インターネットリサーチに使用されるデバイスは、これまでパソコンが主流でしたが、スマートフォンの割合も徐々に増えています。一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会の「インターネット調査品質ガイドライン」によると、2016年に主要調査会社のアンケート回答デバイスは全体の34.6%がスマートフォンとなっており、その割合はさらに増加していると考えられます。
スマートフォン専用のリサーチサービスとして、今人気を集めているのが、LINE株式会社が提供しているLINEリサーチです。
LINEリサーチは、LINEアプリを通してアンケート調査を行うため、学生を含めた10代〜20代の若年層にアプローチできるのが大きな特徴です。
本記事では、LINEリサーチの特徴や、利用できる調査手法などを詳しく紹介します。
料金のモデルケースや導入事例も紹介しているので、予算と希望する調査内容にマッチするかどうか、ぜひご確認ください。
LINE for Businessの基礎ガイド
LINE for Businessの基礎から活用事例までを詳しく解説!
- LINE for Businessの基礎知識
- LINE公式アカウントの主な機能
- LINE広告の活用方法
- LINE for Businessの活用事例
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LINEリサーチとは?
LINEリサーチとは、LINE株式会社が提供しているスマートフォン専用のリサーチサービスです。
国内最大級である606万人(2022年7月時点)のモニターを抱えており、一般消費者に近いモニター組織からターゲットを絞ってアンケートを配信できます。
また、LINEリサーチはアクティブユーザーの約50%が10?29歳の若年層であることも大きな特徴です。アクティブユーザーの年齢構成はリサーチ会社によって異なり、学生や若年層はアクティブユーザーが少ない場合もあります。メインターゲットが30歳以下のビジネスを展開している企業には、若年層が多いLINEリサーチが特におすすめです。
似たようなものにLINE公式アカウントの「リサーチ機能」がありますが、これはフォロワーに向けてアンケートを配信するものです。LINEリサーチは、「非フォロワー」に対してアンケートを配信し、一般消費者の動向を知るための調査となります。
LINEリサーチの主な特徴
LINEリサーチは、モニター数、若年層へのリーチ力、回収率の高さが、業界内で最大規模なのが特徴です。本章では、LINEリサーチの4つの特徴を具体的にご紹介します。
1. 国内最大級のスマートフォンモニター組織
LINEリサーチの公式アカウント「LINEアンケート」の友だち登録数は約1,759万人で、アクティブモニターは国内最大級である606万人(2022年7月現在)にも上ります。大規模な定量調査からターゲットを絞った定性調査まで、自由度が高い調査設計ができる点が魅力といえます。
出典:LINEリサーチ特長:国内最大級のモニター数|LINE for Business
2. 幅広い年代のユーザーへのリーチ
LINEは各年代に広く浸透しているため、幅広い年代へのリーチが可能です。実際に、「15~59歳で週1以上スマートフォンを利用している人の約97%がLINEを利用している」という調査結果があります。
10代の若年層から50代のミドル層まで、幅広い年代への調査が実施できます。
また、LINEリサーチは若年層が多いのも大きな特徴です。アクティブモニターのうち、約50%が10~29歳の若年層のため、学生や若年層向けの調査などにも適しています。
3. 早いレスポンスと高い回収率の実現
LINEリサーチは、LINEのプッシュ通知で配信されることから、モニターが気づきやすく、素早くレスポンスしやすいのが特徴です。
また、モニターが回答しやすいよう、スマートフォンに特化したユーザーインタフェースになっているため、アンケートの回収率も高くなっています。
10分で1,000サンプルを集めることもでき、急を要する調査も実施可能です。
4. 回答者バイアスの回避
LINEリサーチのモニターである「LINEアンケート」の登録者のうち、約65%がほかのアンケートモニターに未登録のフレッシュモニターです。
