業務改善に役立つフレームワーク9選ー効果を引き出す使い方とは

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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企業の業務をどうブラッシュアップし、常にアップデートし続けるか。ビジネス環境が刻一刻と変化する中、企業もそれに合わせて業務の修正と改善を繰り返していく必要があります。

業務改善に役立つフレームワーク9選ー効果を引き出す使い方とは

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一方で、どうやって業務を改善すれば良いのか、そもそもどの業務を改善すれば良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

そんなときに活用できるのが「フレームワーク」です。本記事では、業務改善に活用できるフレームワークを紹介し、それらを選定するためのポイントや注意点について解説します。

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    業務改善でフレームワークを活用する3つのメリット

    業務改善でフレームワークをの重要性と活用する3つのメリット

    業務改善を行っていく上で、フレームワークを利用するのは有効です。そこで、まず初めにフレームワークを活用する3つのメリットをお伝えします。
     

    メリット1:問題解決の糸口が明確になる

    いざ業務改善を進めていこうと思っても、例えば「残業時間を削減したいから」「コストがかかっているから」という要件だけを出しても、なぜそれを遂行しなければならないのか、「WHY」の部分が不明確です。

    もちろん、残業時間は減らしていくべきです。しかし、それは人数が少ないことにより個人の仕事量を圧迫しているせいなのか、業務が属人化していて特定の個人だけ残業時間が多いのか、もしくは無駄な業務が多く発生して残業が発生しているのか、詳細が見えないことには対策できません。

    これに対して、何が原因か特定するためにフレームワークを使って可視化することで、改善を進めるために問題を切り分け、対策が打ちやすくなります。
     

    メリット2:問題が可視化され、メンバー間の認識が一致する

    フレームワークを用いることで、課題の全体像や論点が明確になり、メンバー間で認識を合わせやすくなります。

    同じフレームワークを使って業務を整理していくので、そこにどのような問題がどの程度発生していて、それをいつまでに誰が対応するかなど議題共通の認識のもとで進められるのです。

    またフレームワークの活用は、社内のメンバーだけでなく、社外のメンバーを巻き込んだプロジェクトでも効果を発揮します。言語だけで共通認識を持ちにくい時は、フレームワークで可視化して、認識を合わせましょう。
     

    メリット3:思考時間を短縮できる

    フレームワークを使うと、思考時間の短縮も可能です。

    業務を進めていく上で考える時間は必要ですが、そもそも「考えた内容」の論点がズレたり、間違っていては意味がありません。フレームワークを使えば、何を考えるかを絞り込んでいけますし、また新しいアイデアも浮かびやすくなります。
     

    代表的な業務改善フレームワーク9選

    様々なメリットがあるフレームワークですが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な業務改善フレームワークを9つご紹介します。
     

    1. BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)

    代表的な業務改善フレームワーク9選1

    BPMNは、「Business Process Modeling Notation」の略称で、ビジネスプロセスの流れを図式化する表記法のことです。アメリカのOMGより国際標準(ISO19510)に定められています。

    多くのビジネスプロセスは企業の部門間をまたがっていることが多く、どこでどんな業務内容がなされているのか確認するのが困難です。しかし、BPMNを活用すれば、そのような複雑なプロセスをモデルとして標準化し、誰がみても分かるように可視化できます。これにより、システム導入の際などに効果を発揮するのです。

    実際には定型型の記号で表現されるのが一般的で、例えばプロセスの始点や終点を示す「イベントオブジェクト」や、タスクや業務内容など特定の活動を示す「アクティビティオブジェクト」、意思決定などによって流れを分岐させる「ゲートウェイオブジェクト」などが挙げられます。これらの要素を組み合わせてビジネスプロセスの様子を可視化することで、誰にとっても理解できる汎用的なプロセス図を描けるでしょう。

    BPMNで業務フローを作成するメリットは、一つの業務を部品のような位置付けで表現するのに適していることです。「業務のモジュール化」とも捉えることができ、一度組み立てたビジネスプロセスに手を加えやすいといったメリットもあります。
     

    2. ECRS(イクルス)

    ECRSとは、業務改善を進める「順番」と「視点」を示すフレームワークです。

    Eは「Eliminate(エリミネート)」を示し、不必要な業務や物、ルールを無くせないか検討します。Cは「Combine(コンバイン)」を示し、バラバラになっている業務があった場合、まとめることができないか検討します。Rは「Rearrange(リアレンジ)」を示し、業務を再整理したり、作業の順番を変えて効率化できないか検討します。そして最後のSは「Simplify(シンプリファイ)」を示し、業務をより単純化できないか検討します。

