多くの企業がオンラインでの存在感やブランド力を高めるために、Facebook、Twitter、LinkedIn、Google+などのSNSを利用し、エンゲージメントや対話を行っています。
近頃は新しいSNSが毎日のように生まれています。Facebookほどの巨大企業に成功する例はほとんどありませんが、なかにはインターネットで爆発的な人気を得るものも見られます。
ですが、毎月たくさんのSNSが登場するため、マーケターや企業経営者の多くは、何をどうすればよいかわからないといった状態だと思います。最新のトレンドを追うだけでも大変ですし、片っ端から使ってみようとすると、結局どれも中途半端で終わってしまうため、何の結果も得られなくなってしまいます。
そこで今回は、新しく登場するSNSが、皆さんのセールスやビジネスに適しているか、そして見込み客の獲得に効果があるかを判断するのに役立てていただけるよう、8つの質問をご紹介したいと思います。
SNSを利用すべきかどうかを決定する際に自問すべき8つの項目
1. 利用しているユーザーは誰か
SNSのターゲットについて調べ、デモグラフィック情報を確認します。この調査は、広告あるいはビジネスコミュニケーションに携わる人なら常に行っていることですので、特に難しくはないと思います。次の6つの簡単な質問について考えてください。
- 誰が使用しているか
- 何の目的で使用しているか
- いつ使用しているか
- どのように(モバイル、それともデスクトップ)使用しているか
- なぜ使用しているか
- どのくらい長く使用しているか
たとえば、Pinterestユーザーのほとんどは女性です。全ユーザーの80%が女性で、30%近くが25歳から34歳までの人です。
また、ユーザーは1日に平均で98分近くPinterestのサイトを閲覧して過ごします。このようなオーディエンスが自社のターゲットとマッチするか考えてください。
マッチしない場合は、自社の製品をこのようなオーディエンスのニーズに合わせられるかも考えてみましょう。ダメだと思ったら諦めてください。無理してビジネスモデルを変えるようなことだけは考えないでくださいね。
2. 利用は長く続きそうなのか
特定のSNSを早くから使い続けている人が、いずれ熱心なユーザーになるだろうと考えるのは、あながち間違いではないと思います。ですが、発表されるやいなやすぐに飛びつくという行動は、どちらかと言えば情報通で流行に敏感な人に多いと思います。
ですから、将来を占うようなやり方ではなく、先を見据えること、つまりマーケティング的思考で、少なくとも何らかの根拠に基づいて推測することが必要だと思います。
物事には必ず例外というものがあります。また、SNSのなかには、一世を風靡するほど人気が出るものもあります。Facebookが今日のように、SNSの代表格とも言える姿にまで成長すると、いったい誰が予想したでしょうか。
当初は大学生が使うだけのSNSツールであったFacebookも、最近では1日に8億人が利用し、3分の2の小規模ビジネスがマーケティングに利用しています(参照記事はこちら:Two thirds of small budiness owners use Facebook for marketing)。
企業はFacebookを利用してカスタマーと直接コミュニケーションを取ることができ、対話やブランドロイヤリティの構築に役立てるなど、ソーシャルエンゲージメントのためのプレミアネットワークとして重宝されています。これを考えれば、登場直後は自社のビジネスにマッチしないと判断したSNSについても、いつか状況が変わることもあり得るため、その後の成り行きを注視しておくことが大切だと思います。
3. 口コミマーケティングが可能か
口コミマーケティグが非常に効果的なマーケティング施策の一つであることは、ずいぶん昔から知られています(関連記事はこちら:How Businesses can Increase Word-of-Mouth Recommendations [Data])。
SNSを評価する際には、そのネットワークでユーザーが自社のコンテンツや製品についてボイスを発信することで、周りの多くの人に影響を与えられるかを調べる必要があると思います。
