📋 この記事の要点
- 従来の流入数重視から脱却し、購買プロセスでAIの役割が変わることを前提とした「AEO(回答エンジン最適化)」の視点と、柔軟なKPI再設計が重要
- TOFU(認知)フェーズでは、AIの回答材料となるWeb上の言及量と質を増やし、信頼される情報源を目指す
- MOFU(比較検討)フェーズでは、AI内で候補として選出される「比較優位性」の獲得を目指す
- BOFU(意思決定)フェーズでは、AIからの推奨が実際のビジネス成果にどう貢献したか検証する
- AIの推奨を商談創出などのKGIへつなげるため、ダッシュボードを構築。言及率の向上から指名検索、商談創出数までの因果関係を可視化し、費用対効果を検証する
- HubSpotのAEO Graderであれば言及率を計測可能。また、Marketing HubでAI経由の商談貢献度の可視化、AEO機能でプロンプト設計ができる
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HubSpotのAEO(Answer Engine Optimization)実践ガイド
このガイドでは、HubSpotが実践するAI対応戦略と、AIエンジンに最適化されたコンテンツ作成の具体的手法をご紹介します。
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AI検索が普及しAEO(回答エンジン最適化)を模索する中で、「AEOが最終的なリード創出や商談化(KGI)にどう貢献するのか?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
AEOの本質は、AIを「最強の推奨者」にし、ビジネス成果へと結びつけることです。ユーザーにとって生成AIの役割は、フェーズごとに「基本情報を知るための検索エンジン」「比較するためのアドバイザー」「背中を押す推奨者」へと変化するため、カスタマージャーニーの「認知・検討・決定」の各フェーズに合わせて、追うべきKPIを使い分けることが重要です。
本記事では、AI時代におけるKPIの設計方法を、TOFU(認知)、MOFU(比較検討)、BOFU(意思決定)の3つのフェーズごとにわかりやすく解説します。
AI時代におけるKPI設計の考え方
従来のSEO施策で獲得できていたトップファネルのオーガニック流入は鈍化傾向にありますが、「検索流入の減少=認知の低下」と直結させてしまうのは大きな誤解です。AIが複数ソースから要約・生成した中立的な回答が、初期の判断基準として重視される傾向にあります。
この変化に対応するため、SEO(検索エンジン最適化)だけでなく、AIの回答として自社の情報が採用されることを狙う「AEO(回答エンジン最適化)/LLMO」の視点が欠かせません。購買プロセスのフェーズごとにAIの役割は「検索エンジン(認知)」から「比較アドバイザー(検討)」、「推奨者(決定)」へと変化するため、追うべきKPIも柔軟に変える必要があります。
カスタマージャーニーで考えるAI時代のKPI設計
AI検索が普及した現在、カスタマージャーニーの各フェーズにおいてAIの役割は大きく変化します。単一の指標で評価するのではなく、TOFU(認知)、MOFU(比較検討)、BOFU(意思決定)のフェーズごとに適切なKPIを設定することが重要です。
| ファネル | AIの役割 | ユーザーの行動・心理 | 追うべき主要KPIの例 |
|---|---|---|---|
|
TOFU(認知・初期情報収集) |
検索・壁打ち相手 |
抽象的な課題をAIに相談して要件を整理 |
|
|
MOFU(比較検討) |
比較アドバイザー |
AIに条件を提示して比較表を作らせ候補を絞り込む・サイトでも情報をチェック |
|
|
BOFU(意思決定) |
推奨者・稟議補助 |
類似業態の導入事例や想定ROIを算出して、導入を意思決定するための判断材料を得る |
|
【Share of Voice(SoV)・Share of Model(SoM)とは】
| 指標 | 定義 |
|---|---|
|
Share of Voice(SoV) |
AIが学習・参照する「Web全体のデータ(メディア、SNS、レビュー)」の中で、自社のコンテンツがどれだけ引用・語られているか。 |
|
Share of Model(SoM) |
AIがユーザーの問いに対して生成した「回答文」の中で、自社がどれだけ推奨・引用されているか。 |
※本記事では、AI検索における言及シェアを「Share of Model」、Web全体(メディア・SNS含む)における言及シェアを「Share of Voice」として区別して使用しています。ツールによっては両者を「Share of Voice」と表記する場合もあり、当社が提供するAEO Graderは「Share of Model(AIの言及シェア)」も兼ねて「Share of Voice」としています。
