深い感銘を与えるミッションステートメント12の事例

執筆者 戸栗 頌平(とぐり しょうへい)
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顧客ロイヤリティの源泉はどこにあるのでしょうか。

ほかより値段が高いのに、リピーターとして利用している店鋪やブランドはないか考えてみてください。たとえば、決まって利用している航空会社はありませんか。毎朝同じ店でコーヒーを買っていませんか。よそから来た人に決まって勧めるレストランはありませんか。

人が特定の企業やブランドに愛着を感じる理由は、その企業やブランドが持つ価値観に由来していることが多々あります。抜群の強さを誇るブランドは、物理的要素、感情的要素、論理的要素を組み合わせて、唯一無二の卓越したカスタマーエクスペリエンス(および従業員エクスペリエンス)を実現しています。

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顧客や従業員との関係作りがうまくいくと、その人たちからの愛着はその後もずっと消えません。全体の収益性を底上げしつつ、ブランドプロモーターを生む強固な基盤を確立できます(関連記事はこちら:How To Turn Your Customers Into Brand Promoters on Facebook [Infographic])。

しかし、そのような関係を作ることは決して簡単ではありません。成功を収めている企業は、自社のコアバリューを長年にわたって忠実に守り、顧客からも従業員からも、この企業とつながりがあってうれしい、と思ってもらえる存在になっています。

そこで肝心なのがミッションステートメントです。

ミッションステートメントは、企業に関して「何を(what)」と「誰が(who)」を明確にするものです。また、ビジョンステートメントは、そこに「なぜ(why)」と「どのように(how)」を加えるものです。企業の目標や目的地は成長に合わせて変わる場合がありますから、必要に応じてビジョンステートメントに修正を加え、目標を達成する中で変化する企業文化を反映していく必要があります。

ここからは、12の企業のミッションステートメントとビジョンステートメントの事例をご紹介します。これをヒントにして、ご自身のブランドのミッションステートメントを考えてみてください。

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12の企業のミッションステートメントとビジョンステートメントの事例

1)Life is Good

Life is Goodのミッション

Life is Goodの存在意義は、楽観主義を広めることだけではありません。でも、前向きな気持ちになれるユニークな言葉をあしらった同社のTシャツを見ると、思わず笑みがこぼれてしまいます。

Tシャツを作っている企業は世界中に山ほどありますが、Life is Goodのミッションは際立っています。そのミッションステートメントは、単に愉快な衣類を製造するというものではなく、楽観主義の力を広める、というものです(参照記事はこちら:Spreading the Power of Optimism)。

同社が行っている慈善活動を知らなければ、このミッションは少々意外に思えるかもしれません。Tシャツの企業が楽観主義を広めるとは、何をどうするのでしょうか。その疑問への答えは、ミッションを掲げたページの下の方にあります。

ミッションの詳しい解説に加えて、それを具現化した#GrowTheGoodやLife is Good Kids Foundationなどの活動を紹介するページへのリンクがあります。Life is Goodのミッションステートメントは、高尚でありながら具体的という絶妙なバランスが実に見事です。

2)sweetgreen

sweetgreenのミッションステートメント

sweetgreenのミッションは、会社側の信念を一方的に押し付けるのではなく、利用者の価値観に合う、ということを掲げています。体によい野菜を育てている地元農家とのネットワークを拡大している同社が、そうした農家と利用者とを結び付ける取り組みを大きな軸に据えていることが、このミッションステートメントの表現からわかります(参照記事はこちら)。

地元産のヘルシーな食べ物の選択肢をもっと欲しいと思っているのは、ほかならぬ我々ですから、このステートメントは印象的です。

sweetgreenのステートメントが力強いのは、人々を結び付ける、というミッションがあるからです。その誓いは、ウェブサイトや店鋪の中にとどまるものではありません。店舗所在地の地域社会でも活動を展開しています。中心となる活動は、健康な食事、フィットネス、サステナビリティ、食べ物の生産元について子供たちに教育する活動です。