    ECRSの順番で業務改善を進めることで、不必要な業務やコト・モノ、場合によってはヒトをなくし、よりスリムな形へとブラッシュアップさせ、新しいビジネスに挑戦する時間的余裕や資金を生み出せるようになります。

    例えば「E」を活用する場合、不必要な会議を減らせば作業時間を確保でき、残業時間削減に繋がるかもしれません。他には、ペーパーレス化を進めることで、印刷紙や複合機のトナー代などのコスト削減にもつながります。また「C」を活用しようと思ったら、似たような資料や作業はまとめて行うように改善すれば、時間的余裕が生まれるでしょう。
     

    3. バリューチェーン分析

    バリューチェーンとは「価値の連鎖」を表す言葉です。これを活かしたバリューチェーン分析とは、各事業活動を機能ごとに細分化し、どの機能で付加価値が生み出されているのか分析して、業務改善を検討するためのフレームワークです。バリューチェーン分析は、事業戦略を考える際に役立ち、主要なフレームワークの1つとしてビジネスシーンで活用されています。

    これまで見てきたBPMNやECRSと比較し、以下のような図を見たことのある方も多いのではないでしょうか。これが代表的なバリューチェーン分析のフレームワークです。

    代表的な業務改善フレームワーク9選2

    このバリューチェーン分析を活用することで、各機能でどのような付加価値が生み出されているのか、反対にどこに問題があるのか明確にできます。BPMNと同様に、既存の業務がどのようなタスクのつながりで成り立っているのか可視化できるため、課題箇所の特定も容易になります。
     

    4. KPT

    KPTは、いわゆる「ふりかえり」によって業務改善を行うフレームワークです。

    Kは「Keep 」を示し、良かったことや今後も続けることを書き出します。Pは「Problem」を示し、悪かったことや今後は辞めることを列挙します。そしてTは「Try」を示し、次に挑戦することを書き出します。

    このKPTを進める一般的な方法は、ふせんにそれぞれの要素を書きだし、ホワイトボードや模造紙に貼り出すことで、各タスクの振り返りを可視化してチェックします。

    KPTのメリットは、具体的な問題点を付箋という物理的なもので可視化することにより、客観的に整理できる点です。日々のふりかえりを行うのに適しているので、定期的な1on1など、継続的に問題やタスクを洗い出すケースで活用できます。悪かったことだけでなく、良かったことも意識して次のトライに進めるので、よりポジティブに業務改善に取り組めます。
     

    5. ロジックツリー(決定木分析)

    代表的な業務改善フレームワーク9選3

    ロジックツリーとは、樹形図(ツリー)によって事象分析するフレームワークです。一つのキーワードから派生するキーワードを挙げ、問題の原因を掘り下げます。物事を論理的に分析・検討していく際、その考えをツリー状に書き出していくのが特徴です。

    メリットは、物事を論理的なつながりでツリー状にすることで、原因や手段の関係性が明確に把握できる点にあります。例えば、残業時間削減の業務改善を行う際、なぜ残業時間が多くなるのかツリー状に書き出します。人手不足が原因の場合は、離職率の問題なのか、そもそも人数が足りていないのかといったことや、業務量が多い場合は、業務の属人化が問題なのか、無駄な業務が多いのかといったことを書き出して、ツリーの形に可視化します。これを繰り返すことで、ボトルネックの特定が可能です。
     

    6. PDCAサイクル

    代表的な業務改善フレームワーク9選4

    PDCAサイクルとは、「Plan、Do、Check、Action」のそれぞれ頭文字を合わせた用語です。Pは「Plan(計画)」を示し、目標を設定し解決策を考え、業務計画を作成します。Dは「Do(実行)」を示し、Planで立てた計画を実際に行うことです。Cは「Check(評価)」を示し、最初に立案した計画と比較・分析をして、解決方法に問題ないかどうか判断をします。そして最後のAは「Action(改善)」を示し、最終的に解決方法を実行する段階です。

    PDCAサイクルを活用するメリットは、計画から改善までの作業フローを、サイクルに沿ってルーティン化できることにあります。作業を定型業務として落とし込むことで、細かい改善を繰り返し、施策の効果を発揮するまでのスパンを短くします。

