ネット広告を利用して顧客層のエンゲージメントを高める方法

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戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
戸栗 頌平(とぐり しょうへい)

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世の中にはネット広告を嫌う人が少なくありません。これ自体はかなり前から知られているので驚くことでもないのですが、HubSpotが2016年に実施した調査で、さらに残念な事実が明らかになっています。私たちマーケターが表示する広告を画面から消し去ろうとする人が、世のなかには大勢いるというのです。

ネット広告を利用して顧客層のエンゲージメントを高める方法

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アンケートに回答した人の半数以上が、広告ブロックをすでに使用しているか、あるいは半年以内に使用する予定と答えたそうです。耳を覆いたくなるような話です。では、私たちは一体どうすればよいのでしょうか。

その答えはもちろん、「インバウンドマーケティング」です。

多くの企業で、インバウンドマーケティングを導入することで、この問題を解決できると思います。ですが、インバウンドマーケティングで一定の効果を得るまでには、長い期間が必要です。また、顧客層のロイヤリティーを高め、自然検索によるトラフィックを安定的に増加させるのは簡単なことではないでしょう。だとすれば、もう一度考えてみる必要がありそうです。

インバウンド戦略を補完するために、ネット広告をデジタルマーケティング計画の1つとして利用することは、本当に間違っているのでしょうか。あるいは、ネット広告を利用してインバウンドマーケティングを強化し、見込み客に価値を提供して喜んでもらうことは、絶対に不可能なのでしょうか。

もちろん、間違ってもいませんし、不可能でもありません。ただし、やり方を正しく理解する必要があります。その方法について、この記事で詳しく説明したいと思いますが、その前に、ネット広告がこれほど人々に嫌われる理由について、まず考えてみたいと思います。

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    ネット広告が嫌われる理由

    下のグラフは、消費者が広告ブロックを使用する理由について、ハブスポットが調査した結果をまとめたものです。ここには、人々がなぜオンライン広告を嫌うかを考えるうえで重要なヒントが隠されていると思います。

    ad-blocking-stats

    それでは、主な理由を3つ見てみましょう。

    1)煩わしい

    人々がネット広告を消去する最大の理由は、何といっても、煩わしくて迷惑だからです。

    モバイルで見たいサイトに移動したとたん、広告がポップアップ表示され、ボタンを何度かタップしなければ画面を表示できないことは、誰もが必ず経験していると思います。この種の広告については、少し前にGoogleによって、ウェブサイトを監視する際にペナルティの対象に加えるとアナウンスがあったところです。

    2)ブラウザーの操作の邪魔になる

    2番目に大きな理由は、ネット広告がブラウザー操作の邪魔でしかないからです。動画の自動再生やフラッシュのバナーなどは、ユーザーが本当に見たいコンテンツを表示することの邪魔以外の何ものでもありません。注目を集めたいという目的で動画を自動再生しているのなら、その目的は確かに果たしていると言えるでしょう。ですが、人々はそれを速やかに消去したいために注目しているのであって、動画を観たいからではありません。

    バナーブラインドネス(Banner Blindness)という言葉をご存知でしょうか? バナー広告がPC画面の同じ場所に、同じタイミングで表示されることに私たちが慣れてしまって、広告に意識が向かなくなっていることを言います。また、バナー広告の多くは相手を選ばず表示され、完成度も低いため、私たちは自分が本当に見たいと思うコンテンツに集中しようと、意識的に、あるいは無意識のうちにそれを無視する能力を身に付けてしまったのです。

    3)セキュリティの不安を招く

    3つ目に重要な理由は、ネット広告によってセキュリティが脅かされることに不安があるからです。

    非常に多くのウェブサイトが、第三者のパブリッシャーによる広告を画面に表示するようになっています。そのため、これらのウェブサイトが広告の質、あるいはセキュリティを適切に管理できているかどうか、不安に感じる人も多いはずです。そういった不安から、セキュリティに関心の高い人たちが、ブラウザーに広告ブロックを使用するようになったのだと思います。

    ネット広告を利用して顧客層の関心を集めるためには

    このように、ネット広告を利用する企業の狙いと、そのターゲットとなる消費者による広告の受け止め方のあいだには、明らかにずれがあるようです。

    インバウンドの基本は、製品やサービスをもっと人間味のある、そして顧客層に喜んでもらえる方法で市場に展開することです。これをきちんと理解しているマーケターなら、ネット広告についてこの記事の前半でお話しした内容が、インバウンドマーケティングの基本にマッチしていないと感じたはずです。

