このところ「インフルエンサーマーケティング」がトレンドです。これは、自社のSNSチャネルでインフルエンサーの影響力を利用するマーケティングの手法ですが、工夫次第で大きな手間や予算をかけなくても行えるという利点があります。
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その中でも特に手間をかけずに実施できるのが「Instagramテイクオーバー」です。この方法を使えば、インフルエンサーや他のブランドと手を組み、オーガニックにマーケティングの成果を高めることができます。
「そもそも、Instagramテイクオーバーが良く分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。テイクオーバーには「引き継ぐ」「乗っ取る」といった意味があります。Instagramテイクオーバーでは自社のInstagramアカウントを他の個人やブランドに期間限定で使ってもらい、いつもと違う新しい視点でコンテンツを投稿してもらいます。
例えば以下は、WeWorkのメンバーにHubSpot(ハブスポット)のInstagramアカウントをテイクオーバーしてもらったときの投稿です。
今回の記事では、Instagramテイクオーバーを活用して、エンゲージメントとブランド認知度を高め、マーケティングの成果を向上する方法をご紹介します。
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Instagramテイクオーバーとは
Instagramテイクオーバーは、あるユーザーが別のユーザーのInstagramアカウントを一時的に使用して、自分のコンテンツを投稿することを言います。テイクオーバーは通常、同じ業界や地域にいるインフルエンサーが、ブランドのアカウントを使用する形で行われます。
例えば、以下は、ハブスポットのInstagramアカウントとInstagramストーリーを1日限定でWistiaがテイクオーバーしたときの投稿です。
他にも以下のような形が考えられます。
- 従業員によるテイクオーバー
- 顧客あるいはコミュニティメンバーによるテイクオーバー
- イベント時のテイクオーバー
- プロダクトやオファーのプロモーション
Instagramテイクオーバーは、テイクオーバーする側(ゲスト)にも、テイクオーバーされる側(ホスト)にも利点があります。ホストは、自分たちでコンテンツを作成することなく、自社のフォロワーに新しい価値あるコンテンツを提供することができます。
一方でゲストは、ホストのアカウントを使って投稿することでまったく新しいオーディエンスにリーチすることができます。さらに、インフルエンサー同士の善意の関係を育み、将来的なコラボレーションやクロスプロモーションへの道筋をつけることができます。
それでは、Instagramテイクオーバーの実施方法を、早速見ていきましょう。
Instagramテイクオーバーをホストする方法
1)達成したいことを明確にする
Instagramテイクオーバーのゲストを選抜する前に、まずInstagramテイクオーバーで何を達成したいのかを明確にしましょう。もちろん、テイクオーバーを行うことで複数の成果を上げられるのが理想的ですが、その中でも最重要な目標を明確にしておくことで、その目標に最適なゲストを選ぶことができます。
テイクオーバーの目標としては次のようなものが考えられます。
- ブランド認知度の向上:この成果は、テイクオーバーの結果として獲得された新しいフォロワー数で判断することができます。
- プロダクト、イベント、オファーのプロモーション:この成果は、テイクオーバーの結果として発生したイベントへの申し込み数、オファーの受領数、リードフォームの提出数で判断することができます。
- Instagramコミュニティ内におけるエンゲージメントの促進:この成果は、テイクオーバーの結果として獲得された「いいね」数、コメント数、動画やストーリーの閲覧数、リンクのクリック数で判断することができます。
2)ゲストインスタグラマーを選ぶ
Instagramテイクオーバーの目標が決まったら、それに適したゲストを選びます。例えば、ハブスポットでは、ブランド認知度を高めて自社の求人をプロモーションする目的で、リクルートチームをゲストに迎え、Instagramストーリーをテイクオーバーしてもらいました。
ゲストに迎えるのは従業員だけに限りません。ゲストインスタグラマーとしては、次のような人たちが考えられます。
- 同じ業界のインフルエンサー
- 自社の従業員
- コミュニティのメンバーや顧客
もちろん、1人のゲストで1つの目標しか達成できないわけではありません。ただ、ゲストを選ぶ際は、最も重要な目標を最も効果的に達成する戦略を考えましょう。
- インフルエンサーをゲストに迎えれば、自社ブランドがそのインフルエンサーのお墨付きということになりますし、インフルエンサーのフォロワーにリーチすることにもなります。ですから、フォロワーを増やしてブランド認知度を高めたいときに最適です。
- 従業員をゲストに迎えた場合は、日々の業務の舞台裏に関心のある、その従業員の友人や同僚の注目を集めることができます。ですから、Instagram上でエンゲージメントを促進することが最重要目標の場合に最適です。
- コミュニティのメンバーや顧客は、自社ブランドやプロダクトの価値について熱心に投稿してくれます。ですから、プロダクト、イベント、オファー、申し込み、ダウンロードなどのプロモーションが最重要目標の場合に最適です。
繰り返しになりますが、こうした目標はどれかを達成したら他を達成できないというわけではありません。ゲストが説得力のあるコンテンツを投稿してくれて、オーディエンスのエンゲージメントやシェアを促進できれば理想的です。
3)コンテンツのフォーマットとテイクオーバーの詳細を決める
達成したい目標と、誰をゲストにするかを決定したら、実際にどのような形でテイクオーバーを行うか詳細を決めていきます。その際、以下について明確にすることをおすすめします。
- いつテイクオーバーを実施するのか? 1日のみなのか、それとも1週間継続するのか。
- 誰がアカウントを管理するのか? ゲストに自社アカウントのログイン情報を提供して直接投稿してもらうのか、ゲストからコンテンツとキャプションを送ってもらい、ホスト側で投稿するのか。
