若者を始めとして非常に多くのユーザーを抱えるInstagramは、企業のWebマーケティングでも必須の存在となってきています。魅力的な写真や動画を楽しむ特性から、直接的な宣伝よりはブランディングに向いており、広告の活用によって認知度を増やすことも可能です。
Instagramエンゲージメントレポート
HubSpotはMentionと共同で、1億1,000万件以上のInstagramの投稿データを分析し、2022年以降のInstagramのビジネス活用に役立つ情報をまとめたレポートを作成しました。
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- タグ付けに関するベストプラクティス
- インフルエンサーとの提携戦略
- マーケティング担当者の要チェックポイント
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全てのフィールドが必須です。
現状では、非常に多くのブランドや有名BtoB企業がInstagramを利用して、ブランド認知度の向上、オーディエンスとの関係構築、さらには新規顧客の開拓を促進しています。
今回の記事ではHubSpotパートナーの The B2B Marketing Lab(英語) から、すぐに実践できる簡単なヒントを紹介します。
これを参考に、皆さんの企業でもInstagram戦略をさらに次のレベルへ進めていただければ幸いです。
BtoB企業がInstagramを活用するメリットとは
ここでは、BtoB企業がInstagramを活用する3つのメリットについてお伝えします。
認知度・イメージの向上
インターネットの発達により、顧客の60%が営業担当との商談前に、すでに製品の絞り込みをしており、そのうちの20%は購入を決定した段階で商談を行います。購買プロセスが短縮化したため、様々なタッチポイントで顧客とコミュニケーションを取り、信頼性や安心感を醸成することが重要です。
Instagramは、国内月間アクティブアカウント数が6,600万を超えていると想定されており、BtoB企業でも潜在顧客と接点を作れる可能性は十分にあります。
ブランディング
ブランディングとは、自社ならではの価値を顧客に届け、自社のファンになってもらうことを目的にした施策です。現代の消費者は、商品自体の価値だけではなく、理念や想いに共感できる企業を選ぶ傾向にあるので、ブランディングが注目されています。
ブランディングは、Webサイトや店舗などのあらゆるタッチポイントで行えます。中でも、写真や画像をメインにしたビジュアルで訴求できるInstagramは、ブランディングに有効なプラットフォームです。
文章よりもビジュアルの方が簡単に理解できるうえ、ビジュアルの方が記憶にも残りやすいです。Instagramを活用すると、ブランドの世界観や社員の声、ブランドの想いなどを効果的に伝えられます。
エンゲージメント向上
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアと比較すると、Instagramのエンゲージメント率は高い傾向にあります。
エンゲージメント率が高くなるということは、自社サイトへの誘導や会員登録、商品購入に繋がりやすいということなので、様々なポイントでのコンバージョンに期待できます。
集客につなげられる
Instagramはビジュアルを活用して情報を発信できることから、企業や製品の認知度向上に役立つことはすでに述べたとおりです。
ビジネスアカウントを利用すれば、Instagram広告を出稿可能です。広告では業種や職種に合わせた詳細なターゲティングが可能なので、BtoBでも効果的に集客できます。
さらに、プロフィールにウェブサイトリンクを設置することで、自社サイトへのトラフィックを増やし、直接的な集客にもつなげられます。
海外への発信もできる
Instagramは海外市場への発信にも適しています。プラットフォーム自体が多言語対応しているため、英語や他の言語を活用することで、世界中の潜在的な取引先やパートナーにもリーチできるでしょう。
ハッシュタグを活用すると、海外のユーザーにも自社投稿を見つけてもらいやすくなります。海外のフォロワーとの交流ができれば、新たな市場のトレンドやニーズを把握することも可能です。
エンドユーザーへのアプローチにもなる
BtoBにおけるInstagram活用の利点は、エンドユーザーへのアプローチとしても効果的だという点です。製品やサービスの紹介に加え、企業の取り組みや姿勢を発信することで、取引先だけでなくエンドユーザーからの信頼を得ることもできます。
エンドユーザーが投稿をシェアすることで口コミが広がり、新たな顧客層の獲得も期待できるでしょう。また、投稿へのコメントやリアクションを通じて、ユーザーの声を直接収集し、製品やサービスの改善に活用することもできます。
BtoB企業がInstagramを活用する7つヒント
