オリジナルの画像をAIが生成してくれる画像生成AIは、PC上で利用するイメージがあるかもしれませんが、スマートフォンアプリでも利用可能です。
生成AIをコンテンツ制作に活用するための入門ガイド
コンテンツ制作に役立つプロンプトの書き方など、制作のプロセスにAIツールを適切に取り入れる方法をご紹介します。
- 生成AIの概要と、独自のコンテンツを作成する方法
- コンテンツ制作業務全般に役立つAI活用のメリット
- AIに関する懸念点への回答
- チームにAIを導入するためのヒント
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全てのフィールドが必須です。
アプリ版の画像・イラスト生成AIでは、生成の参考となる画像をアップする・「プロンプト」と呼ばれる指示文を送信するなどの操作で画像を生成できます。ビジネスに活用できるものも多く、Webサイトやプレゼン資料に使用する素材、SNSのアバターなどを作成できます。
本記事では、画像・イラスト生成AIアプリのなかでも、特におすすめの9つのアプリを紹介します。アプリの選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
画像・イラスト生成AIアプリとは
画像・イラスト生成AIアプリとは、テキストによって指示を与えることで、機械がオリジナルの画像やイラストを作成してくれるモバイルアプリです。スマートフォンにアプリをインストールして手軽に利用できるため、外出時でもクリエイティブ業務を行えます。
入力するテキストは「プロンプト」と呼ばれ、細かく指示内容を調節できるのが特徴です。「リビングで寝ている猫」といった文形式のほか、「リビング・猫・くつろぐ」などの単語形式で指示を与えられます。また、「高品質」「レトロ調」といった形で、出力する画像やイラストの雰囲気を調節することも可能です。
実際に画像やイラストを生成するには、プロンプト入力→スタイル選択→サイズ指定の手順を踏むだけで済み、早ければ数秒程度で作業が完了します。アプリによっては、生成した画像にエフェクトを追加できます。
生成AIが画像・イラストを生成できる仕組み
生成AIはどのようにして、プロンプトを打ち込むだけで画像・イラストを生成できるのでしょうか。その技術には、CNN、VAE、GANなどが用いられています。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは、AIの学習方法として知られているディープラーニングのモデルの1つです。
CNNは画像の認識において特に有用だとされており、画像を部分的に見てパターンを学習していくことで、画像に何が写っているのかを判断します。この技術は画像認識に大いに活用されていますが、画像生成においても大きな影響を与えています。
VAE(変分オートエンコーダ)とは、同じくディープラーニングのモデルの1つで、学習したデータから特徴を抽出して似ている画像を生成します。
GAN(敵対的生成ネットワーク)とは、2つのネットワークを競争させることで学習を進めていくモデルです。片方が偽物のデータを作成し、もう片方がこれを本物か偽物かを判断することによって、画像の特徴を学習していきます。
画像・イラスト生成AIアプリおすすめ9選
ここでは、画像・イラスト生成AIアプリおすすめ9選を紹介します。予算や用途に合わせて選んでみてください。
- Canva:無料~/商用利用可
- Vivid AI:無料/商用利用記載なし
- PhotoDirector:無料~月額230円(年払い)/商用利用可
- Picsart:AI機能は有料/商用利用可
- AI Picasso:無料~年額7,400円/商用利用可
- AIイラストくん:無料~月額6,980円/商用利用可
- Dream by WOMBO:無料~年額6,000円/商用利用可
- Googleフォト(編集マジック):無料/商用利用可
- Adobe Lightroomモバイル版:無料/商用利用可
1. Canva(キャンバ)
出典:「Canva - デザイン作成&動画編集&写真加工」をApp Storeで
【特徴】
- SNS用やプレゼン資料、名刺など、さまざまなテンプレートを選べる
- 画像・イラスト生成AIや画像加工といった基本的な機能が無料で利用可能
Canvaは、Webブラウザ上でオリジナルグラフィックを作成できるサービスです。モバイルアプリも用意されており、イラスト制作の知識や経験がなくても、直感的にグラフィック制作を行えます。
