kintoneは、ノーコードで顧客管理や案件管理といったアプリを開発できるクラウドサービスです。ドラッグ&ドロップのみの簡単な操作で制作ができるため、導入担当者の93%が非IT部門という実績を誇る点など、誰でも簡単にアプリ開発ができるのが特徴です(2022年12月時点)。
標準機能だけでも開発は十分に可能ですが、さらに機能を充実させたい場合や視認性を高めたい場合に役立つのがプラグインです。kintoneのプラグインを使用することで、プログラミングスキルがなくても機能をカスタマイズできます。
本記事では、無料で使えるkintoneプラグインの中から、ジャンルごとに人気のあるものを紹介します。
kintoneのプラグインとは?
kintoneのプラグインとは、kintoneの機能を拡張する追加プログラムのことです。必要なファイルが一つのパッケージにまとめられており、管理画面からインストールすることで利用できる仕組みです。標準機能だけでは不十分な部分を補完し利便性を高められるため、業務効率の向上に役立つでしょう。
kintoneのプラグインは数多く提供されており、その数は連携サービスを含めて200種類以上にものぼります。有料版と無料版があり、月額1,500円のスタンダードコースで契約することで利用が可能です。
無料で使えるkintoneのおすすめプラグイン一覧【ジャンル別・13選】
ここからは、無料で使えるkintoneのプラグインについてジャンルごとに解説していきます。
【入力・編集補助系】
- 条件分岐処理プラグイン
- 一覧画面編集プラグイン
- 入力ヒント表示プラグイン
【画面表示系】
- 関連サブテーブル一覧表示プラグイン
- 添付ファイル表示プラグイン
【ルックアップ系】
- ルックアップアプリ表示プラグイン
- ルックアップ動的絞り込みプラグイン
- ルックアップ/階層区分対応ドロップダウン変換プラグイン
【印刷・帳票系】
- 一覧画面印刷プラグイン
- 印刷設定プラグイン
【検索系】
- 一覧テキスト絞り込み検索プラグイン
【カレンダー系】
- 複数日付選択カレンダープラグイン
- Google カレンダー連携プラグイン
入力・編集補助系の無料プラグイン
はじめに紹介するのは、テキスト入力や編集を効率化する無料のプラグインです。
1. 条件分岐処理プラグイン
出典:条件分岐処理プラグイン
条件分岐処理プラグインは、レコードが特定の条件に一致する場合に、自動化処理、書式設定、エラーチェックなどを行うプラグインです。
「売上日を削除するときには、受注のチェックを外す」や「単価を10,000円以上に設定した場合は、理由を備考欄に記入する」、「案件区分がAの場合は、商品情報のテーブルを2行追加し、設定した値を自動入力する」など、特定のルールに基づいた操作を自動化できます。
入力工数の削減や入力ミス・漏れの防止などにつながる便利なプラグインです。
ダウンロードページ:kintoneプラグインのご紹介
2. 一覧画面編集プラグイン
出典:一覧画面編集プラグイン
一覧画面編集プラグインは、kintoneでのデータ編集をより効率的かつ直感的に行うためのプラグインです。エクセルのような操作感で、kintoneのレコードを一覧画面で直接編集できます。
通常、kintoneではデータを一覧表示し、各レコードを個別に開いて編集する必要があります。しかし、これは特に大量のデータをまとめて編集したい場合に時間がかかる作業です。
このプラグインは、一覧画面から複数のレコードを同時に見ながら、直接編集ができるため、大幅に作業効率を向上できるでしょう。加えて、ルックアップフィールドに対応しており、データの関連付けや参照も容易になります。
3. 入力ヒント表示プラグイン
入力ヒント表示プラグインは、kintoneのフィールド入力時に、必要な注意事項やヒントを初期表示させられるプラグインです。
通常、ラベルフィールドやフィールド名の後に注意事項を記載する方法がありますが、限られた画面サイズではこれらの方法は場所を取りがちです。
入力ヒント表示プラグインを使用することで、入力欄自体に直接、必要な情報を表示でき、画面スペースを有効に活用しつつ、ユーザーが情報を簡単に確認できるようになります。
画面表示系の無料プラグイン
次に、kintoneの画面表示を向上させる無料プラグインを紹介します。
4. 関連サブテーブル一覧表示プラグイン
関連サブテーブル一覧表示プラグインは、サブテーブルを関連レコード一覧のように表示するものです。
kintoneの標準機能に「関連レコード一覧フィールド」がありますが、この機能のみだとサブテーブル内のフィールドを表示フィールドに指定したり、表示レコードの条件に複数のフィールドを設定したりすることができませんでした。これは、複数のサブテーブルを考慮した制限によるものです。
関連サブテーブル一覧表示プラグインを実装することで、特定のサブテーブルに対する表示設定が可能になり、より柔軟かつ効果的なデータ表示が実現します。サブテーブルのデータを見やすく整理して表示することで、ユーザーのデータ管理がより容易になります。
さらに、表示したレコード・サブテーブルの集計も可能です。
5. 添付ファイル表示プラグイン
添付ファイル表示プラグインは、添付ファイルをダウンロードせずに直接表示ができるプラグインです。
kintoneでの作業中、とくにPDFやその他のドキュメントファイルの内容を確認する際、毎回ダウンロードするのは煩わしい作業です。画像ファイルは画面上で直接確認できるのに、なぜPDFはできないのかという問題に対応します。
PDFをはじめ、txtやcsvといったテキスト系ファイル、mp4やmpegといった動画ファイル、さらにはmp3といった音声ファイルなど、あらゆる添付ファイルを、ダウンロードすることなく直接ブラウザ上で確認できます。
ただし、ブラウザでPDFを開く際のリスクについて懸念する声もあるため、出所が不明なPDFファイルを取り扱う際には注意しましょう。
