企業として同じ目標に向かっているはずが、部門ごとに設定される目標のゴールは異なり、さらに業務の進め方や目標達成に対する考え方は様々です。
スムーズな部門間連携は企業の競争力を向上させます。たとえば顧客と接する複数の部門の連携を強化することで顧客体験は高まります。部門間連携の強化には、部門間の摩擦を減らすだけではなく、各部門内や部門間のオペレーション機能の改善も重要になってきます。
本記事では、部門間連携における課題と対策方法、オペレーションレベル連携による成功事例からおすすめツールまで紹介します。
レベニューオペレーション最新動向レポート
このガイドではレベニューオペレーションがフライホイールの各部分にもたらす影響をデータを通して詳しく紹介し、自社に合ったレベニューオペレーション戦略を構築し始めるための方法を解説します。
- フライホイールの摩擦を軽減し、実践する方法
- 収益率と顧客維持率に関する統計データ
- ブランドアフィニティーと収益維持に関する指標
- システム連携と顧客維持率の関係性
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部門間での連携はなぜ必要?
企業では専門業務ごとに部門を分ける場合と、事業ごとに部門を設ける場合があります。
ここでは専門業務ごとに部門が分かれている場合に部門間連携が必要とされる理由を紹介します。
生産性の向上が期待できる
部門間の情報共有や意思決定の連携がスムーズになると生産性向上が期待できます。
よりよい顧客体験を提供できる
スムーズな部門間連携は、よりよい顧客体験をもたらします 。
在宅ワークの増加
テレワークによる直接的コミュニケーションの喪失は、部門間連携にも影響します。スムーズな部門間連携は在宅ワークを確立するうえでも重要課題です。
マーケティング・セールス連携の重要性
マーケティングとセールスは認知・リードの創出・商談・受注とオペレーションが繋がっており連携が欠かせません。
しかし、厳密にはマーケティングとセールスはミッションが異なります。この違いがオペレーションへの認識のずれを生み出します。
さらに部門をまたいだオペレーションの連携は、ロスや、部門のミッションの喪失にも繋がっています。
部門間連携の壁となるのは?
ここでは部門間連携の壁になる要素を紹介します。
他部署を知らない
同じ企業でも、他部門の仕事はよく知らないものです。部門ごとに仕事が専門化され、閉じた範囲の中で成果を追求した結果、企業の全体最適が図れなくなります。
ビジョンを共有できていない
企業のビジョンは全社で同一であり、ビジョン実現へ協力体制の構築が必要です。
しかし、ビジョンに対する認識の共有が適切に行われていない場合、部門間連携に齟齬が発生することもあります。
偏見やライバル意識
部門同士の競争によって悪い感情が生まれるケースには注意が必要です。偏見や強すぎるライバル意識は、組織にとって悪影響です。
部門ごとの仕組みの違い
業務最適化を各部門ごとの裁量で行うと、仕組みの違いが部門の数だけ発生することになりかねません。
コミュニケーションの場がない
そもそもコミュニケーションの場がなく、良好な関係が作れないという場合もあります。十分な準備を行わずにテレワークを導入した場合も、この事態に拍車をかけています。
部門間連携を円滑に進めるための方法
部門間連携円滑にする方法は大きく二つです。
- 部門間でコミュニケーションをとる素地を作る
- 仕組みを作り、連携しやすい業務を作り上げる
このアプローチに向け、より詳細な5つの方法を説明します。
信頼関係の構築
他部門を協力相手だと捉え、信頼関係を構築することが必要です。
連携する部署の業務内容への理解
部門間連携向上には相手の業務の目的や手順、仕組みを知る必要があります。
コミュニケーションの質と量
お互いの業務に関して深く踏み込み連携を最適化できる質の高いコミュニケーションの場を設けることも大切です。コミュニケーションツールを活用して対話の場を持つのもよいでしょう。
ミッションの見える化
各部門のミッションの共有も円滑な連携を構築する手段です。見える化し、リアルタイムに課題やポイントを連携先に共有する仕組みを作ります。
部門間連携のための共通ルールの策定と浸透