AEO対策はどのフェーズから始めるべきか
AEO対策では、TOFU(認知)とMOFU(比較検討)が最も重要です。そのため、施策実行の優先順位としては、TOFU(基盤構築)→ MOFU(比較優位性)→ BOFU(成果測定)の流れで進めましょう。
- TOFUでの露出が全ての起点:AIに「この分野の専門家」として認識されなければ、比較候補にすら入りません。まずは「課題解決型プロンプト」(例:「経理業務の効率化方法」)で自社コンテンツが引用されることを目指します。
- MOFUでの比較優位性が購買を左右:ユーザーがAIに「おすすめの○○を比較して」と質問した際、自社が候補に入り、かつ強みが正確に伝わることが重要です。ここで選ばれなければ、BOFUに進めません。
- BOFUは測定の最終確認:BOFUでのKPIは「AEO施策が実際にビジネス成果につながっているか」を検証する段階です。まずはTOFUとMOFUで基盤を築き、その効果をBOFUで確認するという流れが理想的です。
TOFU/認知・初期情報収集フェーズのKPI
AI検索エンジンが「信頼できる情報源」として自社を学習し、特定の強みと自社名を紐付けるための情報をWeb上に蓄積するフェーズです。直接的なAIの回答結果ではなく、その材料となる言及の質と量を計測します。
AIは、最初から「あなたの会社が何に優れているか」を知っているわけではありません。Web上にあるニュース、他社のブログ、SNS、レビューサイトなどの膨大な文章を読み込んで学習し、「世間ではこう言われているから、これが正しいのだろう」と判断して回答を作ります。つまり、AIに「この会社は信頼できる情報源だ」と思わせるには、まずWeb上のあらゆる場所で自社がポジティブに語られている状態を作らなければなりません。
【TOFUフェーズにおけるKPI例】
- 外部メディア・SNSにおける自社名・独自用語のメンション数(Share of Voice)
- 権威あるメディアでの掲載・寄稿数(E-E-A-Tの獲得)
- 独自用語(自社が提唱する概念)の業界内での使用頻度
- ブランド×強みのセット露出数(「〇〇(強み)といえば自社」という相関関係)
- 主要レビューサイトでの新規獲得件数と平均スコア
- 構造化データのカバレッジ率
KPIの設計方法
- 概念の占有率目標:自社が提唱する独自用語やメソッドが、業界紙や競合他社のブログ等で引用・使用された件数を月次で設定。
- 学習ソースの厚み:AIが「専門家」と判断する材料を増やすため、PR部門と連携し、特定トピックに関する外部寄稿や一次調査データの公開数を目標化。
- セマンティック(意味的)紐付け目標:自社のコア・ベネフィット(例:業務効率化)と社名が同じ文脈で語られるWebコンテンツの純増数を設定。
<例>
- 外部メディアでの「Loop Marketing」という用語の言及数、月間〇件以上
- SNSでの「HubSpot」言及数〇件以上
- <
- 自社の営業実態調査のデータ引用数、月間〇件以上
- 「HubSpot + 直感的なUI」のセット出現記事数、半年間で累計〇以上
- 主要レビューサイトで、月間〇件以上の新規レビューを獲得。平均スコア4.0以上を維持
効果検証方法
- ソーシャルリスニングツールやGoogle アラートなどを活用し、Web全体の自社ブランドのメンション数推移を集計。
- 権威性の高いサイトから、自社の独自データが「出典」として引用されている状況をトラッキング。
- 構造化データ診断:Search Console等を通じ、AIが読み取りやすいリッチリザルトや構造化データがエラーなくインデックスされているかをチェック。(Google 公式の「リッチリザルト テスト」で確認するなど)
- AhrefsやSemrushといったSEOツールを使用し、調査結果ページのURLに対して新しく貼られたバックリンクを抽出
- ポジティブネガティブ調査:ITreview等の外部サイトで、今月新たに投稿された「ポジティブな具体的メリット」を含むレビュー数を集計
【具体例】
- 「Loop Marketing」という用語をGoogle アラートに登録。自社以外の外部メディアやSNSでこの言葉が使われた件数をカウント。
- Google 検索で以下のコマンドを入力し、特定の期間内に増えた引用記事を目視で確認
「HubSpot 営業実態調査" -site:自社ドメイン」
MOFU/比較検討・候補絞り込みフェーズのKPI
MOFUのフェーズでは、AIによる「比較優位性」の獲得と、指名検索の増加を測定します。つまり、「AIの比較候補に自社が選ばれているか」と「その結果として自社名(サービス名)が検索されているか」を測ります。
顧客はAIに条件を提示して候補を絞り込んでいるため、いかにAIの回答内に含まれるかが重要です。
【MOFUフェーズにおけるKPI例】
- 主要AI(ChatGPT、Perplexity、Gemini)における自社の言及率