アンケート調査では、回答者の先入観によって起こる「回答者バイアス」と呼ばれる偏りに注意する必要があります。回答者バイアスは、調査慣れすることで発生しやすくなるのが特徴です。
LINEリサーチは他社でアンケートを実施したことがないフレッシュモニターが多いため、一般消費者に近いデータの取得が可能です。
LINEリサーチを利用するメリット・デメリット
LINEリサーチの利用には大きなメリットがある一方で、調査を行うからこそのデメリットもあります。サービスを使用する前に、こちらの章でご紹介するメリットとデメリットを理解しておき、類似サービスとの比較検討にお役立てください。
LINEリサーチのメリット
LINEリサーチを活用する大きなメリットは、多くのフレッシュな意見を聞けることです。リアルな一般生活者の好みや傾向を知ることで、商品開発やマーケティング戦略に活かせます。
調査慣れしている回答者にリサーチを行うと、回答者バイアスによって一般の消費者の認識とズレが発生する場合もあります。その点、LINEリサーチであれば、モニターの半数以上がフレッシュモニターのため、一般消費者の認識を比較的正確に捉えることができるでしょう。
LINEリサーチのデメリット
LINEリサーチはスマートフォン専用サービスのため、パソコンやタブレットも含めた全体的な調査を検討している場合には向いていません。
また、60代以上の年齢層をターゲットにしている企業の場合も注意が必要です。LINEアンケートに登録しているアクティブモニター606万人のうち、60代以降は約33万人と人数が少なくなるため、調査内容によっては期待したような成果が得られないこともあります。
画像引用元:LINEリサーチ特長:国内最大級のモニター数|LINE for Business
LINEリサーチの2つの基本コース
LINEリサーチには「ライトコース」と「サポートコース」の2種類のコースがあり、調査メニューやサポート面、使用できる機能などが異なります。それぞれの特徴や違いを把握し、自社で行いたい調査に沿ったコースを選択しましょう。
「ライトコース」と「サポートコース」の違いを一覧表にまとめました。次章から、各コースの特徴を詳しく解説します。
①ライトコース
「ライトコース」は9,800円から利用できるため、低コストで気軽に調査が実施できます。
ライトコースの大きな特徴は、専用のセルフ型アンケートツールを使用して、自社でいつでもアンケートを作成できることや、結果が最短6時間で納品されるためスピーディーに調査できることです。
また、「Tableau」というWEB集計機能を使ってデータを確認するため、調査結果を自社で分析したい場合にも向いているでしょう。ただし、設問数15、回収サンプル1,000までと制限があるため、大規模なリサーチはできません。
②サポートコース
「サポートコース」の大きな特徴は、調査の専門家がトータルでサポートをしてくれることです。
対応範囲は次の通りです。
- 課題の整理
- 調査の設計
- 調査画面の作成
- 実査
- 集計
- 分析
- 報告
スマホリサーチのほかに、インタビューなどの定性調査にも対応しているため、調査にこだわりたい場合に向いています。
また、設問数と回収サンプル数もライトコースより多いため、大規模なリサーチが可能です。
LINEリサーチの調査メニューは?
LINEリサーチには4つの調査メニューがあります。ライトコースで実施可能なのはスマホリサーチのみですが、サポートコースではLINEオリジナルの調査メニューも提供されています。
本章では、それぞれの調査メニューの特徴を詳しくご紹介しますので、自社の課題や調査目的などと照らし合わせながらメニュー選定にご活用ください。
スマホリサーチ
スマホリサーチは、LINEアンケートの登録ユーザーにLINE上でアンケート配信ができるサービスです。
大きな特徴は、LINEのプッシュ通信で配信されるため調査対象者からのレスポンスが早い点です。
スマホリサーチには配信時間の自由設定や、画像データを提出してもらえるといった、さまざまなオプション機能があります。機能や費用の詳細は公式ページをご覧ください。
ログ連携リサーチ
ログ連携リサーチは、広告への接触ログ(記録)やフォロワーログ(公式アカウントの有効な友だち)を活用した調査が可能です。
広告や公式アカウントの出稿効果やユーザーの詳細情報を確認できるため、自社で分析やマーケティングを行う際に役立ちます。
インタビュー/会場リサーチ