    ですが、ネット広告とインバウンドマーケティングは相容れないと、この時点で決めつけてしまうのは間違いだと思います。それよりも、広告を受け取る側にポジティブな体験を提供できるよう、広告のやり方を改めていくのが正解なのでしょう。以降ではその方法について解説したいと思います。

    1)ネイティブ(またはソーシャル)広告に注目する

    先ほどのハブスポットによる調査レポートでは、ネット広告に対して消費者が抱く感情が、広告の種類によって異なることについても報告されています。

    下のグラフは、さまざまな種類の広告について、アンケート対象者にそれぞれの印象を1(非常に悪い)から5(非常に良い)の5段階で評価してもらった結果を平均値で示したものです。評価が5に近い広告は存在しません。ですが、印象がそれほど悪くない広告もあるようでした。

    neutral-ad-types

    私はこのグラフから、評価が高い広告に共通点があることに気付きました。それらをまとめると、次の2つのいずれかに分類されます。

    1. 広告を受け取ることをユーザーが選択している
    2. プラットフォーム内でユーザーの邪魔にならない

    たとえば、メルマガ(Email newsletters)はオプトインした人にだけ送信され、購読者はいつでも購読を解除できるので、押しつけがましい印象はそれほど強くありません。また、優れたコンテンツやオファーを提供するものが多く、多くの人がメルマガを否定的に受け取らないことにも納得がいきます。

    一方、Facebook、LinkedIn、Twitterの投稿は、ユーザーがオプトインして受け取るわけではありません。そのためオンライン広告のネガティブな印象が多少は残るものの、自動再生される動画やポップアップ表示のように、やたらと嫌われるわけでもありません。それには以下の理由が考えられます。

    • ユーザーの邪魔をしない: そのプラットフォームに溶け込むかたちで広告が表示されます。
    • 有益なコンテンツを提供している: セールスを目的とした広告ばかりではありません。
    • ターゲットを定めて送信される: 見る側に関連の高いコンテンツが選んで配信されます。

    以上から、SNSプラットフォームにネイティブ広告を表示することは、ネット広告を利用するための非常に賢明な方法であると私は思います。ネイティブ広告であれば、オーディエンスにブロックされることも少なく、興味深いコンテンツを作成すれば、見る人に価値を提供することができます。

    Google AdWordsも、ユーザーの邪魔にならず、検索した内容に合わせてターゲットを絞った広告を表示するため、「ネイティブ」な広告チャネルの1つと考えることができます。

    SNSプラットフォームには、大量のコンテンツが集められてユーザーに表示されます。ですから、この方法で効果を得るには、広告を非常に注意深くセグメント化し、関連の高い広告を、正しい顧客層に正しいタイミングで配信することが非常に重要です。

    2)広告でより高い価値を提供する

    ネット広告もコンテンツの1種ですので、製品やサービスを売りつけるためではなく、顧客層により高い価値を提供するために使用することができるはずです。

    広告が表示されたと大喜びする人はいません。ですが、広告がすべてセールスのみを目的とした、押しつけがましいものである必要はないはずです。広告によって獲得するトラフィックをリードに転換することを目的とし、有料のチャネルを利用したコンテンツのプロモーションを行ってはどうでしょうか。そうすれば、オーディエンスにより高い価値を提供し、ブランドの好感度を上げることもできると思います。

    ですが、ネイティブ広告のプラットフォームでそれを実践するにはどうすればよいでしょうか。たとえばGoogle AdWordsを使用し、ネット広告をインバウンドのスタイルで表示することを考えてみましょう。

    Googleでインテリアデザイナーを検索し、インテリアデザインのサービスを宣伝する会社が4件表示されたとします。しかし、それらを知らない人にとっては、どの会社が自分の要件に合っているのかわかりません。

    そのような顧客層の問題を解決するのがPPC(ペイ パー クリック)広告です。たとえばこの画面で「プロジェクトの要件に完全にマッチしたインテリアデザイン会社を見つける方法」というタイトルの無料ガイドブックをプロモーションする会社が表示されたとします。その広告は、検索の結果ページで他社の広告よりも(その情報を必要としている顧客層から)多くの注目を集めるに違いありません。もちろん、クリックやコンバージョンの数が増す可能性も高いでしょう。

    一例として、blogging「ブログ」というキーワードで表示される結果ページの画面をご覧ください。

    Blogging-3.png

    3)ターゲティングを行う

    ネット広告にあって、オフライン広告にない非常に重要な優位点があります。それは、ターゲティングのオプションを細かく設定できる点です。ここではターゲティングを行うことによって、ネット広告で見込み客により高い価値を提供しているブランドをいくつかご紹介します。