- 「おすすめSaaS〇選」などの比較プロンプトにおける自社ツールの選出率
- AIが生成する比較表における自社の「強み」の正確性スコア
- 「指名検索(ブランド名・製品名検索)」のインプレッション数とクリック増加数
- AIの回答内でのセンチメント(ポジティブ/ネガティブ/中立の比率)
KPIの設計方法
- ターゲット顧客が比較検討時に使うであろう「〇〇 ツール 比較」「〇〇 選び方」といったプロンプト群(20~30個程度)を定義し、そこでの「自社の引用・言及率(シェア)」を目標に設定する。
- AI内で候補が絞り込まれた結果、ユーザーが「詳細の答え合わせ」として企業サイトを直接訪れるという行動モデルを前提とし、検索エンジンでの「指名検索数」を検討フェーズ到達の最重要KPIに置く。
- AIが自社に言及した際、「ポジティブ(特定の強みを推奨・評価している)」「中立(客観的な機能紹介)」「ネガティブ(明確な弱点の指摘・非推奨)」の比率を定義。例えば、「ポジティブ+中立の割合を90%以上に保ち、ネガティブな言及を10%未満に抑える」といった許容ラインを設計する。
効果検証方法
- 月に1回、ChatGPT、Perplexity、Google などの主要AIへリストアップしたプロンプトを実際に入力し、回答内に自社名や自社コンテンツのリンクが含まれているかを目視またはツールで定点観測。
- Google Search Consoleを利用し、自社のブランド名・製品名を含むクエリの表示回数・クリック数を月次で比較。
- AIに自社と競合の比較表を作らせ、自社の機能や料金が正しく出力されるか(情報の欠落がないか)を毎月テスト。
- 指定した20個のプロンプトのうち、50%以上の回答で、自社サービスが「おすすめの選択肢」としてリストアップ(言及)される状態を目指す
【具体例】
- ChatGPTに「従業員100名規模におすすめの経理ソフトを、A社、B社、自社で機能比較して」と指示。自社の最大の強みである「他システムとのAPI連携」が抜け落ちていた場合、サイト上の構造化データやHTMLテーブルの記述を見直し、翌月に正しくAIに認識されるかを検証する。
BOFU/詳細検討・意思決定フェーズのKPI
BOFU(意思決定)フェーズは、AIとの対話で絞り込まれた候補の中から、最終的な導入を決定する段階です。ユーザーはAIに対して「類似業態の導入事例」や「想定ROIの算出」などを求め、社内稟議を通すための最終的な判断材料(背中を押す情報)を得ようとします。そのため、このフェーズでは、TOFUやMOFUで獲得したAIからの「推奨」が、実際のリード創出・商談化などの最終的なビジネス成果にどれだけ貢献したのかを測定・検証します 。
【BOFUフェーズにおけるKPI例】
- AI経由(ChatGPT、Perplexity等のリファラー)の流入からのCV数
- AI経由の訪問者の平均検討期間や商談化率
- AI向けに最適化した特定コンテンツが関与した「商談創出金額(パイプライン貢献額)」
KPIの設計方法
- ChatGPTやPerplexityといった主要AIプラットフォーム経由のコンバージョン数を目標値として設定。
- 「AI経由の訪問者が最終的にいくらの商談を生んだか」をアトリビューション(貢献度)分析で評価。AIが関与したリードの商談化率や、収益貢献金額をKPIとして定める。
KPIの検証方法
- Google アナリティクス(GA4)でチャネルが「Direct」かつ、ランディングページがAIに引用されやすい「用語集」や「比較記事」であるトラフィックを抽出し、推移を見る。
- ツールで、特定のお役立ち記事を読んでから指名検索で再訪し、商談に至ったユーザーの行動遷移(CVR)を分析。
【具体例】
「経理ソフト導入のROI試算術」という内容の記事への「Direct流入」が増加した場合、それをAI経由の流入と推定。さらにHubSpotのマルチタッチアトリビューションレポートを使い、その記事に触れたリードが今月何件の商談(デモ申込)に進んだかをダッシュボードで可視化。
AI検索を踏まえて設計したKPIをKGIへ接続するロジック
AIによって認知や推奨を獲得しても、最終的なビジネスゴール(KGI)に結びつかなければ意味がありません。AI検索特有のカスタマージャーニーを踏まえ、フェーズごとのKPIとKGIを接続する一貫したロジックの構築と、可視化の仕組みが求められます。
AIでの推奨を「リード創出・商談化」へつなげる方法
「Share of Voice(AI引用数)の向上」 → 「Share of Model(AI推奨数)の向上・指名検索の増加」 → 「商談化率の高いリードの創出(KGI)」という因果関係の仮説を立て、ダッシュボード上で相関性をモニタリングしましょう。