BtoB企業がInstagram運用で効果を出すのは、容易ではありません。普通に投稿を続けても、なかなかフォロワーは増えないでしょう。
単純に魅力的なコンテンツ投稿をするのではなく、戦略的に運営をすることが大事です。以下では、BtoB企業がInstagramを活用するにおいて、意識したい7つのポイントを解説します。
ペルソナを設定する
BtoB企業こそ、Instagramを運用する際にはペルソナ設定が欠かせません。
Instagramは基本的にはプライベートの楽しい時間を消費するもので、新しいビジネスのアイデアやソリューションはないかと探している人はあまりいないでしょう。ペルソナ設定をせずに自社の発信したい内容ばかり出していると、誰にも刺さらずに流れてしまいます。
反対に、ペルソナ設定をしてInstagramという接点の役割をきちんと考慮できれば、見込み客を創出できる魅力的なコンテンツを投稿できるでしょう。
KPIを設定する
運がよければ、あの投稿見たよと顧客からInstagramの話題を振ってもらえるかもしれませんが、定性的な結果を期待するだけでは企業がInstagramを運用する意義は薄いといえるでしょう。
ペルソナを設定したら、定量的なKPIを設定し、自社がInstagramを運用する目的を達成できるよう日々改善を続けることが重要です。
BtoBならではの投稿内容を発信する
BtoC企業とは異なり、BtoB企業がInstagramで製品やサービスを紹介しても、多くのユーザーに興味を持ってもらうことは難しいです。そこで投稿内容に工夫を施す必要があります。
BtoB企業の場合、下記コンテンツを発信するのがおすすめです。
社内のコンテンツ
BtoBのビジネスの現場では、商品やサービスをベースとした堅いコミュニケーションになりがちです。せっかくカジュアルな雰囲気を出しやすいInstagramですので、以下のような社内の様子がわかるコンテンツを作成してみましょう。
リーダーの声:企業のリーダーたちの声や考えを発信すると、ブランド認知度の向上や顧客との信頼関係構築に期待できます。
企業文化:ビジネスの舞台裏を発信すると、ブランドに人間味や親近感が加わり、顧客や潜在的な従業員にアピールできます。
アナウンスメント:セミナーや新入社員の入社、社内イベント、製品発表などのあらゆるお知らせを行います。顧客やの興味を惹くためにも、動画や画像を用いてアナウンスをすることが望ましいです。
商品について
BtoBの商品・サービスは、特定のニーズの相手以外にはわかりづらい面も多々あります。こうしたわかりにくさを解消するために、写真や図を用いてInstagramで紹介することで、一般ユーザーの興味・関心を引ける可能性があります。
前述のように、エンドユーザーへの好感度が上がれば、BtoBにおいても有利に働くでしょう。
多彩なコンテンツをすばやく公開する
Instagramにスマートフォンの写真や動画を投稿するのは、驚くほど簡単です。アプリケーションを起動して、投稿ボタンを押し、アップロードしたい写真や動画を選択するだけで、あっという間に投稿できます。
この利点を活かせば、コンテンツの作成にかかる時間が大幅に短縮されます。事前に計画を立てたり編集したりせず、いつどこにいても、さまざまなコンテンツをアップロードできます。
BtoBでは綿密に組まれたスケジュールどおりに投稿を組み立てたくなるかもしれませんが、消費者目線で接するかのようなカジュアルなコンテンツが親近感を生み、新たなリードにつながるかもしれません。
プロフィールのリンクを最大限に活用する
Instagramでは投稿のキャプションにウェブサイトのリンクを埋め込むことができませんが、プロフィールには1つだけリンクを追加できます。
プロフィールに入力できる文字数はリンクを含めて最大150文字で、最新のブログ記事やコンテンツオファーへのリンクを張るのにぴったりの場所です。
Linktree(英語) などのツールを使用すると、複数のリンク(Linktreeでは最大5つ)が張られたページへのカスタムリンクを作成できます。このカスタムリンクをプロフィールに追加すれば、さまざまなリンクにユーザーを誘導できるようになります。
関連するリンクを追加してコンテンツを投稿したいときには、ストーリーズ機能が最適でしょう。投稿から24時間後に削除されてしまうという制限はありますが、リアルタイムに知ってほしいサービスや価値を公開できる、すばらしいツールです。
写真やビジュアルを工夫する
堅苦しい説明になりがちなBtoBこそ、Instagramの本領である写真やビジュアルを工夫しましょう。
普段はなかなか見ないような切り取り方をしたり、美しい写真で目を惹いたりできれば、まず目を向けてもらうという大きな一歩を超えることができます。
計画に沿って投稿を継続する
「多彩なコンテンツをすばやく公開する」と反してしまうかもしれませんが、BtoB企業がInstagramを運用する場合、継続することがまず重要です。
