ形式で作成される記事広告も、カスタム型に分類されます。

    広告の多様化によって今後カスタム型が増えることが考えられます。Spotifyを一例に挙げると、Spotifyのデジタルオーディオ広告は楽曲の間で配信され、バナーをカバーアート部分に表示できます。さらにSpotifyでは動画による広告サービスも提供しています。
     

    ネイティブ広告のメリット

    ネイティブ広告は広告主に多くのメリットがあります。

    • ユーザーにストレスなく見てもらえる

     通常記事と同じように閲覧してもらえる設計になっているため、ユーザーのコンテンツ体験を邪魔することなく自社サービスをアピールできます。

    • スマホなど小さな画面でもクリックされやすい

    スマホ画面はパソコン画面より一度に表示できる面積が少ないため、広告枠が表示されなかったり、記事やニュースの後に表示されます。そのためユーザーが気付く機会が小さくなります。

    一方、ニュース記事やSNSの投稿の中に表示されるネイティブ広告の場合、ユーザーが気付いてくれる機会が増えます。つまり、スマホのような小さな画面でも広告をクリックしてもらえることが期待できます。

    • 潜在層へアプローチできる

    ネイティブ広告のコンテンツの質次第では、SNSで記事が拡散される可能性があります。拡散されると、商品を知らない潜在層への波及も期待できます。
     

    ネイティブ広告の活用方法

    実際、ネイティブ広告はどのような媒体にどのような形式で出せばいいのか。主要なメディアやプラットフォームを例に活用イメージを説明します。
     

    SNSによるインフィード型広告

    • Facebook広告

    性別や年齢、趣味・嗜好など、詳細なターゲティングが可能です。ターゲティング精度が非常に高く、狙った層にリーチしやすいという特徴があります。

    • Twitter広告

    最大の特徴はリツイートの拡散効果です。2次拡散(1度リツイートされた広告が再リツイートされること)の場合は広告費が発生しません。つまり、拡散されるほど費用対効果が高くなっていくわけです。

    ニュースアプリによるインフィード型広告

    • Yahoo!ニュース

    Yahoo!広告では「検索広告」と「ディスプレイ広告」の2種類が提供されています。「ディスプレイ広告」では、Yahoo!ニュース及び提携パートナーサイトのコンテンツに広告が表示されます。年齢・性別・地域によるターゲティングが可能です。

    • SmartNews

    ニュースアプリ「SmartNews」にインフィード型広告を出すことができます。静止画像と文字による広告だけでなく動画広告も出稿できます。さらに純広告(広告枠を買い取って広告を出稿)も提供されています。

    • グノシー

    「認知」が目的の広告、「商品の理解」が目的の広告、「コンバージョン(問い合わせ、購入)アップ」が目的の広告別に下記の広告サービスを提供しています。

    認知:1日1社限定で最も視認性の高い広告を出稿
    商品の理解:一般記事と同じ広告フォーマットで広告を出稿
    コンバージョンアップ:クリックで課金される広告が選択可
     

    ペイドサーチ型広告(リスティング広告)

    • Google広告

    消費者がGoogleで検索した際に、検索結果ページに表示されるテキスト広告を出稿できます。検索ワードに対応した広告を表示するため、検索ワードに関連したコンテンツに興味を持っているターゲットにアプローチできます。

    • Yahoo!広告の検索広告

    Yahoo!広告の「検索広告」では、消費者がYahoo! JAPANで検索した際に、検索結果一覧ページに表示されるテキスト広告を出稿できます。検索ワードに対応した広告を表示するため、検索ワードに関連したコンテンツに興味を持っているターゲットにアプローチできます。
     

    レコメンドウィジェット型

    レコメンドウィジェット型は基本的に代理店を通じて出稿します。レコメンドウィジェットを提供するプラットフォームとしては「logly lift」「popln」「Outbrain」などが代表的です。
     

    ネイティブ広告の注意点

    ネイティブ広告で効果を出すためには、通常記事と同じ体験を提供できるコンテンツを作成する必要があります。

    「通常記事と同じ体験」とはどういうことなのか、もう少し詳しく解説します。

    例えば、ネイティブ広告枠に表示されているタイトル(画像やテキスト)と、リンク先のコンテンツ内容が乖離(かいり)していると、ステマでなくてもユーザーは「騙された」と感じてしまいます。このような不快感を与えてしまうと、広告効果を得るどころかブランド毀損に繋がります。

    出稿先のメディアの特性(コンテンツ内容、ユーザー層)を理解したうえで「どのようなコンテンツであればメディアの読者に喜んでもらえるか」を考え、ネイティブ広告を設計しましょう。

    また、アドネットワークをベースにしたネイティブ広告の場合は、どのメディアのどの枠に表示されるかはコントロールできません。そのため、ブランドと親和性の少ない、もしくはブランド毀損に繋がってしまうようなページに表示される場合もあるので注意が必要です。

    (例:台風被害を伝えるニュース記事に住宅メーカーの広告が表示される)

    アドネットワークをベースにしたネイティブ広告を利用する場合は、どれだけの粒度でターゲティングできるのか、出向先のメディアはどこなのかを事前に確認しておきましょう。
     

    まとめ

    ネイティブ広告は通常のコンテンツに自然に溶け込む広告であり、潜在層へのアプローチ、顕在ニーズがある層へのアプローチのどちらにも対応できます。

    成功のカギは、広告メディアの方向性に合致した良質なコンテンツの作成です。具体的には、以下の3点を意識して広告の作成・出稿を行うことが大切です。

    • ユーザーの興味関心に沿った自社コンテンツを
    • ユーザーのメディア体験を阻むことなく
    • ユーザーに自然に届ける

    つまり、いかに「ユーザーの興味や関心に沿った広告」「ユーザーの感情にマッチした広告」を提供できるかに尽きます。今後カスタム型に分類されるようなさまざまな広告が開発されると予想されますが、どのような形態においても同様です。

    なお、自社オウンドメディアでコンテンツを発信してる会社の場合は、アクセス数を短期で増加させるためのブースト手段としてネイティブ広告を利用するのも1つの手段です。自社のビジネスにネイティブ広告を上手に活用しましょう。

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