感情に訴える広告:海外ブランドは人の購入欲求を刺激するために感情をどのように利用しているか?

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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だれかにシェアしたい、これを購入したいと思わせる広告の特徴を一言で表すと、それは「感情に訴えるもの」であるかどうかです。

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これは驚くようなことではありません。いくつかの研究を見ても、人は情報よりも感情でブランドの価値を評価していることがわかります。広告に何が書かれているかよりも、どれほど感情移入できるかが購買意欲につながっているということです。

神経科学とマーケティングに関する書籍の著者であるDouglas Van Praet氏は、先進的なビジネス、テクノロジーとデザインに関する雑誌「Fast Company」誌の記事で次のように話しています。

「実は、人というのは、論理的な解決策を求めてはいません。答えにたどり着くまでの道すじを感じ取ろうとしています。感情は神経回路の基板であり、理性的に考えているときでも、そのベースとなっているのは感情です。感情は決して意思決定を妨げるものではなく、その土台となるものなのです」

毎年優れた口コミ広告ランキングを発表しているUnrulyは、2015年に多くシェアされた広告が感情に訴えるものに偏っていることと発表致しました。

特に多かったのが、友情、ひらめき、優しさ、幸せといった要素を含むもので、日本でも有名なティッシュペーパーの商標であるクリネックス(Kleenex)の「Someone Needs One」キャンペーンで製作された動画「Unlikely Best Friends」がその秀逸な例の一つです。

感情に訴えることをブランドが常に意識してきたかといえば、そうではありません。1990年から2000年代初めにかけては、ユーモアや皮肉混じりの広告が注目を集めていました。

2008年に米国で創業され急成長を遂げた総合広告代理店であるPereira & O’Dellのチーフ クリエイティブ オフィサーであるPJ Pereira氏は、こちらの記事で以下のように述べています。

「広告業界ではここ10年ほど、嫌みや皮肉を使った広告がもてはやされてきました。その一方で、人々に不快感を与えてきたようにも思います。それがユニークで良いとされていた時期もありましたが、そうした広告が流行り、増えていくにつれ、ありきたりなものになっていきました。面白くもないし、もはやだれの興味も引かない。否定的な声がちらほらと聞こえだしたとたん、顧客も拒否反応を示すようになりました」

では、広告と感情はどのような関係を持っているのでしょうか。

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感情は広告の中でどううごめくのか?

これまで人の感情は、「喜び」、「驚き」、「恐れ」、「嫌悪」、「怒り」、「悲しみ」の6つに分類されるとされてきました。

しかし2014年アイルランドのグラスゴー大学の研究機関であるInstitute of Neuroscience and Psychologyが、人の感情は社会的なやり取りや構成概念に基づいて4つに分類されるとの研究結果を発表しました。

つまり、人間の感情は通例の6つではなく、「喜び」、「悲しみ」、「恐れ / 驚き」、「怒り / 嫌悪」の4つが、人の基本的な感情のベースだということです。

ではこの4つをベースに、海外ブランドが感情をどのように利用して人の興味を惹きつけ、認知度を高めているのか見ていきましょう。

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1)喜び

どのブランドも、顧客の笑顔、楽しみ、喜びを引き出したいと考えています。そうしたポジティブな感情にこそ共感が集まったり、関心が寄せられることが証明されているからです。

2010年に発表された、最も多くシェアされたNew York Timesの記事の調査結果でも、多くシェアされたのは感情に訴えかける記事で、そのうちネガティブな内容よりもポジティブな内容のほうが多くシェアされたことがわかりました。

そして史上最も多くシェアされたのが、昨年発表された「Friends Furever」というAndroidの広告です。あまり見たことがない組み合わせの動物どうしの友情シーンを切り取った広告で、とても可愛らしいものでした。

2)悲しみ

私は仕事上これでもかというくらい広告を見るのですが、最近気づいたのは、涙腺を刺激されるような感情を揺さぶる広告が増えてきたことです。

仕事中に頻繁に気持ちの良い涙を流せるのは、隣に座る同僚に「不安定な人だ」と思われたとしても、最高のひとときです。

ここ数年、感情に訴えるコンテンツに人気があることに気づき、心に響く感動的な広告を作る企業が増えてきました。

P&Gが2014年ソチオリンピック用に発表した広告は、揺るぎない愛情で子供をサポートする母親たちをテーマとしたものでした。

3)恐れ / 驚き

恐怖は人間の本能です。私たちはそれを感じるからこそ恐怖に真剣に向き合い、生き残るチャンスを見出そうとします。

恐怖によって危機を感じ、行動しなければならないと促されることがあります。変わること、広告では、悲惨なことから逃れるために商品を買うべきだと背中を押されます。

テレビドラマMad Men』のあるエピソードで、広告マンの主人公ドン・ドレイパーは次のように語っています。

「広告の基本はただ1つ。幸せです。幸せとは何か?それは新車の匂い。不安から解放されることです。道路の脇に立つ看板が私に向かって叫んでる。あなたがしていることは大丈夫。あなたは大丈夫だと」

恐怖をあおる戦略は、飲酒運転や喫煙の防止を訴える広告に多く見られます。WWF(世界自然保護基金)は、このような賛否両論を呼ぶ恐ろしい画像を広告に使用することでよく知られています。

wwf-climate-change.jpg

画像著作権:Trend Hunter Eco(英語)

ただし、この手法にはリスクが伴います。2015年のスーパーボウルで流れた相互保険会社Nationwideの広告は、多くの視聴者の目に触れ、子供の安全と怪我の予防について議論を巻き起こしました。

この広告は、決して叶うことがない夢について語る男の子が最後にこう言います。

「僕は大人にはなれない。だって事故で死ぬんだから」

この広告は大きな注目を集めることになりましたが、「気が滅入る」、「無神経だ」などと非難を浴びました。これが発端となり、NationwideのCMOはその数か月後に辞職に追い込まれました。

「驚き」もまた、ポジティブな感情を生みだす要素の1つです。2015年のベスト広告の1つに選ばれた次の広告をご覧ください。

4)怒り / 嫌悪

多くの人は、怒りの感情はできるだけ避けたいと考えるでしょう。怒りはネガティブな感情であり、否定的なことにつながります。しかし場合によっては、怒りの感情は人を気づかせ、その後の行動につなげる効果を持つことがあります。

人は、だれかが傷つけられたり、不正を目にすると怒りを感じます。嫌悪や苛立ちは、ものの見方を変えたり、重要なことに気づくきっかけとなることがあるのです。

人気の高い画像を調査したimgur.comの研究結果によると、口コミで広まるコンテンツには、ネガティブな感情よりもポジティブな感情のほうが多く含まれています。

しかし、ネガティブな画像でも、期待や驚きの要素が含まれている場合は、口コミの効果があることが明らかになっています。

児童の権利に関する条約を理念として子供の権利の保護を目標として活動しているSave the Childrenの広告は、シリア危機に直面した子供たちへの影響を改めて考えさせられる内容で、悲しみと怒りの両方が湧いてきます。

皆さんの知っているブランドには、どの感情が結びつきますか?顧客の広告に感情を利用したことはありますか?ぜひコメントをお寄せください。

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