ルックアップ系の無料プラグイン
ルックアップ機能を拡張し、kintoneの使い勝手を高める無料プラグインを紹介します。
6. ルックアップアプリ表示プラグイン
ルックアップアプリ表示プラグインは、ルックアップフィールドのデータを、アプリの画面上で直接編集できるプラグインです。
そもそもルックアップとは、別アプリで登録したデータを自動取得できる機能です。例えば、顧客情報アプリの顧客名を、案件管理アプリで取得できるようになります。
ルックアップフィールドを使用した場合、初期で設定したデータ以外の入力はできません。そのため、入力したい情報が選択肢に存在しない場合、新たにレコードを追加する必要があります。そのためには、一度ポータル画面に戻り、アプリ一覧から該当のアプリを探し、新規登録画面を開いてデータを入力しなければなりません。
ルックアップアプリ表示プラグインを使用することで、そのような手間を省き、ルックアップフィールドから直接関連アプリの編集画面にアクセスできます。
7. ルックアップ動的絞り込みプラグイン
ルックアップ動的絞り込みプラグインは、他のフィールドの値に基づいて絞り込んだ結果を、ルックアップフィールドの選択画面に初期表示できるプラグインです。例えば、顧客名を選択する際に、区分で「製造業」を選択すると、製造業として登録した顧客名のみが表示されるようになります。
kintoneのルックアップフィールドには従来、動的な絞り込み機能が欠けていました。このプラグインを使うと、レコード内の別フィールドの値を利用してデータを効率的に絞り込むことができます。
8. ルックアップ/階層区分対応ドロップダウン変換プラグイン
出典:ルックアップ/階層区分対応ドロップダウン変換プラグイン
ルックアップ/階層区分対応ドロップダウン変換プラグインは、ルックアップフィールドのデータを部門や分類などで階層化し、それぞれの階層に応じたドロップダウンフィールドを使ってレコードを絞り込めるプラグインです。例えば、商品情報を入力する際に、「パソコン周辺機器」>「マウス」>「商品名」のように、大カテゴリから順に商品を絞り込むことができます。
コピー元のレコード数が多い場合に、大量のデータから簡単に該当のデータを参照できる便利なプラグインです。
このプラグインはテーブル内のルックアップフィールドにも対応しており、データ管理の効率化に大きく貢献します。
印刷・帳票系の無料プラグイン
印刷や帳票作成を効率化するための無料プラグインを紹介します。
9. 一覧画面印刷プラグイン
出典:一覧画面印刷プラグイン
一覧画面印刷プラグインは、kintoneの一覧画面やグラフを印刷する際、ヘッダーやメニューボタンを非表示にできるプラグインです。通常では、ヘッダーなども一緒に印刷されてしまうため、必要な情報だけを印刷したい場合に便利です。
10. 印刷設定プラグイン
出典:印刷設定プラグイン
印刷設定プラグインは、kintoneのレコード印刷画面で、改ページ、罫線、段組みなどの印刷設定を簡単に行えるプラグインです。
通常、レコード印刷のカスタマイズは複雑な設定が必要ですが、このプラグインを使用することで、プログラミング知識がないユーザーでも簡単に基本的な印刷設定ができます。
プラグインをインストールすると各フィールドの横に設定用のマークが表示されるため、そこからフィールド幅や罫線、フォントサイズなどをそれぞれ設定しましょう。
検索系の無料プラグイン
検索機能の向上を目的とした無料プラグインをご紹介します。
11. 一覧テキスト絞り込み検索プラグイン
一覧テキスト絞り込み検索プラグインは、一部フィールドタイプを除き、テキストデータでレコードを絞り込むことができるプラグインです。
kintoneの一覧画面では、検索エンジンのような検索窓が不足していますが、このプラグインにより、文字列やドロップダウンフィールドなどで簡単にレコードを絞り込むことができます。
カレンダー系の無料プラグイン
カレンダー機能を強化する無料プラグインについて紹介します。
12. 複数日付選択カレンダープラグイン
複数日付選択カレンダープラグインは、1行の文字列フィールドを用いて、複数の日付データをカンマ区切りで管理できるプラグインです。
kintoneで不規則な日付群を登録する際、日付フィールドの数が変動する可能性がある場合、どのように入力するかが課題です。日付フィールドをテーブル化する方法もありますが、行追加後に日付を選択する手順は効率が良くありません。
このプラグインを使用すれば、1行の文字列フィールドで、複数の日付をカンマ区切りで簡単に管理できます。入力窓右側のカレンダーマークをクリックするとカレンダーが表示され、該当の日付を選択するのみなので、入力も簡単です。
13. Google カレンダー連携プラグイン
Google カレンダー連携プラグインは、Google カレンダーAPIを使用してkintoneとGoogle カレンダーを連携できるプラグインです。
kintoneで登録した予定をGoogle カレンダーに反映でき、反対に、Google カレンダーに入力した予定をkintoneへ反映させることも可能です。アプリ単位で登録先のカレンダーを分けられるため、予定管理の柔軟性が高まります。
無料で使えるkintoneのプラグインで業務効率を高めよう
kintoneのプラグインは、入力の手間を減らしたり、抜け漏れを防いだりと、業務効率化に大きく貢献します。無料で提供されている多様なプラグインを活用することで、日常の業務プロセスを大幅に改善し、よりスムーズなビジネスを実現できるでしょう。
また、UIを向上させて入力のハードルを低くすることで、kintoneへの入力に抵抗のある従業員のストレスを減らし、ツールの定着度を高めるといった効果も期待できます。
まずは、今回紹介したような無料で利用可能なプラグインを導入し、業務効率の向上を目指しましょう。