また、同社主催の音楽フェスティバルには、毎年2万人の賛同者が集結し、音楽を聴いたり、健康的な食事をとったり、sweetgreenのチャリティーパートナーであるFoodCorpsの活動に貢献したりしています(参照記事はこちら)。

3)Patagonia

Patagoniaのミッションステートメント

Patagoniaのミッションステートメントは、市場での成功をもたらす価値観(安全で高品質な製品を作ること)と、よりよい世界の実現につながる価値観(環境を守るための慈善活動)の両面が組み合わさっています。同社のサイトを見ると、次のような言葉があります。「パタゴニアで働く私たちの心にある、手つかずの自然が残る美しい土地に対する情熱。それはまた、野生地域を保護する情熱と直結しています」。

そこで同社は、草の根の環境保護活動を行っている世界各地の数多くの団体に、時間と労力、そして売上の1%以上を寄付しています(参照記事はこちら:From Synchilla to School Support)。

Patagoniaと同じように、ビジネスの成長という面と、貢献や恩返しという面の両方を重視している企業であれば、顧客にもたらしたい恩恵と、社会や環境に対する貢献でもたらしたい価値の両方を、ミッションステートメントに織り込んでみてはいかがでしょうか。

4)American Express

「そもそも社員が好きになっていない企業を、お客様が好きになるはずがない」。これはSimon Sinek氏の言葉で、HubSpotでも絶えず復唱しています。American Expressが他のクレジットカード会社と比べて際立っているのは、優れた顧客サービスを提供することへの誓いを述べたミッションと理念です(参照情報はこちら)。

American Expressといえば顧客サービスで有名です。従業員が顧客を支えるためには、従業員の力を引き出す必要があるということを、ミッションで明確に打ち出しているのは印象的です。

5)Warby Parker

Warby Parkerのミッションステートメント

Warby Parkerのミッションステートメントは、「反逆児」「革新的」「社会意識」など、若くて大胆不敵という個性が言葉のチョイスにも表れています。また、同社を創業したきっかけを踏まえて、よりよい未来に向けたビジョンを披露している文もあります。

ミッションについて説明した長めの文章には、次のような一節があります。「メガネは気軽に楽しく買えなくてはならない。買った人を幸せにし、容姿端麗にしなくてはならない。懐にも優しくなくてはならない。当社はそう考えています」。この部分だけでも、Warby Parkerならではの個性が遺憾なく発揮されています。このミッションステートメントが成功しているのは、ひとえに的確な言葉のチョイスによるものです。

6)InvisionApp

「思い込みを疑う。深く考える。ライフスタイルとして反復する。細部を大切にする。どこでもデザインを意識する。誠実に行動する」

InvisionAppのコアバリュー

B2B企業の会社紹介ページは、最近はどこも似たり寄ったりという印象がありますが、InvisionAppの会社紹介ページは秀逸です(参照記事はこちら)。ページの下の方で、同社のコアバリューを説明している部分では、アイコンの上にマウスを置くと、会社のミッションを抜き出した一節がその下に表示されます(参照記事はこちら)。

ミッションステートメントがアイコンごとに分かれているところが印象的です。それぞれの説明は簡潔で信頼感があり、気取ったビジネス用語が見られません(関連記事はこちら:The World's Worst Business Babble Translated Into Human Speak)。

このおかげで、InvisionAppの社員の人たちも信頼できそうな気がしてきます。

7)Honest Tea

Honest Teaのミッションステートメントが真っ先に打ち出しているのは、わが社の紅茶は純粋な本物の紅茶であり、人工化合物をふんだんに使った紅茶とは違う、というニュアンスのメッセージです。聞いたこともない添加物が入った紅茶にうんざりしていて、まさに同社のような紅茶を探している人たちの心に響きます。