部門間連携の際には、業務ルールの差異を埋める必要があります。
オペレーション連携で成果に結びつける
ここではHubSpot独自の各部門の連携体制について紹介します。
顧客中心の部門の壁を取り払った組織
HubSpotではスムーズな部門間連携が顧客体験にとって重要だと考えています。
そこで「フライホイール」の考え方を採用しています。
フライホイールは、企業活動全体を顧客を中心に回る循環型のプロセスとみなしています。マーケティングで顧客を惹きつけ、セールスは信頼関係を築き、サービスによって満足してもらう段階を経て、また最初に戻ります。顧客の満足によってさらに新規顧客を得ることができるのが特徴です。
「フライホイールは顧客と接する部門同士の連携を図るためのモデルで、そのために各担当者が顧客の利益を優先し、顧客を満足させることに全力を注ぐ必要があることを示しています」(HubSpot 最高経営責任者(CEO)ヤミニ・ランガン)
引用: 日経XTREND SPECIAL「「良い製品」から「良い体験」の時代へ 顧客体験を高めるために取り払うべき「組織の壁」」
フライホイールの回転高速化は企業の競争力向上であり、そのために部門間の摩擦を減らす必要があります。また各部門内や部門間のオペレーション機能の改善も重要です。
上記の「オペレーション」とは社内のデジタルツールの設定や業務フロー設計、データ分析などを意味しており、アメリカでは専門のオペレーション部門を置く場合も増えています。
HubSpotでは、さらに個別のオペレーションチームを「レベニュー・オペレーション」として統括しています。
レベニュー・オペレーションについては以下の記事でも詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
フライホイールモデルをもとにレベニュー・オペレーションを導入した結果、顧客と接点を持つ各現場の日々の業務レベルでも一貫性を実現できました。また、優れた顧客体験の提供と企業の急成長にも成功しています。
システムサービスを利用した部門間連携の事例
部門間連携をスムーズにする施策として、部門間のシステム連携を実現するシステムサービスの導入があります。
HubSpotの導入により事業部間での顧客情報統合(レバレジーズ株式会社)
レバレジーズ株式会社では複数事業部で顧客情報を共有できず、コミュニケーションミスの発生が課題となっていました。同一の見込み客に対し、複数事業部が並行してアプローチを行うなどの問題が発生し、管理コストも増加していました。
この課題を解決するべく、企業内で統一したCRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)の導入を検討した結果、HubSpotを導入。
HubSpot導入により複数事業部の顧客情報の統 合に成功し、営業工数削減、顧客との関係性を構築しやすくなる成果がありました。
Marketing Hubで問い合わせにおけるマーケティングと営業の部門間連携(デクセリアルズ株式会社)
デクセリアルズ株式会社では営業担当者が個別にリードを管理しており、チーム全体のリード数や進捗状況が把握できておらず、マーケティングとセールス間でのリードの受け渡しにおけるタイムロスも大きな課題でした。
そのためCRMやMA、SFAによる一元管理を目的として、HubSpot製品の導入を行いました。結果として、リスト管理の脱属人化に成功、CRMに集約することで誰でも状況がわかるようになったのです。
また、問い合わせ対応フローを6分の1に省略する成果にも繋がりました。マーケティングとセールス間の連携がスムーズにし、顧客への対応速度が向上しました。
マーケティング、セールス、CS間の連携をHubSpotで効率化(ポジウィル株式会社)
ポジウィル株式会社では運営するサービスの問い合わせ数増加に伴い、各事業部の工数が追いつかない状態が発生していました。面談スケジュール管理、顧客管理、商談管理において部門間連携を実現する施策が必要と考え、CRM、SFAとしてHubSpotを導入しました。
導入の成果として、スムーズな連携を実現し、同一の人数で従来の3倍の問い合わせ数に対応できるようになりました。見込み客の情報も部門間で共有でき、成約率の向上に寄与しています。