たとえば、Twitterのフォローやリツイート、あるいはFacebookのシェアや「いいね」で行われているのがこれです。また、Google+のユーザーは、口コミマーケティングを非常に効果的に行うことができます。
このように、ソーシャル共有が可能な、口コミマーケティングに効果のあるSNSを取り入れることによって、大きなチャンスが期待できます。
4. トレンドになりやすいトピックは何か
そのSNSで、どのようなトピックがよく取り上げられているかを知ることも重要です。自社のコンテンツ、製品、サービスがトレンドのトピックと一致するか、あるいは特定のテーマや話題に興味がある人たちが集まるフォーラムやグループが存在するか、などに注目して、自社にマッチするサイトをインターネットで探してみてください。
FacebookやTwitterでシェアされるコンテンツは、話題が非常に広範であるため、多くの企業がマーケティングで利用するのに適していると言えます。ですが、ニッチなビジネスのオーディエンスに対しては、LinkedIn、あるいは業界に特化したSNSを選ぶべきだと思います。
同じ業界の人たちが利用するネットワークであれば、そこでシェアされる情報も、他のネットワークに比べて専門性が高くなることが多いからです。たとえばLinkedInのグループを利用すると、業界の他の人とのネットワークを広げる、かなりニッチで素晴らしいチャンスを得ることができます。自社のコンテンツをシェアするのに最適なサイトを選ぶ際に、この点にも注目してください。
5. ネットワークで他の多くの人にコンテンツを見てもらえるか
新しいSNSに飛びつくかどうか決めるとき、自社とそのコンテンツがどれくらい多くの人の目に触れてもらえるかを考えることも重要です。新しいネットワークを取り入れるなら、自社のリーチを拡大でき、存在感を同業他社よりも高めてくれるものを選ぶべきです。
たとえばFacebookでは、企業のコンテンツをファンのフィードに表示するかどうかが、EdgeRankアルゴリズムによってほぼ決定されます。その一方で、Pinterestには写真が年代順に表示されるというユニークな仕組みがあり、誰かがリピンするたびにその写真がトップに表示されます。
そのため、小規模な企業でも、大企業や著名なソートリーダーの隣にコンテンツが表示される可能性があります。また、PinterestはFacebookやTwitterと連携しており、新しいの写真をそれら3つのネットワークに簡単に投稿できるため、ピンのリーチ拡大の可能性が飛躍的に高まります。
また、SNSに詳しいマーケターの多くは、ソーシャル共有のボタンをブログやウェブページなどのコンテンツに追加するため、オーディエンスはそのコンテンツを自分が利用するSNSで簡単にシェアすることができます。
このように、ユーザーがコンテンツをお気に入りのSNSで簡単にシェアできるかどうかが、ウェブで自社のプレゼンスを確立するために必要だと思います。
6. 斬新なSNSに合わせて、新しいタイプのコンテンツを作成できるか
自社の限界を理解することも大切でしょうが、もう一段レベルを引き上げることで、これまで足を踏み入れなかった領域へ到達することを考えてみてください。そのためのチャンスは必ず手に入ります。
創造力を働かせて、枠にとらわれず物事を考えれば、企業やカスタマーがまったく新しい別の方法で製品を利用するためのアイデアが浮かぶこともあるでしょう。
そうすれば、ブランドに新たな魅力が生まれ、さらには、新しいマーケットへとターゲットを拡大できるかもしれません。新しく登場したSNSが爆発的な人気を得たときには、そのツールが生み出した斬新な方法に合わせて、自社のコンテンツ作成できないか考えてみましょう。
たとえば、YouTubeでいきなりコンテンツを作成するよう言われたら困ってしまうでしょう。ですが、エミー賞を受賞するようなビデオの制作を要求されているわではありません。
PowerPointで音声付きのプレゼンテーションを作成することでも、YouTubeというビデオ配信用ネットワークの優位点を十分に活かせるはずです(もちろん、スライドシェア用のSNS、SlideShareなどでも同じです)。あるいは、製品の使い方を説明するビデオを作成して、YouTubeへ簡単にコンテンツを投稿するのも良いと思います。
