ChatGPTでできることとは?用途例や企業の活用事例を紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の生成AIです。膨大なデータと、深層学習を利用して構築された「大規模言語モデル(LLM)」を使用して構築されています。深層学習(ディープラーニング)とは、人間の神経細胞の働きを模倣した機械学習手法の一つです。

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GPTシリーズはGPT、GPT-2、GPT-3と続いており、無料版のChatGPTには「GPT-3.5」の言語モデルが、有料版のChatGPT Plusには「GPT-4」がそれぞれ使用されています。

テキスト生成のイメージが強いChatGPTですが、最新のGPT-4では画像の読み込みや生成、API連携による新たなプロダクトの開発など、できることが増えています。ただし、バージョンに関わらず、ChatGPTには、できないことや苦手とすることもあるので注意しましょう。

本記事では、ChatGPTでできることやできないこと、用途や活用アイデアについて、最新情報と具体例を含めて解説します。

ChatGPTでできること一覧

ChatGPTでできることを一覧にまとめました。GPT-3.5までのバージョンとGPT-4では、機能やできることの内容が大幅に変化したため、以下の表では、ChatGPT全般でできることと、GPT-4のみ対応していることに分けて表記してあります。

【ChatGPT全般でできること】

  • テキスト生成
  • 要約、校正
  • 多言語翻訳
  • プログラミング言語・マークアップ言語のコード生成

【GPT-4のみがでできること】

  • 画像の認識、処理
  • プラグインの追加
  • APIを用いた高度なサービス開発
  • Code Interpreterの使用
  • ウェブブラウジング機能

それぞれ詳しく解説します。
 

ChatGPT全般でできること

ChatGPT全般でできることは、次の通りです。

  • テキスト生成
  • 要約、校正
  • 多言語翻訳
  • プログラミング言語・マークアップ言語のコード生成

対話型生成AIであるChatGPTは、フォーマットのあるテキストやコード生成、自由形式の自然な対話や文章生成に対応しています。これは、大規模なテキストデータセット(大量のテキスト情報が収集・保管されているデータの集合体)を学習済みであることで、自然言語のパターンや構造を理解した上で活用しているためです。

ブログ記事・ビジネス文書・物語などの文章の生成のほか、要約や文法・スペル修正などの校正、言い換え・リライトが可能です。

多言語翻訳やプログラミング言語の対応言語数は公式で公開されていないものの、日本語を含む複数の言語の翻訳と、コード生成ができます。
 

GPT-4のみがでできること

GPT-4ではGPT-3.5までの機能に加え、新たに次の機能が追加されました。

  • 画像の認識、処理
  • プラグインの追加
  • APIを用いた高度なサービス開発
  • Code Interpreterの使用
  • ウェブブラウジング機能

まず、画像による入力・出力や、プラグインによる機能の拡張ができるようになりました。

また2023年7月6日には、GPT-4のAPIが一般公開されています。API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアやプログラム、Webサービス同士を接続するためのインターフェースです。これにより、GPT-4の言語モデルを活用し、新たなサービスやシステムの構築ができるようになります。

Code Interpreterは、会話による指示だけでコーディングが可能な機能です。GPT-3.5以前のバージョンでも、HTMLやCSSなど簡単なコード生成はできましたが、GPT-4ではPythonのような高度なプログラミング言語にも対応しています。

さらに、Webブラウジング機能ではWeb上から情報を抽出し、それを回答に組み込むことが可能になっています。
 

ChatGPTでできないこと・苦手とすること

OpenAI公式サイトにて、「We've spent(中略) resulting in our best-ever results(though far from perfect)」(翻訳:私たちは(中略)完璧には程遠いですが過去最高の結果を得ることができました)と記載があるように、ChatGPTには次のようなできないこと・苦手とすることもあります。

  • 最新の情報への回答

    ChatGPTは2022年1月までの情報を学習データとして使用しており、最新の出来事や情報については提供できないことがあります。これに関しては、GPT-4のウェブブラウジング機能の精度が高まれば、改善される可能性も考えられます。

