より良い顧客体験を届けるためには、適切な社内教育を通じて、社員1人1人がより高いレベルで仕事をすることが必要です。しかし、社員に適切な教育を行うためのコストは、企業にとって軽いものではありません。また、対面での教育を継続的に実施するのも、双方の時間的制約から難しいものです。
こうした事情から、社内教育におけるeラーニング活用が注目されるようになりました。
本記事では継続的な社内教育を検討されている方、eラーニングの導入を検討している方に、eラーニングの基本的な情報やメリット・デメリット、導入方法の概要を紹介します。
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eラーニングとは?
eラーニングとは、インターネットを利用した学習方法です。他の学習方法と大きく異なるのが以下の2点です。
- パソコンやモバイル端末からアクセスでき、時間や場所を問わずに学習に取り組める
- 学習者のアクセス履歴や理解度がLMS(学習管理システム)を通じてサーバーに蓄積され、評価やサポートが受けられる
eラーニングの歴史
1990年代後半、ネットワーク環境が拡充するにつれ、オンライン配信やダウンロードコンテンツの利用など、Webベースの学習システムが広がります。非対面型学習の課題だった個々の学習者の把握も、Web上のサーバーに学習者の履歴を蓄積することで解決が図られました。こうした学習システムの総称として、2000年頃、eラーニングという言葉が誕生しました。
LMSとは?
eラーニングで学習環境を提供するプラットフォームがLMS(Learning Management System=学習管理システム)です。
LMSには主に以下の4つの機能があります。
- システム管理
「 管理者」が学習登録者を把握し、IDやパスワードを管理する機能 - 学習者向け機能
「学習者」がアクセスして学び、問い合わせるなど、自分の理解度や進捗状況を確認する機能 - 教材管理機能
「 教材管理者」がコンテンツの作成・編集を行うなど、管理・登録する機能 - 学習支援機能
「 学習支援者」が学習者からの問い合わせに応え、アクセス状況やレポートの提出状況、学習の進捗に合わせて適切なサポートを行う機能
LMSは学習情報データベースと接続され、学習者のプロフィールや学習履歴、評価データなどが格納されています。
eラーニングのメリット
eラーニングのメリットを学習者・管理者それぞれの立場から整理します。
学習者にとってのメリット
- 自分のペースで学習できる
- テキスト以外にも動画や音声を活用できる
- 単元ごとのミニテストなどを通じて自分の理解度合いが逐次把握できる
- アンケートや質問機能、受講者同士のコミュニティなど、双方向的な学習ができる
管理者にとってのメリット
- 場所・時間の確保が必要ない
- コンテンツの更新がしやすく最先端の知識を提供できる
- 学習者の進捗度や理解度を把握できる
- 学習者に対して最適なプログラムを提供できる
eラーニングのデメリット
eラーニングを検討する上で、デメリットも双方の視点から見ておきましょう。
学習者にとってのデメリット
- 安定した通信環境やデバイスの他、学習環境を確保が必要
- 主体的にスケジュールを立て、積極的に取り組む必要がある
- 対面と比べてコミュニケーションにタイムラグが生じる
管理者にとっての課題
- LMSを始め、配信システムを用意しなければならない
- eラーニングには向かないテーマもある
これらのデメリットを踏まえた上で、自社に合った導入方法を検討しましょう。
eラーニングの導入ステップ
eラーニングを導入する際は、以下の3ステップで体制を構築しましょう。
- LMSを選択する
- コンテンツを選択する
- 学習プログラムを作成する
LMSを選択する
eラーニングを進めるためには、最初にプラットフォームであるLMSを準備する必要があります。LMSを選択する際に押さえておくべき点を説明します。
LMS選択時に確認したいこと
LMSは自社サーバー内に構築する方法(オンプレミス型)とクラウド上のLMSを使用する方法(クラウド型)があります。近年ではクラウド型のLMSを利用してeラーニングを始める企業が増えています。
LMSを選ぶ際は、以下の点を重視してください。
- マルチデバイス対応
- 動画コンテンツやミニテスト、レポート機能など求める機能が備わっている
- LMSベンダーの提供するコンテンツが自社に合っている
- 自社独自のコンテンツの作成や、カスタマイズが容易
コンテンツを選択する
LMSが決定したら、自社に最適なeラーニングコンテンツを選択します。
プログラミングやマーケティングのように汎用性の高いコンテンツは、良質な講座が数多く提供されています。学習者のレベルや目的に合ったものを選択してください。
学習プログラムを作成する
継続的に講座を提供する場合には、途中で学習者のモチベーションが途切れないよう、サポートを組み込んだ学習プログラムを作成します。学習プログラムには以下3点の要素を盛り込みます。