- 1日に何回テイクオーバーコンテンツを投稿するのか? ホストにとって1日に何回投稿があるのが理想的なのか。ゲストはその投稿スケジュールに合わせられるか。
- どのハッシュタグを使うか? テイクオーバーをプロモーションするために新しくハッシュタグを作成するのか。また1つの投稿でゲストに使用してほしいハッシュタグの数に上限はあるか。
- テイクオーバー中に投稿するのはどのようなタイプのコンテンツか? ゲストは写真、動画、Instagramストーリー、ライブ動画のどれを投稿するのか。それともこれらを組み合わせて投稿するのか。
- Instagramにおいて、ホスト側とゲスト側でどのようにテイクオーバーをプロモーションするのか? テイクオーバーを行う前に、Instagramや他のチャネルで告知することにお互い同意しているか。
- 投稿内容に制限はあるか? テイクオーバー中にゲストに記録したり言及したりしてほしくない内容があるか。
テイクオーバーの詳細が決まったら、テイクオーバー中にその成果を測定する方法を明確化します。
4)テイクオーバー中にトラッキングする測定情報を決める
何が目標かによって、重要となる測定情報は変わってきます。テイクオーバー中は、以下の測定情報をトラッキングすることをおすすめします。
- 新規フォロワー数
- 「いいね」数
- コメント数
- メンション数
- ダイレクトメッセージ数
- Instagramストーリー閲覧数
- ライブ動画閲覧数
- Instagramストーリークリック数
- オファー受領数またはアプリダウンロード数(ランディングページをプロモーションしている場合)
- 参加者数または申し込み数(イベントをプロモーションしている場合)
- SNS経由でのウェブサイトへのトラフィック合計
質的な測定情報としては、Instagramでポジティブなコメントがあったかなどをトラッキングすると良いでしょう。
5)複数のプラットフォームでテイクオーバーをプロモーションする
テイクオーバーの詳細が決定したら、次にプロモーションを計画します。
Instagramテイクオーバー実施日の1~2日前にプロモーションを開始しましょう。コンテストやプレゼントなど、エンゲージしたりフォローしたりしてくれたユーザーへのインセンティブがある場合は、その旨をプロモーションでしっかりと告知します。
まずはInstagram上でテイクオーバーをプロモーションします。特にInstagramストーリーやライブ動画でテイクオーバーを行う場合は、ユーザーにアプリ内でストーリーやライブ動画を見てもらえるようにアピールすることが重要です。
さらに他のSNSチャネルでもテイクオーバーをプロモーションし、できるだけ多くの人の目に触れるようにします。自社のInstagramアカウントが他のSNSチャネルに比べて弱かったり、エンゲージメントがあまり達成できていない場合は、特に他のSNSでのプロモーションが重要になります。
以下は、昨年ハブスポットアカウントを従業員がテイクオーバーした際に、行われたプロモーションの投稿です。
そして、以下は、その際にTwitterで行われたプロモーションの投稿です。
明日@HUBSPOTでInstagramテイクオーバー実施! お見逃しなく。 #insta https://t.co/0gQxYa4K4P pic.twitter.com/JFthjtZKON
— Katherine Boyarsky (@katboyarsky) February 24, 2016
テイクオーバー開始前に、ホスト側とゲスト側双方が、各種SNSでプロモーションし、できるだけ多くのオーディエンスの期待を高めるようにしてください。
6)テイクオーバーをローンチする
さあ、準備は整いました。いよいよテイクオーバー当日です。
チーム内で、コメントをモニタリングする人を1名、コンテンツをアップロードする人を1名(ホスト側で投稿する場合)割り当てましょう。最近Instagramでは、モバイルアプリからだけでなく、デスクトップコンピューターからもコンテンツを投稿することが可能になりましたので、オフィスからも投稿しやすくなりました。
テイクオーバーが始まったら、1日を通して、ゲストが投稿するクロスプロモーションコンテンツから、新しいユーザーが自社のInstagramアカウントに流入してくるはずです。
また、テイクオーバーがいつ開始されて、いつ終わるのか、はっきりと分かるようにしてください。最初の投稿と最後の投稿のキャプションにその旨を含め、閲覧者が混乱したり、無駄に次の投稿を待ったりすることのないようにしましょう。
7)成果を分析する
テイクオーバーが終了したら、パフォーマンスを分析し、次回またテイクオーバーを実施すべきか、するとしたら何か改善できる点があるかを検討します。事後分析を行う際は、以下の点を考慮しましょう。
- 最重要目標を達成できたか? Instagramフォロワー数、エンゲージメントレベル、あるいはオファーの申し込み数を拡大できたか。
- 他の目標は達成できたか? テイクオーバーにより、自社のブランドやビジネスにとって、他に何らかの利益があったか。
- テイクオーバーを実施した価値があったか? コンテンツを作る時間と手間が節約できたか、 あるいは普段より多くの作業が必要だったか。トラフィックやエンゲージメントが向上したか、あるいは普段とあまり変わりない数字だったか。
収益面で具体的な数字が伸びない場合でも、テイクオーバーを行うことで、フォロワーに飾らないリアルなコンテンツを届け、普段はなかなか見られないブランドの側面を見せることができます。
SNSはその名の通りソーシャル(社交的)であるためのツールですから、数字だけでなく、質的なフィードバックにも目を向けましょう。テイクオーバーに対してポジティブなコメントがあれば、そのフィードバックを取り入れ、今後のInstagramキャンペーンに活かしましょう。
テイクオーバーの実施方法は以上です。是非実践してみて、その結果をお知らせください。ブランドの成果を高める他のアイデアについては、こちらから『Instagramのビジネス活用ガイド』をダウンロードしてください。
編集メモ:この記事は、2017年5月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Sophia Bernazzaniによる元の記事はこちらからご覧いただけます。