Canvaに搭載されている「Text to Image」を活用することで、画像やイラストの自動生成が可能です。Webブラウザ版の場合はプロンプトを入力して目的の画像を生成しますが、モバイルアプリ版では画像をアップロードする必要があります。
また、CanvaにはTranslate機能と呼ばれる翻訳機能が標準搭載されており、画像に含まれている言語を自動翻訳できるのが特徴です。さらに、「Magic Eraser」の機能を活用することで、画像から不要なオブジェクトを排除できます。
- 利用料金(税込):
Canva Free:無料
Canva Pro:11,800円/年
Canva for Teams:9,000円/年/1人(3人から) - ※画像生成AI機能は無料
- 商用利用:可能 ※生成画像の表記を添えることを推奨
- 公式サイト:App Store/Google Play
2. Vivid AI(ヴィヴィッドAI)
出典:「Vivid AI: AI アバター作成 & AI 画像編集」をApp Storeで
【特徴】
- アバター作成や着せ替えなどのAI機能が豊富
- 無料で利用できる
台湾に拠点を置くCyberLink社が提供する画像・イラスト生成AIアプリです。プロンプトを入力すると、短時間で画像やイラストが生成されます。
Vivid AIには、画像の風景部分のみを変更できる「AIシーン」や、人物の服装を自由にコーディネートできる「AIファッション」などの豊富な機能が搭載されています。無料でさまざまなAI機能を活用できるため、費用対効果に優れています。
- 利用料金:無料
- 商用利用:記載なし
- 公式サイト:App Store/Google Play
3. PhotoDirector(フォトディレクター)
出典:「PhotoDirector - 写真加工 & 背景加工アプリ」をApp Storeで
【特徴】
- 色鉛筆や水彩画、ポップなど、複数のタッチのイラストを自動生成
- デコレーションやアニメーションなどのエフェクトに対応
PhotoDirectorは、Vivid AIと同じくCyberLink社が提供している画像・イラスト生成AIアプリです。テキストから画像を生成するのではなく、画像をアプリに読み込ませた上でAIにより高度な編集を行います。例えば、写真から不要なものを除去したり、別のものに置き換えたり、写真の周辺を生成して画像を拡張したり、ビジネス写真やスケッチ調にしたりなどの編集が可能です。
利用は無料でも可能で、無料プランだと毎日10クレジットを入手できます。1回のAI編集につき1クレジットを消費する仕組みです。有料プランに登録することで、制限されていた機能が開放され、使用できるクレジットも増加します。
- 利用料金(税込):
1か月プラン:620円/月
12か月プラン:230円/月(年契約) - 商用利用:可能 ※体験版・教育ライセンスは不可
- 公式サイト:App Store/Google Play
4. Picsart(ピックスアート)
出典:「Picsart 写真加工、AIイラスト & 動画編集」をApp Storeで
【特徴】
- 基本機能は無料で利用でき、商用利用も可能
- レタッチやコラージュ作成、ステッカー貼り付けなどの編集機能を搭載
Picsartは、画像生成やアバター作成に対応したモバイルアプリです。オリジナル画像を生成する場合はプロンプトを入力し、アバターを作成する際は画像をアップロードします。
また、ロゴ作成やテキスト生成AIを活用して文字入れや、ロゴ作成に対応しているのも特徴です。生成した画像をそのままアプリ内で編集できるため、複数のツールを使う必要がありません。
- 利用料金:
Free(※AI機能は有料版のみ)
Picsart Plus:541.66円/月(年契約)
Picsart Pro:800円/月(年契約) - 商用利用:可能
- 公式サイト:App Store/Google Play
5. AI Picasso(AIピカソ)
出典:「AIピカソ - AIダンス動画/AIアバター/AIイラスト」をApp Storeで
【特徴】
- サポート機能が豊富でクリエイティブ業務の効率化につながりやすい
- イラストのフリー素材サイト「いらすとや」とコラボ
Webブラウザの画像生成AIサービス「Stable Diffusion」を活用したモバイルアプリです。Stable Diffusionで学習したモデルが出力画像にも反映されます。