全国のモニターを対象に、オンラインインタビュー調査を行えます。手法は「デプスインタビュー(1対1)」と「グループインタビュー」から選択可能です。
端末のカメラを使用して自宅環境やスマートフォン画面を映してもらうこともできるため、被験者の日常生活に踏み込んだリサーチができます。
料金に関しては公式ページよりお問い合わせください。
オープン型リサーチ
オープン型リサーチは、QRコードやURLを利用し、LINEアプリからアンケートを実施できるサービスです。
LINEを使用している人であれば誰でも回答でき、イベントや店舗、セミナーなど、さまざまな場面で活用できます。
回答者へのインセンティブとして、LINEポイントの配布や、リアルタイムで回答結果を共有できるなどの特徴があります。調査スペックやフロー、料金は公式ページから確認可能です。
LINEリサーチの料金体系
LINEリサーチは、コースや調査手法によって料金体系が大きく異なります。そのため、LINEリサーチを利用する前に、予算内で調査が行えるかどうかを把握しておくことが大切です。
本章で紹介するモデルケースを参考に、予算に合うかどうかご確認ください。
ライトコース
ライトコースは低コストからスタートでき、必要なオプションは追加する形式です。
基本料金
ライトコースの基本料金は9,800円~です。設問数やサンプル数に応じて料金が段階的に上がっていきますが、小規模リサーチであれば低コストで行えます。
例えば、設問数9問、サンプル数が500までの基本料金(税抜)は次の通りです。
オプション機能の価格
ライトコースを利用する際に、ターゲットの絞り込みや、回答者の居住地の特定をするにはオプションとして追加が必要です。また、調査画面の作成費用も設問数によって変動します。
ライトコースのオプションと価格は次の通りです。
- 居住地の指定:基本料金×0.5倍
- ターゲットの指定:基本料金×0.5倍+7万円
- 1問スクリーニング:18万円〜30万円 ※スクリーニング数によって変動
- 画面作成費:
- 1万円(1〜5問)
- 2万円(6〜10問)
- 3万円(11〜15問)
料金モデルケース
ライトコースの料金モデルケースを2つご紹介します。実際の料金や条件を参考にしてください。
- 全国の10代学生を対象とした好きなアイスクリームに関するアンケート
- 料金:9,800円
- 条件:15~19歳|学生|2問|100サンプル
- 東京都在住の30代の専業主婦を対象としたライフスタイルに関するアンケート
- 料金:84,000円
- 条件:30~39歳|専業主婦|東京都在住|6問|400サンプル
サポートコース
サポートコースは、スマホリサーチ・インタビュー/会場調査・ログ連携リサーチ・オープン型リサーチでそれぞれ料金が異なります。
基本料金
各調査メニューの最低金額は次の通りです。
スマホリサーチ
- スクリーニング実査費:65,000円~
- 本調査実査費:85,000円~
- プロジェクト管理費:税別価格合計の15%
インタビュー/会場調査
- グループインタビュー:287万円~
- デプスインタビュー:261万1,000円~
- 会場調査:271万円~
ログ連携リサーチ
- ブランドリフト調査パッケージ:55万円~
- 企業アカウントフォロワー調査:18万円~
オープン型リサーチ
- 基本料金:60万円~
サポートコースの場合には、それぞれの手法によって値段やオプションも異なるため、公式ページから問い合わせ、見積もりを取得することをおすすめします。
料金モデルケース
全国の10代1,000人を対象に、エンタメに関する20問のアンケートを実施した場合の料金モデルケースは次の通りです。回収サンプル数や設問数を軸に、料金や調査のボリュームを参考にしてください。
<項目例>
- SNS各社の利用経験/利用状況
- 動画配信サービス各社の利用経験/利用状況
- 音楽配信サービス各社の利用経験/利用状況
- SNSの利用デバイス
- 動画配信サービスの利用デバイス
- 音楽配信サービスの利用デバイス
- 動画配信サービスにかける費用
- 音楽配信サービスにかける費用
<費用>
- 調査設計費:20万円
- 本調査費:57万円
- 集計費:8万円
- プロジェクト管理費(15%):12万7500円
合計:97万7500円(税抜)
LINEリサーチのアンケート結果を集計するには?