  • 正確性のある回答

    そもそもChatGPTは、学習した訓練データのパターンに基づき新しいデータを生成する「生成AI」であるため、誤った情報や架空の情報を返されることもあります。

  • 専門分野における回答、倫理的・法的・個人的な決断

    ChatGPTは判断力や専門知識を持たないため、倫理的・法的・個人的な決断を代行することはできません

  • 高度な計算

    ChatGPTは基本的な計算をこなすことはできますが、高度な計算やかけ算などは間違えることもあるため注意が必要です。

  • 病気の診断や法的相談

    医学的な診断や法的アドバイスを提供する資格を持たないことから、病気の診断や法的相談はできないことにも留意すべきでしょう。

  • 複雑な発想力や想像力が必要な回答

    既存の学習データをもとにしているため、複雑でクリエイティブなタスクやアイデアの提供には限界があります。

  • 著作権に触れないようにすること、不適切なコンテンツの判断

    ChatGPT自体は、生成したものが著作権の侵害にあたるかどうかの判断や、不適切なコンテンツの判断はできないため、使用する側で法律や制度を遵守することが求められます。

なお、文化庁は「生成・利用段階での著作物の利用」について、次のような考えを示しています。

  • AI生成物に、既存の著作物との「類似性」又は「依拠性」が認められない場合、既存の著作物の著作権侵害とはならず、著作権法上は著作権者の許諾なく利用することが可能です。
  • これに対して、既存の著作物との「類似性」及び「依拠性」が認められる場合、そのようなAI生成物を利用する行為は、 ① 権利者から利用許諾を得ている ② 許諾が不要な権利制限規定が適用される ……のいずれかに該当しない限り、著作権侵害となります。

引用:AIと著作権

AIによる生成物も、人がAIを使用せずに創作した場合と同じく、類似性と依拠性によって著作権侵害の判断が行われる点には注意が必要です。
 

ChatGPTの用途

ChatGPTの仕組みは、入力されたプロンプトに対して関連性の高い回答を返すというものです。プロンプトとは、AIやコマンドラインインタフェース(CLI)などの対話システムでユーザーが入力する指示や質問を意味します。

具体的な情報や形式指定を含むプロンプトを入力することで、精度の高い結果が期待できます。

ここでは、ChatGPTの8つの用途例について、ChatGPTと実際に対話をした結果を交えて解説します。

【ChatGPTの用途例】

  1. ビジネス文書の作成
  2. 関数の作成
  3. 企画立案やアイデア出し
  4. 翻訳・要約・文章修正
  5. コード生成やコードのバグチェック
  6. データをもとにした表作成(※GPT-4のみ対応)
  7. 画像認識による解決策の提案(※GPT-4のみ対応)
  8. API連携によるプロダクトの開発(※GPT-4のみ対応)
     

ビジネス文書の作成

ChatGPTの基本の用途として、報告書・契約書・議事録・電子メール・プレスリリース・メールマガジンなどの、ビジネス文書の作成があります。

例えば、ChatGPTにメールマガジンの作成依頼をする場合のプロンプトと回答は以下の通りです。

【プロンプト】

# 命令文
新しいメールマガジンを生成するための手助けをお願いします。このメールマガジンは特定のトピックに焦点を当てるもので、読者に価値のある情報と洞察を提供することを目指しています。以下の情報を含むコンテンツを生成してください。
## タイトル:メールマガジンのタイトルを考案してください。タイトルは魅力的で読者の興味を引くものであるべきです。 ## 特集記事:メインの特集記事のテーマと概要を提供してください。この記事はメールマガジンの焦点となるもので、読者にとって有益で興味深いものであるべきです。
## ニュースとトピック:最新のニュースやトピックに関連する要点や見解を提供してください。読者が最新の情報を得られるように心がけてください。
## 読者の声:読者からのフィードバックや質問に対する回答を含めてください。読者とのコミュニケーションを大切にしましょう。
## リソースとリンク:他の関連するウェブサイト、ブログ、またはリソースへのリンクを提供して、読者が更に情報を探求できるようにサポートしましょう。
## 結び:メールマガジンの結びに読者に感謝の意を表すメッセージを含め、次号の予告などを行ってください。
## オプション:画像や図表: メールマガジンに画像や図表を挿入することを検討しています。具体的な画像や説明を提供してください。
この情報を基に、魅力的なメールマガジンの内容を生成してください。