プロンプト入力による画像生成だけでなく、画像の一部を塗りつぶし、その部分をAIに補完してもらうという使い方ができます。簡易的なラフ画を読み込むだけで、その続きをAIに描いてもらえるのも特徴です。
AIアバター生成などのプレミアムな機能、高度なスタイル適用などの機能は有料版のみとなりますが、基本的な画像生成は十分に可能です。
- 利用料金:無料プラン/PROプラン 年払い7,400円・月払い1,980円・週払い740円
- 商用利用:可能(※いらすとや風生成画像のみ著作権はAI Picassoに帰属)
- 公式サイト:App Store/Google Play
6. AIイラストくん
出典: AIイラストくん
【特徴】
- LINEアプリを使って画像・イラスト生成が可能
- 大手画像生成AIサービス「Stable Diffusion」の仕組みを採用して品質を担保
AIイラストくんは、「Stable Diffusion」の仕組みを活用したLINE botサービスです。LINEで公式アカウントに友だち申請することで利用できます。LINEアプリ上でプロンプトを入力するだけで、目的のイラストを作成できるのがポイントです。
出力できるイラストは、人物モード・イラストモード・風景モードの3種類に対応しています。ハイスペックなGPUやメモリを持つパソコンがなくても、気軽に高品質のイラストを生成できます。
- 利用料金:
無料プラン(毎日3枚まで生成)
ライトプラン:1,980円/月(毎日30枚まで生成)
プロプラン:6,980円/月(無制限) - 商用利用:可能
- 公式サイト:App Store
7. WOMBO Dream
出典:WOMBO Dream - AI Art Generator
【特徴】
- 基本プランは無料で手軽に画像生成サービスを利用できる
- プロンプトの候補が表示されるため、英語に不慣れな方でも使いやすい
WOMBO Dreamは、アート系イラスト作成に特化した画像・イラスト生成AIアプリです。プロンプトによる指示と、アートスタイルを決めるだけで画像が生成されます。
必要に応じて写真をアップロードするか、ライブラリから写真をピックアップすると、よりイメージに近いコンテンツを生成可能です。サルバドール・ダリ風やパステル、バロック絵画など豊富なスタイルが用意されています。
- 利用料金:無料プラン/有料プラン6,000円/年
- 商用利用:可能
- 公式サイト:App Store/Google Play
8. Google フォト(編集マジック)
出典:Google フォト - Google Play のアプリ
【特徴】
- 撮影した写真の管理、編集に優れている
- 2024年5月から、ほぼすべての端末で編集マジックが利用可能に
Google フォトは、Google が提供している写真管理アプリです。Android端末ではデフォルトでインストールされている他、iOS端末でも利用できます。
写真の整理において非常に高い機能を持つツールですが、2023年にAIによる「編集マジック」が登場。当初はGoogle のスマートフォン「Pixel」限定でしたが、2024年5月からほぼすべての端末に開放されました。
編集マジックでは、ボケた写真の修正や空の変更、人やモノの削除などが利用できます。
- 利用料金:無料
- 商用利用:可能
- 公式サイト:App Store/Google Play
9. Adobe Lightroom(モバイル版)
出典:「Lightroom:写真&動画エディター・写真映像編集」をApp Storeで
【特徴】
- 写真の撮影から編集、共有、公開までをスムーズに行える
- 強力な生成AI削除によりいらないものを削除できる
Adobe Lightroomは、Adobeが提供している写真編集モバイルアプリです。Lightroomにはデスクトップ版とモバイル版があり、モバイル版のみ利用するなら無料ですべての機能を使用できます。
Lightroomではアプリ内で写真の撮影、編集、共有まで完結することができ、編集機能は簡単かつ強力です。生成AIを活用した機能では、不要なものを削除、背景ぼかし、特定の部分のマスキング、美しい見栄えのAIプリセットなどがあります。
- 利用料金:無料(デスクトップ版も使用する場合はCreative Cloudの任意の有料プランに登録)
- 商用利用:可能
- 公式サイト:App Store/Google Play