あるいは、Pinterestの勢いが止まらなかったころ、マーケターはこぞってビジュアルコンテンツを取り入れ始めました。現在ではそれが当たり前のようになり、ビジュアルコンテンツの作成に大きな労力が注がれるようになりました。
そして、FacebookやGoogle+といった、ビジュアルと親和性の強いSNSで、マーケターたちは自らの腕を競い合ってビジュアルコンテンツを披露しています。
7. そのSNSを利用するために必要な時間やリソースはどのくらいか
新しいSNSを使い始める時間はありますか。企業経営者やマーケティング責任者の多くは、すでに許容範囲を超える量の仕事を抱えています。その上さらに仕事を増やすのは危険かもしれません。
また、利用するネットワークの数が増えるほど、全体的な手間も大きくなり、どのネットワークにも稀にしかコンテンツを投稿できなくなってしまう可能性があります。
ROIを改善するためには、2つか3つの重要なネットワークを正しく選択し、それぞれが能力を十分に発揮できるよう、上手に使いこなす必要があります。新しいSNSを使い始める前には、どの程度の労力が必要になるかを調べておくのが賢明だと思います。
主要な4つのSNSであるFacebook、Twitter、LinkedIn、Google+は、いずれもコンテンツをごく簡単にシェアできるように作られています。ですが、いくら簡単であっても、クオリティの高いコンテンツを確実にオファーできなければ、シェアの数を増やすことはできません。
ビジネスブログやeBook、ウェビナーその他のコンテンツを、時間をかけて数多く丁寧に作成することで、コンテンツがシェアされる可能性は大きく高まります。(しかもGoogleは新しくて質の良いコンテンツを高く評価します。)
コンテンツの作成が苦手だという企業は、優れたコンテンツを作成するマーケティングエージェンシーがいくつでも見つかりますので、シェアした人に喜んでもらえるよう、上手に選んで利用することをお勧めします。
また、新しいSNSを使い始める際には、オーディエンスのコンバージョンやエンゲージメントをモニタリングするために必要な時間についても検討する必要があります。ただし、HootSuiteなどのSNS管理ツールを利用すれば、1日に行う投稿のスケジュール管理や、複数のSNSアカウントでのアクティビティのモニタリングを簡単に行うことができます。
こういったメンテナンスについても、新しいSNSを選択する上で検討する必要があることを覚えておいてください。
8. ROIの向上に期待が持てるか
そのネットワークを使い始め、コンテンツをシェアするのに必要な時間を考えても、企業の認知度向上やソートリーダーシップの確立、インバウントでの見込み客の獲得、そしてビジネスの拡大に役立つ有益なツールだと思いますか。
もしあなたがこの記事の7つ目までの質問を読んだ後に、その新しいSNSの活用法を何となく頭に思い浮かべているようなら、とりあえず一度使ってみるべきだと思います。時間や費用がかかり過ぎるものでなければ、テストを行って実際に使う価値があるかどうかを判断すると良いでしょう。
ただし、SNSの効果をトラッキングするために、ツールを正しく選んで、トラフィック、見込み客、カスタマーの獲得数を必ず測定する必要があります。
最近使い始めたという新しい(あるいはそれまで知らなかった)SNSはありますか。テストの結果はどうでしたか。
編集メモ:この記事は Measured SEMの共同創設者兼マネージングパートナー、Tom Demersによるゲスト投稿です。Measured SEMは検索エンジンを専門とするマーケティング会社で、PPC(Pay-Per Click)キャンペーンの管理、 SEO監査などの検索エンジン最適化サービス、そして ゲスト投稿などのコンテンツマーケティングサービスを提供しています。なお、この記事は2012年6月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。元の記事はこちらからご覧いただけます。
画像クレジット: [F]oxymoron