- 講座ごとの評価とフィードバック
- 学習者同士のコミュニケーションの保障
- 終了後のサポートやインセンティブを盛り込む
eラーニングコンテンツ(教材)の作成方法
社内研修や自社製品の取り扱いなど、自社独自の学習内容を提供したい場合は、コンテンツを作成する必要があります。コンテンツ作成には大別して3つの方法があります。
- 既製品をカスタマイズする
- オリジナルコンテンツを発注する
- 自社で作成する
既製品をカスタマイズする
通常LMSとコンテンツの関係は1対1で、X社のコンテンツは、X社のLMSでなければ利用できません。そこでeラーニングやLMSの規格を標準化するのがSCORM(Sharable Content Object Reference Model)です。SCORMに準拠したLMS間では、コンテンツの相互運用が可能となります。そのため既製品をカスタマイズして使用する際は、すべてSCORMに準拠したコンテンツであることが必要です。
オリジナルコンテンツを発注する
体験型の学習に効果を上げるVRや、パワーポイント資料を元にした動画やアニメーションなど、質の高いコンテンツを求める場合は、オリジナルコンテンツをLMSベンダーに依頼する方法もあります。
自社で作成する
eラーニング作成ツールを利用すれば、パワポ資料や音声付き動画などを作成できます。自社の希望内容に沿ったものを、低コスト・短期間で準備したい場合におすすめの方法です。
学習効果の高いコンテンツを作成するためには以下の3点に留意してください。
- 自社の課題に対応しているか
- 学習者に即した内容になっているか
- ゴールが明確になっているか
eラーニングとその他の学習法の違い
eラーニングと並んで取り上げられることの多いのが「EdTech」と「マイクロラーニング」です。改めてそれぞれの意味と違いを押さえておきましょう。
EdTechとは?
EdTechは教育(Education)× テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、教育に最先端のテクノロジーを導入したサービスやビジネスを指します。
EdTechを活かしたeラーニングには、以下のようなものがあります。
- VR(バーチャルリアリティ)を用いた体験型学習
- ゲーム的な要素を盛り込んだ学習方法
- 学習者1人ひとりに合わせ、柔軟なカリキュラムを提供するシステム
マイクロラーニングとは?
マイクロラーニングとは1〜5分の短時間で学ぶ学習法です。短時間の動画や、アプリを利用したクイズなどの形式で提供します。
eラーニングで学習するためには、30分、1時間とまとまった学習時間を確保しなければなりません。その時間を確保できない忙しい学習者でも、スマートフォン経由で数分間の動画を視聴したり、ゲーム感覚でクイズに答えたりできることから、マイクロラーニングは注目を集めています。
今すぐはじめられるオンライン講座3選
自社に合ったeラーニングを導入する前に、今すぐはじめられるのオンライン講座を紹介します。
個人でも企業単位でも参加できるため、検討の一助としてください。
HubSpot アカデミー
HubSpotアカデミーは無料のオンライン講座です。マーケティングや当社HubSpotが提唱するインバウンド、マーケティング支援ツール、営業や知的財産権など、マーケティングや営業を中心にビジネス関連の幅広い講座が提供されています。認定コースを修了すると、世界的に認められている認定資格を履歴書に記載できます。
Udemy
Udemy ではプログラミングやEC運営、マーケティング、財務会計、Web解析など幅広い講座が提供されています。 Udemy Business は「ビジネスの基本」や「ウェブ開発」などのプログラムを企業単位で利用できます。
JMOOC
MOOC(Massive Open Online Course=大規模公開オンライン講座)は大学教育をインターネット上で受けられるオンライン講座です。MOOCの日本版が JMOOC です。「AI」や「安全学」などの講座を終えると修了書が発行されます。企業単位で活用するところも増えています。
顧客体験向上に必要なのは「継続的な社員教育」
顧客により良い価値を提供するためには、社員全体の知識を底上げし、スキルを高めることが重要です。適切な教育や研修を通じて、より高いレベルで仕事ができるようになれば、それがモチベーションにもつながります。
しかし、多くの企業では研修や教育は入社時に行われるだけで、その後は社員個人の意識にゆだねられています。また、個人の努力でスキルアップしても、評価に結びつかない場合もあります。
より良い顧客体験を提供するためにも、長期的な視点で社員全体の教育プログラムを検討する必要があります。その際、社員の学習しやすさの面でも、コストの面でも eラーニングは心強いシステムです。自社に合ったeラーニングを導入し、社員1人1人がより高いレベルで仕事に取り組める環境を整えてみてはいかがでしょうか。