画像・イラスト生成AIアプリの選び方
画像・イラスト生成AIアプリの選び方を4つのポイントに分けて解説します。
- 参考画像の利用可否
- スタイルの指定可否
- 生成スピードと提案数
- サイズの指定可否
1. 参考画像の利用可否
画像・イラスト生成AIアプリには、テキスト(プロンプト)での指示に加えて、参考となる画像をアップロードして画像を生成できるタイプのものがあります。
単純な画像であればテキストだけでも指示できますが、内容が複雑になるほどプロンプトが煩雑化し、イメージ通りの出力結果にならないことがあります。
プロンプトと同時に参考画像をアップロードできるアプリであれば、抽象的な内容であってもAIに完成イメージを伝えやすくなります。それにより、出力結果がイメージに近くなるでしょう。
完成形のイメージが思い浮かばない場合は、ラフ画をアップロードしてAIに完成図を描いてもらえるアプリが便利です。
2. スタイルの指定可否
生成するコンテンツがイラストの場合は、スタイル指定が可能なアプリがおすすめです。スタイル指定によって雰囲気やタッチを事前に絞り込むことで、想定通りのイラストに仕上がりやすくなります。
生成するイラストのジャンルが多岐にわたる場合は、さまざまなスタイルに対応したアプリを選ぶと良いでしょう。
3. 生成スピードと提案数
1回あたりのコンテンツ生成スピードはアプリによって大きな差があります。数秒程度で完成するものもあれば、数分~数時間かかるアプリもあるのが現状です。
また、1回の指示につき複数のコンテンツを提案してくれるアプリは、複数の画像やイラストから好みのものを選べます。イメージ通りに仕上がらず、何度もプロンプトを変更する手間を抑えられるため、提案数の多いアプリを選ぶ方法もおすすめです。
4. サイズの指定可否
出力する画像やイラストのサイズを指定できると、幅広い用途でコンテンツを活用できます。WebサイトやSNS、社内向けの資料など、さまざまな用途で活用する場合は、自由にサイズを指定できるアプリを選ぶと良いでしょう。
Canvaのように、サムネイル用やSNS用など、用途別にテンプレートが用意されたアプリもあります。
生成AIアプリで画像を作成する際の注意点
生成AIアプリを使用する際は、ビジネス・個人の利用に関わらず、以下の点に留意する必要があります。
著作権に注意
生成AIアプリを使用する際は、著作権問題に注意しなければなりません。生成AI技術は、過去に生み出されたコンテンツを学習する仕組みになっているため、既存の著作物と類似した画像やイラストが生成されるケースがあります。
AIによる生成物であっても、依拠性(既存の著作物をベースにしていること)や類似性(既存の著作物との近似度)が認められると、著作権侵害になる可能性があります。
画像・イラスト生成AIアプリを使用する際は、生成したコンテンツと既存の著作物との類似性を必ず確認しましょう。生成コンテンツを商用利用する場合は、著作権者の許諾を得るのも方法のひとつです。
規約を確認
どのツールにもいえることですが、各AI生成ツールにも利用規約があります。生成AIはまだ新しく発展途中の技術のため、きちんと規約を確認し、何をしてよくて何が駄目なのかを把握しておくのがおすすめです。
特に、商用利用が可能かどうかは確実に確認しておく必要があります。
法整備を注視
生成AIによって作られたコンテンツに関する法整備は、現時点で進められていません。仮に生成AIの利用に関する法律が整備された場合、その内容を知らずに使い続けることはリスクとなるため、ニュースをしっかり確認しておく必要があります。
なお著作権侵害のラインについては、現状は文化庁が通常のコンテンツと同様の扱いになるという解釈を発表しています。
画像・イラスト生成AIアプリを活用して制作業務の効率化を実現させよう
画像・イラスト生成AIアプリは、誰でも簡単に画像やイラストを生成できるのが魅力です。
Webサイトや動画などに用いる素材、SNSのアバター、プレゼン資料の挿絵など、アプリを活用することで、必要な画像やイラストを効率良く作成できます。また、画像の一部差し替えや、ラフ画の完成形の提案など、AIからアイデアをもらうことで、制作業務の生産性向上にもつながるでしょう。
ただし、画像生成AIは著作権の問題が発生しやすい領域なので十分に注意しましょう。既存の著作物との類似性を確認し、著作権者に許諾を得るなどの対策が必要です。
目的や用途に合わせて、今回紹介したアプリをぜひ使ってみてください。