企業が継続するためには未来を見越した計画が必要であり、その未来から逆算して導き出したスケジュールを遵守することでコンテンツがだんだんと蓄積されていきます。魅力的で役に立つコンテンツは、BtoBにおいて見込み客を創出するために重要です。
国内BtoB企業のInstagram運用事例
国内BtoB企業でInstagramの運用に成功している事例をまとめました。
株式会社タムロン
株式会社タムロンは、一眼レフや監視カメラ用のレンズユニットなどの一般ユーザー製品から産業分野製品までを提供するレンズメーカー。グローバルに展開しており、売上の海外比率は70%を占めます。
Instagramでは、自社レンズを活用した写真を豊富に投稿し、その品質の高さを発信しています。「自分もこんな写真を撮りたい」とユーザーに思わせることで、購買意欲の醸成へと繋げることが可能です。プロフィールには、製品情報ページへのURLを設置することで、興味を持ったユーザーの誘導も行えています。
また、英語のキャプションとハッシュタグを活用し、売上の大部分を占める海外ユーザーにアピールしています。結果的に、BtoB企業でありながらもフォロワー数は3.6万人(2024年11月時点)と大きな成功を収めています。
Sky株式会社
Sky株式会社は、業務系ビジネスシステムの開発やモバイル製品に組み込まれるソフトウェアの開発など、幅広い分野に渡ってシステム開発を提供しているIT企業です。投稿はビジネスらしい面とカジュアルな要素が混ざり合っており、フォロワー数は5.5万人(2024年11月時点)となっています。
Sky株式会社は、Instagramでセミナーや製品などのプロモーションを実施しています。プロモーション投稿の最後には、コーポレートサイトへ誘導する文章を設置し、CTA対策もばっちりです。また、業務中の社員を見せることで、親近感の醸成に成功しています。
東京電力グループ(TEPCO)
東京電力グループ(TEPCO)は、Instagramで1.6万人(2024年11月時点)のフォロワーを集めています。主に、ダムや発電所の内部など一般の人々が見られない舞台裏を鮮明で美しい写真と共に投稿しています。
また、キャプションでは設備の役割を詳しく解説しています。身近にある電気の舞台裏を発信することで、多くの人々の興味関心を集めるのに成功しています。
海外BtoB企業の運用事例
海外BtoB企業でInstagramの運用に成功している事例をまとめました。
General Electric
General Electric(以下GE)は世界最大の総合電機メーカー。GEのInstagramフォロワー数は48.1万人(2024年11月時点)で、主に社員や企業歴史などのカルチャーをメインに投稿しています。
GEは世界的な知名度のある企業ですが、多くの人々はGEの詳細は知りません。だからこそ、Instagramでのストーリーテリングが有効です。企業の理念や想い、ストーリーが購買意欲に大きな影響を与える今、GEのようにInstagramでブランディングを行うのは効果的な施策となります。
HubSpot
弊社HubSpotはマーケティングやセールス、カスタマーサービス向けのソフトウェアを提供しております。英語版HubSpotのInstagramのフォロワー数は59.1万人(2024年11月時点)です。
HubSpotは、Instagramで製品プロモーションをしていません。その代わりに、顧客に価値ある情報をイラストや動画を用いて分かりやすく発信しています。
顧客に役立つ情報を発信し続けた結果、多くの方にフォローしてもらえるようになりました。
まずは自社の価値を届けたい顧客像を明確にし、顧客が抱える課題やニーズに応えるコンテンツを、最適な方法で届けるようにしてみてください。
SAP
SAPはビジネス向けのソフトウェアやアプリケーションを開発する企業。31.5万人(2024年11月時点)のフォロワーを抱えるInstagramアカウントでは、動画を用いた製品紹介をしています。
ソフトウェア製品などは画像投稿には向いていませんが、動画にすることで、顧客に価値や魅力を適切に伝えられます。
また、従業員やオフィスなどの舞台の裏側、企業ストーリーを投稿することで、親近感の醸成に成功しています。画像投稿が向いていない業種でも、SAPのように効果的に動画を使えば、Instagramマーケティングで成果をあげられるでしょう。
BtoB企業もInstagramで結果を出せる
BtoB企業も運用次第では、Instagramで認知度向上やブランディング、エンゲージメント向上などの効果に期待できます。
まずはターゲットと認知度向上や売上アップなどの目的を明確にしましょう。目的を達成するために、Instagramが最適なのか吟味したうえで、自社リソースも考慮して運用開始の判断をしてください。
運用開始が決まれば、ぜひ記事で紹介したポイントや事例を参考にしていただければ幸いです。