今回、HubSpotにとって大きな節目を迎えました。私とダーメッシュ・シャアがHubSpotを設立して14年以上が経ち、このたび、ついにHubSpotのお客さまが10万社を突破し、年間経常収益が10億ドルを超えたのです。

今、いよいよ「ネクストノーマル」の時代を迎える

 
インバウンドマーケティングを大々的に打ち出して以降、大きく発展してきたHubSpotですが、今この瞬間も依然としてスタート地点に立ったばかりのような気持ちを抱いています。 さまざまな意味で、全世界が始まったばかりのように感じられます。それとも、再始動と言うべきでしょうか。

この1年の出来事は、あらゆる業界のあり方や働き方、人々の行動を一変させました。このパンデミックの中で採り入れた技術や新しい習慣は、新型コロナウイルスが収束しても消えてなくなることはないでしょう。「ニューノーマル」ではなく、今後は「ネクストノーマル」として定着するはずです。

この新しい日常は、今の時代だからこそ生みだされた重要な成果の1つと言えるでしょう。企業とその製品やサービスが、これほどまでに人々の行動に影響を及ぼしたことはありません。 店舗やオフィスが営業を再開しても、以前と同じように戻ることはないと思います。

人々は、スポーツクラブに行く代わりにフィットネスアプリを使って自宅でトレーニングをし、通勤せずに生産性向上ツールとコミュニケーションツールを活用して自宅で仕事をし、コンサートホールや映画館に足を運ばず、ストリーミングサービスを使用してライブや新作映画を自宅で観賞するようになるのではないでしょうか。

1年前には目新しかったこのような製品やサービスの多くが、今やすっかり必要不可欠なものになりました。

これらがなければ、パンデミック下の生活はまったく異なるものになっていたと予想され、満足のゆく対応ができぬまま、コロナ以前の状態に引き戻される可能性が高かったと思います。 しかし実際には、多数の企業がすばやく計画を変更して、顧客の新しいニーズに応えようと奮闘し、新製品の開発や既存製品の改良、改変などを行いました。

HubSpotの10万社のお客さまの多くが、この不安定な状況に適応して新しいことに挑戦し、その過程で人々の新しい働き方や生活のスタイル、旅行の仕方、明るい未来の作り方を規定する重要な役割を果たしています。私は、それを目の当たりにして刺激を受けました。

いくつか具体例を挙げてみようと思います。

マインドフルネスを身近な存在に


まずは、マインドフルネスアプリを取り上げます。この激動の時期に、だれもが心の健康を重視するようになりました。この1年間で、HubSpotのお客さまでもあるCalmTalkspaceHeadspaceなどは、マインドフルネスの実践に役立つツールを提供する企業から、大勢の人々にとって日々の生活に欠かせないサービスを提供する企業へと変貌しました。

2010年のHeadspace創業当時、「瞑想」という言葉から連想されるのは宗教団体やスピリチュアル団体くらいであったため、創業者が一番に考えていたのは、「日常的にHeadspaceを使ってもらうにはどうすればよいだろう?」ということでした。それから10年経った今、同社はポッドキャスト部門を設立し、セサミストリートと提携してYouTube動画を配信し、Netflixのシリーズ番組を発表するようなマルチメディア組織へと成長しました。

この1年間に達成できた大規模な成長がなければ、ここまでの発展は望めなかったでしょう。パンデミック直前の2020年2月、アプリの有料サブスクリプションユーザーは200万人に達し、その後、ダウンロード数は20%向上しました。さらに米国のロックダウン直後の数週間のデータを見ると、ダウンロード数はパンデミック前に比べて100%増加しています。

Headspaceはパンデミック前にも着実に成長していましたが、これまでにない不安定な時代に突入したことで同社のサービスに対するニーズが急上昇しました。顧客の役に立ちたいという真摯な想いにより、同社は2020年を通して大きく成長し、誰でもマインドフルネスを実践できる、新しい時代の先駆者となったのです。


新時代の働き方に対応した新たなツール群


仕事は会社で行うものだという従来の概念が崩れたことにより、オンラインの生産性向上ツールは、従来の働き方を補完する役割から、リモートワークに不可欠な存在へと変わってきました。

HubSpotの数多くのお客さまが、この変化の大きな推進力となっています。タスク管理ツールのTrelloは、子どもの家庭学習のスケジュールを保護者が管理するのに役立ってきました。アンケートツールであるSurveyMonkeyは、コロナウイルスに関する25万件近くのアンケート調査に使われています。

ビジネスソフトウェアのレビューサイトであるG2は新しいソフトウェアソリューションを企業が検索するのに役立ち、新型コロナウイルス感染症拡大後の数週間で、仮想教室ツールの検索が1,100%、ウェビナーソフトウェアの検索が550%増加しました。

また、同じくHubSpotのお客さまであるMonday.comは、成長企業の効率よい連携を支援するソフトウェアの提供により、パンデミック前から数年にわたって急成長を続け、2020年2月には年間経常収益が1億2,000万ドルに達したと発表するほどになっていました。そして、多くの企業がリモートで連携する必要に迫られた際は、急激に変化した顧客のニーズに対応するため製品ロードマップを変更しています。