【ChatGPTの回答】

ChatGPTの回答

今回指定した「テーマ」「概要」「トピック」については、架空の内容が生成され、AIやクワンタムコンピューティング(量子計算)に関するトピックが提案されました。

「読者の声」以降は、期待した内容と異なっていたため、回答の精度を高めるためには、より具体的な指示文や修正箇所の指摘を行う必要がありそうです
 

関数の作成

続いて、ChatGPTでエクセル・スプレッドシートに挿入する関数を作成してみましょう。

【プロンプト】

# 命令文
商品の内容量に応じて価格を設定したいです。下記をIF関数にしてください。
## 条件
~299個:1,000円
~300~499個:1,500円
~500~699個:2,000円
~700~899個:2,500円
~900~1099個:3,000円
~1100~1299個:3,500円
~1300~1499個:4,000円 1500個
~:5,000円
## 制約
IF関数は見やすくレイアウトしてください。

【ChatGPTの回答】

ChatGPTの回答

【スプレッドシートの「C列」へIF関数を挿入した結果】

スプレッドシートの「C列」へIF関数を挿入した結果

生成されたIF関数をスプレッドシートへ挿入した結果、期待する動作が確認できました。
 

企画立案やアイデア出し

ChatGPTは、企画の策定やアイデアの共有(ブレインストーミング)にも活用できます。

今回は、ChatGPTに「マーケティング担当者」の役割を与え、新しい入浴剤のプロモーション方法を考案してもらうようお願いしてみました

【プロンプト】

あなたは日用品・消費財メーカーのマーケティング担当者です。 以下の条件下での、新しい入浴剤のプロモーション方法を考案してください。
  • ターゲット層:20~40代
  • 商品価格500~1000円
なお、以下の項目を含めてください。
  • 使用する媒体
  • プロモーションの内容
  • 予算の相場

【ChatGPTの回答】

ChatGPTの回答

抽象的な印象ではありますが、プロモーションの全体像を示してくれました。より具体的な内容やこの施策を行うべき根拠などは実際のマーケティングデータをもとに検討する必要はありますが、ヒントを得る方法の一つとして活用することは可能です。
 

翻訳・要約・文章修正

ChatGPTは多言語のテキストデータを学習しており、50以上の言語に対応しているため、英語・日本語・中国語など、多言語翻訳が可能です。ただし、使用頻度の低い言語では翻訳精度が低下する可能性があります。

また、文章の翻訳だけでなく、同時に要約もできます。実際に、ChatGPTにHubSpot社の英語ページ「Guide to Connection in the Age of AI」の文章をコピーして貼り付け、「日本語に要約して」と伝えてみました。

【ChatGPTの回答】

ChatGPTの回答

1回目のターンでは800字ほどの文章量が返されたため、「もう少し短縮できますか?」とお願いしたところ、350字ほどに要約されました。ChatGPTの翻訳・要約機能は、海外のニュースや論文など、母国語以外の情報を効率的に理解する際に役立ちます

さらに、的確な指示を出すことで、言い回しの変更やビジネス向けの表現への調整など、文章のリライトも可能です。

なお、プロンプトとして入力できる文字数の上限は、GPT-3.5では日本語でおよそ3,300字、英語で約10,000字が入力可能といわれています。一方、GPT-4では約25,000字のプロンプト入力が可能で、要約や翻訳、詳細な指示が可能とされています。
 

コード生成やコードのバグチェック

ChatGPTではコード生成や、記述したコードのバグチェックが可能です。バグの検出と同時に、改善点なども指摘してもらえます。例えば、次のような指示を与えてみました。

【プロンプト】

ランディングページに設置するCTAボタンのコードを生成してください。
デザインやテキストはお任せします。

【ChatGPTの回答】
ChatGPTの回答

実際にWebページに反映したところ、以下の動的なボタンが表示されました。

ボタンが表示

カーソルをあわせる(マウスオーバー)と、押下したように見えるアニメーションも実装されていました。色やスタイルを調整することで、よりイメージに沿った要素の生成も可能です。
 

データをもとにした表作成(※GPT-4のみ対応)

ChatGPTのGPT-4では、CSVファイル・Excelファイル・画像・音楽・動画などのファイルの読み込みができ、データをもとに表やグラフを作成できます。

GPT-3.5でも、以下のような簡単な表は作成できましたが、GPT-4ではデータをもとにした生成に対応しています。

【プロンプト】

人口の多い世界の都市トップ5をあげたうえで表にしてください、国名を含めてください。

【ChatGPTの回答】

ChatGPTの回答

ファイルの読み込みは、GPT-4で「Code Interpreter」を設定のうえ、プロンプト入力欄にある「+」マークからアップロードできます。
 

画像認識による解決策の提案(※GPT-4のみ対応)