これらのステップを成立させるには、自社サイトの導線設計もAI時代に合わせてアップデートする必要があります。AI経由で流入してきたユーザーは、すでに一般的な機能比較や大枠の要件定義をAIとの対話で終えており、購買意欲が非常に高い状態にあります。そのため、AIでは解決しきれない個別具体的な相談ニーズに応えられるよう、サイト訪問後にすぐ「専門家とのWeb商談」や「デモ予約」ができる導線を強化し、AIの「推奨」を取りこぼさずリード化します。
経営層を納得させるAEO効果測定ダッシュボードの構築例
経営陣から「AI対策の費用対効果」を問われた際、PV数ではなくビジネス指標で答えるためのダッシュボードを構築しましょう。AEOの取り組みがKGIにどう連動しているかを証明するため、施策のプロセスから最終的なビジネス成果までを一覧化し、指標間の相関性を見える化することが重要です。
具体的には、ダッシュボードに以下のような指標を明示します。
- レビューサイトのスコア推移、特定プロンプトでの自社言及率
- 指名検索推移
- AIリファラー(推定)からの商談創出数
指標を連動させて配置することで、「特定プロンプトでの自社言及率が上がった翌月に、指名検索からの商談創出数が増加した」という事実を提示でき、KGIへの接続ロジックを経営層へ明確に説明できるようになります。
HubSpotのツールを使ったフェーズごとの計測方法
AEO対策を成功させるには、カスタマージャーニーの各フェーズに適したツールを活用し、現状把握から改善、成果測定までをシームレスに行うことが重要です。HubSpotでは、目的やフェーズに応じて以下の機能を使い分けることができます。
AEO Grader(無料):MOFUでの言及率・センチメントの現状把握
比較検討(MOFU)フェーズでは、「現在、AIから自社がどう見られているか」の現在地を把握するためのツールが必要です。
AEO Graderであれば、主要なAIエンジンにおける自社サービスの言及率、市場における自社の立ち位置の評価、ブランドセンチメント(ブランドが言及された際のトーン)などを無料でまとめて分析できます。
Marketing HubのAIリファーラル:AI経由流入の識別とCV追跡
詳細検討・意思決定(BOFU)フェーズにおける、「AIからの推奨が実際のビジネス成果につながっているか」を測定・検証する仕組みです。
Marketing Hubでは、コンタクトの行動履歴を個別に確認できます。ChatGPTやPerplexityといったAIリファーラルのユーザーを自動識別し、その後の行動(閲覧ページ、資料DL、問い合わせ)をタイムラインで追跡できます。
さらに、マルチタッチアトリビューションレポートを使えば、「AI経由の訪問」がコンバージョンや商談化にどの程度貢献したかを、他のチャネル(オーガニック検索、SNSなど)と比較しながら評価できます。
HubSpotのAEO機能:プロンプト設計から改善実行までの一元管理
HubSpotのAEO機能では、CRMに蓄積された顧客の実際の会話データ、営業の商談記録、Webサイトの行動データなどをAIが文脈として読み込み、自社にとって本当に追跡・対策すべき関連性の高いプロンプトを自動で提案します。
これにより、顧客のリアルな行動に基づく、ビジネスに直結するデータドリブンなプロンプト設計を実現。自社の言及率を高めるためのコンテンツ改善施策の実行、結果のモニタリングまでを一元管理することが可能です。
AEOとカスタマージャーニー再設計に関するよくある質問
AEO対策に取り組むにあたり、社内のどの部署と連携すべきですか?
マーケティング部門だけでなく、営業部門やカスタマーサクセス部門との連携が必須です。AIに「一次情報」や「リアルな課題解決事例」を学習させるためには、顧客の生の声や最新の営業資料をコンテンツ化(テキスト化)するプロセスが必要になるためです。
「指名検索」による流入数の増加は、どのツールで確認するのが良いですか?
Google Search Consoleを利用し、自社のブランド名や製品名を含むクエリの「表示回数」と「クリック数」の推移を確認するのが、無料で最も簡単にできる手段です。月次・四半期ベースでトレンドを比較し、AEO施策との相関を確認します。
AI時代のカスタマージャーニーに適応し、成果を生むKPI設計を
AI時代において、顧客の購買プロセスは「サイトを自力で回遊する」行動から、「AIに要件定義や比較をアウトソースする」行動へと変化を遂げています。従来のセッション数や検索順位といったKPIから脱却し、TOFU・MOFU・BOFUそれぞれのフェーズにおいて「AIにいかに推奨されるか」を測る新しい指標への移行が大事です。
ブラックボックス化しやすいAI経由の流入も、HubSpotのMarketing Hub(AIリファーラル・アトリビューション分析)を活用することで、ビジネス成果への貢献度を可視化できます。AIからの推奨を単なる「認知」や「流入」で終わらせず、確実なビジネス成長へとつなげるために、今日から自社のカスタマージャーニーとKPIの再設計に取り組みましょう。
Aeo