部門間連携を支えるツール・サービス
部門間連携の実現で重要な役割を果たすのがツールやサービスです。以下、部門間連携を支えるツールなどを紹介します。
Marketing Hub + Sales Hub + Service Hub
Marketing Hub
Sales Hub
Service Hub
HubSpotのMarketing Hub、Sales Hub、Service Hubはそれぞれマーケティング、営業支援、カスタマーサービスの業務をサポートします。主な利用部門はマーケティング部門、セールス部門、カスタマーサービス部門です。
顧客への一連の価値を提供するレベニュー・オペレーションでは、この3つの製品を各部門が利用し、連携することで大きな成果を生みます。3つの製品の間では、部門間の仕組みの差異は発生せず、業務のシームレスな連携が可能です。
マーケティングのリードやカスタマーサービスの受けた問い合わせを、同一の顧客という軸で管理し、部門間の摩擦を発生させずにオペレーションの構築が可能です。
Marketing Hub + Salesforce
Marketing Hub
Salesforce
Salesforceは世界中で大きなシェアを持ち、利用企業は15万社にも上るCRMです。HubSpotのMarketing HubはSalesforceと連携できます。
マーケティング部門はMarketing Hubでリードの管理を行い、Salesforceを利用するセールス部門と顧客情報の同期ができます。利用者は意識することなく、部門間で同期された顧客情報の利用が可能です。
Operations Hub
HubSpotは2021年4月よりオペレーション支援ソフトウェアOperations Hubの提供を開始しました。アプリの連携、顧客データの整理、データ集合の定義、ビジネスプロセスの自動化機能を提供しており、まさに部門間連携の向上を目的としたツールです。
組織全体を俯瞰するレベニュー・オペレーション部門から、セールスなどの特定のオペレーションを行う部門まで、あらゆる部門間連携に対応しています。ビジネスの効率、整合性、適応力を向上させ、摩擦のないスムーズな顧客体験の提供を実現するプロダクトです。
また、HubSpotの提供するMarketing Hub、Sales Hub、Service Hub、CMS Hubの各サービスと併用時は、自動的に接続し、部門間連携のシステム上の摩擦が生じません。
チャットツール
Slackなどのチャットツールは、部門間連携においてコミュニケーションの場を提供し、コミュニケーションの質と量を確保する役割を果たします。
THANKS GIFTなどの社内SNS
THANKS GIFTは社内SNSを構成するコミュニケーションプラットフォームです。組織と企業の相互理解を深め、部門を超えた従業員のタテ・ヨコ・ナナメの繋がりを生み、部門間連携強化に寄与します。
Uniposなどのピアボーナス
Uniposは、従業員同士が「貢献に対する称賛のメッセージ」と「少額のインセンティブ」を送り合う「ピアボーナス」を実現するサービスです。
組織に対する貢献度が可視化され、感謝と賞賛のサイクルが生まれます。また、部署間のコミュニケーション状況を分析する機能を持つため、部門間連携の強化に繋がりやすいでしょう。
部門の壁を超え、一つの組織として成果を出すことが重要
スムーズな部門間連携は業務効率化、生産性向上など、企業にとって有益です。また、DX、イノベーションに向け、その前提を成すものです。
スムーズな部門間連携の構築には、必要性を再認識し、共有情報とすることが最初のステップです。企業のビジョンを共有し、同じ目的のために活動する大きな一つの組織としてシームレス化を目指します。
意識共有の次のステップが、課題解決のための施策実施です。仕組みやツールによって、部門間の問題を埋めるアプローチが有効となります。ツールを活用した連携はオペレーションを効率化し、シームレスな強い組織を作ります。
上記ステップには、「データのサイロ化を防ぐ」、「ITシステムを利用したオペレーションレベルでの連携」も含みます。これは、DXやイノベーションの基礎ともなるものです。