Product

出典:Product

ChatGPTのGPT-4に搭載された画像認識機能により、画像を読み込み、画像に関する質問への回答が可能になりました。これにより、画像分析や説明文を自動生成できます。テキストと画像が混在する入力にも対応しています。
 

API連携によるプロダクトの開発(※GPT-4のみ対応)

OpenAI API

出典:OpenAI API

API連携とは、APIを用いて異なるアプリケーションやシステムがデータや機能を共有する仕組みです。GPT-4のAPIを使用することで、GPT-4の機能を取り入れた高度なサービスを開発できるようになります。具体的なサービス事例については、次章でご紹介しています。
 

ChatGPTを活用したサービス開発・提供例

ChatGPTはすでに、多数のサービスやシステムの開発に使用されています。ChatGPTを活用したサービス開発・提供例を5つご紹介します。
 

ChatSpot|HubSpot

ChatSpot

出典:ChatSpot

HubSpotのChatSpotは、ChatGPTを活用した多目的な会話型プラットフォームです。ChatSpotの機能に含まれる「文章コンテンツの作成」や「コンテンツの要約」の機能にてユーザーが特定のトピックについて詳細な情報がほしい時や、記事や動画の統計情報を簡潔にまとめる際に、ChatGPTが補助的な役割を果たしています

主に、営業やマーケティング業務に役立ち、HubSpotアカウントと連携することでCRMデータに基づくレポート作成や施策提案も可能です。

ChatSpot 公式サイト
 

ObotSERVE|株式会社ObotAI

ObotSERVE

出典:ObotSERVE

ObotSERVEは、WebページやECサイトでの新しい接客体験を提供するAIチャットボットです。 ChatGPTエンジンを搭載し、会話を通して顧客の不安を解消することで、購入意欲を高める効果が期待されています

同サービスでは、クライアント企業固有の情報への対応も進められており、これによりChatGPTの「誤回答」を防ぎ、高精度なWeb接客で離脱率の軽減や、集客力アップにつなげています。

ObotSERVE 公式サイト
 

Tebot|株式会社アノテテ

Tebot

出典:Tebot

株式会社アノテテが提供するTebotは、高性能なAIを搭載し、シナリオや有人チャットなどの機能が標準で備わったAIチャットボットサービスです。

ChatGPTと連携し、「Q&A自動生成」機能を導入したことで、企業独自のQ&AデータをWebサイトやドキュメントから自動生成できるようになり、回答精度の個別設定が可能になったといいます。高性能なAIを活用して、顧客接点の増加からユーザーサポートまで幅広い機能を提供している事例です。

Tebot 公式サイト
 

ManualForce|Orange Moon株式会社

ManualForce

出典:ManualForce

ManualForceは、Webブラウザ上での操作を自動で記録し、マニュアル化・シェアが可能なサービスです。

同サービスに搭載された「AIサジェスト」は、ManualForceで作成したタイトル・説明文を自動生成する機能です。ChatGPTとのAPI連携により、マニュアル作成の工数削減を実現できたとされています

ManualForce 公式サイト
 

Parame Recruit|株式会社Parame

Parame Recruit

出典:Parame Recruit

株式会社Parameは、リファレンスチェックサービス「Parame Recruit」にて、ChatGPTを活用したリファレンスチェック機能をリリースしました。

具体的には、AIが質問リストを提案し、リファレンスチェック結果から選考に必要な情報を抽出するというものです。これにより、質問内容作成や選考判断の手間が軽減され、リファレンスチェックがより効果的になったといいます。

Parame Recruit 公式サイト
 

できることが拡充しているChatGPTをビジネス活用しよう

ChatGPTのGPT-3.5までのバージョンでは、テキスト生成・要約・校正・多言語翻訳・コード生成などができます。最新のGPT-4では、これらの機能の向上に加え、画像の読み込みや生成、API連携による新たなプロダクトの開発など、できることが増えました。

世界の生成AI市場は2030年までに約14兆円に拡大し、2022年から2030年までのCAGR(年平均成長率)は35.6%と見込まれています。急速に成長するChatGPTをはじめとする生成AIをビジネスに活用することは、企業として革新的なソリューションを提供し、競争力を維持することにつながるでしょう

本記事でご紹介した用途例や、他社のサービス事例を参考に、ChatGPTのビジネス活用を進めてみてはいかがでしょうか。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

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