    マーケティング活動やプロダクトの機能追加を実施する際など、特に有効なフレームワークだと言えるでしょう。
     

    7. MECE

    代表的な業務改善フレームワーク9選5

    MECE(ミーシー)は「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略称で、「モレなく、ダブりなく」事業を列挙するフレームワークです。ロジカルシンキングの基本概念ともいわれています。

    例えば、「ある商品Aを使ったことがありますか?」というアンケート項目に対する択一式の回答を考えてみます。「1.使ったことがある」「2.便利だった」「3.便利だけど高かった」「4.不便だけど見た目はかっこいい」という4つの回答群を用意した場合、これはMECEな回答群とは言えません。なぜなら、仮にユーザーが使ってみて便利だと思った場合、1も2も回答選択肢としてあり得るからです。厳密にモレなくダブりなく回答を準備する場合は、以下のような回答候補となるでしょう。

    1. 使ったことがあるし、便利で、費用も安いと感じた
    2. 使ったことがあるし、便利だと感じたが、費用は高いと感じた
    3. 使ったことはあり、費用は安いが、不便だと感じた
    4. 使ったことはあるが、費用は高いし、不便だと感じた
    5. 使ったことはない

    以上の通り、MECEは問題に対して「モレなく、ダブリなく」分類していくので、総合的な視点から必要事項を洗い出し、正しいアプローチを導きます。

    議論をしている際や、その内容を分類する際に役に立ちます。また、議論の内容を認識していない人に説明する場合、その全体感を伝えるのにも役立つでしょう。
     

    8. 5W2H

    5W2Hは業務改善を行う上で、基本的なフレームワークといえます。

    これに似たような概念として「5W1H」があります。これは「Who(誰が)」、「What(何を)」、「When(いつ)」、「Where(どこで)」、「Why(なぜ)」、「How(どのように)」という6つの観点をもとに、物事を考えるフレームワークです。5W2Hとは、この5W1Hに「How much(いくらで)」を加えたものとなります。
    この7つの観点を意識して業務改善のタスクを整理していくことで、より具体的なプロジェクト内容を策定できるでしょう。業務計画を立てる際や資料を第三者に説明をする時、部下やメンバーのタスクを整理するときなどに活用できます。
     

    9. 4象限マトリクス

    4象限マトリクスとは、2つの軸を元に、事象を複数のマスに分類して整理するためのフレームワークです。業務改善のみならず、あらゆるテーマで活かせる最も有名なフレームワークの一つだと言えます。

    代表的な業務改善フレームワーク9選6

    マトリクス活用のメリットは、軸設定により事象をマッピングして、知りたいことを可視化し、判断しやすくなる点にあります。

    有名な使い方として、市場における商品の位置付けを可視化する「ポジショニングマップ」があります。例えばコーヒーチェーン業界の位置付けを理解するために、縦軸に価格の高低を、横軸にメニューが豊富かこだわりの一杯か設置し、その分類枠上に各コーヒーチェーンブランドをマッピングしていくことで、上述の2軸を元にしたコーヒーチェーン業界の様子を可視化できます。もちろん、別軸を設定して複数の4象限マトリクスを作っていっても良いですし、軸自体を3×3にして、9マスでマトリクス(9象限マトリクス)もおすすめです。

    このように、物事のレベルや位置付けを比較する際に活用できるのがマトリクスです。
     

    各フレームワークの特性を理解し、積極的に活用しよう

    ここまで、9つのフレームワークについてご紹介してきました。

    フレームワークによってそれぞれの用途は異なるので、使用する際は、どんな特徴があって、どういうメリットがあるのかを適切に理解した上で活用するようにしましょう。

    なお、フレームワーク自体は物事の整理や推進するためのサポートツールとして役立ちますが、その使い方や用法を誤ると物事の捉え方がズレてしまうなどの問題も発生します。フレームワークの使い方そのものを学習するのはもちろん、フレームワークで考えられる深さには限界があるので、最初からフレームワークありきで使うのではなく、あくまでサポートツールとして情報整理の一環で使いましょう。

    ここまで業務改善を進めるためのフレームワークについて解説しました。各フレームワークの特性を理解し、自社の課題・状況に応じて、適切なフレームワークを選定して活用できるようになりましょう。

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    トピック: 業務改善

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