    Facebookでのターゲティング

    下の画像は Contently による広告です。Facebookがユーザーに関して集めたデータに基づいて、コンテンツマーケティングに関心の高いユーザーをターゲットとして作成されています。

    Contentlyの投稿に関心のない人を含め誰かれかまわず広告を表示するのではなく、Facebookユーザーの中からこの広告に価値を感じるであろう人だけを集め、そのセグメントに対して広告を表示しています。

    ネット広告をこのように利用すれば、有益なコンテンツを提供してサービスの質を高め、関連の高いトラフィックを増やし、訪問者を質の高いリードに転換することができます。まさにこれはインバウンドマーケティングの範疇に収まる手法です。

    Facebook-advertisement

    Twitterでのターゲティング

    Facebookと同じくTwitterも、顧客層をセグメント化して関連の高い有益なコンテンツを紹介するための有料チャネルとして利用できます。Twitterには主に、以下の4つのターゲティングオプションがあります。

    1. フォロワー 特定のユーザーのフォロワーをターゲットとして広告を表示します。
    2. キーワード: 特定のトピックについてツイートした人をターゲットとします。
    3. テイラードオーディエンス: EメールデータベースをTwitterにアップロードし、その中から特定のライフサイクルステージにいる人(たとえばブログの購読者ではあるがリードにまだ転換していない人など)をターゲットとします。
    4. リマーケティング: コンバージョントラッキングを設定し、企業のウェブサイトで何らかのアクションがあったユーザーをターゲットとします。

    Twitterによる広告のターゲティングオプションについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。私がこのページを訪問した後にTwitterに移動すると、Twitterの広告機能によって、下のように有益なコンテンツが私の画面に表示されました。

    この画面が表示された理由は、私が訪問したページをTwitterがトラッキングし、この広告に私が興味を示すに違いないと判断したからです。ただし、何かをセールスするようなメッセージは一言もなく、Twitterで動画を使用することについて情報を含んだ有益なコンテンツを表示してくれています。Twitterの目的は、私に対してより良いサービスを提供し、エンゲージメントを向上することによって、私を購買ジャーニーの次のステージへと穏やかに促すことです。

    twitter-advertising

    LinkedIn

    HubSpot(ハブスポット)のブログでLinkedInのことを度々ご紹介しますが、日本から国外に出てマーケティングを行う際にLinedInを用いることは非常に有用です。この広告はBupaのウェブサイトを訪問し、自分のコンタクト情報を入力して医療保険の見積もりを入手したユーザーのLinkedInフィードに表示されたものです。

    この広告はLinkedInのプラットフォームに違和感なく表示されるため、それほど押しつけがましくは感じられませんが、先の例のようなインバウンドのスタイルとも異なります。それにもかかわらず、この広告が好意的に受け取られるのは、見積もりをリクエストした人、つまり医療保険に関心のある人をターゲットとして表示されるからだと思います。

    LinkedIn-advertisement

    ネット広告をSNSプラットフォームで利用するなら、このようにターゲティング機能を利用し、顧客層が購買ジャーニーのどの段階にいるかに応じて最適な広告を表示するのが賢明だと思います。

    たとえば上の広告の場合、このターゲットに対してさまざまな種類の保険を紹介するコンテンツを表示するのは、正しいやり方とは言えません。海外旅行者向けの保険を必要として見積もりをリクエストしたのですから、購入の意欲はおそらく高いはずです。したがって、このBupaの例のように、海外渡航者向け保険の価値を紹介するメッセージを表示するべきでしょう。

    インバウンドマーケティングとネット広告

    この記事では、ネット広告を利用して製品やサービスをやみくもに宣伝するよりも、ターゲットを定めて有益なコンテンツを紹介することで、顧客層により高い価値を提供できることについて説明しました。また最後のBupaの例では、適切なターゲットに適切な方法で、適切なタイミングでリーチするために、広告の内容を顧客層に関する情報に基づいて調節することの重要性についてもお話ししました。

    ネット広告をインバウンドマーケティング戦略の一部とすることに、否定的な要素は一つもありません。この2つを効果的に組み合わせて利用すれば、顧客層に喜んでもらえるだけでなく、企業の収益向上につなげることもできるでしょう。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

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    編集メモ:この記事は、2016年9月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Elissa Hudsonによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

    トピック: 広告

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