Honest Teaは、その社名どおりの誠実さをミッションの軸に据えています。さらに同社は、ミッションレポートというものを毎年公表しています。その狙いは、「当社の商慣習に対する透明性を確保し、当社のミッションをきちんと実践して、より健康的でおいしいオーガニック飲料の製造と促進を追求するため」だそうです。

8)IKEA

IKEAのミッションステートメント

IKEAの人たちは壮大な夢を描いています。素敵な家具を手頃な値段で提供する、というだけのミッションステートメントでもおかしくなさそうなのに、実際には、「より快適な毎日」を顧客に提供することをミッションに掲げています(参照情報はこちら)。

同社のビジネスは、利用客とのパートナーシップで成り立っています。つまり、IKEAは世界中の取引先から大量に買い付け、利用客は自分で選んだ家具をセルフサービス式の倉庫でビックアップして購入しています。

このように、イケアとお客さまは、より快適な毎日のために、お互いに力を合わせて節約しているのです」と同社は説明しています(参照情報はこちら)。

「お互いに力を合わせて」という表現を使っていることで、IKEAのような巨大企業に対しても、顧客の親近感は大きく高まります。

9)Nordstrom

顧客への献身をとことん追求するという点で、Nordstromは屈指の企業です。同社のミッションステートメントには、ファッションの品ぞろえ、品質、価値といった面も盛り込まれているものの、すべてはお客様のために、という姿勢を明確に打ち出し、「お客様に最高のショッピング体験をお届けするために、Nordstromは不断の努力を続けます」と述べています(参照情報はこちら)。

Nordstromで買い物をするとわかるように、同社はミッションステートメントどおりのハイレベルな顧客サービスを常に維持しています。店員が売り場を常に巡回し、利用客が困っていないか声をかけ、記憶に残るショッピング体験の実現に向けてあらゆる手を尽くしています。

10)Cradles to Crayons

Cradles to Crayonsのミッションステートメントは、「ニーズ」「ミッション」「モデル」という3つの部分に分かれていて、まるで何かの作戦のようです。このように3つの言葉を使う手法は、一般に演説原稿の作成などで用いる強力な修辞的技巧で、言いたいことを印象に残りやすくする効果があります。長さが同じくらいで互いに類似する3つの要素を使った同数節の例としては、「来た、見た、勝った」があります。

Cradles to Crayonsのミッションのページは、モデルを簡潔に図示した画像も好印象です。こうした画像があると、文章を斜め読みしている人にも内容が伝わりやすくなります。

11)Universal Health Services, Inc.

企業が繁栄するのは、顧客、従業員、取引先、出資者を喜ばせることができたときです。Universal Health Servicesはまさにそれを目指していることが、そのミッションステートメントからわかります(参照情報はこちら)。

医療機関として、患者、医師、供給先、職員、投資家の喜びを追求することを明確に打ち出しています。しかも、これらの各要素を、赤色の大文字で表現して、目に留まりやすくしているところが印象的です。

12)JetBlue

JetBlueは、魅力的なマーケティング、慈善活動、社会的活動を通じて、創業時のミッションを忠実に追求しています(参照情報はこちら)。

こうした理念について、親しみを感じる言葉で表現しているところが印象的です。たとえば、「空に人間らしさを取り戻すために、2000年にスタートを切りました」などの表現です。

ウェブページ上では、Soar With Readingというプログラム、KaBOOM!との提携、JetBlue Foundationという財団、環境保護や社会的活動に関する報告など、それぞれの取り組みについての詳しい説明もあります。大きな見出し、箇条書き、画像、詳細情報ページへのリンクなど、こうした活動を的確に分類しているほか、ページの末尾には、ボランティアへの参加やTrueBlueポイントの寄付をウェブサイト訪問者に促すCall-To-Action(CTA)もあります。

どの企業のミッションステートメントに最も感銘を受けましたか。ぜひコメント欄でお聞かせください。

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編集メモ:この記事は、2015年8月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。Lindsay Kolowichによる元の記事はこちらからご覧いただけます。

トピック: 企業文化

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