優先度を考慮して新しくリリースされた機能には、Zoomのコール機能の埋め込み、オンラインホワイトボード、画像への注釈の追加などがあり、どれも顧客にとってすぐに役立つものでした。この取り組みは、すばらしい成果をもたらしました。Monday.comは、採用ペースを上げて2020年の4月から6月までに従業員を27%増やしただけでなく、企業価値評価額が27億ドルになったと発表しています。さらに、Monday.comは、非常に円滑にリモートワークに移行した点をFast Companyで高く評価されました

私たちの働き方は変わり、以前の状態には戻ることはないでしょう。この変化はいまだに、さまざまな業界に影響を及ぼし、商業不動産の価格を変動させ、大規模な移行を引き起こし、通勤時間の大幅な減少に伴い二酸化炭素排出量を減少させています。

このような社会の大きな変化の中心には、Monday.comのような企業があります。こうした企業は、もともとは成長企業のコラボレーションの効率化を支援していましたが、気づけば、数十年に一度あるかないかという日常の変化にすばやく適応するための必須ツールを提供することになっていたのです。


逆風にめげず、社会貢献と利益確率の両立を実現

パンデミックにより家に閉じこもる人がいる一方で、人種差別に反対して街頭に立ち、社会に根強く残る不平等に抗議する人も多く現れた1年となりました。そのような状況下で、「自分がお金を払う先の企業は世の中に貢献する企業であってほしい」という顧客の期待がますます強まってきています。

HubSpotのお客さまである保険会社のLemonadeは、現在の顧客が求める社会貢献を果たしながら、その過程で急速な成長も成し遂げられることを示す好例です。

Lemonadeは、顧客が選択した非営利組織に未請求保険料の全額を寄付することでB Corp認証を受けています。同社のウェブサイトに掲載されているとおり、「ソーシャルグッドという考え方がビジネスモデルの中心に浸透しています」。

パンデミック発生時には、Lemonadeは金銭的に困窮している顧客に対して支払期限の延長を認めました(平常時であっても、顧客がいつでも保険を解約でき、全額払い戻しを受けられるようになっています)。また、顧客が選択する非営利団体を、最前線で新型コロナウイルス感染症に対応している組織へ変更できるようにしたところ、何万もの顧客がその変更を選択しました。昨年末には、同社CEOのDaniel Schreiber氏が、従業員へのワクチン接種を推奨するよう企業に呼びかけました。 

Lemonadeは、自社の影響力でコロナウイルスとの闘いを支援する一方で、パンデミックで金銭的に苦労しているアーティストを援助するために、Instagramキャンペーンを実施して自社が依頼した作品を紹介しました。

保険業界もパンデミックによる景気後退圧力の影響を受けなかったわけではありませんが、それでもLemonadeは2020年の最も目覚ましい成長企業の1社になったのです。創業からわずか4年半となる12月には、顧客数が100万を突破したと発表しました。それから数週間後に、同社の株式時価総額は過去最高を記録しています。Lemonadeは、米国自由人権協会(ACLU)やMarch For Our Lives、350.orgといった非営利団体に110万ドルを寄付しながらも、これだけの発展を遂げたのです。

信頼度調査「2021 エデルマン・トラストバロメーター」によると、今や最も信頼されているのは政府やメディア、NGOではなく、一般企業です。Lemonadeは事業を拡大すると同時に世界に好影響を及ぼし、企業が社会において果たすことを期待される新しい役割、つまり、利益の追求と社会貢献の両立を果たしました。

目的地はどこでも企業と経営者に寄せられるこうした新たな期待は、ビジネスに対する責任とチャンスを生み出します。この責任とチャンスとはいずれも「ネクストノーマル」において、すべての人にとって快適な未来を創るために積極的な役割を果たすことです。


「ネクストノーマル」におけるHubSpotの役割


私はこの12か月間で、過去12年間に生じたよりも大きな変化を目にしてきました。しかし、HubSpotのお客さまが10万社を突破し、年間経常収益が10億ドルを超えた今、過去よりも未来に目を向けています。

「ネクストノーマル」は、2019年とは似ても似つかないものになるでしょうし、2020年ともまったく同じというわけではないでしょう。新たに始まる流れとその流れの中で生じるチャンスという点でも、例を見ない時代になるはずです。新規のお客さまも既存のお客さまも、それらのチャンスをつかめるよう支援することが、これからのHubSpotの役割だと考えています。

同時に、Headspace、Monday.com、Airstream、Lemonadeのような企業が成長し、「ネクストノーマル」の規範となる行動を確立できるよう、引き続き支援してまいります。 そのためには、何よりもまずお客さまの声に耳を傾け、そのフィードバックを基に、私たちが生きるこの時代と同じく類まれな質の高いCRMプラットフォームを提供し、成長過程の企業が今後も成功を収められるように支援する予定です。

すべてのお客さま、パートナーさま、従業員に心より感謝いたします。私たちがここまで来られたのは、皆さまの助けがあってこそです。皆さまの熱意、支持、信頼、フィードバックがなければ、この15年間はこれほど心躍るものにはならなかったでしょうし、これからの15年間にさほどの期待も持てなかったでしょう。

HubSpotのミッションは、お客さまのスマートな成長のパートナーになることです。

本日、当社はその過程における重要な節目に立ちました。「ネクストノーマル」の時代とともに、私たちも新たなHubSpotを切り拓いていきたいと思います。

元記事発行日: 2021年2月14日、最終更新日: 2021年2月19日