サポートコースでは集計や分析まで依頼できますが、ライトコースではセルフで行わなければなりません。ライトコースのアンケートを集計する方法には「簡易集計」と「WEB集計」の2種類があります。
本章では、簡易集計でダウンロードできる結果データやWEB集計についてご紹介します。
簡易集計
ライトコースでダウンロードできるデータは次の4つです。
- 調査票
- 単純集計表
- 性年代クロス集計表
- ローデータ
すべてエクセルファイルのため、自社で分析する必要があります。各調査データのサンプルは公式ページでご確認ください。
WEB(Tableau)集計
WEB集計機能「Tableau」は、データの分析・ビジュアル化作業が簡単でスピーディーに行えるツールです。
ライトコースでは簡易集計のみの提供でしたが、自動集計・分析機能が使用できるようになったため、専門家でなくてもデータ分析ができます。
「Tableau」には次のような特徴があります。
- 基本属性の内訳をグラフで表示
- 性年代別各設問の回答比率をグラフで表示
- クロス集計に対応
- 自由回答の閲覧と絞り込み
それぞれのグラフはPDFとして出力可能なため、レポート作成に活用できます。
LINEリサーチ利用に当たっての注意・禁止事項
LINEリサーチは、調査を目的としたサービスのためサイトへの誘導や、インストール・購入・試用・会員登録などを促すことは禁止されています。
(1)アンケート画面から他サイトへ誘導する行為
(2)アプリケーションおよびソフトウェア等のダウンロードまたはインストールを行わせる行為
(3)特定の商品の購入、試用等を促すダイレクト・マーケティングを行う行為
(4)会員登録を誘導する行為
引用元:LINEリサーチ利用規約
その他禁止事項や利用規約もご契約前に確認しておくと良いでしょう。
LINEリサーチの導入事例
多くの企業や自治体がLINEリサーチを利用して、調査結果をマーケティング戦略に役立てています。
本章では、LINEリサーチの導入事例と利用団体の実際の感想を3つご紹介します。サービス導入後のイメージとして、ぜひ参考にしてください。
【事例1】株式会社 明治アドエージェンシー
ティーンに向けたマインドシェア醸成施策の効果検証のために、LINEリサーチのサポートコースを利用した事例です。ブランド認知やプロモーションの認知と共感、アイスクリームカテゴリ全体での10代の傾向を知ることにつながりました。
中学生や高校生への調査もでき、LINEリサーチはティーンに強いと感じました。しっかりとしたサンプル数の確保もできましたし、設問数や設問内容もしっかりと作りこんで調査を実施することができたので、とてもよかったと思っております。また、未成年者のデータを扱う上での取り扱いや規約をしっかりと持っていらっしゃった点も、信頼できると感じました。
引用元:ティーンに強いLINEリサーチで、ブランドやプロモーションの認知・共感など把握。ブレないコミュニケーション戦略を!
【事例2】寝屋川市役所
図書館に関する全国的なニーズや傾向を調査するため、LINEリサーチのサポートコースを利用した事例です。
調査・分析の結果、理想の図書館として「カフェのようにリラックスして読書ができる静かな空間」であること、また、設備や機能面では、Wi-Fi設備、カフェスペース、一人掛けソファーなどのニーズが高いことが分かり、図書館の改善に役立てています。
LINEリサーチ側へ調査の意向や目的をお伝えすることで、より適切な質問や回答選択肢を作成していただくなど、負担なく調査設計から実施、分析まで行うことが出来ました。
また、短期間(今回の調査は2日)で正確な調査結果を得られ、年代別、項目別等のクロス集計、詳細な分析を始め、調査結果を報告書として見やすく、分かりやすくまとめていただくなど、全体を通じて効率的、効果的な調査を行うことができました。
【事例3】甲斐市役所
コロナ禍における対策やワクチン接種について、市民の意見を調査するためにLINEリサーチのオープン型リサーチを活用した事例です。こちらの調査では、わずか3日で2,000件以上の回答を集めています。
「自動友だち追加」機能を取り入れ、公式アカウントの友だちを増やすことにもつながっています。
オープン型リサーチは、LINEアプリを入れている人であれば誰でも簡単に回答ができるため、市民の声を早く、多く集めるのに適したツールでした。
引用元:時代に即した方法で、積極的に、効率的に声を聞く。市民とのコミュニケーションも見据えた甲斐市のLINEリサーチ活用法とは?
LINEリサーチでよりリアルな声をスピーディーに集めよう
LINEリサーチは、従来のインターネット調査にはないレスポンスの早さと、10代といったスマホ世代と呼ばれる若年層へのリーチが特徴です。
コミュニケーションだけではなく、サービスの配信から広告配信もあらゆるものがスマートフォンへシフトしているなか、LINEリサーチの活用はマーケティング活動において大きな役割を果たすでしょう。
これまでのインターネット調査では満足のいくリサーチができなかったという方は、ぜひスマートフォン専用調査を行える「LINEリサーチ」をご活用ください。